もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

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少し文章が荒いです…。
次回からは元に戻ります。


黒い兆し

「ギュァァアア!?」

 

キラーン☆

 

「…あ、やり過ぎた…。」

 

チクショウ。捕まえて実験しようと思ったのに…。

狂竜ウイルスを克服出来るかもしれない草?取ったのになぁ…。

仕方ない。もう三匹くらいこの調子だし、諦めておっさんのとこに戻るか。

 

「ギュウギュウ!」

 

「んー?あぁ、俺が運ぶ?

心配してんのかよ。こんなもん朝飯前だつて。」

 

「ギュギュゥ?」

 

「どうやって運ぶのかだって?

んなもんさっきと同じだ。まぁ、少し工夫はしますがね。」

 

さっきとはおっさんの奧さんを運んだ時に使った手段。

あの時は地面ごと持ち上げて、尻尾の粘菌にくっつけて引きずってきた。

粘菌操作力の上がった俺なら、このくらいどうとでもなるのだ。

今回は適当に殴り倒した木を使う。

殴り倒した木を掴み、腕で抉って窪みを作り、その中に薬草を積み込む。

後はこれを引きずるだけだ。

 

ここで登場。新粘菌『無属性粘菌』!

…まぁ、只の残骸の集まりで、爆発も電撃もキノコも出ない真っ白な何かなんだけど…。

出来る事は、掴む事と侵食。それだけだ。

…なんらかの強いショックを与えれば、また復活しそうなんだけどなー。

電撃や爆破を当てても反応無し。狂竜化もダメだった。

 

こうなってしまった原因は、粘菌としての脆さにあると思う。

爆破と雷撃は、その現象までのプロセスが物凄く単純だ。

爆破は熱エネルギーを一気に放出するだけで、雷撃は"貯める"と言う機関以外は発電と放電を繰り返すだけ。

 

それに対してキノコ粘菌は、まず込められたエネルギー量によって粘菌が変化する所から始まる。

腕全体と角にその機関があり、それぞれリンクしていて、込められたエネルギー量を元にして大量の菌糸を作り出す。

そして俺の体表から地面に付着した粘菌は、空気に含まれる二酸化炭素と酸素と水蒸気を取り込み、一瞬の内に大量のエネルギーを作り出し、そのエネルギーを菌糸の急増殖に用いる。

それによって菌糸は子実体となり、キノコとして地表に出現するのだ。

酸素と二酸化炭素と水蒸気でどうやってエネルギーを作り出しているかはよくわからない。

少なくとも光合成ではない事は確かだ。

個人的に叩きつけた瞬間に発生するあの酵素が原因だと思うのだけど…。

…この粘菌が現代にあったら、多分全世界のエネルギー事情がひっくり返るだろうな…。

ある意味最もチートな粘菌だ。動かないけど。

 

どうにかして復活させようと、涙ぐましい努力を重ねてはいるが、復活の兆しは見えない。

空気粘菌の残骸もくっつけてみたけど、あんまし意味は無かった。まぁ、動かせるようになっただけでも行幸かな。

 

「ギュウ!」

 

「よっと…。ほれ行くぞ。

遊んでないで、さっさとその丸太に乗れ。」

 

「ギュギュウ!」

 

ーーーーーーーー

 

「ウフフ♪ウフフフウフフフウフフ♪」

 

「おー坊主!戻ったか!

いやぁ思ったよりも早かったな!」

 

ドドドドドドドド!

 

「…何してんの?」

 

…帰ってみたらおっさんが走り回ってた。

気の柵は見事にぶっ壊れ、黒い瘴気が渦巻いてる。

そしておっさんの背後。

真っ黒なティガレックスがおっさんを追いかけ回してた。

それも奇妙な笑い声を上げながら。

なんだアレ。ワルプルギスの夜も真っ青だわ。

 

「いや何、童心に帰って鬼ごっこしてたのさ!

楽しいぞぉー?」

 

「そんな命懸けの鬼ごっこは鬼ごっこって言わない。

それデスゲーム。捕まったら終わりってやつだ。」

 

「そっちに鬼行ったぞー!」

 

「楽しそうだなコンチクショウ!」

 

あーもう、あのおっさん心配するだけ無駄か…。

ともかくこの真っ黒な生命体Xを止めないと…。

方法は…これでいいか。

 

「はい、ちょっとビリッとしますよ〜。」

 

雷撃粘菌を始動させ、バッテリーに電気をチャージ。

ある程度溜まったら、両腕の間で放電させる。

そこから電圧を上げていき、更にスパークさせる。

やがてスパークは纏まった球体へと変化した。

 

右手を左手に添えるように背後へ。

右足を一歩前に出し、あの体制を作る。

 

「…か〜め〜」

 

更に電圧を上げ、臨界を突破。

放電の影響で辺りの温度が上がり、いい感じのオーラっぽいものが出始める。

 

「は〜め〜」

 

そして近づいてくる黒いティガレックスに一発ぶつけてやる。

 

「波ァァァアア!!!」

 

バーーーン!!

 

どデカイビームだと思った?

残念!どっちかっていうとザケルだったわ。

やっぱ龍脈もフルに使わないと指向性を持たないね。

単純な雷だったよ。

 

今度やる時は元気玉にするか…。

 

「ギャ…アァァァ…。」

 

「うし。」

 

「…おーおー、派手にやったなぁ…。

通りすがりのハンターまで巻き込んでるじゃないか。

リーロックは…ん?…傷が無い…?どういう事だ?」

 

「あぁ、なんか黒い龍脈がバリアになってたんだよ。

龍脈関係のパワーを遮断しそうだったから、純属性のエネルギーをぶつけてみたんだ。

殆ど効いて無いけど、流石に弱点属性を頭に当てられたら倒れると思ってね。」

 

「よくわからんが、嫁に怪我がなきゃそれでいいか。

薬草は?」

 

「たんまり持ってきたぜ。

そこの青い実が狂竜ウイルスの打ち消しの効果を持ってる。

どうにかして大量に食わせるか、そこに体を埋めるかすれば治るんじゃないか?

確証は無いけど。」

 

「…これがウイルスを…。

坊主、お前半分食え。もしかしたらウイルスに感染してるかもしれんからな。」

 

「あー…俺はいいんだよ。

なんかもう克服したし。その後も発病してないし。」

 

「坊主…お前…スゲェな。」

 

「まぁな。

それよりおっさんの奧さんだ。

俺はちょっとそこら辺探索してくるよ。」

 

「わかった。くれぐれもハンターに見つからんようにな。」

 

「りょーかい。」

 

おっさんは振り返ると、倒れた奧さんに駆け寄って看病を始めた。

…どっちもゴッツゴツだけど、こう言うの見ると愛だなぁと感じる。

やっぱり夫婦っていうのはリア充と違うな。

人の重さを感じるよ。

 

ただ…周りを青い実で囲ったり、上にかぶせられたりしてるせいで、お葬式みたいになってるんだが…。

まぁ、問題は無いだろ。

後は奧さんが正気に戻るかどうかだけだ。

おっさん…頑張れよ…。





ブラキさんに新しい粘菌が出来ました。
はてさてどう進化するのでしょうか…。

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