デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 そして、色々すいませんでした。

 先日、デアラの5巻を読み返したところ、修学旅行のホテルは火事でじゃなく崩壊。琴里は本来なら〈フラクシナス〉にいないということは分かりました。
 なので、訂正させていただきました。
 よって、遅まきながら、謝らせていただきます。
 すみませんでした。

 それではどうぞ。


第42話 来禅スクールトリップⅢ

「だーりぃーん! 耶倶矢さぁーん! 夕弦さぁーん! こっちですよー!」

 二度目の転送装置使用後、つまり、美九と狂三がいる場所に転送してもらった後、俺らを呼ぶ声がした。

 まあ、俺をああやって呼ぶ奴は、一人しかいないいんだけども。

 見れば、ぴょんぴょん跳ねながら手を振る少女が一人と、その横に佇む少女が一人。

 美九と、狂三だ。どちらも、どうやら水着らしい。

 俺らは一度顔を見合わせ、早足で近づいていった。

「悪い、待たせたな」

「いいえー、そんなに時間は経ってませんよー」

 止まり、そう言う。

 美九の水着は、黄緑っぽい色のレースに、同色と白の……シックンシン・ストライプって言うのかな? それっぽい横縞のビキニタイプ。

 狂三の水着はといえば、

「……なんつーか、すげえな」

「あら、似合いませんの?」

 血のような真紅のビキニに、人目が無いからか、左右不対象のツインテだった。

 水着の布地面積が普通の物よりほんの少し小さいのか、なんつーか、肌色が多い……。

「いや、似合ってるけども。綺麗だけども」

 耶倶矢と夕弦が『超可愛い』なら、美九と狂三は『可愛い+綺麗』というか。

 ほら、〈a×2〉と〈a+b〉の違いというか。伝わるかな?

「えへへー、そうですかぁ。綺麗ですかー。へへー」

 にこにこしながら美九は、俺に身を寄せてきた。

「……あの、美九?」

「はいー?」

「何で、俺の腕に絡むの?」

 今美九は、包み込むようにして俺の腕に絡み付いていた。

 うん、その、なんだ。

 腕にダイレクトに伝わる『アレ』の感触と温度がヤバい……。流石スタイル抜群。

「は、離れんかッ」

「警戒。会って早々、気の抜けない人です」

「あぁんもうー」

 しかしその美九も、耶倶矢と夕弦によって離された。

 ……スイカ、メロン、…………リンゴ?

 はっ、何を考えていたんだろうか俺は。

 ともかく。

 鼻血とかが出なくてよかったと思いつつ、少し残念だとも思ってしまうのは、しょうがないんだ。

 ……しょうがないんだ。大事なことだから二度言っとこう。

 顔の赤さを自覚しつつ、狂三に目を向ける。

「しかし、臨時マネージャーだっけ?」

「ええ、そうですわ。と言っても、要はただの同行人といった感じですわね」

 そうなのか。

 ま、狂三も一緒に来れたんだし、なんでもいいがな。

「えーと、それで? これからどうするんだ?」

「そうですねー……、とりあえず、私と狂三さんに、日焼け止め塗ってくれませんかぁ? 時間が無くてですねー」

「ん。分かった」

「でしたら、向こうに傘やシート等を置いてますので、そちらを用意いたしませんこと?」

 了解。

 皆でその場所に行き、各々の準備を始める。

 ……そういや、時間が無くてとか言ってたな。

 俺らがここに来るまでに、二人で塗る位の時間はあったと思うけど……。

 まあ、色々あるんだろ。

「そういや、今回の旅行先変更、美九が経費の半分を持ったんだって?」

「そうですよー。折角の修学旅行の行き先を変更させていただいたんですからぁ、それぐらいは当然ですよー」

 そんなものなのか。

 俺はパラソルの下にシートを敷きつつ、美九に訊く。

 それじゃあ、

「狂三は、どうやって?」

「えーとですねぇ、マネージャーさんと一緒に話して、友人と一緒に旅行に来たという体ならいいよ、とは言われてありますよー」

 あ、でもー、と美九は続ける。

「ただし、来禅高校の人以外にはなるべく見られないこと、目立たないこと、迷惑をかけないこと、とか言われましたねー。それから、『だーりん』という単語を使わないこと、とかも」

 最後、俺に会って最初に言った単語じゃねえか。

 まったく、守る気あるのかな?

 昴さんも、大変だねえ。

 さてと。用意終わったぞ。

「ふむ、ようやく終えたか。ならば、早々に戯れに興じようではないか」

「あー、先にやっててくれ。俺はこいつらに日焼け止め塗らないといけないから」

「了解。分かりました。早くしてくださいね」

 あいよー、と返事をしつつ、空気を入れたバレーボールを投げ渡す。

 耶倶矢がそれをキャッチするのを横目に、日焼け止めクリームを探す俺。

 さて、どこだ?

「ここにありますよー」

「お、ありがと」

 先に見つけていたらしい美九から、クリームを受け取る。

 俺が探し出した瞬間に来たんだが、用意周到だな。

「それじゃあ、うつぶせに寝てくれ。どっちからやればいい?」

「美九さんからで構いませんわ」

「いいんですかー? それじゃあお言葉に甘えてー」

 ん、美九からか。分かった。

 美九は後ろ手で紐を解いた後、水着を押さえるようにしながら、うつぶせに寝た。

 ……うわー。

 潰れた『アレ』が、なんというか、むぎゅう、といった感じではみ出てるんですけどっ。目の毒だな。でも目を離せないな。

 ……早く終わらせよう。

「えーと、行くぞ?」

「どうぞー」

 頑張って目を逸らしつつ、手に馴染ませたクリームを塗っていく。

 すべすべした感触が、俺の手に伝わってくる。

「んっ……冷た……ぅぁ……!」

「…………」

 な、悩ましい声を上げないでくれ頼むからッ!

 俺の思いが伝わったのか、はたまた単に冷たさに慣れたのか、程なくして美九はこちらに話しかけてきた。

「そういえば、さっきだーりんってぇ……」

「な、何だ?」

 少しだけ振り向いた美九は、こちらを見て微笑む。

「ちょぉっとだけ、私のここ、見てましたよねー?」

 !?

「そんなことある訳無いじゃにゃいか。なあ、狂三」

 やべ、噛んだ。

 腕を動かして、自身の胸を示す美九。

 でもきっと、狂三ならフォローしてくれる筈!

 自分で塗れる場所はやっておこうということなのか、腕や脚にクリームを塗っていた狂三に俺は話を振る。

「ひひ、否定出来ないのではありませんでして? 本当のことですわよねェ?」

 く、狂三さぁぁぁぁぁぁんッ!?

 何てことを言うんだよ! 駄目じゃん。もう、駄目じゃん!

 あー、俺はこれから変態というレッテルを貼られるんだー。終わったー……。

「そ、そんなに落ち込まなくてもいいですよー? しょうがないことと分かってますからぁ」

「やめて。変にフォローしないで。余計傷つくから……」

 いや俺だってね? いくら女顔とはいえ、れっきとした男なんですよ。そりゃ見ちゃうって。しょうがないの。

 大体、男性が女性の胸部を見るのは、成長度合いとか、母性とかを見極める判断基準としてとか、そんな感じの理由が昔からの引き継がれてしまっているからなんだよ。つまりは本能なんだよ。

 ……いやまあ、言えないけどね? こんなこと。

「ほら、終わったぞ。自分で塗れる箇所は自分でやっててくれ」

「ありがとうございますー。ささ、次は狂三さんですよー」

「分かりましたわ。少々お待ちくださいませ」

 言って、どうやら残りの箇所を塗っていっているらしい狂三。

 一分と経たず、それも終えた。

「さて、それではわたくしの背中、よろしくお願いいたしますわ」

「はいよ」

 一度クリームを足し、また馴染ませる。

 その間に、狂三も自分の水着の紐を解き、うつぶせに寝た。

 よし、やるか。

 流石に美九程の破壊力は無いので、少しは落ち着いていられるだろう。

「……なにか、失礼なことを考えていませんの?」

「考えていないぞ」

 鋭っ。

 何で分かるんだよ、まったく……。

 そうですの、と狂三は言った。

 あまり声を上げないので、こっちも変な気分にならなくて済む。

「そういえば、七海さん」

「? 何だ?」

「背中を終えたら、前も塗ってくれるんですのよねェ?」

「はいっ!?」

 ま、前?

 前っていうと、つまり……。

「むーっ、駄目ですよー、だーりん」

 ごく、と唾を飲み込んだところで、美九から声がかかった。

「はっ、そうだな。うん。大体、さっき自分で塗ってたじゃねえか」

 直接は見てないけど。

「あらあら、駄目ですの?」

「遠慮させてもらう。恥ずかしいし」

 精神衛生上にも悪いしな。

「別に恥ずかしがる必要なんて無いですのに。わたくしは別に、気にしませんわよ?」

「そういう問題じゃねえだろ」

 なんだよ、その塗って欲しいという姿勢は。

 いや、ただからかってるだけか。

「ほらよ。終わったぞ」

「ひひっ、ありがとうございました」

「どうも」

 さてと、俺もそろそろ耶倶矢と夕弦の所で遊んでこようかな。

 がりがり、と、胸の中心を掻きつつ、俺はそう思う。

 ほら、なんか白熱しすぎて、ただのラリーなのにボールが見えなくなってるし。何があった。

「? 変な癖ですのね」

「何がだ?」

「そうやって、胸を掻いてましたっけー?」

 ん、ああ、今のか。

 いや、別にな。

「今みたいに、上が薄かったり、もしくは脱いだ状態だと現れるんだよな、この癖」

「というか、どうしてシャツを着てるんですかー?」

「あー……」

 まあ、人目無いし、こいつらになら見せてもいいか。

「えーと、あんま驚かないでくれよ?」

 言って、シャツを脱ぐ。脱いだやつは、畳んでシートの上に置いておく。

「……成程」

「だーりん、それって……」

 狂三からは納得したような声が、美九からは訝しげな声が聞こえた。

 無理もないか。

 細身で、一応は腹筋も割れている程度のこの身体

 でも、胸の中心部分には、そこそこ大きな傷跡があるからな。

「まあ、昔の古傷だ。手術した直後の癖が抜けきらなくて、ある程度着ているものが薄いと、掻いてしまうんだよ」

 別に痒い訳ではないんだけど、と続ける。

 そして、また掻く。

 基本はそんなことは無いんだけど、手持ち無沙汰になったりすると、気が付けば掻いているんだよなあ。

「ほら、気にしなくていいし、とっと遊ぼうぜ」

「……そうですわね」

「よしっ、楽しみますよー!」

 立ち上がり、三人で耶倶矢と夕弦の許へと向かった。

 

「む、遅かったではないか。待ちくたびれたぞ」

「確認。ようやく来ましたか」

 殆ど水平にボールを打ち合っていた二人だが、バシイィッ、という音と共に夕弦がそれをキャッチしたところで、話しかけてきた。

「悪いな。さて、何して遊ぶんだ?」

 俺が訊くと、決まっているといったという風に、返答してきた。

「提案。ビーチバレーで良いのでは?」

「チームは、我と夕弦対、七海、狂三、美九だ。異論は無かろう」

「狂三と美九がいいなら、俺は構わないが……」

 しかし、二対三か。

 いや、二人の運動神経を考えたら、十分か?

 俺がなんとか一人分を超えるとして、狂三と美九二人でもう一人分足りるかといったところか。

「いいんじゃないですかー?」

「わたくしも、それでいいですわ」

「よし。では決まりだ。各々、位置に付けい」

「勝負。手加減はしませんよ」

「あー、待て待て」

 俺は一旦、彼女達を止めた。

 訝しげな視線を受けつつ、その説明をする。

「コートとかが無いだろうが」

「むむ、確かに……」

「だろ? 俺が今から創るから、三十秒位待ってろ」

「疑問。出来るのですか?」

「俺の能力を忘れたか?」

 さ、人はいないよな?

 視界でそれを確認してから、創りだす。

 ネットや、フラッグ等、構成される全ての情報を、一度に……!

 せーのっ!

『おおっ』

 小さな歓声が聞こえる。

 一瞬で創りだしたバレーコートだ。全部、規定に沿ってるはず。

 俺の、()()()の能力は、霊力使わないし、気づかれることは無いだろ。

「ひひひっ、さァすが、ですわねェ」

「まあな。さ、やるか」

 手を振って示しつつ、俺らはチーム毎に分かれる。

 ボールはそのまま使用するとして、審判はいらないか。

「くく……初めより我らが始めてしまっては、もとより零が如き勝率が、さらに下がってしまうだろうて。サーブ権はお主らからにしてやろう」

「いいのか?」

「首肯。どうぞ」

 じゃあ、やるけど。

「とりあえず俺からやるからな?」

 言って、軽くサーブをして、相手コートに入れに行く。

 瞬間。

 耶倶矢と夕弦の目が、キラン、と輝いた。

「夕弦!」

「了解。はい」

 すると、耶倶矢はボールが落下していく地点へ、夕弦はその正面の、ネット手前に移動した。

 ……どう来る?

 俺が身構える先、耶倶矢はレシーブをする。

 弾かれたボールは、真っ直ぐに夕弦に向かう。

「裂帛。とやー」

 気の抜ける掛け声だが、真上にボールはトスされた。

 ……真上?

 少し違和感を覚えるトスの位置に疑問を覚えていると、

「とおぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁッ!!」

 大ジャンプした耶倶矢が。

「……! 来るか!」

 思い、何処に来ても良いように、腰をさらに落とす。

「秘技!旋風墜天撃(ハイトヴィントアインシュトゥーズパルス)!!」

「何だって!?」

 何か、格好いいのか、格好悪いのかよく分からないネーミングが……!?

 ともかく。

 パアァン、という子気味いい音がし、空中から耶倶矢がシュートを打ってきった。……撃ってきた?

 だが、それは俺を狙ったかのような直線上。受けれない道理は無い!

 そう思って構えていると、

「!?」

 ガクン、とでも言うかのように、ボールが。

 落ちた(・・・)

 …………。

「は、はあっ!?」

「よっし、まずは一点!」

「賞賛。ナイスです、耶倶矢」

「いや、今のは我の思考を読めた夕弦がいたからこそ。我だけの力ではない」

「否定。ですが、耶倶矢でなければ出来なかったことでもありますよね」

「そんなことはないぞ」

 照れたような表情になる耶倶矢。

 あの後、綺麗に着地し、向こうコートでは今のような会話が繰り広げられた。

「もー、何してるんですかー。一点取られちゃいましたよー?」

「いやいや、あんなの止められるかって。見ただろ? ボールが落下したの」

 見れば、ボールは砂を削って半ば埋もれていた。

 ど、どんだけ回転がかかってたんだ?

「これはこれは、少々侮っていたようですわねェ」

「確かにな」

 俺と狂三の目に、火が灯る。

「え、えー? まさか、勝つつもりなんですかぁ?」

「勿論」

 当たり前だろう。

「くかか! どうした。その程度では無いだろう? もっと我らを楽しませい!!」

「嘲笑。意外とへっぽこぴーですね。これなら楽勝かもしれません」

「――――七海さん」

「――――狂三」

 思考を合わせて。

「行きますわよ」

「行くぞ」

 こっからは、決闘だ。

 

「えーと、私は、向こうで休憩の準備をしておきますねー?」




 狂三の口調が安定しない……。

 大人しい時ばかり書いていた為か、髪を結った(ちょっと過激的になった)時の口調が全く分からなくなってしまいました。
 どこか『……?』など思う箇所がありましても、気にしないでやってください。

 耶倶矢が使った秘技(笑)のネーミングですが、適当にドイツ語を引っ張ってきただけですので、ダサいのは勘弁してください。お願いします。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 ……気が向けば、狂三の口調を大人しい時Verに戻します。

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