…ただいま潜伏中…。
…危なかった。
この穴に入った途端、ハンターが来るなんて…。
「そっちに行ったぞ!」
「おうよ!さぁこい!仕留めてやる!」
どうも俺を追いかけて来た訳ではなさそうだけど。
…困ったなぁ…。
このままここに居てもいいんだけど、これを放っておいたら仕留められそうになっているモンスターを救えないんだよなー。
と言うか、救わないといけないと言うか…。
だって…。
「ゴァァァァアアア!!(クソッ!このままやられてたまるかよ!」
喋ってるし。
喋っている奴から情報を貰いたい俺としては、これはかなりラッキーだ。
そうと決まれば、さっさと助けますかね。
とりあえず、空気粘菌モードを解除。
久しぶりの爆破粘菌モードへ。
シュゥゥウウ…。
ん、爆破粘菌モードでも問題無いみたいだな。
この氷海は湿気が殆ど無い。
とはいえ普通ならバテているはずだ。
やっぱ水耐性が上がっているのかな?
それに、昨日走っていてわかった狂走エキスの弱点が、逆に有利に働いてこの氷海でも寒さに凍えずにすむ。
なんでかって?
後で説明するから。…多分。
このまま穴から飛び出してもいいが、この体色の利点を殺すのは勿体無い。
と言うわけで、天井を走って交戦している所へ向かいます。
この薄暗い洞窟の中で、黒い身体は保護色になる。
天井を移動していれば尚更だ。
おっと、見えて来たな。
って、洞窟の中じゃ無いのかよ…。
ここは…エリア3辺りか?
俺はその入り口辺りにいるのか。
なんにしても奇襲にはうってつけの場所だな。
襲われてんのはティガレックスか…。
ハンターは二人。
ここで交戦を開始している所から考えて、他のハンターはいないだろう。
武器はガンランスと弓か…。
特徴的な青と黄色の配色と、相手がティガレックスであることを考えるとジンオウガの武器の可能性が高い。
防具は正直わからん。
「グルルルル…。(クソッ!)」
「おい、逃げたぞ!」
「大丈夫だ。ペイントビンくっつけといたからすぐに場所は割れるだろ。」
「おぉ!やるな!」
…今だ!
思いっきり地面(天井)を蹴りつつ、半回転のひねりを加え、右腕を振りかぶり、ハンターの手前に振り下ろす!
「ゴァァァァアアア!」
「な、なんだ!?」
「おい!避けろ!」
ズダンッ!
「あ、危ねえ…。」
「一体なんなんだ?」
へぇ、レイ…なんとかさんよりは鈍いけどいい反応じゃん。
だけど…。
ドゴォォォン!
粘菌爆破を忘れちゃいけないぜ?お二人さん?
「ぐぁぁあ!?」
「ぬお!」
お、一人ガンランスで防いだか。
「おい!大丈夫か!?」
「あぁ、なんとかな。
それより、こいつどうすんだよ!発見されてない新モンスなら勝ち目無いぞ!」
「いや…多分こいつブラキディオスだ。
体色が少しおかしいが、それ以外はほぼ同じだ。」
「はぁ?ブラキディオスが洞窟の天井から襲いかかって来るなんて、聞いたことねぇぞ!形が同じなだけの新モンスじゃねえのか?」
「亜種なんじゃ無いか?ほら、体色も違うし。」
「…おぉ、マジか。」
「なぁ、一つ提案なんだがこいつ倒さないか?」
「…?なんでだ?」
「いや、こいつの身体を持ち帰って、ギルドに報告すりゃあちょっとした財産に化けると思うんだが。」
「…お前、頭いいな!ティガレックスならもう瀕死だし、当分ここには来ねぇだろ。亜種くらいなら、俺たちでもいけそうじゃ無いか?」
「あぁ、俺もそう思って言ったんだ。
…やるか?」
「勿論!」
あー、これ、俺を倒そうとしてる感じか?
…レイ…なんとかさんは、こういう時なら手を出しても大丈夫だって言ってたな…。
でも殺す気無いんだよなー。
後後面倒そうだし。
…必殺技使わずに回復薬を削る感じで行くか。
今は一番攻撃力の高い爆破粘菌だ。
あの溜め攻撃使ったら、ここら一帯吹っ飛ばすかもしれないし…。
…自分で言っといてなんだけど、超怖いな。
あ、ついでに粘菌使わないよう休止させておこう。
間違って殺しそうだ。
…そうだ。
攻撃する時は全部正拳突きで行こう。
せっかく亜種と勘違いしてくれているんだ。
パターンの変化程度の脅威だと思わせれば、弱い奴らしか来ないかもしれない。
さて、始めるか!
「グルルルル…。」
「来るぞ!ブラキにこの武器は分が悪い!俺が囮をする!後ろから援護してくれ!」
「おうよ!任せとけ!」
…このまま弓を狙ってもいいけど、それはしません。
あんまし脅威として見られたく無いし。
まずは…正拳三連突き!
「グル!」
ドガガガ!
「んな!?くそ!」
おー、吹っ飛んだ。
ガードし切れなかったか?
「おい!大丈夫か!?クソッ!これでもくらえ!」
ん?次は弓か…。
あれ?…遅い!
弓遅い!
この程度なら、殴り返せるんじゃ無いか?
…連射、数は4か。
ならアッパーで!
「グルル!」
ブン!
バキャキャ!
「はぁ⁉︎殴り返して来やがった!」
「ぬお!クソッ!」
「すまねぇ!大丈夫か!?」
「あぁ、なんとかな…。それよりなんなんだこいつは!?隙が無さ過ぎる!」
「いや、奴の後ろはガラ空きだ。今度は俺が囮になる!お前は後ろからデカイのかましてやれ!」
「あぁ、わかった!」
…調子に乗って弓を殴り返したけど、これ以上やるとヤバイな…。
脅威として見られそう…。
手遅れだって?うん、俺もそう思う。
…それよりも問題なのは、俺は粘菌を活性化すらさせていないと言うことだ。
正拳突き縛りに粘菌縛り。
ここまでやってこの人達と互角…。
レイ…なんとかさん?
あの人は別格だろ。俺の突進を互角に持ち込んでたし。
おっと、来るな。
「連射はダメでも、貫通ならどうだ!」
あー、これは殴り返せそうに無いな…。
まぁ、普通に避ければいいんだけど。
「グル。」
ヒョイ!
「クソッ!やっぱりか…。なら!」
オウフ…。
矢を持って特攻かけてきたよ…。
「ハァァァアアア!」
てい!
「グル!」
ドカッ!
「グァッ!」
…何がしたかったんだ?
斬りかかると思いきや、矢と弓を両手で持ってガードしてたし。
まるで、自分から殴られに来たような…。
…まさか!?
「今だ!ぶっ放せ!」
「おうよ!くらいな!竜撃砲!」
うわ!?いつの間に後ろに!?
…なーんちゃって。
この程度、前世でよく体験してるからな。対処なんて楽勝だ。
直ぐに足の粘菌にエネルギーを送る。
そして、足元の爆発とともに、バック転をする。
「んなぁ!?」
「マジか!?」
…後ろが、ガラ空きだぜ?
ゴッ!
「グァッ!」
「おい!大丈夫か!?…クソッ!強過ぎる!リタイアするぞ!ネコタク!」
ボコボコ!
「にゃにゃ!」
「こいつを載せて離脱する!早くしてくれ!」
「にゃにゃ!了解!」
おー、退散したか。
なんかやり過ぎた感が否めないけど、良しとするか…。
あのティガレックスに話を聞きに行くか。
ちゃんと話せる人(?)だといいなぁ…。
わかりにくい描写ですいません…。
これから精進します…。