デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 久し振りに『ポケモン+ノブナガの野望』にはまってました。何故。

 ということで、本来ここで終わる筈だった誕生日回4話目です。なかなか終わりません。
 ここで1つ、変更点のお知らせをしておきます。
 作中において、6月5日が水曜日の場合、7月7日って多分日曜日になるんですよね。というか、『狂三スターフェスティバル』って、何曜日でしたっけ。
 なので、バースデー編中の、日にちに関する部分を、この話投稿後、少しずつ変更しておきます。(この話含む)
 あまり大きな問題ではないですか、一応。

 それではどうぞ。


第38話 七海バースデーⅣ

 ということで放課後。

 豪華というか、豪奢というか、そんな感じの言葉が思い浮かぶ家の前に、俺はいた。

 誘われたとおり、美九の家に遊びに来たのだ。

 着替える為に家に帰るのは時間がかかるので、制服のままである。

 ここに来たのは、実はまだ二回目だったりする。

 とりあえず、インターホン押すか。

 少し探してそれを押すと、すぐに返答があった。

『はいー?』

「あ、美九か?七海だけ――――」

『だーりん!来てくれたんですねー!ちょっと待っててくださいねー、すぐに行きますからぁ』

「お、おう……ゆっくりな」

 そして、通話が切れた。

 さらに数秒後、視線の先で玄関が開けられたのが見えた。美九が中から出てくる。

「お待たせしましたぁ。どうぞー」

「お邪魔しまーす」

 わざわざ近付いてきてくれた美九に付いていくように、俺は美九家へと入った。

 そのまま、リビングへと案内される。

「今紅茶でも淹れますねー」

 キッチンへと消えていった美九。

 手持ち無沙汰に、俺は室内を見渡してみる。

 この前来たのは、俺が死のうとしていた時だった。

 あの時は、じっくり見るような心情じゃなかったから、実質初めての気分だ。

 可愛らしい小物や、名も知らない花が活けられた花瓶が置いてある。

 そんなことを続けていると、美九も戻ってきた。

「はい、どうぞー」

「あ、ありがと」

 渡されたカップを手に取り、一口飲んでみる。

 夏場だからか、アイスティーだった。

 ほ、と一息つく。

 隣を見れば、美九も同じようにまったりしていた。

「んで、今日は何か用でも合ったのか?」

「いえいえー、そういうことではありませんよー。ただ単に、だーりんに会いたかっただけです」

「そ、そうか……」

 め、面と向かって言われると、大分恥ずかしいな……。

「あ、でもぉ」

 美九は、何かを思い出したかのように、ぽんと手を打った。

 ん?やっぱり何か用事でも?

「琴里さんから聞いたんですけどぉ、だーりんって、七日が誕生日なんですかー?」

「まあ、そうだな。七月七日、七夕が俺の誕生日だ」

 その日に生まれたから、俺の名前は『七』海になったとかなってないとか。いやなったんだけど。

 その所為でよく女と間違われたりもしたが、今は少なくなったし、もう慣れた。

 ……無くなった、ではなく、少なくなったと言わなければならない実情とも言えるが。

 ともかく。

「それが?」

「もうっ、どうしてそういうことを言ってくれなかったんですかぁ。もし知ってたら、明日のライブや、それまでの仕事をお休みしましたしたのにー」

「いや、仕事はしろよ」

「だーりんの誕生日の方が大事に決まってるじゃないですかぁ」

「そうかあ……?」

 そうは言うけどな、実際のところそうでもないだろ。俺の誕生日なんて。

「今からでも出場をやめることにしましょうかねー。夏風邪を引いたとでも言えば……」

「だからちゃんと出場はしろって」

「でぇもぉー」

「でもじゃない」

 ぶー、と頬を膨らましてくる美九。子供か。

 折角顔出しもして、人気爆走中なんだ。さらに人気を得るための機会を、たかだか俺の為に棒に振る必要はない。

「それじゃあ今から、プレゼントを買いに行きませんかー?」

「やめろ。今から行ったら、帰りが遅くなる。明日ライブなんだろ?だからやめておけ」

 でもまあ、その気持ちだけでも嬉しいのも確かな訳で。

「それじゃあ、明日のライブ、大成功させてきてくれよ」

「ふぇ?」

 俺が提案すると、変な言葉が返ってきた。

 だからな?

「俺はその気持ちだけで嬉しい。なら、プレゼントとして、お前の最高の歌を聴かせてくれ。テレビ中継もされるのか?」

「え、えーと、されると思いましたよー?」

「んじゃいいか」

 それなら、リアルタイムで見られる訳だ。

 明日やるべきことを頭の中に組み込んでいく俺。そういや、日曜日は五河家にてパーティーだっけ。

 再度アイスティーを口に含む。

 ……うん、冷たくて美味しい。

「そ、そんなことでいいんですかー?」

「そんなこととか言うなよ。言うならば、俺の為に歌ってくれるんだろ?そんなこと、なんかじゃないさ」

 苦笑いしながら、俺は言い返す。

 しょーがねー奴だな、まったく。

 ぽんぽん、と頭を撫でながら、俺は言う。

 座ってても、実際のところ美九の方が背は高いんだが、大して変わらないし、撫でたいから撫でるの。

「楽しみにしてるからな?お前の最高の歌」

「……はいっ!」

 美九は、顔を綻ばせた。

 

 どうせなら、狂三も誘ってみよう。

 ということで、耶倶矢と夕弦は一度、精霊マンションへと戻ってきていた。

 鍵を開け、リビングへと向かうと――――

「あ、お帰りなさいでいやがります」

「お帰りなさい、耶倶矢さん、夕弦さん」

 ソファに斜向かいに座る、真那と狂三の姿があった。

「あ、うん、ただいま」

「返事。ただいまです」

 …………。

「――――って、なんであんたがいんのよぉぉぉっ!?」

「驚愕。真那さん、でしたよね?なぜ、あなたがここに?休養中の筈では」

「まあ、色々あったんでやがります」

 ばっ、と答えを求めて狂三を見やるが、微笑を返されただけだった。

 説明する気が無いのか、単に知らないのを誤魔化しているだけなのか。

 二人がなぜこんなに驚いてるのかというと、二人は知らなかったからである。

 ――――真那が、ここのことを知っていると。

 あくまでも、ただの魔術師(ウィザード)と思っていたのだが、ここのことを知られているとは。

「あ、大丈夫ですよ。誰にもここのことは言わねーですから」

「そ、そうであるか……」

 そう言うのなら、信じるしか他あるまい。

 そこで二人は、本来の用事を思い出した。

「そういえば、御主らに尋ねとうことがある」

「質問。七海の誕生日についてですが」

 夕弦の言葉に、狂三も反応を示した。

「七海さん、もうすぐ誕生日なんですの?」

「うむ。幾つか月が沈み、再び陽昇れば、七海の生誕の時ぞ」

「首肯。七日です」

「七日でいやがるんですかっ!?」

 真那が、驚いたように口を開ける。

 思わず、といった風に、身を乗り出すまであった。

 その反応に驚いて瞬きしていると、ほんの少し顔を赤く染め、静々と戻っていった。

 気を取り直して。

「提案。ということで、どうでしょう?一緒にプレゼントを選びに行きませんか?」

 訊くと、

「ええ、それなら、早く買いに行った方がよろしいですわね」

「行きます。どこまででやがりましょう?」

 どうやら、一緒にプレゼント選びに付き合ってくれるらしい。

「かか、では、早速()の魔城へと参るとしよう」

「案内。それでは、行きますか」

 

 耶倶矢と夕弦は出る前に私服に着替え、四人でショッピングモールへと来ていた。

 先日、二人が選んでいたブースに案内し、各々がプレゼントを選び始める。

 その間、何度かナンパだと思われることをされたが、気にしないでいると何処かへと去っていってしまった。

 ということで、先日と同じように、懊悩タイムに入る耶倶矢と夕弦であった。

「……狂三は、決まったの?」

「一応、目処は立ててありますけれど、決定はしていませんわね」

 もう、女王様のような芝居がかった口調も、どこかに置いてきたかのように普通の口調の耶倶矢。

 今は耶倶矢と夕弦、狂三の三人で行動中である。

 真那は、ここに着くなり、

『ちょっと行って来るでやがります。気にしないで選んでいてください』

 と言って、何処かへと行ってしまった。

 もしかすると、プレゼントは決まっていたのかもしれない。

 それもあって、どうも焦ってしまう。

 というか狂三も、候補はあるから二人を助けようという善意で一緒にいるだけであろう。

 勿論、耶倶矢と夕弦だって、これがいいんじゃないか、という物はある。

 だがそれが、七海が喜んでくれるかというと……。

「溜息。微妙なところですしね……」

「? 何か言いまして?」

「否定。いえ、お気になさらず」

 そんな二人を見ている狂三。

 彼女は気付いていた。

 この二人が、七海に贈るということを、大きな課題として考えていることに。

 実際問題、七海なら自分たちがたとえ何を贈ろうと、絶対に喜んでくれる。それは分かる。なぜなら七海だから。

 しかし、そんな単純なことに気付かない程、この二人は考え過ぎているのだ。

 だがそれが、七海への好意故であることも、狂三には分かっていた。

 だから一言、助言することにしよう。

「――――耶倶矢さん、夕弦さん」

「ん?どうかした?」

「返事。何でしょう?」

「そんなに重く考えなくてもよろしいんですのよ?」

 指を立てながら、狂三は口を開く。

「お二方に、アドバイスをしてさしあげますわ」

 いいですの?

「七海さんはおそらく、贈られる物については、あまり拘らないと思いますの。ならばいっそのこと、相手が何を喜ぶか、ではなく、相手に贈りたい物、を選ぶのもありだと思いませんこと?例えば、ネックレス等のアクセサリー類などはいかがでしょう?」

 狂三のその言葉に、最初きょとんとしていた二人だが、徐々に喜色に染まっていく。

 こころなし、キラキラし始めた四つの眼。

「く、狂三!」

「平伏。狂三さん」

 なぜ夕弦は、さん付けになっているのか。

「私らに、もっと教えて!」

「懇願。さらなる助言、よろしくお願いします」

 キラキラというか、キラッキラな眼をした(意味が分からない)耶倶矢に、頭を下げる夕弦。

 二人のその言葉を聞いた狂三は、

「え、えーと……」

 頬に一筋の汗を垂らしながら、困ったように言い淀んでしまった。

 素直に言おう。

 ――――ちょっと、予想以上だった、と。

 

 真那が、自分が贈る分のプレゼントを買い終え、先程他の三人と別れた場所に戻ってくると、

「な、何があったんでいやがりますか……?」

「ああ、真那さんですの……。いえ、別に……」

 あの〈ナイトメア〉が、疲れたような表情をしていた。

 常に人を食ったような態度なので、こんな姿を見るのは初めてだ。

 だがまあ、それを言うなら、一緒に買い物に行っていること自体がおかしなことなのだが。

「お、ようやく戻ってきおったか。どうだ、目当ての物を手に入れることは叶ったか?」

「はいです。勿論、買ってきましたよ」

「確認。それですね」

 それ、とは、今真那が持っている袋のことだ。

 狂三とは対照的に元気な二人。頷きを返す。

「そういうお二人も、もう買っていやがるので?」

 確か、ここに来る途中から、ずっと何を買おうか悩んでいた筈だ。

 だから、もしかするとまだ悩んでいるのかもしれないと思っていたのだ。

 だが、返答の内容は肯定だった。

「おうとも。やはり我が振りし神の采配は、間違っておらんかった」

「首肯。狂三がいて助かりました」

 ……本当、何があったのだろうか?

「……一応、お疲れ様、と言ってやるでいやがります」

「ふふ、ありがとうございます、真那さん」

 いつの間にか、自分の名前を呼ばれることに不快感や嫌悪感を感じなくなったなと思いつつ、時間を確認する。

 見れば、どうやらもうすぐ七時になる頃。

「ふむ、もうこのような時か」

「帰宅。そろそろ帰りましょうか。真那さんも、一緒に」

「え、私もいいんでやがりますか?」

「当たり前ではありませんの。少なくとも七海さんは、真那さんも一緒だと思っていると思いますわよ?」




 さて、なんだかんだで一番この話が誤魔化しづらい……。

 ということで、あと1、2話で終わると思います。
 まあ、今まで何回も同じような事言って、実行できた試しがないんですけどね。駄目じゃん。
 一体、狂三と八舞姉妹は、どんなことをやったんでしょうね。
 そして、それぞれが買ったプレゼントとは。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 さ、少しずつ修正していかないと。

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