艦隊これくしょん―軽快な鏑矢―   作:オーバードライヴ/ドクタークレフ

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これでいいのかこの作品!?

はい、いつも以上に暴走してますが、こっちも更新です。

注意事項です。
・『啓開の鏑矢』の時系列はガン無視。今回は時事ネタで時系列行方不明。前回の続きです。
・無駄にネタに走る可能性大。特に今回はn次創作要素多めで、いろいろリスペクトあり。他作品ネタあり。
・キャラ崩壊あり、注意
・駄文、駄文、アンド駄文

それでもいい方は、抜錨の用意を。
それでは抜錨!


提督「で、ちぢんでしまったわけだが……」

 

 

 

 真相を追う前に 言っておくッ! おれは今 やつの現実を ほんのちょっぴりだが 体験した

い…いや… 体験したというよりは まったく理解を 超えていたのだが……

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「おれは ハロウィンが終わって 目が覚めたら 体が縮んでしまっていた」

な… 何を言っているのか わからねーと思うが

おれも 何をされたのか わからなかった…

頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか黒魔術だとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…

 

 

 

 

 

 

 そんなどこぞのポルナレフのような現実逃避をしていた航暉だが目の前に問題が山積している現実を認めなければならなかった。

 

「ま、まずきるもの……」

 

 いつもより1オクターブ以上高い自分の声に辟易しながらもベットから“飛び降りる”。前に歩き出そうとして思いっきりずっこけた。

 

「……ったぁ、ズボンふんでコケるとか……」

 

 長袖の黒いTシャツと長ジャージで寝ていたのが災いした。襟首から片方の肩が覗いているほどにずり落ちているし、下の方は両手でしっかり押さえないとずりおちてあられもないことになる。ズボンの膝から下を引きずるようにして鏡の方に寄る。

 

「……うわぁ」

 

 黒い髪は細く柔らかい髪質に変化し、顔のつくりからしてもう幼児そのものに変化している。……おそらく4歳前後だろう。身長は1メートルない。手を伸ばせばクローゼットを開けられるが、高いところにしまったものには一切手が届かない。そもそもこの体に合うサイズの服なんてウェーク基地にはないだろうから届いたところで意味がないだろうが……。

 

「……どうしよう」

「司令官さん? おはようございますなのです」

 

 コンコンと部屋がノックされる。時計をみて焦った。現在時刻0623、30分近く寝坊した形になる。

 

「司令官さん 起きてるの、で……す?」

 

 ドアを開けた電と目が合う。電の目が点になっている。

 あー、そりゃあなるよなぁ、とどこか冷静にそう思う。

 

「お、おはよう、いなづま……」

「は、はわ―――――――――――っ!?」

 

 電、情報を処理しきれずに、絶叫。それが長い長い一日の始りを告げる号砲となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 電の叫びで飛んできた天龍の小脇に抱えられて連れてこられた食堂で、着る服も何も用意ができないまま部下たちとご対面と相成った。下着も含め服が全部ダボダボな状態だと正直羞恥プレイにもほどがあると思う。

 

「なんだか、こまくなって可愛くなったのぉ」

 

 そう言って頭をなでてくるのは基地きっての火力艦、利根である。その隣の妹筑摩もかなり頬が緩んでいる。

 

「それにしてもしれーかんが小さくなっちゃうなんてねー。世の中わからないものねー」

 

 雷が椅子に座った彼と視線を合わせるようにかがみこんだ。前髪にをさらさらと撫でつけられ、わずかにくすぐったい。

 

「これで仕事ができんのか?」

 

 そう呆れた顔で肩を雑に叩くのは天龍である。

 

シャ(、、)インはできないけど、でんししょるいのかくにんならできるよ。きゅーあーるえしゅ(、、)プラグとでんのうはいきてるから」

 

 サ行が言えないほどに口の筋肉が退化していることに愕然とする。筑摩と雷あたりが肩をプルプルと震わせた。

 

「……で? こうなったことに心当たりは?」

 

 医務長の六波羅夏海軍医大尉も笑いをこらえながらそう聞いてきた。

 

「――――――わらいたいならわらってよ」

「そんなに拗ねないでくださいな、航暉ちゃん」

 

 その呼び方に明らかにイラッとした目線を返すと涼しげに笑う夏海。

 

「バリバリエリートの月刀大佐にも子供のころがあったってわかってうれしいだけよ。で、一晩で身長を約半減させて20歳ほど若返らせるようなトンデモオーパーツに心当たりは?」

「……あるとしたら、きのうのおかし、いなみしょういのくっきーくらい」

「他にはなにかいつもと違うことしたり、変なもの食べたりしてない?」

「してないし、たべてない。ほかのひとがこうなってないならちがうのはそれくらい」

 

 フムンと夏海は顎に手を当てた。

 

「……ということですが伊波少尉?」

「ハ、ハハハ、ハハハハハ……」

 

 食堂の入り口で青い顔で引きつった笑みを浮かべた伊波ハルカ少尉がじりじりと下がる。

 

「ハハハ、ごめんなさ――――――――い!」

「たちゅ(、、)た! たいほう!」

「はーい」

「捕まえてきます!」

 

 航暉の叫びに笑顔の龍田と笑いをこらえた大鳳が走り出す。その後ろ姿を見て天龍が溜息をついた。

 

「何をしたんだか……」

「たぶん……フェアリーの“なぞのおくすり”をつかったんだとおもう」

 

 航暉がそう言うと天龍が溜息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 主犯と思しき伊波ハルカ少尉が供述し(ゲロっ)たことによると、兵装開発の時にできた謎の粉末を解析したところ若返り効果が確認され、門外不出で保管していたものだったとのこと。それを手作りクッキーの製作時に“誤って”混入してしまいこの惨事である。

 

「―――――で、効果は一日か二日で切れるらしいわよー?」

「そりゃよかった、そのあいだのしょるいせいりくらいなら、いなみしょういにまかせてもだいじょーぶだね」

 

 さらりと罰則を言い渡す航暉が着ているのは昨日のハロウィン仮装大会で電が着用した第二種制服である。白い詰襟に金色の大佐の階級プレート。なのだが4歳児体型ではあまりにサイズが合わずベルトループに紐を通して前で結んでベルト替わりにするなどかなりの改変が加えられている。半分近く折り返した裾は安全ピンで無理やり止めている。袖は折り返しているものの、ずり落ちてきていて指の先すら出ていない。それを見て溢れる母性を隠したのは筑摩である。

 

「ね、姉さん。あれ、下手したら戦術核並みの破壊力ありません?」

「むぅ、可愛いのは認めるが……お持ち帰りしたらだめじゃぞ?」

しょ(、、)こ! へんなこといわないっ!」

 

 びしっと指さしで注意したつもりが、サ行が言えないせいでどうも締まらないどころかさらに肩を震わせる筑摩。目の前では顔を赤くした雷が鼻息荒く手を伸ばしてきていた。

 

「このしれーかんかわいすぎぃっ!」

 

 飛びかかろうとした雷を躱して床に飛び降りる航暉。さすがに合うサイズの靴も靴下もなかったため裸足でリノリウムの床を蹴る。

 

 追いかけてくる雷とそれに感化されたらしい筑摩から逃げようとバックステップ。……したのだが、自分の足の短さと子供のバランス感覚のなさを考慮していなかったのが運のつきである。後ろにずらした重心を支えるために右足を後ろに下げようとしてリーチが足りずそのまま後ろにすっころぶ。たたらを踏んで持ちこたえるほどの運動神経もなかった。

 

「はうぁっ!」

「しれーかーん!」

 

 転んだところにダイブしてくる雷。艤装を付けていなければ小学校高学年ぐらいの女の子とあまり変わらないとはいえ、相手が4歳児相当の子供体型となれば十分な脅威である。

 

「し、しぬっ!」

 

 後ろに這うのも間に合うまい。少女にダイビングプレスをかけられるという、ある種ご褒美みたいな状況かもしれないが、やられた方はたまったものではないのである。

 息が詰まるのを覚悟しているとやたらと金属質な打撃音が響く。

 

「―――――司令官さんが怖がっているのです。それ以上は電が許しません」

 

 雷は真横に吹っ飛ばされたのか食事用のテーブルの上でNooooooo!と呻いている。

 

 

――――――どうやら金属板入りの靴を履いたおみ足を振りぬいたらしい。

 

 

 暁型の靴は艤装の浮力装置の出力機も兼ねている。したがって艦機能の強化のため防衛力を強化するのは当然の流れといえる。

 要は革靴の内側に鉄板を仕込んだ軍用ブーツも真っ青な強化モデルである。それで蹴られればたまったもんではない。

 

 それを蹴るのに使った円運動でふわりとスカートの端をなびかせる電はいつも通りの笑顔のまま凄むという器用なことを実行し、周囲の意見を抑え込んだ。

 ほんとに怒らせてはいけない人は電なんじゃないかという疑念が浮かんだ瞬間である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に訪れた難関は朝ごはん。

 

 まず箸がものすごく使いづらい。子供の不器用さを舐めていた。電たちが使う箸とスプーン、フォークなどの子供用食器で何とかという感じである。

 

 だが一番の問題は――――――

 

「机に顔が届かないとはねぇ……」

 

 まさかの椅子の高さが足りなくて誰かの膝を借りなければならなかったことである。誰と一緒に座るかと言うことで艦娘たちの間でひと悶着あったらしい(やたら金属質な交渉音が響いていたようだが平和的な交渉だったと信じたい)が、龍鳳の膝の上を借りることで何とか落ち着いた。

 

「提督、おいしいですか?」

「う、うん……」

 

 いつもより食べるのに時間がかかる。しっかり噛まないと喉に詰まりそうだし、そもそも一口の量が少ない。あと問題は

 

「はい提督、あーん」

「りゅうほぅ、じぶんでたべられるから……」

「ほら、提督はいつも一人で何でもやっちゃうんですからこんな時ぐらいは頼ってください。あーん」

「……あーん」

 

 一口一口龍鳳が食事を差し出してくれることだろうか。見た目は子ども、頭脳(なかみ)は大人な存在にとっては恥ずかしい以外の何者でもない。

 

「……龍鳳さんばかりずるい」

「なのです」

 

 雷電コンビがそう言って睨んでくるのは正直勘弁してほしいし筑摩はそろそろ失血死を警戒すべきな状態だ。早く食事を終わらせて逃げ込みたいが、龍鳳にペースを握られているためそれもできない。

 

「う~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――航暉はまだ知らなかった。

 

 

 まだ起きてから1時間少々の時間しか経っておらず、

 

 

 今後も羞恥プレイが続くと言うことを。

 

 

 

 つづく……?

 

 

 




まさかの連続ものです。次はいつになるだろう……



感想・意見・要望はお気軽にどうぞ。

次回「先生、バナナはおやつに入りますか(意味深)」
いわれのない暴力(提督の主観)が彼を襲うっ!

それは、次の機会にお会いしましょう。

……本当にこれでいいのかこの作品……

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