銀翼の鴉と黒の剣士   作:春華

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キリト君対姫です

何故かハルユキより執筆作業に力が入る分、疲れました(;´・ω・)

では、どうぞ!


第二十一話:漆黒の剣舞

「はぁっ!!」

 

目の前のアバター≪ブラック・ロータス≫は、四肢が剣の形になっている完全近接アバターだ。

つまり、このデュエルは俺がSAOやALOで経験した対人戦闘という経験が生きてくる。

相手の挙動を先読みし、如何に一撃を与えるか。

その一瞬が命取りになるし、勝機にもなる。

彼女が加速世界でどのように戦ってきたかはわからないが、こちらは命を賭けた戦いを何度も潜り抜けてきたのだ。

 

VR空間でのダイブ経験時間は彼女の方が上なら、こちらはVR空間での死合いの経験時間が上だ。

 

 

こちらに向かって振り下ろされた右腕の剣に、右手のカゲミツを振るう。

 

 

「…づっ……!!」

 

 

激しいスパークが俺たちの間で起きる。

カゲミツは黒雪姫のアバターの剣を切り裂き、ダメージを与えるのではなく、その場で彼女の剣と鬩ぎあっていた。

その光景を見ながら、俺は頭を高速で回転させて今の状況を推測する。

 

GGOにて、カゲミツのエネルギー刃を破ったのはデス・ガン―――【Sterben】こと【赤眼のザザ】が≪銃剣作製≫スキルで作り出した≪宇宙戦艦の装甲≫を使ったエストックただ一つ。

アレに対してカゲミツはそれ以外の…シノンのへカートのライフル弾さえも断ち切った刃は、刀身の一部を黒く焦がしただけで、そのエストックを断ち切ることはできなかった。

 

 

加速世界でも同様だ。

≪アッシュ・ローラー≫のバイクはあっさりと斬った。

それ以外のアバター…長距離アバターの実弾も斬ったし、光線に関しては、その刃と接触させて軌道を曲げたりすることにも成功している。

アバターを斬った際は、普通にダメージを与えていた。

光線系に耐性を持つ相手には威力は下がり、逆の相手には効果的なダメージも与えたのだ。

 

 

つまり、彼女の剣は≪ザザ≫のエストックよりは固くないが、カゲミツでは斬ることができない…というところだろうか。

 

そう考えた後、黒雪姫の体力ゲージに視線を向ける。

刃が接触しているなら、ダメージを受けている筈なのだが―――

 

 

「戦闘中に考え事とは…随分と余裕じゃないか…っ!!」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、鍔迫り合いを続けていたカゲミツの刃から、黒い刃が少しづつ現れるのが見えた。

 

 

「―――っ!?」

 

 

咄嗟の反応で体を動かすも、彼女の刃は俺の左肩を掠め、その体力ゲージを削った。

続けて繰り出される左脚の斬り上げを紙一重で交わしながら、左腰のファイブセブンを抜き放ち、引き金を引いた。

乾いた音を立てながら放たれた弾丸は、練習の甲斐もあって真っ直ぐ飛んでいくが、彼女の刃に阻まれる。

元々牽制用の攻撃だったため、その間に俺はバックステップを取って彼女から距離を取った。

 

そこで彼女の体力ゲージを再び見やる。

僅か数ドットではあるが、彼女の体力ゲージは削れている。

つまり、カゲミツとの接触によるダメージは発生したが、彼女の剣の力が、カゲミツを上回った。ということであっているだろう。

 

 

「そんな玩具で私を止められると思ったのか?私の二つ名、知らないわけではあるまい?」

 

 

「……絶対切断(ワールド・エンド)…」

 

それがブラック・ロータスの二つ名だ。

彼女の攻撃を完全に防いだのは、緑の王など、数えるくらいしかいないらしい。

 

「そうだ。この剣は終結之剣(ターミネート・ソード)というアビリティが常時発動されていてな。地形も切断することができるぞ。生半可な防御は、抜かれると思え!!」

 

ブラック・ロータスはそう言うと、ホバー移動しながらこちらに向かってくる。

 

カゲミツでのパリィは難しい。なら………

 

 

「チェンジ・コール!≪黒の妖精≫!」

 

 

その言葉を発した瞬間、俺のアバターが光に包まれ、その姿を変える。

髪はツンツンと逆立ち、背中に一つの重みが生まれる。

ALOで…アスナを助ける時に使用していた、スプリガンのアバターの姿になった俺は、ブラック・ロータスを見据えながら、背中に手を伸ばすと、両手でそれを掴み、振り下ろされた剣を斬り払う。

 

今、俺の手にあるのはカゲミツではなく、黒い大剣。

 

正式な名前はわからないが、≪あちらのリーファ≫曰く、巨人型のプレイヤーが扱う剣らしい。

エネルギー刃が駄目なら、純粋に普通の剣を使えばいい。

 

体が開いたロータスの体に、そのまま右足で蹴りを叩き込む。

 

 

「………せぁっ!!」

 

一瞬怯んだ隙を見逃さず、俺はそのまま踏み込んで左から右に大剣を振るった。

 

「…ふっ!」

 

しかしその攻撃は、あまり手応えのない感触を俺に感じさせた。

黒雪姫の剣が、俺の大剣の進行方向に割り込み、俺の攻撃を受け流したのだ。

 

そのまま反対の剣でこちらに突き出された攻撃を、引き戻した大剣の腹で防ぐ。

剣を通して衝撃が伝わるが、その衝撃に逆らわずにバックステップ。

追撃を仕掛けてくるのを見据えながら、俺は彼女の視線に意識を集中させる。

 

━━左……いや、右か

 

高速でそう思考すると、案の定、ロータスの右の剣が突き出される。

 

 

「く………っ!!」

 

 

彼女の剣を見据えながら、俺は後ろに倒れ込む。

剣は俺の鼻先を掠め、代わりに空気を切り裂く。

 

後方に倒れる俺を見て、好機と見たロータスが左足の剣で斬りかかる。

しかし、それは俺がわざと見せた隙だ。

背中が床に叩きつけられる寸前、俺は右足を鋭く振り上げる。

 

「なっ……!」

 

ブーツのつま先に眩い輝きが生じたのを見た黒雪姫は息を呑む。

倒れ込みながらの必殺技なんて、普通は有り得ないだろう。

しかし、このアバターには存在する。

このアバターには、アインクラッドで俺が使っていたソードスキルが通常技や、必殺技として設定されている。

今回、俺が使ったのもそれだ。

 

«キリト»のレベル1必殺技、«弦月»。

またの名を«体術»スキル後方宙返り蹴り技、«弦月»。

 

 

狙うは彼女の左足。

蹴るように出された彼女の剣先に、ブーツのつま先を潜り込ませるように当てる。

いくら彼女の剣が強力であろうと、必殺技を防ぐことは難しいだろう。

 

「弦…月っ……!!」

 

短く吼え、まるですくい上げるように彼女の左足を蹴り上げる。

案の定バランスを崩した黒雪姫に、«弦月»のモーションで着地をしながら握り直した大剣で、斬りつける。

 

今度は充分な手応え。

ブラック・ロータスの体力ゲージが二割ほど削れるのを確認した俺は、返す刀で追撃をかける。

 

「お返し……だっ!!」

 

しかし、その攻撃は先ほどと同じように受け流され、そのまま顔面に強烈な回し蹴りを受けた。

 

 

「ぐぁっ…!」

 

剣の刃ではなく、刀身部分が当たったようで、頭が切り裂かれることは無かったが、かなり痛い。

体力ゲージも二割ほど削れ、俺と彼女の状態は、体力ゲージが削られた量だけ見れば俺が二割半、黒雪姫が二割と、彼女の方が有利、と言うところだ。

 

呻き声をあげながら吹き飛ばされるが、何とか体勢を立て直すと、再び地面を蹴って距離を取った。

 

 

 

「倒れ込みながらの必殺技とはな…全く予想していなかったよ」

 

そこで一度仕切り直すように、黒雪姫が声をかける。

 

「そっちも、態勢崩されて攻撃受けた割には、直ぐに反応してきやがって…。ほんとなら今ので逆転してた筈なんだぜ?」

 

吹き飛ばされたからか、ツンツンと逆立っていた状態から崩れてしまった髪を軽く振って整えた俺は黒雪姫にそう答える。

というか、崩れるなら最初からこんな感じに下りててもらったほうがいいのだが…と、こないだまでALOにいた時と同じ髪型になった俺は内心システムに毒づく。

 

しかし、彼女相手に剣一本はやはり無茶な選択だったようだ。

 

別に彼女の実力を甘く見ていたわけではない。

だが、二刀流というのはやはり、そうおいそれと使うものではないと俺が思っているのは確かである。

あれはヒースクリフ――茅場が、ラスボスである自分を倒すために用意した≪ユニークスキル≫だ。

だから、これは俺の我が儘だ。二刀流は、ヒースクリフとの戦いでしか使いたくない。

そのエゴイズムは、これから二刀流を使う時に、俺の頭の片隅に残り続けるのだろう。

勿論、必要な時はその力を使うことにためらいはない。

 

だから…今はそのエゴを振り払い、彼女に全力を見せよう。

 

大剣を地面に突き刺した俺はメニューを開き、いくつかの操作を開始する。

黒雪姫の眼が訝しげに細められるが、俺が何をするのかという好奇心のほうが強いのか、その動きは止まっている。

ロングコートは先ほどよりやや軽装なフォルムに変わり、背中に二本の剣を出現させた俺は、その二本を抜き放った。

 

片方は薄青い刃の片手剣。≪あちらのリズ≫に作って貰ったのと同じデザインの剣。

そしてもう片方は黄金に輝く剣≪聖剣エクスキャリバー≫。

 

「………ほう…」

 

その姿を見て、黒雪姫も感嘆の声を上げる。

エクスキャリバーは、存在していれば恐らくこの世界でも伝説級の武器になっていただろう。

しかし、どちらの剣も、アバター≪キリト≫の装備品扱いになっている。

勿論、システム的に補正も入っているため、エクスキャリバーの強さも抑えられてはいるが、それでも強力な剣だろう。

 

 

 

「それじゃあ…いくぜ!!」

 

 

そう言うと俺は滑空するように突っ込む。

ロータスが射程に入った瞬間に、俺はくるりと体を捻り、右手の剣を左下から叩き込む。

身構えていた彼女は、右足で左下からの一撃を受け止める。

だが、俺の攻撃は終わらない。右にコンマ1遅れて左の剣を突き出す。

かつてのアインクラッドで≪ダブルサーキュラー≫と名前がついていたそれを模倣した一撃は、ギリギリで右手を滑り込ませて軌道をずらした黒雪姫の頬を浅く斬りつけ、その体力ゲージを削った。

お返しに突き出された左腕を左のステップで交わした瞬間、彼女の左足で浅く足を斬られ、一瞬態勢が崩れる。

 

 

「≪デス・バイ・――――――≫」

 

 

―――必殺技っ!!

 

その隙を狙った黒雪姫の凛とした声が聞こえた俺は、二本の剣を構えて≪受け≫の態勢をとる。

必殺技のパリィは無理でも、威力を抑えることくらいはできる。

しかし、黒雪姫が上げたのはその右脚の剣。

 

その脚がぶれるように動くのを視認した俺は、必死に体をのけぞらせながら、左手の剣を前に突き出す。

必殺技ゲージが減ると同時に、俺の左手は目にも止まらぬ速さで閃き、風車のような回転を始めた。

 

「≪スピニングシールド≫ォ―――――ッ!!」

 

「≪バラージング≫!!」

 

 

瞬間、途轍もない衝撃が何度も俺の左手に襲い掛かった。

ソードスキル≪スピニングシールド≫は、剣を回して盾を作るソードスキルだ。

SAOでは、ダークリパルサーのインゴットを手に入れる時に遭遇したドラゴンのブレスを防いだりするのにも使ったりしていた。

≪キリト≫がレベル3で覚えた必殺技でもある。

レベルアップボーナスは無いが、必殺技は習得…もとい、俺にとっては使えるソードスキルが拡張されていくらしい。

動きを模倣できるとしても、システムアシストが必要な技も存在するので、こういった技が使えるようになるのはこちらとしても嬉しい。

 

ブラック・ロータスの足は信じられない動きで俺の左手に衝撃を与え続ける。

稀に防御を抜けたダメージが俺に襲い掛かり、体力ゲージをガリガリと削っていく。

 

 

「ぐっ!!」

 

スピニングシールドの発動が終えると同時に、向こうの必殺技も終了したらしい。

しかし、その衝撃は俺を吹き飛ばし、数回地面を転がった俺は、息を切らしながら膝を付き、ブラック・ロータスに視線を向けた。

 

 

必殺技を終えた彼女は、流麗な姿で此方を見ている。

残り体力ゲージは、俺が四割で、向こうは七割も残っている。

 

これが王の力……

加速世界に存在するレベル9の力なのか……

 

 

 

 

「………そうこなくっちゃ…」

 

 

人知れず呟き、再び剣を構えて立ち上がる。

そうだ。そうこなくっちゃ、面白くない。

 

「やはり立つか…」

 

そんな俺を見て、嬉しそうな声を上げる黒雪姫。

久しぶりにする純粋なデュエルに心が躍っているのだろう。

 

「まだ勝負はついてないから………なっ!!」

 

ニヤリと笑いながらそう返し、再び突っ込む。

再び激突する剣と剣。

こちらの攻撃に、黒雪姫は電光のような反応速度でついてくる。

互いに小攻撃が弱ヒットし、体力ゲージをじわじわと削っていく。

 

このままでは、体力が少ない俺が負けるだろう。

ゲージは既に三割を切り、黒雪姫は六割といったところだ。

その状態を――――

 

 

「≪クリムゾン・――――――≫」

 

 

ソードスキルではない、≪キリト≫自身の必殺技で巻き返す!!

 

 

「≪スプラッシュ≫―――ッ!!」

 

血の色のように赤く染まった二本の剣を、交互に三回突き出す。

三回目を突き出した瞬間に、右手の剣が跳ね上がるように、上に斬り上げる。

斬り上げた右の剣を右肩辺りに持ってきて、突き出す。

左の剣で薙ぎ払うように水平斬りをして、その勢いのまま周り二本の剣を突き出し、上下に斬り払うようにしてフィニッシュだ。

 

計8連撃の重攻撃技は、黒雪姫のガードを幾つか抜き、その体力をガクンと削る。

彼女のアバターは四本の剣が強力な分、耐久力が低いのだ。

 

これで残り三割まで追い込んだ。

必殺技の硬直から逃れ、距離を取ろうとした瞬間。

 

 

「≪デス・バイ・ピア―シング≫!!」

 

 

お返しだと言わんばかりの必殺技が、俺の左腕を肩から吹き飛ばした。

あそこで距離を取ろうとしていなかったら、恐らくこれでは済まなかっただろう。

体力は一割を切り、左腕は無いため、二刀流の必殺技は放てない。

 

 

「≪スター・Q・プロミネンス≫!!」

 

だが、この腕にはまだ、剣がある。

今の攻撃によって使用量分溜まった必殺技ゲージを全て使い、片手剣≪必殺技≫を放つ。

 

上段から左下に斬り下ろし、左下から右上に斬り上げ。

そこから左に水平斬り。左上から右下に斬り下ろし、最後に右下から上に剣を斬り上げ、星の軌跡を刻む。

 

 

「ぜぁぁぁああっ!!」

 

そしてその中央に、烈火の如く雄叫びを上げながら、全力で剣を突き出す。

 

 

「はぁぁぁっ!!」

 

 

黒雪姫も雄叫びを上げながら俺の攻撃を防ぐために、剣を振るう。

最後の一撃を剣の腹で受け止めた瞬間、今までの猛攻に耐え切れなかったように、彼女の左腕の剣が砕け散った。

 

彼女の体力は、残り二割。

 

 

まだだ――――――まだ、終わってない―――!!!

 

 

「うぉぉぉおお――――ッ!!」

 

「せやぁぁああ―――—ッ!!」

 

 

お互いに雄叫びを上げながら、両者の剣が交錯した瞬間―――。

 

 

 

【YOU LOSE!!】

 

の弱々しい炎文字が浮かび上がると共にリザルト画面が開き、俺のバーストポイントが少し減少したのが見えた。

何が何だかわからずにいると、≪加速≫が終了する感覚と共に、周りの色彩と、生徒たちの話し声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「………タイムアップによる、戦闘の強制終了か…」

 

 

暫くの間お互いに呆然としていたが、先に声を出したのは黒雪姫だった。

その言葉を聞いて、1800秒―――30分が過ぎたんだと遅まきながらに気づく。

そう思ったとたん、精神的な疲労がドッと押し寄せてきたのを感じた。

長いため息をつく俺の前で、彼女も疲弊したのだろう。その表情に疲労の色を微かに滲ませながら、再び口を開いた。

 

「…まさか、あそこまで本気の対戦をするなんて…本当に久しぶりだったよ…。ありがとう、和人君…キミは私の想像以上だったよ…。まさか、私の剣が壊されるなんて、思ってもいなかった…」

 

「あ、ああ…期待に応えられてなによりだよ…。こっちも、あんたと戦えて良かった。色々と参考になったよ」

 

主に王の実力とかな…とは言わなかったが、黒雪姫の言葉にそう答える。

黒雪姫はうむ、と頷いて。

 

「またキミと、対戦をしたいな。あんな心躍る体験をしたんだ…是非、また剣を競い合いたい」

 

「そうだな…。また、よろしく頼むよ」

 

そう言いながら差し出した手を、黒雪姫の手が握り返す。

互いに好敵手を見つけたような表情をしていると、見知らぬ声が聞こえた。

 

 

「ひ、ひ、姫が、男の人と手を、繋いでる!?」

 

その言葉に視線を向けると、ふわふわした髪型の女子が、俺と黒雪姫を見て驚いた表情をしている。

彼女に視線を向けた後、視線を前に戻すと、黒雪姫と目が合う。

 

「わひゃっ!?ち、ち、違うぞ恵!!これは、その、あー…」

 

奇妙な声を上げた黒雪姫が手を離し、恵という女子生徒に話しかけている。

彼女はフルフルと首を振ると。

 

 

「い、良いのよ姫。私に気を遣わなくても…で、でもね?二股はいけないんじゃないのかしら…?その…有田君に隠れて他の人と浮気するのは…」

 

「いっ!?」

 

思わず声が出てしまう。

こ、この子…なんだか深刻な勘違いをしていないか?

それを正そうと声を出そうとした瞬間、黒雪姫が机を叩きながら立ち上がった。

 

 

「な、なんてことを言うのだ恵!!彼はただの友人だ!!私が愛してるのは、世界中の中でただ一人!!ハルユキ君だけだ!!」

 

 

と、教室中に響き渡るほどの大きな声でそう言ったのだった。

これには恵も目を丸くしていて、教室の空気が、一気に凍り付いたような感じがする。

 

 

 

「ず、随分、大胆な告白で……」

 

 

とりあえず、場を和まそうと精一杯取り繕った声を出す。

俺の言葉を聞いた黒雪姫は、ギギギ…と辺りを見渡すと、教室中の生徒達が、自分を見ていることに気づき、先ほど自分が何を言ったか思い出すと、顔を一気に赤くし、次に青ざめ、よろよろと恵の肩を掴んだ。

 

 

「い、いいいい、今、言ったことは、皆、聞いてないな?な?恵?」

 

「う、ううううん!聞いてない!聞いてないよ!!ね、皆!!」

 

彼女の必死な声に周りの生徒は、コクコクと頷く。

それを見た黒雪姫は、そ、そうか…と震えた声で呟くと、チョコンと椅子に座った。

 

 

「…姫…大丈夫?」

 

そして、何事もなかったかのように話を再開する生徒たちの中、恵は黒雪姫に話しかける。

そんな彼女に微笑んだ黒雪姫は。

 

「何がだ?大丈夫だぞ恵。今なら私は、先に進めるかもしれん。もっと先へ……さしづめもっ先だな。うん、大丈夫だ」

 

「ひ、姫…………」

 

 

 

 

 

 

結局、彼女がいつもの調子を取り戻したのは昼休みになってからであった。

「…はっ!昼休み!ラウンジで、ハルユキ君が待っている!」

と口走ると、凄い速さで教室から出ていった。

 

それを見た3-Cの生徒達は、彼女をハルユキのことで弄るのは止めておこうという、暗黙の了解を立てたのだった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




結果はタイムアップの残りHP差でキリト君の負けです。

デス・バイ・バラージング、あれ毎秒100発の斬撃を3秒間放つって…強すぎじゃね?って思ったりしてました。

アバター≪キリト≫の必殺技はホロウ・フラグメントなどででたゲームオリジナルのソードスキルから。
それ以外にもソードスキルもいくつか使えます。
………必殺技多すぎね?と思ったりしましたけど、これから先そんな沢山使うかと言われたら使わない気もしますね。必殺技ゲージという制限もありますし

アバターチェンジのチェンジ・コール…あれは…はい、アリシのシステム・コール的なのを言わせたかっただけです!!

そして姫はドジ踏んだというかなんというか…


二人の対戦も終わりましたし、次は皆の嫌われ者が登場ですかね~…


では、また次回!!

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