デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 前回、今回と次回はデート回と書きましたが、もう1話ぐらい書くと思います。

 今のところ、組み合わせの方はありませんが、追加としては美九が一番です。
 感想欄ではなく、活動報告の方に組み合わせなどの希望がある方は書いてください。
 


第7話

 店から見えていた観覧車を頼りに空を飛ぶこと、数分。俺は、既にフラフラになっていた。

 だってさ、普通に考えて観覧車を頼りに歩き出すのかなー、とか思ってたら、人目のない場所に入った瞬間、

「注意。気をつけてください」

「は?何を?」

「よし、では七海、行くぞ!」

 そう言って、空に飛び立つんだぞ?いやいや俺翼ないんだけど!?とか思ってたら、風が俺を運び始めるしさ。

 結局、ものの数分で到着したけど、遊園地(観覧車があるのだから間違いないと思う)に入る前から、リアルなスリル体験をする羽目になったよ。

 俺らが降り立った場所は、一応彼女たちも気を遣ってくれたらしく、人の姿のない路地裏だった。だけど、すぐそこに遊園地の入り口が見える。

「ほら、急げ七海!早く遊びたい!」

 最後の方、素が出てきている耶倶矢。きっと、ここまで聞こえる中の歓声に興奮し始めているのだろう。

「わかったから、落ち着け」

 耶倶矢が俺の服の裾を掴んで引っ張りながら、路地裏から出てきた俺たち。

「興奮。七海、これは結構楽しそうな気がします」

 今度は逆の袖の裾を引っ張りながら、夕弦。こころなしか、目がキラキラしてるような。

 ということで、やっとフラフラから立ち直りつつ、入場口に向かう俺と、瞳を輝かせつつ俺の両袖の裾を引っ張る耶倶矢と夕弦であった。

 ・・・周りの目線が痛いな~・・・

 

 受付で一日乗り放題のチケット・・・フリーチケット?を買って二人に渡しつつ、俺は尋ねる。

「どれから乗る?」

「勿論、全部に決まっておろう」

 えー、全部ぅ~?メンドイし、時間が足りなくね?

「提案。さすがに全部は無理なので、夕弦たちが順番に乗りたいものを乗っていく、といのはどうでしょう?」

「あー・・・いいんじゃない?耶倶矢もいいよな?」

 夕弦の提案に賛同しつつ、耶倶矢に同意を求めると、

「いや!全部乗る!」

 ありゃ、拒否されちゃった。どうしたもんかな。

「じゃあ、耶倶矢」

「・・・なんだ」

「俺の乗りたいものの分まで、お前が決めていいよ」

 その言葉に、耶倶矢がきょとんとした顔をする。かわいいなぁ。

「だから、俺の分までお前が決めることで、全部は無理でも、単純に考えて二倍の数の乗りたいものにのれるじゃん?」

「でも、それじゃ七海は?」

「俺は別にいいよ。お前らが楽しんでくれるなら、それだけで十分」

 なんて使い古された台詞。もうちょいいい言葉のチョイスはできなかったのかよ俺。

 耶倶矢は、しばしの間唸っていたものの、すぐに顔を上げた。

「・・・わかった。全部は我慢する」

 ふう、よかった。危うく時間的にも体力的にも死ぬところだった。

「だけど!」

 ん?まだあんの?

 耶倶矢は、俺に顔を近づけて、その水銀色の瞳に俺の顔を映しながらこう言った。

「ちゃんと七海も乗りたいものを決めること。そして楽しむこと。わかった?」

「お、オーケー」

「ふん、ならばよし」

 危なかった。俺が上体を反らさずに突っ立ったままだったら、あのまま頭突きかキスのどちらかになるところだった。

「確認。話は終わりましたか?」

「あ、すまん。放っておいてしまって」

「安堵。夕弦も、耶倶矢と七海が普通に会話できるようになってよかったと思いますので、気にしないでください」

 普通に会話って、今までに何回もしてきたけどな。あれか、また第三者視点から見てみると(聞いてみると?)、なんか嬉しい、みたいな感じ?

「そういや、夕弦。何見てんだ?」

「紹介。ぱんふれっと、というものらしいです。入ったときに貰いました」

 ああ、パンフレットね。何か楽しそうなものがあったならいいんだけど。

「じゃあ、誰の乗りたいものからにする?」

「愚問。それは勿論―――――」

「くかか、決まっておろう。考えずとも―――――」

 そして、二人声を合わせて告げる。

「耶倶矢です」

「夕弦に決定だ」

「「む」」

 そして、バチバチと火花を散らし始める耶倶矢と夕弦。

 お前らなあ・・・

「じゃあ、コイントスするから、表か裏か決めて」

 俺は財布から百円玉を取り出しつつ、提案する。

 確か、年号が書かれた方が裏だった気がするんだけど・・・まあ、それでいいか。

「ふん、ならば我は日の当たらぬ影の向き(うら)としよう」

「提言。では、表で」

「わかった。じゃ、いくぞ」

 そう言い終わると俺は、取り出した百円玉を親指で弾き、手の甲で受ける。

 普通、これをし終わった後に裏か表か決めるんだけど、ま、俺の言い方が悪かったかな。

「じゃあ、当てた方が一番、はずした方が二番ということで」

「質問。七海はどうするのですか?」

「俺は最後でいい。じゃ、いくぞ」

 何か言われる前に百円玉を隠していた、手をどかしてどちらの向きか確認する。

「・・・裏だな」

 見ると、年号の書かれていた。

「よし!」

「驚愕。そんな・・・」

 いや、これしきのことでそこまでの温度差を生み出さんでもいいだろ。

 ていうか、互いに互いを譲ってたのに、これ当てたら普通に喜ぶってなんなんだ、耶倶矢よ。

 夕弦も、そこまで落ち込むな。

「よし、我からだな。じゃあ、まずはあれから乗るぞ!」

 嬉々として指差す方向にあるのは、この遊園地にいくつかあるジェットコースターの一つだった。

 ・・・よし、遊ぶか!

「ほら、行くぞ。夕弦」

「微笑。そうですね」

 いつの間にか立ち直った夕弦も連れて、俺らは列に並ぶ。

 今になって気づいたが、周りからの目線が痛い・・・まあ、入り口であれだけ騒いでたら人目につくし、傍から見れば、美少女二人侍らせたリア充野郎だもんな、俺。

 時折感じる、ほんわかとした視線はきっと、あの二人に向けているに違いない。決して、美少女二人+少女だなんて思っているはずがない。

 俺はそう思い込むことにした。精神衛生上のためにも。




 今日で夏休みも最終日なので、これからは週末投稿になるかと思います。
 
 アンケートの答え、待っております。どうか皆様ご協力お願いします。

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