銀翼の鴉と黒の剣士   作:春華

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お久しぶりです

相変わらず更新遅くてすみません

saoとawも劇場版なり続編製作決定なりと楽しみです

abecさんの画集買わなきゃ(使命感)


第二十八話:即席の共闘

「じゃあ、作戦通りに」

 

「了解、気を付けてな~」

 

 

奴と戦うと決めた俺は、先程まで話していたアバターと共闘することを提案した。

快く頷いた彼女が出した策は、俺が動き回り相手を撹乱している内に、遠距離から彼女のビームを当てるという簡単なモノだ。

 

 

その提案にのった俺は瓦礫の山を走り回っているのだが、これはこれできつい。

瓦礫の山は足場が不安定なため、ある程度意識を割かなくてはいけないのだ。

 

 

「来たな…っ!」

 

 

短く吐き捨てながら瓦礫を強く蹴る。

その瞬間、先程まで俺がいたところを例の黒いビームが通りすぎた。

 

比較的平らな瓦礫に着地しながら、あの攻撃の威力に冷や汗を流す。

 

 

「当たればマジで洒落にならないぞあれ…」

 

 

 

視線をずらせばマゼンタ色のアバターがこちらに親指を向けているのが見えた。

無事に攻撃位置に辿り着けたようだ。

 

サムズアップに頷きで返した俺は、手頃な瓦礫を掴むと敵に向かって投げつける。

もちろん瓦礫なんかでダメージを与えられるわけではないが、狙いは別にある。

 

 

「…いくぞ…っ!」

 

 

自身を鼓舞しながら真っ直ぐ駆け出す。

 

案の定俺に向かって腕を付き出してきた相手に、俺は内心笑みを浮かべる。

勝負はこの一瞬、奴の意識が俺に向いた時だ。

 

 

その腕から例の黒いビームが発射されるまさにその時、黒とは違う、紫色のビームが奴の腕を貫いた。

 

 

 

ーー作戦通り!!

 

 

 

片腕が破壊され、バランスを崩した相手はこれ以上なく隙だらけだ。

俺は必殺技のモーションを取りながら、相手との距離を詰める。

 

 

仮にビームが当たらなかったことも考えて、俺は先程の作戦に二人で交互に仕掛けるという提案をしていた。

 

相手がバランスを崩したところを俺が攻撃して倒す。

とても単純だ。

 

 

ライトエフェクトに包まれた剣を振りかぶり、必殺技を発動させる。

近づいてくる俺を迎撃しようと相手が破壊されていない腕を振りかぶるが、俺の方が早い。

 

 

「《バーチカル・アーク》!!」

 

 

アインクラッドで片手剣二連撃ソードスキルとして存在していたその剣技は、Vの文字を描くように相手の装甲を斬り裂いた。

 

 

手応えはあった。

 

 

普通のバーストリンカーなら今の攻撃を受けたら一度大きく距離をとり、体勢を立て直そうとするだろう。

だから俺はそれを見越して再び必殺技を発動させようと試みる。

 

バーチカル・アークで振り上げられた腕を流れに逆らわないように肩に担ぐ。

すると俺の剣はライトグリーンの光に包まれた。

 

《ソニック・リープ》

 

相手との距離を一気に詰めながら斬りかかるソードスキルで、アインクラッドでも度々その力を発揮してくれた剣技だ。

 

 

 

「《ソニック・リープ》……っ!!」

 

 

ボイスコマンドを聞き入れたシステムが俺の背中を押す。

ところが相手は俺の予想に反してその場で踏みとどまり、残っている左腕に黒いオーラを集束させている。

 

 

ーー逆の腕で必殺技を放つ気か!!

 

 

別段不可能なことではない。

しかしこの距離ならビームを撃たれる前に俺の剣が相手の装甲を斬り裂くだろう。

 

相手の腕に気を取られてしまったからか、自然と意識が加速し回りの景色がゆっくりと見え始めてきた。

 

 

 

 

 

「《ダーク・ブロウ》」

 

 

あと少しで俺の剣が相手を斬り裂き始めようとした瞬間、目の前のアバターから機械的な声が聞こえた。

 

必殺技の名前だろうか。

いつの間にか剣ごと消し飛んだ右腕(・・・・・・・)を眺めながら、俺はそんなことを考えていた。

 

 

「ーーーーーっ!!」

 

 

遅れて訪れた激痛に叫びそうになりながら必死に距離をとる。

またあの攻撃を受けるわけにはいかない。

少し離れた場所で膝を付きながら相手を睨み付ける。

無制限中立フィールドでの痛みは通常フィールドの比ではない。

 

アンダーワールドでの戦いで再確認したが、今もまた思い知らされる。

桐ヶ谷和人は直接的な痛みに弱い。

攻撃を受けるならまだしも、腕が吹っ飛ぶという経験の無い痛みに俺は思わず逃げてしまった。

 

 

荒い息を整えている俺のことは眼中に無くなったのか、敵は左腕を別の方向へ向けると、黒いビームを放つ。

 

方向は俺と別れて遠くから狙撃していた彼女のいる方向。

彼女はやられた俺に気をとられて気づいていない。

 

 

 

「危ない!!」

 

 

しかしその声が届く前に黒いビームは彼女の足元に衝突し、爆発を起こす。

悲鳴を上げるまもなく爆発に巻き込まれた彼女はそのまま崩れ落ちる瓦礫の下に消えていった。

 

 

「ぁ…」

 

 

ブレイン・バーストはソードアート・オンラインとは違いHPが0になっても死ぬわけではない。

…だが、少しの間話しただけでも共に戦ってくれた仲間の危機に俺はなにもできなかった。

 

 

…俺は何度こんな間違いを犯さなければならないのか。

 

 

左手の剣を握りしめながら俺は眼前の敵を睨む。

 

 

残る相手は俺とばかりに先程と同じように左腕を黒いオーラに包んだ敵はこちらに歩いてくる。

 

 

「そりゃそうだよな……」

 

 

自嘲気味に呟きながら立ち上がった俺は無くなった右腕を見て思考を走らせる。

 

先の黒いビームといい奴の攻撃はなんの抵抗感もなくこちらを襲ってきた。

普通攻撃と攻撃がぶつかれば少しはぶつかりあった衝撃があっても良いはずなのにだ。

 

 

そう、かつて戦ったファナティオ・シンセシス・ツーとの戦いであっても、彼女の放った光は夜空の剣で防ぐことができたのだ。

 

奴の攻撃とファナティオの攻撃には何が違うのか。

 

この世界がゲームという形を取っている以上、何らかの仕組みでアレが発動しているのは確かだ。

 

 

「…ん?」

 

 

《この世界はゲームであって遊びではない》

 

茅場が遺した言葉がふと頭をよぎった。

それと同時に幾つかのピースが俺のなかで浮かび上がる。

 

あの黒いオーラを見たときに感じた何か

全てを否定するような、そんな漠然とした感じに俺は何か感じるものがあった。

 

確証はない。

 

しかし、アンダーワールドで似たようなことを経験した覚えがある。

 

あの世界は良いこともあったが、同時に辛いことも沢山あった。

正直、まだ引きずっていないかと言われれば否だ。

 

 

思い出せ

 

 

あそこでの戦いを

 

 

秘奥義、武装完全支配術、神聖術、そして心意。

あの世界の中で、数多くの奇跡を生み出したソレを思い描く。

 

降り下ろされる拳に対して、俺は吹き飛ばされた右腕を突きだした。

 

 

 

 

 

「……ぐっ」

 

 

ガッ!という音と共に訪れた衝撃に思わず声が漏れる。

黒いオーラに包まれた拳は俺に届かず、何かに阻まれるように止まっていた。

 

いや、実際は阻まれているのだ。

 

 

ベルクーリ・シンセシス・ワンなどの心意の使い手が使う奥義、確固たる意思を練り上げ相手の攻撃を押し退け、切り捨てる不可視の一撃。

あの世界で何百年も生きた彼のような洗練された一撃は放てない、それを再現するにはそれこそ何百年の月日が必要だ。

 

しかし、それでもやらなければならない。

そうでなくては俺がここでやられるだけだからだ。

 

 

 

「《心意の…刃》!!」

 

 

 

刃を維持するために、あの一撃に追い付くために、俺はその名前を口にした。

 




ベルクーリの言い方からして心意の刃と心意の太刀の二つあるのかな?

刃の方が弱そうだからとりあえずそっちに

aw原作で心意の第三段階?は相手の位置を指定して攻撃できるようになるとかっていうの友達から聞いたんすけどなにそれヤバそう
早く読まなきゃ


それではまた次回…

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