デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

92 / 93
 エタる気はないんです……本当に……

 なんでしょうね。士道サイドの話だからなのかなあ。じゃあカットすればよかったのにっていうのは置いといて。
 お久しぶりです。生きてます。これでも。
 3/4年が経過しといてアレですが一応終わらせるつもりはあります……原作十周年てマ?

 それではどうぞ


第90話

 さて、世界が改変され、所謂前の世界の知識を有した士道という存在が現れたことによって少しばかり気になることが出来た。なんとなくそんな感じはしていたものの、なあなあにして先延ばしにしていただけともいう。

 つまりは、俺の記憶は保持されているのかどうか、だ。

 原作では確か士道と士道を過去に飛ばした狂三、そして反転体状態の折紙が改変前の記憶を持っていた。

 記憶が保持される条件は曖昧だが、確か『過去に飛んだ経験』と『霊力』だった……気がする。

 敢えて例外を挙げるのならば狂三だが、彼女は自身の能力だから、で無理矢理でも説明はつく。たった三人なのに例外も何もあったものじゃないが。

 霊力、霊力かあ……これ霊装と天使呼び出して疑似的に精霊になれば記憶が同期されるのだろうか?

 ふむん。物は試しか。後で琴里にでも連絡して〈フラクシナス〉艦内で試させてもらおう。

 時間は既に放課後。なんだか妙に張り切った八舞姉妹が今日の夕飯は自分達で作ると言って買い物に行ってしまったので、中途半端に時間が空いてしまった。今は屋上で狂三膝枕してもらいながら暇を持て余している。

 ……いやなんだか気が付けばこんな体勢になっていたんだよね。こう、妙に圧が強い時があるよね、狂三。

 

「流石にもう寒いな」

「じきに十二月になりますもの。防寒具も無しにこのような吹き曝しの所にいては、当然ですわ」

「正論すぎて何も言えねえ」

 

 ぐだぐだぐだぐだ。

 俺は一応の目的があってここにいるのだが、果たして狂三は一体何故付き従っているのだろうか。

 ホントはこの役割は士道だった筈だが、何やら琴里に呼び出されて今は遥か空の上だ。授業中に折紙と隠れてやり取りしていたようだし、大方その関連だろう。

 視界を使い、目的の人物が来ていないか随時確認。

 屋上に来てからずっと発動しそろそろ三十分程経つが、まだ現れる気配はない。

 

「なあ、狂三」

「何でしょう?」

「【十二の弾】ってあるだろ?」

「……まあ七海さんなら知っていても驚きはしませんが、これはまた唐突ですわね」

 

 髪を梳く手が一瞬止まったが、呆れたような溜息と共に再開された。

 

「【十二の弾】で過去を変えて今が変わったとして、変わる前を覚えている条件ってなんなんだ?」

「残念ながら、七海さんの望む答えは持ち合わせておりませんわ。わたくしとて【十二の弾】を使ったのは一度きり。その時も今を変えるためではなく、今を変えないためでしたもの。参考にはならないかと」

「……そっか」

 

 元より期待はあまりしていなかった。していなかったが、少なからず落胆が滲み出てしまっただろうか。

 狂三は今の会話だけで凡そ俺の抱えている問題……事情……状況……まあ何でもいいや。正確には俺じゃなく士道が主であることも含めて何でもいい。それを察したのだろう。続く言葉は逆接の言葉だった。

 

「ただ……推測はできますわ」

「む」

「一番可能性が高いのは『霊力の有無』。過去改変が精霊の力に依るものだとすれば、霊力への耐性に直結している霊力の有無は十分あり得るでしょう」

 

 ですが。

 

「これではわたくしや耶俱矢さんに夕弦さん達にその覚えが無いのはおかしいですわ。となると二つ目、『改変前の世界を知っている、経験している』もしくは『過去が変わったことを認識している』辺りが妥当でしょうか」

「……となると、誰かが前の世界を覚えていないとおかしい。飛ばした張本人、そいつが」

「ふふ、昨日、士道さんが何やら似たようなことを仰っていましたわね?」

「……」

 

 士道は狂三の霊力を有していない。所謂俺側に居る精霊達……耶俱矢に夕弦、美九、狂三の四人はただの静粛現界に過ぎず、言い方は物騒だが要はただ大人しくしているだけなのだ。

 十香や琴里達と違い、感情の揺れで霊力が逆流するようなこともなければ、観測上はただの人間なんてこともない。正真正銘、精霊だ。

 つまりはそれは、士道が封印していないということ。封印していないということは琴里の再生の炎のように士道自身の力として振るわれることもないということだ。

 そうなると疑問になるのが士道はどうやって過去に飛んだか、だ。まあ俺もそうだろうと思っていたし、なんなら直接士道から聞いたからその答えは俺だって分かっているんだが。士道が過去に飛んだ、という情報だけでは……消去法で俺だって分かるか。

 

「他に挙げられるとすれば、『【十二の弾】を直接撃たれている』というのもなくはないですわね。ですがそれでは、もし過去に飛んだ人と飛ばした人が別人だった場合、飛ばした側に記憶が残るか怪しいですが」

「そこはほら、ご都合主義的な?」

「そう世の中は甘くありませんでしてよ、七海さん。それがシステムとして決められているのなら、例外はないでしょう」

「手厳しい」

 

 間違いなく狂三は勘付いているだろう。俺が過去改変を行ったこと、俺が士道を過去に飛ばしたことを。だからこんな突飛な話題に乗ってくれているのだろう。

 そして恐らく、この正解は。

 

「――全部、かなあ」

 

 身を起こし、校舎内に繋がる扉に顔を向ける。

 視界の先、扉の向こう、目的の人物は何かを探すように顔を下に向けている。

 そしてふと顔を上げた彼女とガラス越しに目が合った。

 錆び付いた音を発しながら扉が開けられる。

 

「あ、あの……」

「や、折が……鳶一。どうしたんだ?」

「その、この辺で髪飾りを見ませんでしたか? 小さなピンなんですけど……」

「……コレかな」

「あ、それです!」

 

 我ながら白々しい。だがこのタイミングで彼女を一度反転体にさせるのは原作の流れであった以上必要な事だ。心は痛むがね。

 狂三は既に立ち上がって離れている。ホント、察しが良くて困っちまうな。

 先の話、前の世界を覚えているかどうか。

 霊力を有しているか、という条件があるのならば、それに当て嵌まるのは士道と、八舞姉妹、狂三、美九、そして万由里の六人。

 改変前を知っているか認識しているか、に当て嵌まるのは士道のみ。俺はあくまで知識のみ。

 そして【十二の弾】を撃たれたことがあるのも、士道のみ。

 だが、この全てに当て嵌まる人物がもう一人だけいる。

 俺は知っている。彼女が過去で何をしたのかを。俺は知っている。彼女がどういう経緯を辿って反転したのかも。知っていて尚、俺はそれを止めなかったのだ。これもまた必要なのだと無理矢理呑み込んだ筈だ。

 俺が前の世界で反転した彼女を見てどういう行動を取ったのかまでは分からない。後悔に苛まれたのか、責任感に急かされたのか、それでもと立ち上がったのかやはりかと膝を付いたのか、俺には分からない。

 だが、たとえ記憶が同期したとしても、俺は今この瞬間、同じ行動を取るであろうことだけは確かだ。

 三つ全ての条件に当て嵌まるもう一人の人物。

 彼女を呼び起こすのはひどく簡単だ。

 

「有り難うございます。ええと……?」

「東雲、東雲七海。一応クラスメイトだから、今後ともよろしく」

「やっぱり。見覚えあるなあと、思って、たん、です……」

 

 ピンに少し細工を施した。と言っても何か取り付けただとか、改造したという訳ではない。

 ただ少し、霊力を編み込んだだけ。

 時間経過で消滅する程度の量。だが、観測すればしっかりと確認できる量。ましてや今の折紙が直接触れたとなれば……どうなるかは想像に難くない。

 

「精、霊……」

 

 夜が顕現した。

 蜘蛛の巣のように広がる漆黒。闇を編んだような喪服のようなドレス――霊装。

 圧倒的重圧と緊張感。

 鳶一折紙の反転体。

 彼女の現界条件は、彼女が霊力を認識すること。

 

「……〈救世魔王〉……」

 

 闇が変質したかのような無数の『羽』がその先端を向けてくる。視界を使えば、恐ろしいほど濃密な霊力が集められているのが分かる。

 だがここで〈聖破毒蛇〉や霊装を現出させて迎撃する訳にはいかない。反転の条件が霊力にある以上、霊力を使って戦う限り彼女の暴走は止まらない。

 だから、一瞬。

 ほんの一瞬だけ、光線を防ぐためだけに霊力を使う。少し危険だが、そうすれば髪飾りに付与した霊力も消え、折紙も元に戻るだろう。

 狂三は……影の中に潜って既に避難済みか。

 撃たれた。

 だが予定通り、翼で身体を覆うようにして身を守り、その光線の雨をやり過ごす。

 俺から外れた一部攻撃が屋上を抉っているが、流石にそこまで手は回らない。あとで創って直しておくか。

 数秒後、粉塵で俺が折紙の視界から外れ、攻撃が止んだその隙に翼を消し、その場から大きく離れる。翼を消した状態で追撃が来ようものならひとたまりもないからな。一応再生は出来るが、傷は負わないに越した事はない。

 

「あ、あれ……?」

 

 風で粉塵が晴れた先、力なく膝を付き、恰好も元の制服姿に戻っていく折紙の姿があった。

 その表情からは困惑の色が見て取れ、状況の整理が追い付いていないようだ。

 不審に思われない内に破壊痕も直しておくか。

 

「大丈夫か、鳶一?」

「えっ、あ、はい。多分貧血かなにかだと思うので……あれ、時崎さんは?」

「あー、保健室に先生を呼びに行ったよ」

 

 ホントはすぐ後ろにいるけど、適当に誤魔化した。

 

「大丈夫です。最近少し疲れ気味なのかもしれません。ええと、その、ピン、拾ってくれてありがとうございました。もう寒いので、東雲くんもあまり長居しない方がいいですよ」

「……ああ。そうだな。狂三が戻ってきたら俺も帰るよ」

 

 ではまた、と小さく手を振って、折紙は屋上を後にした。

 大きく息を吐く。

 流石に少なからず肝が冷えたが、なんだかんだエレンとの死闘とかの経験のせいか、妙に慣れてしまっている自分が怖いぜ。

 

「成程、あの転入生の素性を調べるためでしたのね」

「ああ。まあ予想通りだったけどな」

 

 取り敢えずこれを見ているであろう〈フラクシナス〉に行って事情説明、そして今後の動向について考えないと……噂をすれば琴里から着信が。

 

「もしもし」

『……言いたいこと、分かってるわよね?』

「……まずはそっちに転送してくれ」

 

 ということで狂三と一緒に転送されました。

 

 

 

 

    ◇◆◇◆

 

 

 

 結局士道も呼んでの騒ぎになったけど一応話は纏まったから、ヨシ!

 士道が早くも折紙とのデートの約束を取り付けていたことが発覚した辺りから話の矛先がそっちに向いたのはデカかったな。ちなみに他人事だと思って笑っていたら一緒に居た狂三に妙な圧を掛けられました。あるぇー?

 ということで現在時刻、十一月十一日の午前十時過ぎくらい。場所は駅前広場。のすぐ近くにあるカフェ。

 

「くく、しかし御主との逢瀬も、思えば久しいものだな」

「そりゃほぼ一日中一緒に居るようなもんだしなあ。こうして改めて、ってなるのは確かに久し振りかも」

「催促。もっと気軽に誘ってくれてもいいのですよ」

「……この三人だけで集まれるのって割と難しいような」

 

 狂三か万由里か、美九はなんだかんだ忙しいからまだしも前の二人は八舞姉妹に負けず劣らず俺と過ごす時間が長いからな。いやデートしますって言えばその日だけは各々勝手に過ごすだろうがわざわざ宣言するのも恥ずかしいし、じゃあ次は自分、となるのが目に見えている。自惚れるつもりはないが、割と確信を持って言える。

 ちらりと視線を噴水の前に移せば、今回の目的である鳶一折紙嬢が本来の待ち合わせ時刻の約一時間前だと言うのに俯きがちに立っていた。微動だにしていなかった。

 勿論二人には折紙のことは話していない。流石にデートだというのに他の女性の話をする程無神経なつもりはない。

 まあ監視ともしもの時の保険ってのが役割な以上士道達についていかざるを得ないってのが気懸りと言えば気懸りだ。

 だって、ほら、行き先がね……ほら……。

 

「……まあ、なるようになれ、か」

「ぬ? 何か申したか?」

 

 何でもないと返しつつ、視界の隅で士道がここに到着したのを捉える。士道には一応俺達のことは伝えてあるが、極力気にしないようにとも言ってある。琴里達からすれば相手はあの『デビル』なのだ。理解はされている筈だ。

 うんうん、インカムからの二人の会話を聞く限り出だしは順調のようだ。なんだか久し振りに聞いた気がする選択肢の音も拾いながら、会計を済ませる。もうすぐ二人も移動するだろうから、それに合わせるためだな。

 

「して七海よ、我らが向かう先は何処ぞ? 静寂の中に響き渡る轟雷が如き光と音の奔流か、はたまた喧騒と雑踏の中から我らへと捧げる贄を欲すか? なに、今日は無慈悲にして平等なる節理の神も我に味方しておる」

「……夕弦」

「解読。映画や買い物でも行くの? 時間はたくさんあるから今日は目一杯遊べるね――と、耶俱矢は言っています」

「後半そういう意味だったのか」

「ちょっと! 変な注釈入れんなし!」

 

 静寂をシジマと読む辺りが耶俱矢らしいと思いましたまる。

 きちんと士道達を視界の端に収めつつ、後をつける。勿論、耶俱矢達にはそうと覚らせないように。本当はもっと近付きたいところではあるんだけど、二人に士道がいるってバレても困る……ことはあんまりないか。最悪折角だからとむしろ堂々と尾行してやってもいい。野次馬根性丸出しである。

 だからどちらかというと問題は折紙の方。一応教室では反応しなかったが、これでも二人はれっきとした精霊。何かの拍子に折紙が覚醒されると一大事なんてレベルじゃないからな。

 っと、喧しいアラーム音。なんだなんだ。

 疑問に思うのも束の間、一瞬で理解した。というか答えが目前にあった。

 

「ふぇっ?」

「愕然。まさか……」

「目的地はここではありません!」

 

 これ焦る方が逆効果になってしまうのでは?

 進む先にはお城風ホテルがででんと存在している訳だが、勿論意図していた訳ではない。いやある意味意図的なのかもしれないが、士道達をついて行っていた関係上ここの近くに来ただけで、別に何も疚しい気持ちがあった訳では決してないのだ。

 ホントダヨ。

 

「察知。成程、所謂これは照れ隠し。つまり真の意味は逆」

「ちょっと、夕弦?」

「受容。問題ありません。さあ七海、隠さなくてもいいのです。大人の階段を上りたいと言うのならそう言っていただければ――」

「ええい違うと言ってるだろうが!」

 

 耶俱矢は顔を真っ赤にしてポンコツ化。夕弦も少なからず紅潮しながらもどこか覚悟を決めた表情で迫ってきていたので無理矢理一時停止させる。

 しかし夕弦は止まらない。

 

「嘲笑。おや、耶俱矢、もしかして怖いのですか?」

「は、はあっ!?」

 

 攻め方を変えやがった。

 

「憐憫。いえ、良いのです、それならそれで。耶俱矢が動けないというのなら、耶俱矢抜きで夕弦達は階段を駆け上がるとしましょう」

「べっ、別に怖いなんて言ってないし! こんぐらい余裕だし!」

「質問。こんぐらい、とは」

「うぇ!? っとぉ……それは、コウノトリというか、キャベツ畑というか……」

「詰問。もっと具体的に」

「止まらんかい暴走列車。耶俱矢も、わざわざ付き合わんでよろしい」

 

 ほら行くぞ、と見失いかけた士道達を追ってお城風建造物の前を通り過ぎた。

 暫く夕弦が名残惜しそうにホテルの方を振り向くのは努めて無視することにした。

 んー……次の目的地は確か雑居ビルの中にある怪しげな薬屋だった筈。流石にそう広くもないであろう店内に一緒に入ってはほぼ間違いなく鉢合わせすることになるだろうから、俺達は近くの別の場所で待機という形になるだろう。

 流石に俺もそういう店がある、というのは知識として持っていたが、具体的にどこ、というのは分からないのでどこで時間を潰すのかは行ってみなくては分からない。残念ながら原作知識と言えど駅前から目的地までの具体的な道順など描写されてはいない。

 琴里から士道達が裏通りに入ったことが報告されたので、近所で何かいい場所はないか見渡してみる。

 

「んー……ちょっとそこの本屋に寄っていいか?」

 

 元々そう長居することはなかった筈。適当に雑誌でも見繕っていたらいいだろう。

 

「疑問。何か買いたいものでも?」

「まあ普段行く所に置いてない料理雑誌とかあったら面白いかなーって。別に無いなら無いでいいんだけどな」

 

 こじんまりとした店内に入り、当てもなくぶらぶらと歩きまわる。読んでいた漫画の新刊情報やよく見る生活術の特集、旅行雑誌等々。元より俺らくらいの年代を狙っていないのだろう。あまりコレだと言うものはなかった。 

 だからといってすぐ出ても仕方ないので適当に取った料理本をパラパラと捲って立ち読みしてみる。何か面白い調理法や技術があれば儲けもんだ。

 双子達も早々に目を惹くものはないと見切りをつけていていたのか、頬がくっ付くぐらいに顔を近づけて俺が読んでいる雑誌を覗き込んできた。

 ……最近こういう何でもない時の距離感の近さに対して何とも思わなくなってしまった自分が怖い。いや無反応って訳じゃないんだ。良い匂いするし、髪がくすぐったいし、こう色々と思う所はあるのだが、前ほど慌てたりしなくなったような気がする。

 そりゃ突発的な事故だったりすれば話は別だが、今はそういう訳でもなし。

 

「なんだ、今宵の晩餐でも決めかねているのか?」

「特に目的があった訳じゃねえけど……まあ何か気になるモノでもあるなら言ってくれれば」

「提案。最近めっきり寒くなりましたし、鍋などどうでしょう」

 

 視線を落とした先には丁度同じような理由で取り上げられていたトマト鍋のレシピが。

 

「ぬ、ならば我はこの、飛翔せし獣を使った供物を所望する!」

「合体すればよくないか……?」

 

 レシピでは別々になってはいるが、少し手を加えれば普通に両立できそう……というより検索すれば出てきそうな気もする。

 双方のページを行ったり来たりして見比べつつ大まかに頭の中で整理していたが、どうやら耶俱矢と夕弦は納得していない様子。

 

「いいや! 我ら颶風の御子、八舞の名を持つ者なれば!」

「勝負。白黒はっきりしなければなりません」

 

 ああ、何かとつけて勝負したかっただけなのね。

 

「……じゃあ今から駅の方に戻って何か適当なもん見繕うか」

 

 丁度路地裏から二人が出てくるのが見えた。雑誌を戻し、店を出る。

 進行方向から考えて駅の方に戻っているようだし、あとは適度な距離を保ちつつ監視といこうか。

 ちなみに横で耶俱矢と夕弦はどちらが勝負内容を決めるかのじゃんけん勝負をしてました。気が付いたら俺も参加してました。なんで?




 原作ではもうちょっと続くんですが文字数的にも場面的にも区切りが良かったのでここまでで。

 大好きな作品が完結してしまうと、おめでとうという気持ちと寂しいという感情がごちゃまぜになってざわつきます。
 まだまだ読んでいたいとも思うけど、きちんとお祝いもしたい……

 堅苦しいのは止めときましょう。重くなりそうです。

 それでは次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 レストラン辺りのくだりはもういいかなって。早く反転折紙のシーンまで書きたいけど四糸乃どうしたものかな……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。