デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 うわーっ!もうすぐ受験だうわあぁぁぁぁぁッ!!

 頭を抱えたくなるような問題が、刻一刻と迫ってきています。
 ということで、バースデーⅢ。駄文率高いですね。4話ぐらいで終えるつもりが、まだまだ終わりそうもないという、ね……。

 それでは、どうぞ。


第37話 七海バースデーⅢ

「はっ……はっ……はっ……はっ……」

 翌日。まだ涼しさの残る七月の朝、荒い呼気を俺は吐く。

 時刻は五時過ぎ……ぐらい。詳しくは分からん。

 俺は今、絶賛走り込み中である。

 理由は、自己鍛錬。

 俺が目を覚まして数日経ってから、俺はこうして、朝は町内を走っている。

 距離にして約十キロ。なかなか長いが、身体能力の上がっている今じゃ、ペース配分にさえ気を付けていれば、そこそこきつい、程度に感じる。

 とまあ、そんなある朝なわけだ。

義兄(にー)様っ!」

 残り数キロというところで、突如として後ろからかけられた声に、俺は思わずバランスを崩す。

 な、何だいきなり?

「朝から走力とは、いい心掛けでやがりますねっ」

「ま、真那!?何でここに……今五時過ぎだぞ?」

 振り向けば、やはり真那がいた。ペースを落として、並ぶのを待つ。

「それを言ったら、義兄様もではねーですか」

「そりゃそうなんだけども」

 軽口を叩き合いながら、真那の少し先を、先導するように俺は走る。

 しかし、昨日の今日で、どうかしたのか?

「……で?また俺に何か?」

「いえ。ちょっと見かけたので、一緒に走ろうかと思いまして」

 まあ、陸自のトップエースって呼ばれるぐらいなんだから、そこそこ鍛えてはあるんだろうけど。

 でもだからと言って、わざわざ俺を見かけたからって。

 ……見かけたから?

「見かけたって、こんな朝早くに走ってる俺を?」

 それじゃあまるで、俺に会うために朝早くから起きていたって風に聞こえるんだが。

「あ、そういうことではねーです。〈フラクシナス〉で映像を見たということでいやがります」

 そういうことね。

 でも、それでも一緒に走るという発想には至らないと思うけど、ま、考えても仕方ないか。

 個人的には、それよりも言いたい案件はあるし。

「……んで、真那」

「何でいやがりましょう、義兄様」

「その『義兄様』っての、止めてくれねえかな?」

 俺がそう言うと、真那は『がーん』とでも付きそうな表情になった。

「な、何ででいやがりましょうっ!?」

「いや別に、嫌という訳ではないんだけど」

 でもまあ、一応言っておくか。

「お前の兄は五河士道なんだろ?別に俺は真那の義兄であることに不満は無いが、それでもお前の中での優先は、五河士道であるべきだ」

 言い方が悪かったな。

 俺が『義兄様』と呼ばれるのはいいんだ。

 だが、昨日言ってた……にーさま階級?とやらでは、俺が一個下であるべきで、五河士道を一番にすべきだと思うんだ。

 そう言い添えると、少し真那は考える素振りを見せた。

「……分かりました。今度、兄様と話をしてみるです」

「おう、そうしとけ」

 そんな会話をしている内に、残り数キロをもうすぐ走破するみたいだな。スタート地点である精霊マンションが見えてきた。

 ほんの少しだけペースをあげ、残りをダッシュ。真那も、やや遅れてはいたものの、付いてきていた。

 ……よしっ、ゴール。

 走り終え、急に止まると身体に危ないので、近場をぐるぐると歩いて落ち着かせる。

 持ってきてた携帯で時間を確認すると、大体五時半ぐらいだった。

「ふう……、で、どうする?家で飯食っていくか?狂三いるけど」

「むっ、〈ナイトメア〉でやがりますか……どうしましょうかね」

「俺的には、お前らに戦ってもらいたくないんだけど。これからも」

 誰かに殺意を向けるなんて、向けられるなんて、気持ちのいいことじゃない。

「それは無理でいやがりますね」

 しかし、真那は俺の言葉を一刀両断にした。

「……どうしてか、聞いても?」

「〈ナイトメア(アイツ)〉は、能動的に人を『喰らい』ます。ですから、生かしておくわけにはいかねーんですよ。本来なら、今すぐにでも斃しに行きたいところなんですが――――」

「俺が止めるからな」

「……で、やがりましょう?」

 まあな。当たり前だ。

 でも、言ってる事は本当のことだしなあ。

「と言っても、ここ数年、〈ナイトメア〉が原因だと思われる殺人や行方不明はねーんですよね」

「そうなのか?」

「はいです。私が〈ナイトメア〉を追い始めた時には、アイツは誰も殺さなくなっていたでやがりますよ。あれ?追い始めて少ししてからでしたっけ?……ここら辺は曖昧ですね」

「…………」

 俺は、無言だった。

 また、だ。

 ――――狂三に対する、原作との相違点。

 前聞いた分では、殺した数は数百人、『悪しき精霊』と呼ばれている、ということを知った。

 そして今、ここ数年は誰も殺していないということを知った。

 ……どういうことなんだ?

 どうして、ここまでの相違が出てくるんだ……!?

「……様?義兄(にー)様?」

「……ハッ。す、すまん。ちょっと考え事してた」

「そうでいやがりますか」

 とりあえず、いつか狂三に聞いてみるか。

「んで、どうする?朝食、一緒に食おうぜ?」

「……まあ、どうしてもと言うなら」

「ん、分かった。くれぐれも、戦闘を始めないでくれよ?」

「分かってるに決まってるでやがりましょう」

 

 六時。

 そろそろ狂三が起きてくる時間だ。八舞姉妹は、朝食の少し前に起こしに行く。

 あの後家に戻った俺らは、順にシャワーを浴びて、並んで朝食の準備をし始めた。

 真那は着替えを持ってきていなかったらしいので、とりあえず上は俺のシャツを貸して、下はそのままで我慢してもらっている。

 〈フラクシナス〉に連絡して持ってきてもらおうと思ったんだが、真那が、

『朝ご飯の準備の方が先決ですっ』

 と言ったので、成り行きでそのままの格好だ。

 個人的には、汗もかいただろうし、着替えればいいのにと思う。

 というか、サイズの違いの所為で、一見すると裸ワイシャツに見える。サイズを間違えて買ってしまった、俺でも大きいものを貸してしまったというのも、一因ではあるだろうけど。

「……あら?今日は特殊なお客様がいらっしゃいますのね」

「お、起きたか狂三。おはよう」

 狂三が起きてきた。

 おはようございます七海さん、という言葉を聞きつつ、残りの用意を終わらせていく。

 でも、狂三と真那からは目を離さない。

 ……お、この卵、黄身が二つ入ってやがる。

「……〈ナイトメア〉」

「ふふ、おはようございますわ、真那さん」

 既に着替えている狂三は、自身の服のスカートの裾を軽く摘んでみせる。

 完全にわざとやってるようにしか見えん。

 ったくよお。

「お前ら、喧嘩はすんなよ」

「あら、心外ですわ七海さん。わたくしは別に、そんなことをするつもりはありせんもの」

「大丈夫ですよ義兄様。真那も、自制していますから」

 義兄様、という言葉に狂三が眉を(ひそ)めたものの、これといって訊かれはしなかった。

「ほら、もうすぐできるから、真那はテーブルの上にあるものを片付けてくれ。適当に寄せるだけでいい」

「了解でやがります」

「狂三は、耶倶矢と夕弦を起こしてきてくれ」

「わかりましたわ」

 はあ、とりあえず分けることは出来たけど、どうせすぐに戻ってくるしなあ。

 そんで、耶倶矢と夕弦にも真那のことを話しておかねえといけないし。

 今日の朝は、なんか長く感じるよ……。

 

 学校。

 真那に合い鍵を渡して、俺と耶倶矢、夕弦は学校へと向かった。

 正直、狂三と真那を二人っきりにはさせたくなかったんだが、その為に学校を休むわけにもいかない。

 一応、強く念押しはしておいたけど、大丈夫かなあ?

 ……ま、なるようになるさ。

 それよりも先に、話しておきたい奴がいる。

「なあ五河士道、ちょっといいか?」

「? 七海?」

 先に来ていた五河士道だ。

「昨日、真那が来たんだが」

 単刀直入に俺が言うと、五河士道は、ああ、と言って何かを思い出したようだった。

「そういや、ちょっと前に話したな。ってことは、もう知ってるのか?」

「知ってるも何も、既に終わっていますけども」

「あ、あははー……」

 苦笑いする五河士道。

 やはり、お前は知っていたのかよ。真那がやりたかったことを。

「とりあえず、そのうちお前の所に来る筈だから、ちゃんと話しておいてくれよ」

「え、どうして俺の所に来るんだ?」

「俺がそう言っておいたから」

 そう言い残し、じゃあな、と手を振って席に戻っていく。

 席に座って、ぼーっとしていると、

「!……っと」

 突然、携帯からメールの着信音が小さく聞こえた。

 やべっ、マナーモードにしてなかったか。

 慌てて取り出し、受信したメールを開く。本来は持ってきては駄目なんだろうが、先生の目が無い今がチャンスだし、持ってきてる奴は他にもいるし。

 そんなことを思いつつ確認すると、差し出し相手の欄には、『美九』と書かれていた。

「なんだろ……?」

 疑問に思いつつ、本文を確認。件名にあった『愛しのだーりんへ』という文はスルーしておこう。

「――――へえ」

 内容を要約すると、こうだ。

 どうやら、今日の午後はオフなので、良ければ遊びに来ないか、ということだな。

 何か色々と装飾されていた文だったので、簡潔にまとめさせてもらった。

「んじゃあ、分かった、放課後遊びに行く、と」

 小さく呟きながら、返信する。

 今美九は、先月に顔出しを解禁したことから、人気急上昇中のアイドルとなっている。

 そんな忙しい中、オフというのなら遊びに行くのもいいだろう。

 そうだ、耶倶矢と夕弦はどうすんのかな。

 俺は隣で十香と歓談していた二人に声をかける。

「なあ耶倶矢、夕弦」

「む、どうした?」

「返事。何でしょう」

「放課後、美――――あー、そうだな、遊びに行かないか?」

 この場で美九の名をそのまま出すのは危ないと思ったので、咄嗟に言い直す。

 まあ、遊びに行かないか、でも合ってる筈だ。

「くく、確かにそれもまた一興かもしれぬ。が、今日も我らは赴かねばならぬ場所があるゆえ、我らはそちらに向うことにしておる」

「遠慮。今日も買い物に行きたいので、やめておきます」

「ん、そうか。分かった」

 また今日も買い物か。

 ……俺のプレゼント選びか?

 もしかして、昨日からずっと悩んでいるのか?だから、選ぶのが今日に持ち越されたのかな。

 別に、そこまで悩まなくてもいいのに。

 それじゃあ、美九の所には、俺が一人で行くか。

 んじゃ、と言って、二人は十香と、いつの間にか増えていた亜衣麻衣美衣たちとの歓談に戻る。

 俺は、亜衣麻衣美衣に無理矢理会話に入れられたりしたな。

 そうして、今日も学校が始まっていく。




 お、終わらない……。

 次が美九登場と、狂三と真那に七海の誕生日を知らせること、ですかね。
 そして、その次回が誕生日会やって終わり、の筈です。予定では。
 ですがこの世には、予定は未定という格言が……すみませんちゃんとやります頑張ります。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 バースデーが終わっても、修学旅行が待ち構えてるぜッ!

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