デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 さて、最近、日増しに寒くなってきますね。皆さんも、健康にはお気をつけて。

 やはり、狂三との関係が気になる方が多いようですね。
 しかし、狂三とのお話はまだまだ先です。待っていてください。

 それでは、どうぞ。


第23話

 近づいてみれば、その様がありありと分かった。

「今度、一緒にお茶でもどうですか?」

「あぁんもうっ、少しぐらいお話しましょうよー」

「あ、あなたもいいですねぇ」

 ……台詞まで聞こえる距離に近づくと、そんな声も聞こえた。

 言わずもがな、美九だ。

 AST隊員の女性たちに、次々と声をかけては攻撃をもらい、その度に避けてはまた別の隊員に話しかけて……というのを繰り返していた。

 うん、なにやってんだ。

「美九!」

 呼ぶと、恍惚とした表情から一転。ドライアイスもかくやという冷たい表情を向けてきた。

「なんですか一体。今この空間に、なんであなたみたいなのがいるんですかぁ?さっさと倒されていればよかったんですよー……って、あれ?さっきまでそんな格好でしたかぁ?」

 ん?ああ、そういえば霊装のままだったな。

 まあ、だからといって不自由があるわけでもないので、このままでいいか。

「な、〈ディザスター〉!?もう終わったというの!?しかも、霊装……?」

「ああ。どうする?まだ戦うのか?」

 狼狽や驚きの声を発するAST隊員に向かって、そう訊く。

 答えは行動で返された。

 即ち、

「ハアァァッ!」

「……まあ、当たり前か」

 突進するように近付いて来た隊員の腕を取り、その動きを利用して回す。

 空中なので何かに叩きつけられるということは起きないが、代わりに、その身の体勢を不安定にすることは出来た。動きが単純だからこそ出来た技だ。

「のわあ!?」

 叫ぶ隊員を掴みなおし、振るように投げる。他の隊員に受け止められることで、その動きを止める。

 しかし、それを確認した瞬間に、また別の隊員も向かってくる。

 名前も知らない隊員が放った剣戟を避けると、たった今ミサイルを撃つ隊員の姿が見えた。

 そのミサイルの軌道は、やはり俺を狙ったものだった。

 避けるための体勢移動が難しいので、防御をすることにしようと思う。

「【無・零(アイン)】!」

 なんとか手だけ翳し、技名を叫ぶ。

 すると、その手を中心に、光の円が広がった。

 その光にミサイルが着弾する。その間に身を動かし、光の前面に出る。

 一瞬の交差の時、見えたのは、ミサイルが光に包まれたために爆発を起こさず、光の破片となり霧散していく姿だった。

 さて、そろそろ反撃と行こう。

 あんまり派手なものにすると、俺を見て唖然とした表情をしている美九にも被害が及びそうだったので、やや控えめに。

 手を薙ぎ払いつつ、言う。

「薙げ、『風魔』」

 生み出したのは、風。

 ただの風では効果がなかったかもしれないので、八舞姉妹の霊力を基に創り出した。

 二撃目、三撃目と繰り返すと、叫びながら吹き飛ぶ隊員たち。

 よし、この間に……。

「美九!逃げるぞ!」

「はい?……って、え。きゃあぁぁぁ!?」

 なるべく早く美九の下へと飛び、減速せずにその身を抱く。

 俗に言う、『お姫様抱っこ』というものだ。

 聞こえる悲鳴を無視して、俺はその場から去った。

 

 ある程度の距離を飛ぶと、一旦着地し、霊装と翼を消す。美九も、普通の衣装になってもらう。

 美九の場合は戻るとステージ衣装へと戻る可能性があったので、視認情報で衣装を変えてもらった。

 本人は一度しかやったことがないと言っていたが、まあ、なんとかなった。

 そして今はというと……。

「なんで逃げたんですかぁ?折角色んな女の子がいたのに、もう戻れないじゃないですかー。大体、許可なく私を触りましたね?万死に値するのでぇ、一億回死んでくださいー」

 とまあ、こんな感じ。

 霊力を作ると場所を感知されると思うので、途中から徒歩にして移動している訳だけども、道中ずっとこれでは、こっちが疲れる。

 なので無視して歩いているわけだが、なぜか付いてくるんだよなあ。もう帰っていいぞ、とは言ってあるのに。

 あれか。文句が言い足りないのか。そうなんだな。

「別にあのままでも良かったんだけど、お前に被害が及ぶ可能性があったからな。面倒だし、退散させてもらったんだ」

 俺も俺で、たまに言い返したりもするがな。

 さて、そろそろ見えてきたぞ。あ、いや、別に案内しているわけではないのか。

「何処ですか、ここ?」

「さあ?知らね」

 とある建物の中に入り、階段を上っていく。

 未だに付いてくる美九が疲労の色を見せ始めた頃、やっと着いた。

 勿論、この建物の一番上。最上階。

 屋上だ。

 俺は、外へと続く扉を開く。

 すると、

「ようやく戻ってきおったか、七海。早速、真実を暴く為の裁判を始めようではないか」

「詰問。七海、今からの質問に、全て、正直に、答えてください」

 うおっ?なんだ?

 扉を開けると、すぐに耶倶矢と夕弦が詰め寄って来た。

 はて、真実?質問?

「ふふ、そんなに焦らずとも、いずれ答えはわかりますわ。大体、今の七海さんに聞いても無意味でしてよ?」

 あれ、狂三?まだいたのか。服も、私服になっているな。

 そして、相変わらず、何かを知っているようなことを言うんだな。

 台詞だけ聞くと、耶倶矢と夕弦を止めてくれているんだろうけど。

「まあっ!」

 後ろから、そんな声が聞こえた。

 振り返ると、先程までの疲労はどこへやら、目を爛々と輝かせた美九の姿が。

「なぁんだ。こんなに可愛い娘がいるじゃないですかぁ。何で言ってくれなかったんですかー。あ、私を驚かせるためのドッキリプレゼントなんですね?」

「誰がやるか。俺の大切な人達を、物みたいに言うんじゃねえ」

 まったく、プレゼントでもねえし、勝手に付いてきてたのはお前だし、絶対にやらねえっての。

 いやまあ、俺だって付いてきていたのを止めなかったけども。

「……七海、こやつは何者だ?」

「嘆息。また新たな女性関係発覚ですか」

「い、いや、こいつとは今日会ったんだけど」

「疑問。今日会ったばかりの少女を、七海は連れ歩いていたのですか」

「…………」

 何も言い返せねー。

 また体を前に向けた所為で後ろからは、「早く紹介してくださいよー。一億回が五千万回ぐらいには少なくなりますよ?」っつー声が聞こえるし。しかもたった半分だし。

「あら?」

 なんか微妙な顔をしていると、皆より一歩下がって見ていた狂三が、何かに気付いたかのように近付いて来た。

「……七海さん、そこ、どうかしましたの?」

 ん?そこ?

 狂三が示す先には、俺の脚があって――――――

 ああ、そういえばそうだったな。

「んーまあ、怪我してんだけど、名誉の負傷ってことで。あんまり痛い訳でもないし、大丈夫だ」

 いつの間にか痛みは引いていたが、そういや怪我してんだよな、俺。

 包帯がぐるぐる巻かれたいたから止血はしてるだろうし、破れたりしていた箇所は創りだすことで隠していたんだけどなあ。

「どうして気付いたんだ?」

「七海さんの立ち方が、そちらの脚を庇うようなものに思いまして。注意すれば、違和感にも気付きますわ」

 あー、納得。

 まあ、包帯巻いたりしてるし、違和感があって当然か。無意識に庇う立ち方にもなっていたようだし。

「七海、その傷、どのくらい酷い?」

「さ、さあ?」

「要求。ちょっと、見せてくれませんか」

 え。

「ここで脱げと……?」

 流石に嫌なんですが。

「大分深いですよー。もう、繋がっているのが不思議な位でしたねー」

 その声に振り向くと、美九はどこかつまらなさそうな顔でいた。

 なんでお前がそこまで知っているんだ?

 ……まさか。

「もしかして、お前がこれを巻いてくれたのか?」

 訊くが、美九は、ふん、と顔を背ける。

 しかしそれは、肯定としかとれなかった。

 ならば言っておくことがある。

「――――――ありがとう」

「別に、あなたの為ではありませんよー。あまりステージを汚されるのも嫌だったので、仕方なくですー」

 はいはい。

「でしたら、早々に手当てをした方が得策でしてよ」

 そうだな。狂三の言う通りだ。

 しかし、俺と耶倶矢、夕弦はともかく、狂三や美九はどうすんだ?

「……とりあえず、家、寄っていくか?」

 尋ねると、

「あら、いいんですの?わたくしがお邪魔しても」

「ぜぇーったいに、嫌ですねー。男の家に上がるなんて、考えるだけで鳥肌が立ちそうですぅ」

 両極端な答えが返ってきた。

 それじゃあ、

「耶倶矢、夕弦、狂三は俺らの家に戻るとして、美九は――――――」

「ちょ、ちょっと待ってください」

 俺の声に被せるような美九の台詞に、言葉を中断させる。

 で、どうした?

「もしかして、この場にいる全員が、あなたの家に行くつもりですかー?」

「まあ、そうなるわな。もとより俺と耶倶矢と夕弦、あー、そこの双子な?は、一緒に住んでるし」

 言うと、美九はものすごい剣幕で、

「やっぱり、私も行きます。そして愛でさせてください」

「え?」

 あら、一瞬で考えが反対に。

 まあ別にいいけどもさ。

「……それじゃあ、行くか」

 そして、俺らは階段を下り始めた。

 ……傍から見れば、俺がハーレムのリア充野郎に見えるのは気にしない。誰だ、全員女だろうとか言った奴。




 ちょっと今回、口調とかが迷走気味ですね。すみません。
 狂三は狂三で難しいし、美九は『ぁ・ぃ・ぅ……』と『-(伸ばす音)』との使い分けが難しいです。

 読み返して思いますが、毎度毎度、終わる度に口調が違うと思ってしまうんですよね。改善もできませんが。
 読んだことはありませんが、他のデアラのssを書いている人はそこら辺、どうなんでしょう。

 今後の予定としては、あと2、3週間後(2~5話後)ぐらいが美九編で一番盛り上がりそうなんですよね。自分の中では。
 それまで、多分、迷走爆走します。ご了承ください。
 ほら、ノッて書ける時と、そうでない時との落差です。はい。すみません。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 あれ、美九編よりも狂三編の方が構成が出来ている……?

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