俺がASTの前に降り立つと、向こうから話しかけてきた。
「先に問う。彼方は何者だ?」
問いかけてきたのは、リーダー格の若い女性だ。少なくとも、俺が知らないということは、原作で出てきてない奴だな。
しかし、何者だ、と言われてもな・・・
「・・・一般人?」
それ以外に何と答えろと言うのだ。
「背中から翼生やした人間が、一般人とでも?」
おー、恐っ。威圧感がすげぇ。
ま、もとより本気で言ったわけでもない。
「そんなことはどうでもいい。お前らは、あいつらに銃口を、刃をむけるんだろ?」
そう、俺が誰かはどうでもいい。問題なのはあいつらに敵意を、殺意を向けるかだ。
「当たり前だ。精霊は殲滅すべき存在。生かす理由もない」
「・・・・・・そう、か」
殲滅すべき存在、生かす理由もない、ねぇ。
・・・ふざけるな。
殲滅すべき存在?嬉しければ笑い、悲しければ泣く、人間となんら変わらない奴らだというのに?
生かす理由もない?お前らは、ただ意味がないからという理由で、誰かに殺意を向けるのか?
・・・ああ、やばい。『いつ何時でも冷静に』を忘れるな。
冷静になれ。冷静に冷静に冷静に・・・
大丈夫。怒りに身を任すことなんてない。その代わり考えろ。今、何をすべきか。簡単だろ?
――――――目の前の敵を倒せ。
「・・・なら、俺は、お前らと敵対することになる」
「そうか。なら―――」
目の前の彼女の判断は早かった。
「―――お前も、死ね」
瞬間、彼女は俺に肉薄し、自身のレーザーブレードを展開。俺の首元を狙う。
周りのASTも、すぐに反応を示した。大半は、俺にミサイルやら銃弾を撃ち込む。
しかし、その中にも何人かは八舞の方へ向かう。
バチィィィィッッッッ!!
結果、生じたのは眩い閃光と、耳を劈くような音のみ。
俺はというと・・・
「・・・こんなものか」
その場から一歩も動かずに、いや、身動き1つとらないでいた。
目の前に転がっているのは、先ほどのASTの隊員。
「が、あ・・・な、何が・・・起き・・・た・・・?」
意識が朦朧としているのか、途切れ途切れに紡がれていく言葉。
何が起きたか、簡単なことだ。
なら、もう1回やって見せよう。コツはつかんだ。
俺は、何が起きたか分からずに、呆然としているAST達の一角。耶倶矢と夕弦の方に向かっていた奴らに手を向ける。
そして、イメージ。今度は炎といこう。
直後、俺の手のひらから、炎が噴き出す。
「・・・!よ、避けろ!」
本能的な直感か、守るではなく、回避を選んだ彼女らは、すぐに炎の軌道上から避ける。
いい手だ。だが、相手が俺じゃなかったらな。
俺は、向けていた手を、手のひらが上になるように軽く捻り、軽く握る。
そして、開く。
この2回で、動きをつけた方が、方向性なんかがイメージ、制御しやすいことに気付いたことによる動きだ。
そういや、なんかの本で技名もイメージ言ったほうがイメージ固まりやすいってあったな。次からはそうするか。
俺が放った炎は、手を開いた瞬間、一気に散らばる。流石に、これは予想できなかったのだろう。その周りのAST隊員達に直撃する。
「うあああああああ!!」
「きゃああああああ!!」
悲鳴を上げながら墜落していく隊員達。
そんな彼女達を見ていた、ほかの奴らが、やっと我に返る。
「総員、かかれ!」
かかれも何も、既に攻撃開始していましたよね?お前ら。
ま、こっちも仕事をしますか。
えーと、動きと技名ってところか。・・・名前が中二っぽくなってしまうのは致し方ない。
俺は、また片手を突き出し、そしてイメージ。方向は、手を中心に全方向。勿論、俺には当たらない。というより、逸らせるといったほうが正しいか。
「喰い尽くせ、『雷獅子』!」
イメージとしては、雷の獅子。まんまだな。
だけど、威力は絶大っぽい。当たった奴らが吹き飛んでいる。
あ~、武器も欲しいかな。よし創ろう。
イメージは、やっぱあのゲームからかな。
俺は右手で何かを掴む動作をする。
すると、出てきたのは身の丈ほどもある一振りの、両剣、と言うやつだ。
真ん中が持ち手になっていて、その両端に刃が付いている武器だ。
俺が生み出したのは、未だに出したままの翼にも似た、いろんな部分から(と言うほど多くはないが)光の粒子のようなものが溢れている物だ。
元ネタは、『ファンタシースター』。やってて良かったとマジで思う。
めんどいし、これでいくか。
俺は、それを手にして、ようやっと起き上がりだしたASTの隊員達に突撃する。
「はあっ!!」
気合一閃。剣を振る。俺がイメージしたものだから、重さはそうでもない。だけど、丈を誤ったな。小さいのか、少しやりにくい。別にこのままでいくけどさ。
俺は、両剣の広い攻撃範囲を活かして、一気に何人もの隊員を斬りつける。
しかし、向こうも向こうですぐに顕現装置を展開して防御する。が、それじゃ甘い。
「焼き尽くせ、『焔嘩閃』!」
どっかで、聞いたことあるなとは思うが無視で。
俺は、一歩下がり、両剣を何度も振りぬく。
その度に、その剣の軌跡から先ほどよりも細く、濃い炎が奴らに向かう。
「ぐ・・・!」
最初の数発は何とか避けたものの、まだ、『雷獅子』のダメージが抜け切ってないのかすぐに当たる。
彼女らは、無数の火傷跡を残しながら、倒れていった。もう、戦えないだろう。死んではないと思うが。
「後ろが、がら空き、だ!」
毎回思うが、何でそういうことを言うかねお前らみたいな奴らは。隙を突きたいなら黙っとけよ。
あとな、やりにくいとはいえ、別に後ろだからって隙にはならないからな?俺は?
直後、すぐ後ろで音が途絶えた。
「・・・絶対零度の凍てつく世界で、眠れ」
成程、技名だけでなく、その後に言う台詞でもイメージしやすいんだな。・・・無駄に中二チックなのは気にしないで。お願い。
さ、気を取り直して、最後の一撃といこうか。
俺は空中へ飛び立つと、追いかけてくる他の隊員達へ向かって、両剣を振り上げ、叫び、振り下ろす!
確か、【最後の剣】と【終焉の剣】は出てるから・・・。
「『破滅の剣』!!」
まずもって剣じゃないんじゃ?とか、最後、終焉ときてなんで『破滅』?とか、中二病乙wwとか言わないで。お願いします。お願いしますからぁ!
自分でもイタいのは分かってんだよ!傷口に塩を塗りこまないでくれよ!
・・・さて、俺がイメージしたのは、あの『最後(もしくは終焉)の剣』だ。
だから、振り下ろした軌跡をなぞるようにオーラ?的なものが向かう。
避けることすらできなかったのだろう。こちらに向かってきた残りの隊員たちは皆、直撃し、墜落していった。
しかし、ものすっごい手加減して、地面が壊れないようにしたのにあれか。やべえな。あまり使わないようにしたほうが良いかな?
さて、全員片付けたし、あのリーダー風の人のところに行きますか。
彼女はすぐに見つかった。ま、あんまり動いてなかったし、ほぼ真下にいた。さっき凍らせた隊員は『破滅の剣』の余波の所為か、近くに倒れていた。周囲に氷の残骸があるから、多分そうだと思う。
「じゃ、撤収してくれるよな?」
既に怒りは収まっている。だから、こんなに普通に話せる。
うつ伏せに倒れていた彼女は、俺の声を聞くと、こちらに視線を向けてきた。
「・・・お前は、何者だ?」
また、最初と同じ質問。
だから、やっぱりこう答えるんだ。
「一般人さ。少なくとも、お前らとは敵対する、ね」
彼女はそれを聞くと、何も言わずに立ち上がり、周りの倒れている奴らに少し驚いた表情をしたものの、すぐに叫ぶ。
「総員、撤収しろ・・・!」
悔しいのか、すこし、声が力んでいた。
まさかの、撤収命令に他の奴らは驚いていたものの、1人、また1人と何処かの駐屯所に戻っていく。
ま、確かに、ASTって基本、精霊を逃がしはしても撤収はしないからな。
全員がいなくなったのを確認してから上を見上げると、丁度、耶倶矢と夕弦が降りてくるところだった。
さて、次はこっちを相手に頑張りますか。
書いた後になって思いますが、最後のほうになるにつれ、台詞や地の文がワンパターン化していますね。気にしないでいただけると。
次の次あたりで、詳しい能力解説を入れると思いますので、気になる方はしばしお待ちを。