もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

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イメージBGM
メタルギアライジング『モンスーン』戦闘曲


黒キ竜ノ拳ハ大地二大穴ヲ穿ツ

「撃て!」

 

バシュン!…カカッ!

 

「くそ!まだ弾幕が薄い!もっと弾を持って来い!」

 

…えっと…これ全力?

まだだよね?これ全力だとしたら余裕でここ壊滅出来るよ?

やっちゃうよ?こっちからやっちゃうよ?

 

うし、やろう。待つの面倒い。

 

つい最近出来た三つの特殊器官を使い、雷撃粘菌の核を増殖させていく。

雷撃粘菌の弱点はチャージまでの時間が長すぎる事。

だが、発電器官である粘菌核を増やせば、その限りでは無い。

 

増殖が完了し、バッテリーにあたる部分に電気が溜まっていく。

それに合わせて腕全体が微かに発光しはじめた。

狙いは適当。目に付いた龍撃槍発射装置に取り敢えず狙いを定める。要は試し撃ちをしてみようと思ったのだ。

 

…チャージ完了。

 

両腕を引き絞り、右足を前へ。

雷撃粘菌を更に活性化させ、電力をこれでもかと溜め込んでいく。

やがて圧縮されたバッテリー部分が眩い光を放ち始め、側に落ちていたバリスタ弾や砂鉄を巻き上げ始めた。

 

…よし。溜まった!

 

右足を踏み込む。

巻き上げられた物が吹き飛び、地面に放射状のヒビが入る。

 

両腕を突き込む。

腕全体を包んでいた光が拳の先端に集中し、爆発寸前の雷光と化す。

 

ドゴンッ!

 

空気の層がぶち抜かれる重厚かつ軽快にして壮絶な音を響かせ、衝撃波が辺りに吹き荒れる。

吹き飛んだ物は衝撃波に当てられ、粉微塵と化す。

 

バヂンッ!

 

一瞬遅れて放たれた雷撃が衝撃波に乗り、前方を蹂躙しつつ突き進む。

その圧倒的とも言える攻撃に当てられた対象物は…。

 

「…グゥルルル(…やっちまったなぁ…。)」

 

うん、貫通してる。

跡形も無くっていうか、闘技場の壁を貫いて貫通してるわ。

このまま帰れるレベルのどでかい穴だ。

うし、本当は龍撃槍を壊したかっただけだけど、取り敢えず脱出路確保って事で。

 

今更ながらこの闘技場について説明。

ローマのコロッセオ。以上。

…もう少し詳しく説明すると、真ん中に試合会場。その周りを観客席で囲まれている。

今は大砲やらバリスタやらが立ち並んでいるけどね。

 

「嘘だろ…アグナコトルやグラビモスのビームに耐えきる程の壁だぞ…それをたった一撃で!?」

 

「バリスタ弾用意出来ました!」

 

「移動式大砲への充填完了しました!」

 

「龍撃槍スタンバイOKです!」

 

「各隊員の配置完了!」

 

「よしわかった!

全隊員に告ぐ!

相手はかの悪名高き黒闘竜!

殺しても構わん!全力で打ちのめせ!」

 

「「「「はっ!」」」」

 

うぇい、殺気立ってるねぇ…。

そんな目でみられたら…跡形も無く吹き飛ばしたくなるじゃ無いか。

 

「バリスタ弾による弾幕を張れ!

大砲隊は定位置に誘い込まれたターゲットを撃て!

龍撃槍部隊は一斉射撃が出来る定位置に誘い込まれるまで、バリスタ隊の弾の補充をしろ!」

 

ガシュシュシュン!

 

…うわっ!バリスタ弾の雨だよこれ。

空が見えねぇじゃん。黒一色じゃん。

 

ま、だから何だって話だが。

 

先程の一撃で、雷撃粘菌がどれだけのパワーを秘めているかが大体わかった。

もう欠陥電気じゃ無いな。下手するとお姉様レベルじゃねぇの?こんな程度の弾幕なら、カウンターも掛けれるだろ。

 

増やした雷撃粘菌核の電力を全て角へかき集める。

角の特性を活かし電磁バリアの準備を始める。

 

…おぉめっちゃ降ってきた。

解☆放☆!

 

ドゥゥゥゥンンン!!

 

あっつ!電磁熱ってやつか!?

ダメージが入った訳では無いけど、結構熱い。

だけどもまぁ凄いな、これ。

 

前までは徹甲榴弾なんかは防げない程度の代物だったのに、今やバリスタ弾を全て止めている。

電気を解放し続ける事が出来るので、電磁バリアに囚われたバリスタ弾がそのまま宙に浮き続けていた。

 

「やったか!?」

 

「…クソッ!土煙が邪魔で見えない!」

 

このままバリアを解くのも面白く無いな…。

うし、いっちょぶちかますか。

 

角のバッテリーに電気を貯めていく。

バリスタ弾の雨が少し途切れた所を見計らって、角を思いっきり地面に叩きつける。

 

衝撃により、電磁バリアを突き破って膨大な電力が放出された。

それまでの蒼い雷撃では無く、紫の閃光が宙に浮くバリスタ弾に命中する。

その途端、バリスタ弾が紫電を纏って一斉に飛び出した。

 

飛び出したバリスタ弾は観客席に向かっていき、轟音を立てて次々と突き刺さって行く。

 

「うわぁぁああ!?」

 

「グフッ!?」

 

「お、おい、ジョン!お前、その槍…。」

 

「…クソッ…ダメだ…腹に刺さった。俺はもう…助からん…。」

 

「な、何言ってんだよジョン!お前小麦肌ギャルの飛びっきり美人と付き合ってやるって言ってただろ!?こんな所で死ぬな!」

 

「ハハッ…その願い、俺にはもう叶えられそうにねぇ…。

なぁジョニー。俺の願い、引き継いでくれるか…?」

 

「あぁ、勿論だとも!」

 

「そうか…そうか…。これで…心置き無くあの世に行ける。ありがとうな、ジョニー。」

 

「おい、何言ってんだよジョン!」

 

「せめて最後くらい…ピチピチギャルのおっぱいに埋もれて死にたかったぜ…。」

 

「おいジョン!ジョン!…ジョーーン!

…クソッ!よくも俺の同士を!

これでもくらえ!」

 

ドドゥン!

 

ん?今度は大砲の一斉射撃か?

なんか芸の無い奴らだな。弾幕だけじゃ俺は倒れないっての。

…でも、流石に大砲の弾はバリアで防げないな…。

 

んー…食べるか。

丁度腹も減ったし。

爆薬とか結構美味いんじゃ無いの?

 

飛んできた砲弾を次々に受け止める。

受け止めると言っても、正確には受け流すが正しい。

四方八方から飛んできた砲弾を上に受け流し、上空に大量の砲弾を浮かべる。

勿論爆発なんてさせない。

 

で、重力に従って落ちてきた砲弾を口でキャッチし、モキュモキュする。

 

…うん、噛む度に次々と口の中で爆発する。

だけど俺にとっては少し強い炭酸みたいなもんだ。

砲弾も砲弾で龍撃槍よか美味しい。

敢えて言うなら新種のチョコ○ールだなこれ。

 

「砲弾を…食ってる…!?」

 

「嘘だろ…奴は一体何なんだ…!?」

 

「…一斉射撃止め!

バリスタ隊はランダムに射撃を開始!

大砲隊は狙いが付き次第砲撃を始めろ!

奴に一斉射撃は危険だ!打ち返された流れ弾に気を付けろ!」

 

うぇっ!面倒臭!

そんな事されたら殴り返すとか出来ないじゃん。

ここはさっさと作った脱出口から退散…。

 

出来ないじゃん。いつの間に準備したし。

 

…うわぁ…。確実に蜂の巣だなアレ。

龍撃槍にバリスタ台に大砲に拘束弾っぽいのまであるよ…。

この弾幕の中さっきのチャージ攻撃は出来そうに無いし…。

軽く詰んでるなぁ、これ。

 

だったら新しい逃げ道作ってやろうじゃないの。

 

火薬は美味しいかったけど、砲弾はイマイチだったのでまだ飲み込んでいない。

今回はこの砲弾を使って脱出経路を確保したいと思いまーす。

 

たゆまなく降ってくる弾幕を蹴散らしながら、砲弾の残骸をひたすらモキュモキュする。

ガリゴリからザリザリと。

ザリザリからサラサラと。

そこから更に激しく噛みまくるとなんかめちゃめちゃ熱くなってくる。

つまり、お口の中に簡易溶岩の出来上がりである。

 

このドロドロとした溶岩を、丸っぽく纏めて暫く冷やす。

勿論口の中で。

汚い?なんとでも言え。そもそも粘菌と共生してる時点で色々と汚いわ。

 

十分冷えた所で、訳わかめな程増やした雷撃粘菌核を大量に移植します。

粘菌核が発電を開始し、お口の中が弾けるシゲキックスと化した所で吐き出してみましょう!

 

するとあら不思議!蒼黒いボール状の何かが、周囲の瓦礫を引き込みつつ、宙に浮いたではありませんか!

 

…え?

 

「な、なんだアレは!」

 

「おい、射撃を止めろ!アレに引き込まれる!」

 

「何なんだよ…何なんだよあの生き物は!」

 

ちょ、ちょい待ち。

俺はこんなん作ろうとは思って無いぞ?

精々帯電した鉄球程度と考えてたのに、なんぞこれ。

地面に落ちた弾を殴れば爆発するんじゃ無いかと考えて作ったのに、なんかもう別物だわ。

完璧に雷極龍のアレだよね?

どーすんのコレ。

 

…ま、いっか。

取り敢えずやってみよう。物は試しだ。

なんか知らんが弾幕が止んだので、チャージも出来るしね。

 

そんなに時間も無さそうなので、右腕に全力チャージ。

僅か数秒足らずで完了したそれを保ちつつ、なんか蒼黒いボールの上にまでジャンプ。

 

 

 

…あ…これ…アレが出来る…。

 

 

 

これは…やるしか無いよね?

被害なんて元々知ったこっちゃ無いが、なんかこう…見た事のある景色になりそうで怖い。

 

原作でもかなりの猛威を振るっていた例のアレ。

原作第一話にして道路に地割れを作り、軽自動車を爆発させた上に何回転もさせ、その風圧と衝撃波でビルのガラスを何枚も御陀仏にした禁断の技。

ビリビリ中学生ことMisツンデレが行う必殺技。

コイン一枚でありとあらゆる物を吹き飛ばしてきた悪夢の技。

 

その名も…超電磁砲。

 

…被害総額がヤバい事になりそうだなぁ…。

まぁ、関係の無い話だが。

 

責めてもの慈悲だ。地面に打ち込む程度にしてやろう。

さぁ!恐れ慄くがいい!これぞ俺式超電磁砲!

 

「ガァァァァアア!!(蒼火轟雷砲!!)」

 

技名?気にすんな。適当だ。

 

ーーーッッッッッツツツォォォオオオ!!!!

 

閃光と轟音。

暫くの間それだけが満ちていた。

 

ソレが収まると、そこには地獄が広がっていた。

 

俺が軽はずみに打ったソレは、俺の予想を遥かに上回る結果を残した。

闘技場の床には底の見えない大穴が穿たれ、その範囲は闘技場の床全体に及んでいた。

辛うじて観客席のみが残ったが、その被害も甚大だった。

衝撃波と輻射熱の影響で、武器軍はその殆どが切り刻まれ出火していた。

 

そして俺はと言うと…。

 

「グァァァアア!?(お、落ちるぅぅぅう!?)」

 

自分で開けた穴に落ちると言う間抜けを晒していた。

…やっぱ調子に乗ってるとろくなこと無いな…。

今後反省しよう…。

 

それより…これ、どうすんの?

 

全く底に到着しないんですけど。

どんな威力してんだよレールガン…。

まぁ、何はともあれ脱出成功?

こんな深さまで人間がこれるとは思いにくいし…。

 

…まさか地球の裏側まで届いてるとか冗談みたいなオチじゃ無いよね?

うっわなんか物凄く不安になってきた。

 

パズー。今行くよー。降ってくるのは女の子じゃ無くてゴッツゴツの竜だけどね!





ブラキさんが大穴の中にログアウトしました。

ブラキさんの雷撃粘菌が超強化されたよ、やったね!
あと調子に乗ってると痛い目にあう事も分かったよ、やったね!

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