デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 えー、流石に話題が無いですね……。

 今回、前々回のあとがきに書いてあることを守る為に、やや急展開というか、無理矢理というか、そんな感じになってしまってます。すみません。

 書くことも無いので、それではどうぞ。


第25話

「ふむ……」

「どうしたんだい、エレン」

「ん、アイクですか。いえ、少し興味深いものを見つけまして……」

「興味深いもの?」

「ええ。少し前に確認された、霊力を感知できない精霊、〈ディザスター〉のことです」

「ああ、あの。……だけど、エレンが興味を持つなんて、その精霊に何かあったのかい?」

「そうですね……。先程まで、〈ディザスター〉の映像を見ていたんですが……」

「それで?」

「どうやら、〈ディザスター〉は日本の天宮市にいる様子。そこは、数ヶ月前に〈プリンセス〉も確認された場所」

「ああ、許可するよ」

「……まだ、何も言っていません」

「はは、すまないね。でも、そこに行きたいんだろう?」

「……感謝します。ただし、アイク。貴方も一緒に行きますよ」

「ああ構わないとも。それに、君が興味を持ったという精霊を、僕も見てみたいしね」

 

 週明け。

 今週末は、急遽狂三の生活必需品等を買いに行くことが決定されたので、土曜に予定していた耶倶矢と夕弦とのデートは先送りとなってしまった。本当に申し訳ない。

 日曜は、フラクシナスに行って、傷の再治療。おかげで傷跡も残らなかったが、一日中艦内にいた。なんとか夕飯時には戻ってこれたが。

 その時ついでに、狂三―――――ラタトスクに合わせるなら〈ナイトメア〉―――――について聞いてきた。

 結果分かったことはといえば、真那が言っていたことは全て真実だったということ。

 一応、前の世界での狂三の情報を教えたが、逆に不審がられた。

 なんで俺が知っている情報と、今この世界での狂三の情報が違うのか考えてみたが、やはり答えはわからない。

 ただ、はっきりしていることが一つだけあった。

 即ち、俺が関係しているということ。

 八舞姉妹を例とすれば、俺が関係したことで、様々な場面での差異が出ていた。だから、今回もそうじゃないかとは思っている。

 しかし、俺と狂三に、接点は無かった。

 だからこそ、理由がわからないんだ。

「はー……」

「疑問。どうかしましたか?」

「ん、いや、何でもない」

 思わず漏らした溜め息に反応して、夕弦がこちらを覗き込むように話しかけてきた。

「ふん、七海よ。折角我らと共に学び舎まで向かうというのに、溜め息を()くとはいい度胸だな」

「わ、悪い」

 今俺らは、学校へと登校している最中だ。

 耶倶矢たちがまだ寝ている頃、朝食や弁当の準備をしていた俺の次に起きてきた狂三は、今はどうしているだろうか。

 まあ、やることがあると言っていたし、昼食も作り置きしてある。心配はないだろう。

「……悪いな、ほんと。今週末、埋め合わせするから」

 俺が言っているのは、延期になってしまったデートのことだ。

「かか、なに、たとえ時が延びようと、その分我らが歓楽を味わえるよう図ればいいのだ」

「約束。今週末こそ、絶対にデートしましょう」

「ああ」

 とまあ、そんな会話をしつつ、俺らは歩いていく。

 

 確か来禅高校って、進学校の筈だったんだけどな……。

 意外と簡単な授業を終え、帰宅の準備をする。

 さて、今日は平穏に終わった。

 ……今日『は』とか言ってて悲しくなる。

「んじゃ、帰るか」

「うむ」

「返事。わかりました」

 クラスメートの女子と談笑していた耶倶矢と夕弦に声をかけると、そんな返答がきた。

 少し離れ、その女子生徒に別れを告げるのを待つ。

 しばしの後、こちらに来た二人を連れて教室を出た。

 そして、靴箱を出て、校門へと向かう。

 しかし……。

「?やけに騒がしいな」

 その校門の付近に、人だかりが出来ていた。

 なんだなんだ。

 不審には思うものの、帰る以上そこを通るので、近くに行くこととなる。

 人を分けて外へと出ようとする途中、

「あ!そ、そこの人に用があったんですよー」

 ん、どうやらこの人だかりの中心というか、原因の人が何かを言ったようだ。周りが騒がしくて何て言っているのかまでは聞き取れなかったが。

 まあ、俺には関係ない。どうせすぐにここも抜けるだろうし、後ろに付いてきている筈の耶倶矢と夕弦と一緒に早く帰ろう。

 そう思っていると、突如、人がいなくなった。

 いや、正確には、人が俺らから離れたのだ。

「……?」

 あたりを見渡すと、どうやら俺らを遠巻きに見る名前も知らない生徒たち。

「やっと見つけましたよー、『だーりん』っ」

 疑問に思っていると、声と、右腕に柔らかい感覚が。

 ぶわぁっ!!と、なんか冷たい汗が出てきた。

 だって、なあ?この声、聞いたことあるんだもん。

「み、みみみ、美九……!?」

「はい、美九ですよー?どうかしましたか?」

「こ、これは、その、どういう……?」

 右側に視線を向ければ、ニコニコした表情の少女の顔が。

 美九だった。

 実は俺よりも美九の方が身長が高いので(といっても、2センチ程だが)、必然的に、顔と顔の距離が近くなっている。

「忘れちゃったんですかー?まったくだーりんは忘れんぼさんですねー」

 くすくすと笑う美九。

 俺としては、今現在この状況についていけてないし、後ろから怒気を感じるし、なにより美九のこの態度に激しい疑問を生じさせていたので、逆に笑ってしまう。ずいぶんと固まった笑みだが。

「こんな所で立ち話もなんですし、どこかへ行きましょうかぁ。あ、耶倶矢さんと夕弦さんも一緒にどうぞー」

 と言うやいなや、俺の腕を掴んだまま歩き出した美九。勿論、行き場所なんて知らない。

「ま、待たぬか!我らは何も……って、聞いてないし!」

「追跡。追いかけますよ、耶倶矢」

「分かってるし!」

 

 ある程度歩き、人がいなくなったところで美九は手を離した。突き放すように、だが。

「とっとと……」

「勘違いしないでくださいよー?あくまでもあれは、あの場から逃げるための演技ですからねー?決して、決っっして、勘違いしないように」

 わかりましたかー?と訊いてくる美九に、はいはい、と適当に返す。

 後ろを見れば、耶倶矢と夕弦も追いかけてきていた。

「ったく、人が面倒なら、お前の声でも使えばよかったのに。たとえASTが来ても、俺が撃退できるし」

「一度はしたに決まってるじゃないですかぁ。でも、何回やってもそのうちまた集まってくるので、流石に面倒になりましてー」

 さいですか。

 ともかく、

「……で?一体何の用だ?」

 ようやくやって来た耶倶矢と夕弦を背に、俺は問いかける。

「はっ、そうでしたぁ」

 忘れてたんかい。

「そのー、今日も家にお邪魔したいんですけどぉ、良いですよね?」

「え?……別に俺は―――――」

「ふ、不許可に決まってんでしょ!」

「拒否。今日は駄目です。というより、今日も駄目です」

 俺の声に被せるように、後ろの二人が声をあげる。

 ……あ、あー、成程。

「確かにお前ら、美九に苦手意識持ってたもんなあ……」

 そういや先週末、俺がフラクシナスに行ってる間に、美九の『愛情』表現に付き合わされたんだったな。

 それが起因して、今の言葉になっているのだろう。

「んなこと言わずにさ。今日は俺もいるし、折角こんな所まで来てくれたんだから、家にぐらい上がらせてもいいだろ?」

 諭すように、説得を試みる。

「む、むう……七海が、そう言うのなら……」

「……承諾。わかりました」

 ふう、よかった。意外にあっさりと引き下がってくれた。

 そういや、何で美九は俺らが来禅高校って知ってんだ?

 ……先週美九と会った時、俺や後ろの二人は制服だったからか。

「んじゃあ、行く?」

「はいー」

 ということで、色々あったが、家に帰るか。

 おそらく、今日の餌食は……。

 

 狂三。

 だと思ったんだけどなあ~……。

「い、いないし……」

 家に戻ると、狂三の姿はなかった。

 買っておいた狂三用の物品はあるが、今日中に戻ってくるかな?

 手洗いうがいの後、美九をリビングに呼ぶ。

 まあ、着替えるのは後ででいいか。

「あれー?あの黒髪の美少女はいないんですかー?今日は彼女を存分に愛でたかったのに」

「……予感、的中」

 小さく呟く。

 一応、客間を覗いてみるか。

 戻ってきた八舞姉妹を置いて、客間へと行ってみる。

 扉を開け、中を覗くが、その姿は無い。

 ただし、声をかける。

「……ただいま。美九が帰ったら呼びに来るから、それまでは好きにしていてくれ。なんなら、こっちに来ても構わない」

 言って、扉を閉める。

 なぜ声をかけたか。

 理由は簡単だ。

 部屋に狂三の姿はなかった。代わりに、影があったのだ。

 それはきっと、狂三が中にいる影。

 その場にずっといたのは、どこかに行く必要が無いから、ずっと動かなかったからか。

 だから、声をかけておいたのだ。

 さて、やることはやったし、美九の監視をしておきますかね。

 そう思い、リビングへと入る。

 すると、

「お、七海、丁度良い。携帯が鳴っておるぞ」

 入ると同時にかけられた耶倶矢の声に、俺は急いで鞄のもとへと向かう。

 携帯は、ちょっと前に買ってきたやつだ。ちなみに、同じ機種の色違いを耶倶矢と夕弦にも買ってあげた。

 見れば、相手は、

「……琴里?」

 どうしたんだ?あいつから電話をしてくるなんて珍しい。

 そう思いつつ、再度部屋を出て、電話に出る。

「もしもし?どうした?」

『七海ね?』

「ま、まあ七海だが」

 やけに焦った第一声だな。

『今から言うことを、ちゃんと聞きなさい』

「?」

 電話越しでは俺の疑問は伝わらないのか、無言を促しと受け取ったのであろう琴里は、一気に喋りだす。

『今天宮市に、所属不明の空中艦が向かって来ているわ。一応、フラクシナスでも迎撃態勢は整えているけど、何があるか、何の目的かも分かっていないから、十分気をつけてちょうだい』

「……で?」

『それだけよ。そっちに〈ディーヴァ〉や〈ナイトメ……いえ、狂三、でしたかしら?まあ、その二人の霊力を感知しているから、くれぐれも危険の無いようにしなさい』

 言われなくても分かってる。

 でもな、琴里。

「……自身に降りかかるかもしれない火の粉、いや、炎は、消去するのは当たり前だろ?」

『言うと思ったわ。なら、耶倶矢や夕弦もどうにかしなさいよ』

「ああ」

 それじゃ、と言って、電話を切る。

 さてと、一旦リビングの戻るか。

 いつの間にか随分と騒がしいリビングへの扉を開ける。

「あぁんもうー、少しくらい良いじゃないですかぁ」

「貴様の少しは、我らに多大な損害と疲労を与えるであろう!?ならば逃げるのも道理!」

「発見。七海、電話は終わりましたか」

 部屋の中では、美九が耶倶矢と夕弦を追いかける姿が。

 まあ、基礎体力というか、運動神経的なものの差の所為で、全く捕まってないが。

 平和だな、と思う俺は、流石に鈍感だろうか。

「耶倶矢、夕弦、美九も。少し話がある」

 っと、その前に。

 俺は、聞こえていることを前提として、声を張り上げる。

「狂三!少し話がある!こっちに来てくれ!」

 言い、ほんの数秒待つと、リビングの扉が開いた。

「どうかなさいましたの?七海さん」

「よし、全員集まったな。美九も、一応聞いておいてくれ」

 すぐに出るつもりだから、狂三を俺の後ろから耶倶矢たち側に移動してもらった後、立ったまま話し出す。

「少し、急用が出来たんだけど――――――」




 冒頭の二人の会話、口調が全く分からないので、なんか変な感じになってしまいました。ご了承ください。

 さて、ようやく盛り上がる回になります。なる筈です。
 ただし、あくまでも自分の中では盛り上がる、でして、書き終えた後に皆様がどう思うかまでは分かりません。
 もしも「微妙」と思う方がいたならば、先に謝っておきます。すみません。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 次回(もしくは次々回)、ようやくVS○○が書けます!やった!

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