デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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思えば、デアラ以外にもこの作品のネタにしたものってたくさんありますね。
この話か、次をみればわかるかと。


第2話

『情報の有無を改変する能力』だってさ。俺のこの世界に来たことによって生じた能力。

 効果とかについては、頭に直接入ってきやがったからな。最初、少し焦ってしまった。

 で、効果の説明といこう。

 要は、何かを作り出したり、消したりするってことだな。『何か』を作り出すのは簡単。その作り出した『何か』を消すのも簡単。ただし、もともとあった『何か』を消すのはすっごい難しい。キツい。それが、規制。

 しかも、作り出せるものは、自由自在。炎を纏った剣も良し。氷で出来た盾も良し。何でもありだ。

 つまり、その、そこに『有る』という情報+その『付加情報』=作り出す『何か』だ。

 なんで消すのは難しいのかは、知らん。規制かなんかだと予想しているが。

 ということで、

「今からやるのは、『鬼ごっこ』だ」

 勝負内容。それは、鬼ごっこだ。ルールはここでは割愛してもいいだろう。

「鬼ごっこ?本当にそれでいいのか?手加減はせぬぞ?」

「驚愕。夕弦達のことをあそこまで知っておきながら、それを選ぶとは」

 あそこまでって。対して特別なことなんて無いけどな。

 ま、元の世界で最新刊までの内容を知っているからな。一応。

「ああ。構わない。分かって挑んでる」

 これで勝ちさえすれば、こちらの優位性を立証できる。

「ふん。我らに、速さでの勝負を挑んだこと、すぐに後悔してやるわ」

「承諾。では、開始しましょう」

 うし、いっちょやるか。

「じゃ、俺は10秒待つ」

 俺の予想が正しければ、こいつらは・・・

「我らにそんなに時間をやっていいのか?」

「ああ」

「了承。では、始めましょう」

 ああ、『俺たちの戦争(デート)を始めましょう』ってな。

 勝算は、微妙。勝率も、微妙。でも。0じゃぁない。

 

 まずは1秒。

 開始早々、二人は空中へと飛び立つ。流石、精霊界一の機動力。速え。

「あーー・・・」

 過小評価してたつもりは無かったんだが。

 本で読むのと生で見るのとじゃ違うってことかな。もうあんなに小っさい。

 だけど、俺の推測どおりなら。

 次に2秒。

 まだ飛び続ける二人。対となる鎖付きの錠。

 まるで、それは二人じゃなく、一人の八舞という精霊だ。

 あ、そういえば、あいつらはもとより、同一人物なんだっけ。

 こちらはまだ1/5しか経ってない。でも、動くのはルール違反。

 3秒。

 いきなり。そう、いきなりだ。彼女たちは止まった。

 そして、顔を合わせてひとつ頷く。すると、こっちに戻ってきた。その間、約1秒足らずといったところか。

 どうやら、俺の認識できる限界速度も引き上げられてるらしい。

 元の世界じゃ、絶対に把握出来てないな。速すぎて。

 それで、5秒。

 彼女たちは言う。

「ふん。流石に我らが飛び続けると、貴様じゃ何処に行ったかも分からんだろう」

「首肯。ということで、ここで残りの時間、待ってあげます」

 推測どおり。

 彼女たちは、勝負は大好きだが、一方的なものは好まない。それが俺の推測したこと。

 だから、ある程度経つと、戻ってくるだろうと踏んではいた。

 だからこその10秒。彼女達が何かを話すのも込みでの時間。

 9秒。

 俺は何も言わずに、ただ、口端を上げてニッと笑う。

 ―――直後、背中から翼が生える、いや、顕現する。

 八舞の対の翼が基礎になっていて、形は翼というより、装飾の域。

 ところどころから、光の粒子のようなものが溢れるようになっていて、まるで、とあるゲームのようだ。

 ま、それもイメージしていたから当たり前だがな。

「!なんだ、それは・・・!」

「驚愕。びっくりです」

 へへっ、作戦成功って感じ?

 さ、10秒経ったぞ?もう、スタートするからな?

 そして、俺は地面を蹴って、二人への元へと飛び出す――――――!

 0.5秒。まだ驚愕から抜け切れてない。

 さらに、0.3秒程。こちらを認識したっぽい。目の焦点がこちらに合う。

 そして、0.7秒程で逃げ始める。

 ほう、反応速度がすげえ。こちらが飛び出して、あちらが逃げ出すの1.5秒だぞ?

 そして、『鬼ごっこ』が始まった。

 

 実力は僅差・・・だと思いたい。

 だけど・・・

「ふはは!そんなものか!大見得切った割にはそうでもないな!」

「嘲笑。はやく追いついてみなさい」

 くそっ、あいつらは話しかける余裕すらあるのに、こっちは追いかけるのに必死だってのによ!

 けど、ここで必死こいてる姿みせる訳にはいかないしな。

「はっ!余裕ぶってる割にはぜんぜん距離が開かねえじゃないか!」

 逆に言えば、差も埋まってないってことだけどな・・・

 最初の0.5秒分の差。これが埋まらない。

 つまり、二人と俺の速度は一緒ってことなんだが、それじゃ駄目なんだよなあ・・・

 かれこれ一時間ぐらいか?この勝負。時計もないし、風景も嵐でわかりゃしないし。

 どうやら、ここら辺一帯からはあまり離れないで、逃げているらしい。俺がいた場所が見える。

 そんな時だ。知っているけど、あまり聞きなれない音・・・警報?それが聞こえた。

 ・・・あ、もしかして、

「総員、攻撃開始!目標、識別名〈ベルセルク〉!及び正体不明の精霊だと思われる者!」

 やっぱり、ASTか!

 となると、さっきのはやっぱり空間震警報!目標は俺らか!

 しかし、何でここが分かった?・・・あ、そういやここら辺一帯で、勝負したんだっけか。

 どうやら、速すぎてこちらを狙えてないみたいだが、一応、言っておくか。

「おい!二人とも!」

 俺が、そう呼びかけると、

「む?何だ?」

「質問。何でしょう?」

 よし、こっちに応えてくれた。

 俺らは、未だ『鬼ごっこ』をしながら、叫ぶ。

「一時、勝負は中止!休戦だ!」

 ASTがいるのに、勝負は続けきれない!あっちをどうにかしねえと!

「?何でだ?」

「疑問。意味が分かりません」

 どうやら、あっちは分かってないらしい。

「あいつらを、どうにかしたい」

 俺が止まると、向こうも、すぐに止まった。大体1秒後ぐらいに。

「あいつらは、ASTといって、精霊たちを殺そうとしている組織だ」

 多分、二人ともあいつらのことを知らないだろう。説明も忘れない。

 ということで、二人が何かを言う前に行きますか。

「お前らはここに居ろ。俺はあいつらを倒してくる」

 勿論、嘘だ。別に俺がいなくても、二人なら何とかするだろうしな。

 本当は、自分の能力をもっと練習したいだけだ。さっきから、翼の顕現と操作しかしてない。

 俺はそう言い残し、すぐさま体の向きを反転させASTの元へ突撃する。

 さ、本当の『勝負』を始めよう。




作中の『とあるゲーム』ですが、ヒントとしてはファではじまって、ルもしくはンで終わるゲームです。PSPとPCであります。
次の話で、正解が出る筈です。

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