デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 テストが終わるまで、更新が出来る可能性皆無になったので、今日のうちに更新しておきます。
 というのも、前回のテストの結果があまりにも散々で惨々だったので、これはマズい、ということで勉強しないといけないんです。

 それでは、どうぞ。


第19話

 六月五日。

 原作では特別な日だった気がするんだが、よく思い出せない。

 ということで今は、放課後。

 五河士道たちは先に帰っていて、教室に残っている人数も、少なくなっている。

 そうそう、この前の違和感の正体。すぐにわかったわ。

 鳶一折紙がいないんだ。

 丁度欠席していた、っていう訳ではなく、本当にこの高校にいない。在学していないことになっている。

 けど、だからと言って俺にできることなんて無いけどな。

「ちょっといいかな耶倶矢ちゃん、夕弦ちゃん」

「今度の週末、私たちと」

「どこか遊びに行かない?」

 亜衣麻衣美衣が二人に話しかけている。ただし、間に俺がいるので、大分話し辛そう。

「かか、我らの人望は、三日にして広まったということか。して、週末とな?」

「そうそう」

「で、どう?予定開いてる?」

「ちょっとショッピングでも決め込もうかと思うんだけど」

 ショッピングねえ。

 だけど、その日は俺と一緒に遊びに行くっていう予定があるんだけど。どうやって断るのかな?

「感謝。お誘い、有り難う御座います。ですが、夕弦たちには既に予定がありまして」

 えー、と、不服そうな声を上げる亜衣麻衣美衣。何するの?、そう訊いてくる。

「返答。七海と遊びに行こうという話になっていまして」

 直後、三つの視線が俺に刺さった。

「なに、何するの?」

「まさか、遊びに行くっておきながら向かう先は……!」

「……まじ引くわー」

「やめろ!変に話を膨らませるな!」

 つーか、ほんとに、まじ引くわーとか言うんだ!?

 耶倶矢ー、夕弦ー、助けてー。

「だがまあ、我らと七海が共にあるのは最早、世界の真理。世の理よ。それに逆らうなど、到底不可能。人間、諦めるのだな」

「謝罪。すみません」

 その言葉に、三人は手を振って言う。

「いやいや!こっちも無理に誘う気はないし」

「そんなに仲良さげなのに、それを切り裂く気もないし」

「気にしなくていいよ」

 じゃーねーと言って離れていく。

 しかし耶倶矢。もうちょっと違う言い方は出来なかったのかよ。いや、そこまで言ってくれるのは嬉しいけど、話がでかい。

「さて、俺らもそろそろ帰るか?」

 俺が訊くと、肯定の言葉が返ってきたので、用意を済ませて帰路に着く。

 しかし、六月五日……。

 なんか事件というか案件があった日だった気がするんだけど、ほんと、なんだったけなあ……?

 よし、少し考えてみよう。

 原作では、確か……。

 四月、十香と出会う。五月(だったっけ?)、四糸乃と出会う。

 そして、六月は。

 答えに辿り着いた俺は、足を止めた。

「質問。……どうかしましたか?七海」

 耶倶矢と談笑していた夕弦が、不思議そうに尋ねてくる。

「……すまない、耶倶矢、夕弦。ちょっと急用を思い出した」

「急用だと?それは、我らと共に我らが城に帰するよりも大事な案件か?」

「疑問。一体、どうしたのですか?」

 すまん。説明をしてる時間も惜しい。

 いや、ただ単に、意味も無く焦っているだけかもしれない。

 だけど、どうしても早く確認しておきたいという気持ちもあるわけで。

「後で説明する。お前らは先に帰ってくれて構わない」

 さて、まずは屋上にでも行ってみるか?

 俺が階段へと踵を返すとほぼ同時、両手に包まれるような感触が。

 耶倶矢と夕弦がそれぞれ、俺の両手を握っているのであった。

「……どうした?」

「くく、言ったであろう。我らが共にあるは世界の真理と。何処かへと向かうというのならば、我も参ろう」

「首肯。ですが、例え逃げても、夕弦たちは追いかけますが」

 ……そうかい。

 なら、

「一緒に行くか」

 さて、そろそろはっきりさせよう。今月、いや、今日、何があったかを。

 今日、六月五日は。

 時崎狂三が、ここ来禅高校に転入してくる日だったじゃねえか。

 

 屋上にはやっぱり、いなかった。だから、多分これという目処を立てて、その建物を上った。

 すると、その屋上にて、

「ひ、ひひっ、これはこれは、珍しいですわねェ、こんなところにお客様なんて」

 いた。

 気配でも察知したのか、振り向かないままに話しかけてくる彼女。

 不揃いのツインテール(かな?)に、黒と赤のゴシック調のドレス。

「時崎、狂三……」

 何かを言おうとする耶倶矢と夕弦を止め、一人で歩み寄る。

 少しして、彼女は振り向いた。

「きひひひひっ、どなたか存じ上げませんが、ごきげんよう……あら?」

 こちらを見た狂三は、可愛らしく小首を傾げた。

「あら、あらあらあら、貴方は」

 何だと思う先、狂三は近づき、

「……東雲七海さんではありませんのォ?」

「…………は?」

 待て、今、彼女はなんと言った?

「なんで、お前は俺の名前を知っている?」

「知っている?、だなんて、わたくし、悲しくなってしまいますわ。まあ、今の(・・)七海さんは知らないのも当然ですけどォ」

 おいおい、俺らは初対面の筈だ。

 だけど、どうして、俺の名前を……?

「一応訊くが、俺のことをどこまで知ってるんだ?」

「ひひっ、そうですわねェ」

 彼女は、少し考えると、

「……ひみつ、ですわ」

 何故!?

「まあ、いいが」

 ひひっ、と笑う彼女に、今度はこちらから訊く。

 いや、訊こうとした。

「……あらァ?」

 何かに気づいたように、未だ明るい空を見上げた狂三。すると、その姿が黒い影に包まれ、一瞬後には元に戻っていた。

 分身体になった?なんでだ?

「そこの少年。早くそいつから離れるがいーです」

 ん、声が。

「さあ、今日こそぶっ殺してやるです。〈ナイトメア〉、覚悟しやがれです」

「ひひひっ、それは敗北する側の言う台詞ではありませんこと?」

 そう不敵に狂三が笑う視線の先、いたのは五河士道とよく似た雰囲気を放つ青髪ポニーテール。

「崇宮真那、か」

「私を知っていやがるですか?」

「まあな」

 成程。狂三の反応があったので来てみれば、そこに一般人。

 しかし、耶倶矢と夕弦の反応はなかったのか?心配だな……。

 だがまあ、とりあえず真那をどうにかするか。

「どうした?また狂三を殺しにきたか?」

「あたりめーです。そいつを、」

「そいつを殺すことが自分の使命であり、存在理由、ってか?」

 俺の言葉に、真那は眉を顰める。

 さて、俺もそろそろ臨戦態勢になるか。

「……!もしかしてお前、」

 ん?何だ?

「〈ディザスター〉でいやがりますか?」

 ……はい?

「……なんだ、それ?」

 察するに、識別名?

 なんだっけ、確か意味は、災厄、だっけ?

「識別名〈ディザスター〉。十日程前に、突如として現れた暫定精霊でやがります」

 ほら当たり。やっぱり識別名。

 つーか、暫定精霊ってなんだよ。

 多分、精霊と判断できる材料はないけど、精霊以外の証明もできないから、一応精霊として扱うってことなのかな?

「ま、まあ、なら分かるよな?」

 そう、例えいかなる理由があっても。

 今、お前が狂三に向かって殺意を向けるなら、俺は、

「俺は、お前と敵対するぞ。狂三の為に」

 どこからか溜め息が聞こえた気がしたが、気にしない。

 確かに、狂三は一万人以上の人を殺してきた。

 だが、だからと言って簡単に殺意を向けられていたら、どうしても俺は許せないんだよな。

「……本来の目的とは(ちげ)ーですが……」

 視線の先、真那は構え直し、

「敵対するというのなら、殺されても文句は言えねーですよね?」

 そして、俺は飛び出す。

 耶倶矢と夕弦の霊結晶を理解したから、創り出すは、

「翼、だよなあ……!」

 いつぞやの顕現させた翼とほぼ同じものを背中に創り出して飛び出す。

「耶倶矢!、夕弦!、狂三を頼む!」

 さあ、行くぞ真那。

 俺たちの戦争(デート)を始めようか!

 

 

 

「――――――――――――――――――――――――♪」

 歌声があった。

 全てを魅了するような綺麗な歌声が、その場を包んでいた。

 だが、その歌声を掻き消すかのような歓声もある。

 ここは、とあるコンサート会場。

 ステージに立つのは、紫紺の髪に銀色の瞳を持つスタイル抜群の少女。

「―――――、―――――――――――――――、――――♪」

 途中の息継ぎはあるが、歌は続く。

 会場内にいる全ての観客に向けて。席を覆いつくさんばかりの女性に向かって。

 しかし、

 

 ドゴガン!!という轟音が響いた。

 

「―――――!」

 歌が中断する。

 少女が音源に目を向ければ、それは自分の真上で。

 落下する瓦礫の中、誰かと目が合った気がして。

 そして、

 少女は、瓦礫の中に消えていった。

「「「…………」」」

 誰もが反応できない中、誰かが悲鳴をあげた。

 それを最初に、次々へと悲鳴があがり、揃って出口へと向かおうとする。

 だが、一度に人が押し寄せたところで、詰まるだけだ。暴動のように、皆が焦って行動する。

「……美九!お前の声を使え!」

 そんな声が聞こえた。

 それは、最も忌避する男の声だったけど。

 状況についていけない美九と呼ばれた少女は、素直に従った。

 一度、深呼吸をし、

『……みなさーん、順番にー、落ち着いてー、出口へと向かってくださぁい』

 どこかのんびりとした声が会場内を包んだと同時、変化が起きた。

 その声の通り、順番に、落ち着いているかは分からないが、少なくとも先ほどよりは静かに退場していく女性たち。

 足音が聞こえなくなって、瓦礫が動いた。

()っ……、くっそ、思いっきり吹っ飛ばしやがって」

 声と共に立ち上がるのは、少女よりほんの少しだけ身長の低い、女顔の少年だった。

 瓦礫の中に消えたように見えた少女。だが、それは観客席側から見れば、だ。

 本当は、彼女の前側に落下したのだ。奇跡的に(・・・・)も、欠片一つ触れないように(・・・・・・・・・・・)

「……なにステージを台無しにしてくれちゃってるんですかぁ?」

「……うげ」

 苦々しげに呻く少年の横。

 少女―――――誘宵美九は、言葉を発する。

「折角の女の子たちが帰ったじゃないですかー。この責任、どうやって取るつもりですぅ?あ、いや、やっぱりいいです。責任とか言って何するか分かったもんじゃありませんしねー。まああるとすれば、そのゴキブリ以下の命を今すぐここで散らせることぐらいですかぁ」

「残念だが、その要望には応えられないかな」

「はあ?何言ってるんですか、なに会話してるんですか、なに口を開いてるんですかぁ?汚れた声を発さないでいただけますぅ?私の耳がどうにかなって―――――」

 その声は、突如途切れた。

「―――――少し、黙っていてくれ」

 片腕を突き出し、美九を守るように立つ少年の視線の先。そこにいたのは、

「まだ死んでいやがりませんでしたか。しぶとい奴でいやがりますね」

 左目の下に泣き黒子のある、青髪ポニーテールだった。




 やっと、やっと、美九が出てきました!
 出番はほんの少しだったけど!最後の数行だけだったけど!それでも、やっとなんですよ……!
 でも、次の更新はテスト明け。まだまだ先ですね。金曜には更新できるかな?

 さて、美九以外のヒロインも出てきたり、結構重要だったりするかもしれない今回、如何だったでしょうか?
 少しでも面白いと思ってくださった方や、続きが気になるという方がいれば、こちらとしても嬉しい限りです。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 誰かが台詞を言う時の描写がワンパターンなのは気にしないでください……

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