デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 ということで、修学旅行編最終話ーー!!!

 やっと終わりました。やっと。日常編入ってから三ヶ月経ってますよ。
 ……は!? 三ヶ月!?
 一瞬スルーしましたが、よくよく考えてみれば随分とかかってしまってました……。すみませんでした。

 ですが、次回からは狂三編です!イェイ!やっと書ける!
 更新が遅くなりつつあるので、結構危ぶまれますが!

 それではどうぞ。


第49話 来禅スクールトリップⅩ

 修学旅行から帰ってきた当日。

 俺の姿は、〈フラクシナス〉の司令室にあった。

「――――で、何か言い残したいことはあるかしら?」

「止めれ。俺が死ぬみたいな事言うな」

「あら、そんな反抗的な態度でいいと思ってるの?」

「すみませんでした」

 即謝罪だった。腰から体を折って、誠心誠意謝る。土下座ではない。

「……はあ。全く、報告を聞いたこっちが死ぬかと思ったわ」

「……悪い」

 今俺は、修学旅行最終日でのことで責められていた。

 というのも……、

「なんなの、この感情値のブレは。しかも、殆どが不安。結果何とも無かったから良かったものの、下手すればあの島ごと全員消えていたわよ?」

 俺がエレンと二人きりになろうとしていたあたり(変な意味ではない)からの、八舞姉妹、美九、そして狂三の精神が不安定になっていたとのことだ。

 俺はあの時、心配しなくてもいい、と八舞姉妹には言っておいたんだが、どうやらそういう問題ではないらしく。

 ということで、帰ってきていた琴里に怒られているのだ。

「そんなに俺は、あいつらに心配かけていたのか……」

「いい? もう少し、あの娘達の中でのあなたの存在について考えなさい。あなたは自分をそこまでの人間じゃないとでも思っているのでしょうけれど、決してそんな事はないのだから」

「……そうか」

「大体、何があっても彼女達の傍にいなさい、って言ってたわよね?」

「あー……」

 そう言えば、言われてたな……。

 あくまでも誇張的なものだと思っていたんだが。

「ん、分かった。肝に銘じておくよ」

「本当に分かってんでしょうね……? なんか、一ヶ月ぐらい経ってから、ふらりと一日ぐらい行方不明になりそうな予感がするわ」

「どんな予感だよ」

 そんなことがあったら、俺自身が驚くわ。一体俺はどこに行ってんだよ。

 俺が積極的にあいつらと離れようとするのは、基本がエレン絡み……もしかすると楓もか? ともかく、そんなだから、結構危ないような気はするが……。

 まあ、今考えても仕方ない、かな。

「あ、そう言えば」

 ふと、琴里がぽん、と手を打って話題を変えてきた。

「あなたを追っていた映像を見て、訊きたいことがあったのよ」

「訊きたいこと?」

 ええ、と琴里は肯定して、令音さんに声をかける。

「令音、あの時の映像を映してちょうだい」

「ん、これだね」

 令音さんが何か操作すると、大きな画面が現れた。すっげーでけえ。

「これを見て」

「お、おう」

 その大きさに素直な驚きを感じていた俺は、やや遅れて返事をした。

 少し待って流れ始めたのは、どうやらエレンと俺の戦闘時の映像らしかった。

「おー、こうして見てみると、俺もエレンも大分人間離れしてるよなあ」

「今はそれはどうでもいいの」

 そうなのか。

「あ、令音、止めて」

 琴里が映像から目を離さないまま出した指示で、一旦映像が止まった。

「これは……」

 俺の左腕が黒くなっている……。

 反転……いや、逆転化し始めた時か。

 自然と苦々しいものになっていく表情で、琴里に訊く。

「これが、どうかしたのか?」

「あなたの反転化し始めたのはまた後にするとして、気になるのはこの後からよ」

 そう言って琴里は、再度映像を再生するよう言った。

 そうして再生し始めて数秒後。

 不意に。

「――――お?」

「気付いたようね」

 ああ。

 不意に、俺の体が、声が、がらりと変わったのだ。

 今までは自分の腕を抑えるように掴んでいて、焦りと微量の恐怖の色のあった声色が、急に自然な立ち姿になって、声もフラットな感じになったんだ。

 確かこの時は……、

「あ、楓が俺の体に乗り移ったんだ」

 そうだそうだ。そういえばそうだった。別に韻を踏んでいる訳ではないぞ。そして踏めてないことにも気付いているぞ。

「乗り移った?」

 俺の言葉を耳聡くキャッチした琴里が、その単語に反応する。

「んー、何て言うか……」

 さて、どう説明したものか。

 楓の存在はどうせ信じてくれないだろうから隠しておきたいし、かといってこれといった説明も思いつかないし。

 ま、ざっくり行こうか。

「そうだな、要は、意識が切り替わった、って感じだな」

「つまり?」

「元々の意識が、別の何かに変わった。だから、様子が変わったんだ」

 全く詳しくなってない気がするが、気のせいだ。木の精だ。

 ……ん? 何か漢字を間違えた気が……。

 ともかく。

 肝心な所を適当に濁した俺だが、琴里は自分なりの解を見つけたらしい。

「反転化が中途半端になった所為で、意識が微妙に切り替わった……? いや、ちょっと待って……!」

 ぶつぶつと何か呟いていた琴里が、令音から操作端末を奪い取り、自分で止めていた映像を再生し始めた。

「それじゃあ、ここからの映像ついてはどう説明するの?」

 そう言われて流されている映像の音声に耳を傾けると、

『うん。その仮説は正しいよエレンちゃん』

『まあまあまあ気にしないで。とにかく、このままじゃ面倒だから、七海くん。君に与えた能力を使わせてもらうよ』

『ちっちっち、ちょっと違うんだよねエレンちゃん。ま、今からの姿を見てもらえればいいかな』

「あ」

「まだ続くわよ」

 俺が嫌な予感を覚え、思わず声を上げると、琴里は違う意味に取ったらしく、映像を止めようとはしなかった。

 そして、その映像の中の俺が突如、光に包まれた。

 光が消えて出てきたのは――――

 そこで、映像が途切れた。

「!? はっ?」

 俺が拍子抜けを感じていると、司令室全体にどよめきが走った。

 琴里も、驚きと疑問が合体した台詞を吐くまであった。

「ちょ、どういうこと!? ついさっきまでこの先の映像まであったでしょう!?」

「落ち着きたまえ琴里。今調べているところだ」

 琴里から操作端末を取り返した令音さんが、何やら忙しなくそれを操作している。何やってるかは知らん。

 言われて多少の落ち着きを取り戻した琴里が立ち上がって声を上げる。

「あなた達は、他の映像や別の角度で捉えていた映像について確認してちょうだい!」

 揃った返答を受けてから、琴里は座りなおした。

「えと、とりあえず、どんな映像だったか教えてもらっていいか?」

「そうね。口頭だから、正確には分からないところもあるでしょうけど、勘弁してちょうだい」

「構わない」

 まあ、何せ当事者ですし。

「端的に言えば」

 琴里は最初にそんな前置きをしてから、口を開いた。

「あなたの姿があの後、見たこと無い少女の姿に変わって、あっさりとエレンを倒したのよ」

 言うほど簡単に倒したのかよ。

 流石、多彩な能力を使っただけはあるな。

「……すまないが、そこら辺は覚えてないな」

 嘘ではない。実際、途中から俺の意識は切れていた。

 ただ、いつから覚えてない、というのを明言していないだけだ。

 この先の映像が無くなっているようなので、その時の分も無くなっているだろう。

「……そう、それならしょうがないわね」

 あっさりと引き下がる琴里。

 まあ確かに、逆転化、琴里達に合わせるなら反転化自体についてよく分かってない以上、期待薄でもあるだろう。

「悪いな」

 覚えてないこと、嘘を吐いたことの二重の意味で、俺は謝る。

「気にしなくていいわ」

「そう言ってもらえると、俺も助かる」

 しっかし、何で映像が無くなった(らしい)んだろうな?

「とりあえず、こっちでこの件は調べておくから、七海はもう帰っていいわよ。そろそろ夕飯の準備もしなくちゃいけないんじゃない?」

「え、もうそんな時間か!? すまん、転送装置を貸してくれ」

「はいはい」

 そして、俺は日も落ちた天宮市に降り立った。

 ……あ、結局お咎め無し?

 

 夜。

 あの後、美九や真那が混ざっていることに驚いたり、急いで夕飯の準備をしたり、修学旅行の思い出話に華を咲かせた後。美九も家に送り、風呂からも上がった後だった。

 リビングで対戦ゲームに熱中している八舞姉妹と真那を置いて、俺は部屋で何をするでもなくぼーっとしていた。

 疲れがあるのか、少しずつ瞼も下がっていく……。

 そんな中、こんこん、と控えめに扉を叩く音がした。その音に、夢と現実の間を彷徨っていた意識を戻す。

『少し、よろしいですの?』

「狂三か。ん、入ってもいいぞ」

 失礼しますわ、と言って、ネグリジェ姿の狂三が部屋に入ってきた。

 微妙に下着が透けて見えるので、全力で視線を逸らしつつ、問いかける。

「どうしたんだ?」

「ふふ、いえ、少々お話がしたかっただけですわ」

 言いながら、俺が胡坐を掻いて座っているベッドに腰掛ける狂三。

「お話、ねえ」

 狂三は何がおかしいのか、くすくすと笑った。

「何だよ」

「あら、気分を害してしまわれたのなら謝りますわ。ですが、やはり」

 そこで狂三は距離を詰めて、

「七海さんは、変わりませんわね」

「まあ、そりゃあ」

 お前と会って一ヶ月程度で、言われる程変わってたら、それはそれで何があった、って感じだと思うが。

 顔が赤くなってんだろうなー、とか場違いなことを思いつつ、俺は狂三の次の台詞を待つ。

「……ねえ、七海さん」

「ん?」

 やや俯いて発せられた台詞に、俺は単純な疑問を返す。

「もし、もしもですわ」

「うん」

「……わたくしが、助けて、と言ったら、七海さんは、手を差し伸べてくれますの……?」

「当たり前だ」

 即答した。

 どこか躊躇するかのような間を置いての狂三の台詞に、俺は間髪無く答えた。

「何だ、何か助けを求めるような事柄でも起きているのか? なら今すぐ行くぞ?」

「あ、いえ、そういうことではありませんわ」

 ただ、と彼女は続ける。

「何時か、わたくしが壊れかけたとき、この手を、差し伸べてくださいまし」

 俺の手を握って、自分の胸に抱えるようにしながら、そんな言葉を狂三は言った。

 俺はその温もりと感触に気を取られている場合じゃないと、無理矢理意識を切り替える。

「ああ、当然」

「でしたら」

 気が付けば、狂三の顔が間近にあった。甘い香りが、鼻腔をくすぐる。

「……、…………!?」

「――――次は、わたくしの番ですわね」

 そう言って顔を離す狂三の顔は。

 窓から射す月明かりの所為だろうか。赤くなった顔も含め。

 ――――ひどく、妖しかった。

 

 

「……ん? 今、七海の身に何か起きた気がしなかった?」

「同意。耶倶矢もですか」

「そういえば、く、く、……〈ナイトメア〉はどこにいやがるんでしょう?」




 なんとなく後書きー。
 説明しよう。このなんとなく後書きとは、ネタ切れを起こした作者が、暇つぶし等の時に行われる、この作品内での設定のキャラになりきって、もとい、キャラを招いてという後書きである。今決めた。
 ということで第一回のゲストは。

「という訳で、どこだここ?」
 ――――気にされなくて結構です。
「気になるわっ!? ってか、今の声誰!?」
 ――――細かいことを気にしていると、老けますよ?
「全然細かくないと思うが……、というか、大きなお世話だ」
 ――――それでは早速。
「話題の転換が無理矢理過ぎる……」
 ――――今回の話についてどう思われますか?
「どう、と訊かれてもな……(『話』……?)」
 ――――何か、思うことでも。
「そうだなー、〈フラクシナス〉で、俺の映像がいきなり切れていたことは、なんとなく楓が関連している気はするが、詳しくは今度聞いてみないとな」
 ――――やはり、そう思われますか。
「そう思うというか、そうしか考えられないというか……」
 ――――それでですね。
「ん?」
 ――――ラストの狂三とのキスについて、どうぞ。
「ブーーーーーーッ!?」
 ――――汚いです。
「あ、いや、すまん。……って、そうじゃなくて!」
 ――――では、どうなんです?
「いや、普通そういうことは訊かないだろ! スルーしてくれるだろ!」
 ――――ここではそれは通用しません。
「酷い場所だ……」
 ――――それで? どうだったんです? 感触とか、味とか。
「味って……」
 ――――…………。
「…………」
 ――――……………………。
「……あーもうっ柔らかかったよ甘かったよこれでいいかっ!?」
 ――――短いです。
「お前が訊いて来たんだ!」
 ――――最後に、これを言ってください。
「何でここはスルーすんだよ……えー何々――――『次回から狂三編! わたくしの番とはどういうことなのか。そして、狂三と七海の出会いの謎は解き明かされるのか! そして真那の出番は無いのだろうか!』……って、おい、なんだこの」
 ――――それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。
「あ、おい、まさかこのまま終わる気じゃねえだろうな!?」
 ――――ではではー。
「ちょ、おま――――」

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