デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 自分敗北宣・言!

 約二週間ぶりです皆様。公立入試に卒業式とあった所為で、長らく更新出来ませんでした。
 待っていて下さった方々、本当に申し訳ありません。

 ということで。
 公立入試、落ちた気しかしません……。
 落ちましたね(確信) (キリッ

 それではどうぞ。


第45話 来禅スクールトリップⅥ

 白い弾が飛来する。

 俺はそれを、しゃがんで避け、そのまま自弾を放つ。

 が、相手は、足元に向かうそれをジャンプで避け、再度、今度は叩きつけるように、撃ち放った。

「くっ……!」

 苦悶の声を上げる俺。なんとか手に持っていた盾でそれを防ぐ。

「まだ当たりませんか」

「まあ……()

 立ち上がり、相手を見据える。

 ノルディックブランドの長髪が目を惹く美女。

 エレン・M・メイザースだ。

「ふははははは! その程度で我らに勝とうなど、百年早――――むぐっ!?」

「驚愕。耶倶矢!」

「ふっふー……、そんな台詞を吐く余裕があるのなら、もっと私たちを楽しませるがいいわー!」

「ほらほらほら、まだまだいっくよ!」

「はっ! 十香ちゃんが後ろから!」

「後ろが空いているぞ!」

 周りからも、そんな切羽詰った声が聞こえてくる。皆、それぞれ頑張っているみたいだった。

 たまに流れ弾が飛来するのを避けながら、自弾を収集する。

 両者が幾つかずつ持ち、数秒。

 辺りの音が聞こえなくなる緊張の中。

 同時に動く。

 今やっているのは、遊びではない。

 言うならば――――戦争。

「はああああぁぁぁぁぁぁッ!」

「そおぉぉりゃああぁぁぁぁ――――――ッ!」

 この争いの名は、今も昔も、おそらく未来においても変わらない。

 この仁義無き争いを人は、

 

『枕投げ』、と呼ぶ。

 

 

 それは突然だった。

 びしゃんっ! という音を立てて、俺らの班が泊まる部屋の戸を開けてきた人物がいる。

 二人だ。

「よし、七海はおるな。七海よ、しばし付き合え」

「……へ?」

「連行。行きますよ。さあ」

「お、おう……!?」

 耶倶矢と夕弦だった。

 夕食の時間も過ぎ、俺らは部屋で大富豪をやってたんだが、彼女達も登場で、急遽俺が抜けた。

 両腕をそれぞれ引っ張る二人に、俺は問い掛ける。

「えと、何かあったのか?」

 こんなに急いでいるということは、それ程の用件があるということだ。

 だから、連行されながら、俺は訊いた。

「ふむ……ここならば、人目も無いだろう」

 しかし、俺の問いに対する答えは返ってこず、どこか不安を覚えさせる台詞が聞こえてきた。

「要求。七海、お願いがあります」

「何だ?」

「今一度、七霞になってはくれないだろうか」

「嫌だ」

 即答した。

「な……、何故だ。我らが頼んでおるというのに」

「嫌っつたら嫌なんだよ! どうしてまた女にならなくちゃならねえんだよ!」

「請願。……どうしても、だめ、ですか?」

 う……。

「か、可愛く言っても嫌だからな」

 目を逸らして言う。

 頑な態度だから、多少の反感を持たれるかと思ったが、予想とは違った。

「思案。……可愛い、ですか?」

「え? まあ、うん」

 それが?

「……喜悦。…………えへへ」

 !

 ん、ああ、そういうことか!成程な。

 まあ、実際にそう思ったので、訂正する気は無いし、気付いてない振りで通そう。

 嬉しそうに笑みを溢す夕弦も、すっごい可愛いし。

 ……惚気だ。あえて胸を張って言うぞ。

「ほ、ほら! 早くするし! そしてとっとと行くし!」

「だぁーもうっ! 分かった。七霞になってやる。なってやるから説明しろ!」

 

「枕投げ?」

「そうだ。亜衣麻衣美衣が言ってきてな」

「同調。元々は夕弦と耶倶矢、十香対、その三人だったんですが、向こうが戦力増強したので、七海を誘いに来ました」

 戦力増強……誰か別の人を誘ったのかな?

「それじゃあ、何でまた、七霞にならないといけない?」

「我らが戦地は、女子部屋ぞ?」

「そうだったな」

 確かに、そこに男のままで行くのは駄目だろう。

 ……あの三人なら、このままでも気にしなさそうだけど。

 まあ、増強したという一般女子生徒にとってはそうじゃないか。

 ……あれ? あの三人は一般じゃない?

 ともかく。

「分かった。ちょっと待ってろ。お前らは、誰も来ないか見張っててくれ」

 了解の返答を耳に、俺は集中し始める。

 と言っても、ほんの一時間も経たずに再試行なので、すぐに終わるかな。

 一応、無害の光を創ってそれっぽくしながら、俺は〈女性化〉した。

「……ん。これでいいか?」

「そうだな。それで、よか、ろう……?」

「? どうした?」

 徐々に首を傾げる耶倶矢だった。

「疑問。……どうして、先程より胸が大きくなってるんですか?」

「む……っ!?」

 さらっと言わないでくれるかなあ!

 しかし、そうか?

「まあ、さっきは焦ってたし、多少体つきに違いが出るのはしょうがないんだよ」

 全く意識してなかったので、言われなきゃ気付かなかったことだぞ、それ。

 というか、

「きっつ……」

 着ている浴衣の胸元を緩める。

 この旅館に備え付けられていた物だ。自由に着ていいらしかったので、ならばと言うことで着ていたんだ。

 だが、膨らんだ胸が、その浴衣と、下に着ている黒地のシャツを押し上げて、変な息苦しさを生んでしまっていた。

「ぬぐぐ……っ」

「ど、どうした、耶倶矢。そんな恨めしそうな眼をして」

 まあ、理由は分かるけども。

 しかし、耶具矢の為にも気付いてない振りで通すとしよう。

「別に! 何でも無いし!」

「そ、そうか……」

 そう言うのなら、放っておくけど。

「催促。さ、早く行きましょう。十香達が待ってます」

 俺の背中を押しながら、夕弦がそう言ってくる。

 案内されながら俺は、追加された女子生徒が誰かを考えてる。

 あの三人は交友が広そうだから、ぱっと思いつく人物はいない。

 というか、こんな時間に連れてこられる、もしくは部屋に訪れるような奴、いるか?

 ……まあ、行けば分かるか。

 

 ということで、部屋に着いた訳だが。

「…………」

 なんか、騒がしい。

 戸は閉まってるのにも関わらず、中の喧騒が漏れ聞こえている。

「え、と……、入っていいよな?」

「うむ。構わぬと思うぞ」

 いくら今は女性化しているとはいえ、心は男なので、やっぱり後ろめたさを覚える。

 だがまあ。

「何か、そこまで緊張することじゃないように思えてきた……」

「質問。何か言いましたか?」

 別に、と返す。

 中から聞こえる声の所為で、緊張するこっちが馬鹿らしくなってきたんだ。

 そうと決まれば、とっとと入るか。

「えー、お邪魔しまーす……」

 恐る恐る、という風に装って、俺は戸を開けた。口調も、女性版に直す。

 俺が入ってきたのに気付いたらしい中の人物達。一様に視線を寄越してくる。

「おー? 七霞さんじゃない」

「もしかして、耶倶矢ちゃんと夕弦ちゃんが連れてきた助っ人?」

「たとえほんの少しの付き合いでも、私達は手加減する気は無いから」

「……む?」

 変なポーズを取りながら、亜衣麻衣美衣が順に口を開いた。

 しかしそんな中、十香は、白の枕を一つ持ったままこちらに歩み寄ってきた。

「どうかしましたか?」

「うぬ? あ、いや、なんだ。一つ訊きたいことがあるのだが……」

 鼻をヒクヒクさせながらのその言葉。俺は、首を傾げて、待ちの体勢となる。

「お主、七海ではないのか?」

「……やっぱり、お前には気付かれるか」

 小さな声で、そうだ、と肯定する。

「やはりな! いや、覚えのある匂いだと思ったのだ!」

 流石。十香の超感覚は侮れねえな。

 しかし、まさかこの状態でも見抜かれるとは思わなかったけど。

「で、十香」

「? 何だ?」

「このこと、内緒にな? 今の俺は、『七霞』って呼んでくれ」

「うむ! 分かったぞ」

 よし、これで十香については大丈夫。亜衣麻衣美衣は誤魔化しが効くから、いいか。

 さてと。

 もう一人、増えた人物が居る筈なんだが……。

「えと、もう一人、いると聞いたんですけど……?」

 俺が訊くと、亜衣麻(以下、亜衣達でいいや)が返事をしてきた。

「あー、その人ならね」

「えーと、あれ? どこ行った?」

「あ。居た。ほら、あそこで俯せになってぐったりしてる人だよ」

「何があったんですか……?」

 そこまでハードだったのかな?

 美衣が示した方向には確かに、一人の女性が倒れていた。髪が長いから、女性で合ってると思う。

 ノルディックブランドの長髪を、ぼさぼさに、しな、がら……?

 ――――ノルディックブランド?

 それを認識した瞬間、俺の左肩が不自然に跳ね上がった。

 アイツは。アイツはアイツはアイツはアイツはアイツは―――――ッ!

「……エレンッ!」

「……ん? 誰か、私の名前を呼びましたか……?」

 むくり、とエレンは起き上がった。

 ぼさぼさになった髪を手漉きで梳かしながら、周囲を見渡す。

 そこで、元々部屋に居なかった俺を認識し、目が合った。

 しばしの沈黙。

 じーっと射抜くような視線を見返しながら、俺は震え出しそうになる左腕を必死で堪えていた。

「対象は男性ですし、他人の空似というものでしょうか……」

 ほ。

 どうやら、勘違いしてくれたらしい。

 まあ、実際のところ全く造形が違うから、元の俺と見抜けられる訳無いか。

 あ、十香は例外な。

「ささ、エレンさーん。第二ラウンドが始まるよー」

「はーい枕持ってー」

「というかまず立ってー」

 亜衣達に促されるままに立ち上がるエレン。

「よし、それじゃあ……」

「枕投げ、再開だー!」

「ちょ、十香ちゃんフライング!?」

 十香の一声で、いきなり再開されたらしい枕投げ。

「え?……え?」

 しかし、流石というかなんというか、俺とエレン以外の奴らは、すぐに適応してきた。

 すぐに、室内が白の塊舞う戦場と化す。

「くくく……さあ受けてみよ! 我らが絶技、白穿風裂弾(ヴァイスグラーベンクーゲル)!」

「挑発。耶倶矢と夕弦がいれば、決して負けることはありません」

 耶倶矢が変な中二ネーミングを披露し、夕弦がそれに付随して追撃を加える。

 チーム分けは既にされているので、各々の目標が決まっている。

 というか、置いてかれた俺とエレン以外で戦闘再開している。

 ……ならば。

 俺は足元にあった枕を拾って、

「……エレン、さん」

 持たされた枕を嫌そうに見ていたエレンに投げつける。

「何です――――むっ!?」

 こちらに視線を向けたその顔面に、ぼすっ、と直撃した。

「…………」

「…………」

 沈黙の後、今しがた撃った枕が地に落ちた。

 それが、合図だった。

「――――フッ!」

「わっ、と」

 投げつけられた白の弾丸を俺はしゃがんで避ける。

 そのまま、相手の足元を狙って自弾を放つ。

 が、相手は、向かってくるそれをジャンプで避け、今度は叩きつけるように、撃ち放った。

「くっ……!」

 苦悶の声を上げる俺。手に持っていた枕でそれを防ぐ。

「まだ当たりませんか」

「まあ……ね」

 さあ、始めよう。

 これは遊びではない。

 

 ――――戦争だ!

 

 ……結局のところ。

 普段と違う場所で、俺もテンションが上がっていたというだけの話かもしれない。

 翌日の朝、疲れ果ててそのまま眠ってしまった女子部屋で、俺はそう思った。




 最早ネタ切れ起こしてますよね。

 早く狂三編に入りたいです。

 前の話の後書きの訂正です。
 二日目は一気に過ぎて、三日目は……? とありましたが、実際にはこうです。
 二日目→主にこっちメイン。
 三日目→帰宅     
         ですね。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 公立落ちてたらどうしよーっ!!

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