デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 久しぶりでございますすみません。

 約一か月振りの投稿となります。
 前回の後書きで、次回から七罪編、と言いましたが、急遽映画に行けましたので、時系列上、こちらを先に書かせていただきます。
 もしまだ映画を見ていないのならば、内容のネタバレしかありませんので、飛ばすことをお勧めします。
 と言っても、飛ぶ先がまだありませんね。

 それでは、どうぞ。


万由里編
第62話(極短プロローグ)


 誰にも気付かれない存在があった。

 自動車が幾台も通り過ぎる道路の真ん中でも、人がまるで別の生き物のように行き交う交差点の真ん中にいても、誰も気付かない。

 気付かないし、分からない。

 車も人も、まるで何事も無いように過ぎていく。人波から外れて、それを傍から見たとしても、皆分からない。

 ―――――そして。

 ある二人の少年が、その前を通り過ぎた。

 一人は、青い髪に中性的な顔が特徴な中肉中背な少年。

 もう一人は、先の少年よりもさらに少女のような顔に、小柄な体躯。右目を隠す眼帯を付けた少年。

 二人はそれぞれ、数人の少女達に言い寄られながら、困ったような表情をしていた。

「うお、ちょっと買い過ぎたかな……」

「シドー! 今日の夕餉は何だ?」

「そうだなー……今日買った食材で予測してみろ」

「うむっ? むむむ……肉、豆腐、白菜に、葱だったから……」

「すき焼き、ですか……?」

「お、正解だ、四糸乃。すごいな」

「むー、私だって分かっていたぞ!」

「はいはい、分かってるから、早く横断歩道を渡り切りなさい」

 片や、如何にも買物帰りです、とでも言うように、エコバックを二つ手に持ち、重そうに歩く青髪の方の少年と、それぞれ一袋ずつ(と言っても、中身は然程入っていない)買い物袋を手に提げる少女達との集まり。

「補助。七海、今日はまた、沢山買いましたね。一つ持ちます」

「お、おお、すまん。助かる」

「くくく、そうだな、我もその贄の器を持ってやろう。ほれ、貸すがよい」

「贄の器て。言い方が無駄に仰々しいなあ。まあ、ありがとよ」

「義兄様、義兄様、私も何か手伝うことはねーでしょうか?」

「……それじゃあ、手伝ってる筈なのに、何故か歩行の邪魔になっているこの双子を離してくれないか?」

「無理でやがりますね」

「諦めるのが早いっ!?」

「あらあら、嬉しいことではありませんの?」

 片や、同じようにエコバックを複数持ち、うち二つを、両腕に腕を絡ませてくる瓜二つの少女達に手伝ってもらている少年。そして、その二人の少女と、その後ろを付いて行っている少女達の集まり。

「……ん?」

「? どうした、士道?」

「いや、今そこに、誰か立ち止まっていたような気がしたんだけど……」

「この交差点のど真ん中でか? 気の所為だろ」

 そう言って笑い飛ばす少年に、士道と呼ばれた方の少年も、

「そう、だよな……?」

「そうだそうだ。ほれ、今日はお前の家に皆集まるんだろ? 早く帰って用意しようぜ」

 首を傾げながらも、点滅し始めた歩行者用信号を見て歩を速めた。

 ―――――そして。

 それを見ていたその『存在』は。

 いつの間にか、そこにはいなくなっていた。

 

 

 システム・ケルブ 始動。

 監視対象 東雲七海、五河士道。

 

 

 人の感情は揺れ動く。

 怒りは愛らしさにもなる。愛しさは憎さにもなる。

 そして力は、感情の影響を受ける。

 だから、見極める必要がある。

 力を持つ者が、持つに相応しい人物か。

 その力は、あまりにも強大だから。

 だからこそ、『私』がいる。

 

 

「士道、七海。……あんた達は、器に相応しい?」

 




 ということで始まりました万由里編!

 一応映画の最初の方を意識してみました。
 万由里がどちら側のヒロインとなるのかは……まだ決まっておりません。
 書いてて愛着が湧いたらオリ主、普通だったら士道です。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 万由里は可愛い。

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