んぁ〜…。よく寝た…。
…さて、続きを始めるか…。
…ん?なんか部品に緑色の何かが…?
…まぁいいか…。動作不良が起きた時に改めて直していこう…。
部品のさび落としが終わったので、配線をすると同時にピックアップも作っていこうと思う。
ピックアップはエレキギターの心臓部。
丁寧に作っていかないといけない。
…気力が持たんのでハムバッキングでは無く、シングルコイルにしようと思う。
まずはピックアップの型を作っていく。
コイル部分とケースの部分を、部分ごとに切り分けていく。
弦は全部で6本なので、コイル部分を6個、6個穴を開けたプレートを二枚、配線の部分を作っていく。
俺の甲殻の腕の部分を切り抜き、それぞれのパーツごとに形を揃える。
腕にした理由?頑丈そうだったからだ。
音に関する部分だし、歪みは少ない方がいいしね。
…今更だけど、前世の俺は何をしてたんだ…。
一応経験があるから作れてるし、感謝はしてるんだけどさぁ…。
前世の俺ェ…。
よくわからんと言う人に説明すると、ピックアップがマイク。アンプが増幅機。スピーカーが音を出す所だ。
普通のギターは空洞に音を反響させ、音を増幅して出しているが、エレキギターはそれに電気を使う。
つまり、空洞=ピックアップ、アンプ、スピーカー、の三種類と言う訳だ。
ピックアップは端的に言ってしまえばマイク。弦の一本一本に対応していて、弦の震えを電気信号に変える。
アンプとスピーカーは同じでは無い。
アンプは増幅機。ピックアップと言う小さなマイクでは、電気信号が小さ過ぎて音が出ない。
そこでアンプと言う機械を使い、信号を増幅させるのだ。
そしてスピーカー。
電気信号を音に変えて放出する。
…と言う訳で、ピックアップがエレキギターの心臓部になる。
なんせ音を拾う所だからね。
…あ、磁石が無い…。
…しまった…。
一応鉄の棒を刺すだけでもいいんだけど…。ここはこだわりたいなぁ…。
…ここは後回しにして、アンプとスピーカー、ピックアップの配線をするか…。
ひとまず、部品を組み立てていく。
オルゴールに使われていた再生機と回転機は必要無いので、この際無視する。
スピーカーを起動…まぁ、この変な台座に乗せるだけだけどね。
その台座の後ろに通信兼電源を置く。
触った時にバチバチするから勝手にそう呼んでるだけだ。
…未だに使い方がよくわからんけど…。
…ん?…んん?
なんだ…?球を触った瞬間に爪が青くなった?
今まで普通の色だったよな…。一体なんだ?
…これって…粘菌か?
取り敢えず、確信が持てないので、爆破粘菌を使うように意識してみる。
…スッ。
…緑に変わった…。
と言う事は…。
実験のため、そこら辺に転がっている小石を拾い、粘菌を浸食させてみる。
…ジワッ。
…やっぱり…。
つまり俺は人型でも粘菌が使えるのか…。
もう必要無い小石をそこら辺に捨てる。
…あ、粘菌くっつけたままだった…。
ドムッ!
…うん。やっぱ危ないわ、これ。
だとすると…さっきの青い粘菌は新しい粘菌か?
電気に反応したみたいだから、電気関係かな?
さっそく青い粘菌を使って、鉄鉱石に粘菌を浸食させる。
んで、そこら辺に転がしてみる。
…バチ…バチ…ドムンッ!
うん、確定。
あの時、大量のフルフルを食ったのが原因だな。
…粘菌の進化力が怖い…。
これを使えば磁石を作れそうだな。
…良かった…これで滞りなく作業が進むぜ。
っと続き続き。
アンプもスピーカーと同様に通信機をつける。
これで配線は完了。
後はピックアップを完成させて動かすだけだ。
鉄鉱石を叩いて錬鉄し、純度の高い鉱石を作る。
この鉱石を、円柱状に削り出し電気を当てて磁石にする。
これを6回繰り返す。
次に、甲殻を削って作ったコイルパーツに、鉄鉱石を糸状にした物を巻きつける。
弾力を持たせるため、角の先の部分を砕いて混ぜ込んだ。
…若干緑になったけど、電気はしっかり流れるみたいだ。
作り方は、小鍋に小さな穴を開け、そこに真っ赤になった合金を流し込むだけだ。
固まったら、ほぐしていけば完成である。
これを、少なくとも一万回転以上均等に巻いていく。
コイルパーツにコイルを巻いた物の中心に磁石を入れる。
これでピックアップの完成だ。
…繋ぎ方がわからなかったので、コイルの端を球にくっつけ…。
…。
…同化したし…。
一応、触れながら引き抜けば抜けるからいいか…。
まだ一個しか作っていないピックアップの上に、間に合わせの弦を張る。
これで音が鳴れば成功なんだけど…。
ピンッ………。
…やっぱり鳴らないか…。
機械に問題が無いとすれば、この通信機が原因だな。
…一体どうやって繋げるんだろう…。
ー10分後ー
わかった。
信号が送られる順に、球をぶつければいいんだ。
…わかり易いけど、わかり易いんだけどさぁ…。
ぶつけるって…。
一度ぶつければ後は放って置いていい。
しっかりと音も鳴りました。
…これから全てのピックアップを作って、調整せにゃならんが…。
…あー、面倒クセェ…。
ーーーーーーーー
取り敢えず、三日かけて調整した。
ピックアップの音を揃える方法が、コイルを巻くしか無かったのだ。
…うん、メッチャ疲れた。
次はフレームを作っていく。
ここは今までの工程より、遥かに楽だ。
<ヤットデバンガ!
楽だからサクッとかたずけますか…。
<ナ、ナンデストォ?
フレーム作りはギターの肝だ。
これのデザインで全体の印象が決まる。
素材は良いし、磨いて色々と処理を施せば中々に良いものになるんじゃ無いか?
切り抜く所は、背中、尻尾、尻尾の先だ。
背中の甲殻に一際目立つ大きな甲殻があったので、これをボディの形に加工する。
荒く削り出したら、ナイフで余分な所を削っていく。
で、完成。
尻尾の部分を使い、ネックを作っていく。
弦を押さえる基準となる箇所を、余った腕の部分で作る。
どうせなので、カラーリングに気を使い、ヘッドの部分を粘菌を使って装飾する。…勿論赤で。
…あれ?装飾に使った途端、緑色になった…。
まぁ、色的におかしくは無いからいいか…。
最後に、取っておいた大地の結晶で磨いていく。
…ニスや油はいらないかな…?
うん、これで十分だな。
そしてピックアップを嵌め込み、特殊合金でできた弦を張って完成だ。
弦の作り方はコイルとほぼ同じだが、コイルより含有量を増やしたため、綺麗な緑色である。
その他の細々としたやつは甲殻で作りました。
これでギターの完成。
次はアンプだ。
アンプは…簡単かな?
棍棒のような尻尾の先を使い、スピーカーを作る。
抜け殻なので、中は見事に空洞。
全体を磨き上げ、球体のスピーカーが収まるよう、尻尾の先の窪みに穴を開ける。
ここにスピーカーとアンプを付ければ完成。
配線を気にする必要が無いので、固定する器具と蓋だけ作ればよかった。
これでアンプの完成。
ピックはヒレから作りました。
…長かった…。
遂に、遂にエレキギターが完成した!
さーて、さっそく弾いてみっようかなー♪
スイッチは無いが、電撃を叩き込めば勝手に動き出す。
切る時はもう一回電撃を流せばいい。
…さあ、イッツショータイム!
作者はギターをやっておりません。
何か矛盾していると言う物があっても、暖かい目で見守って下されば幸いです…。