デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 私立前期入試終わったー!二重の意味でー!

 ということで、一昨日入試だった息吹です。
 どう思いますか。倍率25倍越えですって。あら怖い。そんなの無理じゃないですか。
 単純、一クラス約2人。多めに取るとしても、精々5人前後。
 ……ふっ、終わったな……。
 国語は安定してるでしょうが、数学はケアレスミスが少なくとも2つは確定。英語は半分いってない可能性。
 え? 理科と社会?
 ――――知らないですね。

 それでは、どうぞ。


第40話 来禅スクールトリップ

「えー、急遽、修学旅行の行き先が変更になりましたぁ」

 

 タマちゃん先生は、そう言った。

 

 

 俺の誕生日パーティーを終えた、翌日。月曜日。今はホームルームの時間である。

 あれから俺達は、日付が変わっても騒ぎ続けた。

 いやー、もう夜中のテンションということでハイになっちまって、食べて遊んで騒いで。

 四糸乃なんかは途中で寝てたけど、それ以外の奴らは起きてた。

 マリオ○ートやス○ブラでトーナメントやったり、新たにケーキ作ってみたり。色々やった。ご近所さんから苦情が来なかったのが不思議なくらい。

 ということで、眠い。猛烈に。

 これで今日の授業は最後だし、ホームルームだし、もう寝ようかな。

「くく、未だに虚無の軍勢から逃れきれておらぬようだな、七海」

「虚無の軍勢……ああ、睡魔か」

「指摘。耶倶矢も、先程寝てたではないですか」

「べ、別に寝てなんかないし!気のせいだし!」

「涎の跡付いてるぞ」

「うそっ!?」

「嘘」

 ごしごしと口元を拭っていた耶倶矢が、俺の一言にジトーっとした視線を返してきた。

「な~な~み~」

「あ、先生が来たな」

 今にも飛び掛らんと構え始めた耶倶矢だが、俺がそう言うと、ばっと姿勢を戻した。

「忠言。それも嘘みたいですよ」

「……こんにゃろー!」

「ぬわぁっ!? ちょ、本当に飛び掛ってくんな!って、頭から落ち――――痛あッ!?」

 ゴン、と鈍い音が教室に響いたが、俺の姿を見た生徒達は、一様に目を逸らして、またそれぞれの談笑に戻っていった。

 く、薄情な奴らめ。

 まあ確かに、傍から見ればただじゃれあっているだけなんだけども。

 でもさ、頭から椅子から落ちたら、心配ぐらいしてもいいんじゃないかな。

 痛む後頭部を擦りながら、落とした張本人である耶倶矢を睨む。

「……ふんっ」

 そっぽを向かれた。

 ま、その内戻るだろ。どうせ日常の一コマだ。

「心配。大丈夫ですか?」

「ものすごい鈍い音がしたんだけど……」

「気にすんな」

 数少ない、心配してくれる声を掛けてくれる夕弦と士道に、手を振って答える。

 たかが椅子の高さぐらい、別にどうってことない。

「……しかし、先生遅いな」

「ん、確かに」

 ホームルームの時間が始まって数分。未だに先生の姿は無い。

 まあ、だからこそ、さっきみたいに遊んでるんだが。

「ご、ごめんなさぁい。ちょっと色々確認事項があってぇ、遅れちゃいましたぁ」

 と、丁度いいタイミングで先生が教室に入ってきた。

 いや、何に丁度いいのかは分からないけども。

「それじゃぁ、今からホームルームを始めまぁす」

 そして、学級委員の号令で、ホームルームが始まった。

 そんな中、タマちゃん先生は、まず初めに、こう言った。

「突然ですけどぉ……」

 つまり、

 

「えー、急遽、修学旅行の行き先が変更になりましたぁ」

 

 と。

 

 

「先生ー、それってどういうことですかー?」

 殿町が、高く手を挙げて、クラスの皆の疑問を代弁した。

 ま、無理もない。

 修学旅行まで十日も切ったというのに、いきなり行き先変更の話が出たら、そりゃ疑問に思う。

 勿論、俺も。

 期末テストの時に何も無かったから、てっきり行き先は沖縄だと思っていたからな。

「えぇと、実は先日、学校に電話があってですねぇ」

「電話?」

「はい。内容は、喋らないでと言われたので、言えませんけどねぇ」

 ざわざわと、教室がややざわめく。

 しかし、電話、ねえ……。

 原作では、本来泊まる筈だったホテルが、ちょっと崩壊事故を起こしてしまった、だったっけ。

 それに比べたら、随分と大人しい理由だが、やはり少し警戒してしまう。

 即ち――――DEM社の関与を。

 最近は、エレンとかとも会ってないし(会いたくもないし)、何もしてこなかったんだけどな。ついに動き出すのか?

「それで、どこに変更になったんですか?」

 再度、殿町は質問をする。

 生徒達は、落胆よりも、まだ疑問の方が勝っているみたいだな。

「えぇと、或美島、です」

 その言葉に、「或美島?」「ほら、観光地として有名じゃん」「でもグレードダウンしてるよね」といった会話が漏れ聞こえ始めた。

 まあ、俺としては、もしかしたら、とは思ってたけども。

 行き先変更といったら、そうなるだろうな、って。

「でもでも!悪いことばかりじゃないんですよぉ」

 はて、何があると言うのか。

 生徒達の視線を一身に浴びながら、タマちゃん先生は言葉を続けた。

「具体的には言えないですけど、なんと、お忍びで、とあるアイドルさんがやって来るそうなんですよぉ。しかも、皆さんの為だけに!」

 ……アイドルさん?

 皆もそれが誰か分かってないのか、近くの人達とこそこそと推測し合っている。

「せんせーい、もっとヒントくださーい」

 今度は殿町じゃない別の生徒が、手を挙げた。

 最初、先生は断ろうとしていたみたいだが、皆の待ちの姿勢に気付いたのか、うっ、と言葉を詰まらせた。

 ひとしきり目を泳がせた後、口を開く。

「……三つだけですよぉ?」

 そう先生は前置きして、

「えー、女の子でぇ、スタイルが良くてぇ、歌がとぉっても上手い子です」

『そりゃアイドルだもんな!』

 クラスの大合唱に、教室の窓が震えた。気がした。

 いやまあ、それ殆どのアイドルに当てはまることだし。ツッコまれてもおかしくないな。うん。

 しかも、俺みたいな、そういう、俗世に疎いとでも言うのかな? 美九を例外として、そういうのをあまり知らない奴にとっては、それは実質のノーヒントである。

 ……美九?

 えー、女の子。当てはまるな。

 スタイルがいい。あいつのプロポーションは抜群だな。

 歌がとっても上手い。確かにあいつは他のアイドルより一線を画しているだろうけども。

 ……全部あてはまるな。

 いやいや、そんなことは無いだろう。当てはまる奴なら、美九の他にも沢山いるだろうし。

 うーん、と一人で唸っていると、前からタマちゃん先生の声が。

「それじゃ今から、改訂版のしおりを配りますのでぇ、ちゃんと読んどいてくださいねぇ」

 ……帰ったら聞いてみるか。

 

「――――ということで美九。一つ訊きたいことがあるんだが」

 家に帰ると、美九がソファに座って雑誌を読んでいた。耶倶矢と夕弦は、部屋で着替えてきている。

 ま、丁度いいな。

「何ですかー?」

「お前、来禅高校に電話したか?」

 単刀直入に訊いた。

 ま、恐らく否定されるか、誤魔化されるかだろうな。

「はいー、しましたよー。正確には、やったのはマネージャーさんですけどぉ」

 あっさりと肯定されてしまった。

「……理由は?」

「だってぇ、お留守番なんて寂しいじゃないですかー。七海さんたちは、もうすぐ修学旅行なんですよね?」

「竜胆寺女学院だって、修学旅行があるんじゃないのか?」

竜胆寺女学院(うち)は規則とか多くて、例年つまらないみたいなんですよねー」

 そんなこと俺に言われてもな。

「となると、お忍びで来るっていうアイドルも……」

「はい、私ですよー」

 ああ、頭が痛くなってきた。落ちた時の頭痛がぶり返したのかな。そんなことはないか。

 しかし、寂しいから、という理由で仕事を休んで付いて来るか? 普通。

「本当、何でだよ……」

「だってぇ、少しでもだーりんと一緒にいたいですしぃ」

「それは嬉しいことだけども、やりすぎだろ」

 ん? よく考えてみれば、実際はそこまで規模は大きくないのかな?

 ……いや、美九が休んだ仕事のことを考えれば、決して小さくはないか。

「くく、よいではないか。その方が愉しくなろう」

「歓迎。いらっしゃいです、美九」

「あ、どうもー」

 着替え終えた耶倶矢と夕弦は、美九に挨拶をした。

 さて、二人が戻ってきたなら、俺も着替えようかな。最近暑くなってきたし、少し汗ばんでんだよな。

「じゃあ、俺も着替えてくるから、ちょっと待っててくれ」

「早く戻ってくるのだぞ」

「承諾。分かりました」

 言って、リビングを後にする。

 自室として割り振った部屋で私服に着替えていると、突然、プルルルッ、と携帯が鳴った。

 急いで着替え、電話に出る。

 相手は……琴里? 一体何の用だ?

「もしもし?」

『もしもし?七海?』

「ああ」

『急にごめんなさいね。ちょっと、あなたに渡したい物があって』

 渡したい物?

「何だ?」

『なに、忘れちゃったの?プレゼントよ、プレゼント。ほら、渡すのは今日だって言ったでしょ?』

「あー、そういやそんなこと言ってたな」

『ということで、今から外に出なさい。用意してあるから』

「あいよー」

 そこで、電話が切れた。

 ま、プレゼント渡すだけなら、すぐに終わるだろ。

 俺はリビングに戻り、三人に声を掛けておく。

「なんか琴里がプレゼント用意したって言うから、ちょっと貰ってくる」

「ぬ、それなら我らも行こうではないか」

「同行。夕弦も、何を渡されるか気になります」

「それじゃぁ、私も行きますー」

「……ま、いいか」

 結局四人で行くことに。別にいいけど。

 ……そういや、外に出なさい、って言ってたよな。

 そこは普通、直接持ってくるか、家に来なさい、じゃないのか?

 いや、普通に言い間違えたのかな。もしくは、迎えに来たとか。

 精霊マンションから、隣の五河家へと向かう。

「あら、全員来たのね」

「まあな。なんか付いてきた」

 そこには、玄関先で立つ、琴里がいた。

「ちなみに、こっちにも同行人がいるのだけれど」

「同行人?」

 誰だ?

「――――わたくし、でございますわ」

「ひあああぁぁぁぁっ!?」

 突如として襲ってきた冷たい感触に、思わず声を上げる。

「ふふ、女の子のような悲鳴ですのね、七海さん」

「くくくく狂三っ、どっから湧いてきた!?」

 そこには、いつの間にか隣にいる、狂三の姿があった。

「どうかしたか、七海?」

「疑問。今、女性のような悲鳴が聞こえましたが……」

「もしかしなくても、だーりんじゃないんですかぁ?」

「なんで俺だと分かるっ!?」

 いやまあ、俺以外に声を上げる奴がいないけども。

「と、狂三ではないか。お主、かの家におったのか」

「ええ、お帰りなさいませ、耶倶矢さん、夕弦さん。それに美九さんも、ごきげんよう」

「返事。ただいまです、狂三。琴里も、こんにちは」

「こんにちはー」

「ん、いらっしゃい。と言っても、家に用があるわけではないわ」

 どうやらようやく気付いたらしく、遅まきながら耶倶矢と夕弦、美九は、狂三と琴里とに挨拶を交わした。

「ホント、お前どこにいたんだよ……」

「そこの陰に隠れていましたわ。そして、七海さんが来た瞬間、ふーっと」

「……暇なの?」

 ふふ、と狂三は笑う。

 しかし、俺を驚かせる為に、物陰に隠れる狂三……。

 ……はっ、少しだけ、可愛いと思ってしまった。

 ともかく。

「で、琴里。わざわざ外に呼び出した理由って何なんだ?」

「付いてきたら分かるわ。なに、すぐそこよ」

 そこ、という物言いに疑問を覚えつつ、歩き出した琴里に付いて行く。

 そして付いたのは、

「……精霊マンションの真正面じゃねえか」

「だから、すぐそこと言ったでしょう?」

 そうだけども。

 …………。

「なあ」

「何かしら?」

「ここに、こんな家あったっけ?」

 そうなのだ。

 見覚えの無い建物が、そこには建っていた。

 一戸建ての、二階ぐらいまでの高さを持つ、普通の家。

 帰ってくる時は気にも留めなかったが、今にしてみると、不思議だ。

「知らないのも無理はないわ。なんせこの家、今日建てたんですもの」

「……はい?」

 待て、今、おかしなことが聞こえたぞ。

 何、『今日建てた』?

 その家を見上げる他の四人を尻目に、琴里に視線を向ける。

「嘘じゃないわ。〈ラタトスク〉の技術を以ってすれば、普通の家ぐらい、半日ちょいで建てられるのよ」

「マジかよ!?」

 えー、そんなトンデモ技術持ってんのかよ、〈ラタトスク〉。

 ……ん?

「何で、〈ラタトスク〉が?」

 ちょっと、疑問に思うな。

 どうして、わざわざ〈ラタトスク〉がこの家を建てたんだ?

「簡単よ。――――(これ)が、私たちからのプレゼントなんだから」

「…………えー」

 感謝より先に、驚きよりも強く、呆気に取られた。

 まさかの、家。

 すっげえ、誕生日プレゼントで家貰うとか、どうなってんだろ俺。

「家具類は後日運び込むとして、他の娘達に説明よろしく」

「いやお前がやれよ」

 まあ、やりますけどね。

「耶倶矢、夕弦、美九、狂三」

 玄関の近くを見て回っていた四人を呼ぶ。

「ということで、この家が俺らの新しい家らしい」

 正確に言い始めると、美九は自分の家があるから、俺、耶倶矢、夕弦、そして居候中(一応、そういうことになっている)の狂三、だけどな。

「脈絡が無いぞ」

「請求。説明を求めます」

「えーと、なんかプレゼントとして家を貰ったので、家具類を後日運んだら、ここが家となる」

「ほえー、随分を大きなプレゼントですねー」

「まあ、流石に四人であの精霊マンション一室は手狭でしょうからね」

「良いのではありませんの? これといって、不都合があるわけでもございませんでしょう?」

「まあな」

 さて、後は。

「真那からは、琴里から連絡しといてくれるか? そっちで暮らしてるんだろ? 今」

「わかったわ」

 よし、終了。

 これからどうすっかなー。

「あれ? 七海? 琴里に、他の奴らも。何してんだ? 十香たちはいないみたいだけど……」

「あ、お帰りなさい、士道。十香たちなら、中にいるわよ」

 ただいま、と士道は返事をしつつ、俺らに不思議そうな目を向けてくる。

「いや、今琴里たちからプレゼントを貰ってな」

「プレゼント?……ああ」

 どうやら思い出したようだな。

「ま、家な訳だが。知ってたんだろ?」

「まあな」

 どうやら士道は買い物帰りらしく、その両手に買い物袋をいくつか提げている。

 というか、少し買いすぎ?

「い、いやー、ちょっと特売やってて……」

 俺の視線に気付いたのか、士道は苦笑いを浮かべる。

「所帯じみてるな」

「はは……」

 俺は士道から二つの袋を奪い、五河家へと足を向けた。

「悪いな。よかったら、今日の晩飯、いっしょに食べないか?」

「いいのか?」

「まあな。ほら、具材に余裕はあるし」

 誘ってくれるなら、俺は受けるけど。

「どうする? お前らも、それでいいか?」

 一応、他の奴らの意向を聞いておく。

「別に構わぬぞ」

「首肯。いいんじゃないでしょうか」

「私もいいんですかー?」

「ふふ、それでは、お邪魔しますわね」

「おう、いらっしゃい」

 となると、今日は鍋にでもするのかね。

 暑いけど。




 たまに、主人公が眼帯着けていることを忘れる……。

 さてと、今回は修学旅行編です。要は水着回です。はい。
 いや、そもそもそれ以外に修学旅行で書く内容というのが思いつかなくてですね。

 あ、そういえば、友人に言われ、『残酷な描写』のタグを追加しました。
 どうやら、第28話の左腕喪失とか、第32話あたりの鬱表現は、付けるに値するそうで。
 まあ、保険ですね。

 ふふ、受験の合格発表にガクブルな自分ですが、転科合格ありますし、期待することにしましょう。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 ……そういや、狂三の水着って何色なんだろう? 黒? 赤? はたまた白?
 よければ回答お願いします。(これはアンケートとは見做されないんでしょうか)

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