デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 先週末は、学校の文化祭でして、疲れて更新できませんでした。
 なんとか暇を作った今日、更新となります。
 何を書けばいいか分からなくなった末、迷走気味ですが、気にしないで読んでいただけると。

 それでは、どうぞ。


第16話

「おい、七海よ。御主、何故そのようなことを我らに話しておらぬのだ」

「憮然。そんな大事な話、夕弦たちは聞いてませんよ」

 俺のことについて話した直後、後ろから聞こえた声。

「うぐ・・・いや、時期を見て話そうとは思ってたんだ」

 なんとも言えない罪悪感に襲われ、慌てて弁明する俺。

 実際、いつか言おうとは思っていたんだが。

「ほう・・・つまり、我らに話すよりも、そやつらに話すが先決だったと、そう申すか」

「結果的にそうなっただけであって、他意は無い!」

「疑念。本当ですか?夕弦たちには言いたくなかったのではないのですか?」

「んな訳ないだろ」

 まったく。

「すまない、変な心配させて。大丈夫。俺はお前らを疎かにはしたりしない」

 言いつつ、近寄って頭を撫でる。

 流石に、抱き寄せるといった甲斐性は持ち合わせていないので、これが俺の出来る精一杯だ。

 そうしていると、上から声がかかった。

「仲良くしているところ悪いのだけれど」

 琴里だ。

「お、おうっ!?なんだ?」

 慌てて手を離し、もう一度琴里を見上げる。

 なんだろうか、まだ訊きたいことでもあるのか。

「今、あなたが」

「あ、七海って呼んでもらって構わないぞ」

「・・・七海が言ったこと、本当なのかしら?」

 ふむ、成程。

「貴様、黙って聞いておれば、七海の申すことを信じきれぬと言うか!」

 あ、耶倶矢。

「いや、琴里の反応は正しい。だから耶倶矢、そう構えんでもいい」

 まあ、俺のことを全面的に信頼してくれているってことだから、嬉しいことではあるけども。

 とりあえず、早く話を進めよう。

「だけどな、俺には隠す意味がもう無くなった以上、全部本当のことを話したぞ」

「・・・俄かには信じがたい話ね・・・」

 まあ確かに、異世界転生なんて、この世界じゃ有り得ないか。いや、俺の元々の世界でもそうだけど。

 だが、実際のことだし。物的証拠はないけどさ。

「それじゃ、俺の能力をみせてやろうか?」

「・・・ええ、お願いするわ」

 それなら、

「とりあえず、炎でも創り出してみるか」

 そう言って、軽く腕を曲げる。

 手が大体、鳩尾あたりの高さにある。

 そして、イメージ。

 今回は戦闘というわけでもないので、わざわざ名前も言う必要はないだろう。

 そして、

『おお・・・!』

 ボッという音と共に、俺の手が炎に包まれた。

 軽い驚嘆の声が、司令室を包む。

 見たことがある耶倶矢と夕弦は、何故か自慢げな態度だったが。

「とまあ、こんな感じ」

 言って、消す。

 他にも何か創ってみるか考えていたところ、向こうから声がかかった。

「ほんとに、何でも創り出せるというの・・・?」

「ああ。逆に、消すこともできるぞ」

 こっちは負担が大きいがな、と。

 そう続ける俺は、最後の決め手を投げかける。

「普通の人間が、こんな芸当が出来るわけ無いだろ?俺を検査して精霊じゃないと判明したら、とりあえずは信じてくれるか?」

「・・・そうね。とりあえず(・・・・・)は、信じることにするわ」

 ああ、それで十分だ。

 そうして俺ら3人は、またどこか分からぬ部屋に連れて行かれた。

 

「ふう、やっと終わった・・・」

 正確には、今日の分は終わった、なんだけど。

 あれから数時間。既に外は真っ暗だが、俺らのいるところは明るかった。

 簡単なことだ。

 ここは精霊達が住んでいるマンション。その一室なんだから。

 あの後、耶倶矢と夕弦を先に検査に向かわせた後だ。

 俺は琴里と五河士道にとあるお願いをした。

『なあ、ちょっと頼みがあるんだが』

『どうしたのよ、まだ要求があったわけ?』

『いや、ちょっと手を出してくれないか。五河士道も』

『え、俺も?』

『ああ。少し待っていてくれ。ほら、早く済ましたい』

『・・・わかったわ。これで良いのでしょう?』

『・・・ん。ありがとう。次は五河士道の番だ。手を』

『お、おう』

 ・・・てな感じで。

 何をしたのかというと、霊結晶と霊力の理解、かな。

 琴里の精霊としての器や霊結晶の構造を理解し、五河士道は、その身に封印されている霊力を理解させてもらった。

 とりあえず、琴里の分は理解できたけど、十香の分も理解しておきたいな。

 なんで五河士道の分だけじゃ駄目なのかというと、五河士道だけでは、数種類の霊力が混在していて何がなんだか分からなかったからだ。

 あくまでも分かれていたからか、耶倶矢と夕弦の時ほど時間はかからなかった。1度経験していたっていうのもあるかもしれない。

 俺自身も、極力早くしようとしたのもあっただろう。その分負担が大きくなったが。

「くく、万象薙ぎ伏す颶風の御子、八舞の名を持つ我らの(すべ)てを知るには、相応の時間が必要ということか」

 お、一通り部屋を冒険し終えた耶倶矢と夕弦が戻ってきたか。荷物も各自の部屋に持っていたみたいだな。

 というか、言葉からして、俺の呟きも聞こえていたのかな。

「指摘。服を脱ぐのに、耶倶矢がずっと渋っていたのもあると思いますが」

「ちょ、七海の前で言わないでよっ!?」

 服を脱ぐって、そんなことあったのか?

 そういや、俺も上半身は脱いでたもんな・・・。

「はは・・・とりあえず、夕飯にするか?」

 俺が訊くと、二人して肯定してきた。

「首肯。そうですね。そろそろお腹も空きましたし」

「ならば、昼時に言っていたように、我らが満足するだけのものを作るがいいぞ」

「・・・出来る限り努力はする」

 あれ?そういや、何か忘れてる気が・・・

「・・・・・・あ」

 キッチンに向かい、何があるかと冷蔵庫を開けたところで思い出した。

 食材を買っていない、ではない。

 多くはないが、十分な量が中にはある。

 つまり、別のこと。

「・・・すまん、耶倶矢、夕弦。今日は五河士道の所に行ってくれないか。俺から連絡はしておく」

 やるなら早いほうがいい。

 俺はそう思って言ったんだけど・・・

「む?どうしたというのだ。自信が無くて怖気付いたか」

「質問。いきなりどうしたのですか?」

 いや、大分間抜けな話ではあるんだけど。

「その、なんだ。旅館を退出する旨を伝えないから、早く戻っておきたいんだよ」

 少ないとはいえ、置き忘れた荷物も取っておきたい。

「納得。でしたら、早く行くといいです」

「ああ、そうする。悪い、なるべく早く戻るから」

 言って、すぐに玄関へと向かう。

 飛び出し、エスカレーターに乗って降りる。

 そうだ。五河士道に連絡しないと。

「・・・って、携帯持ってないし!」

 今度買いに行っておくか・・・

 マンションを出た俺は、まずはすぐ横の五河家へと足を向けた。

 

 旅館というのは、意外と金がかかることを知った。

「はあ、ようやく戻ってきた・・・」

 情報を視る能力だけ使って地形を理解し、それをもとに旅館まで全力疾走。

 そうして退出手続き、とでも言うべきものを終え、荷物を持ってまたもや全力疾走。

 40分ぐらいだとは思うけど、実際はどうだろ?

 汗だくになってエスカレーターに乗りながら、息を整える俺。

 この世界に来て身体能力が格段に上がったとはいえ、流石にきついか。

 そうして、俺らが住むこととなった部屋がある階に到達。

 部屋の扉に手をかけると、抵抗無く開いた。

「・・・?」

 鍵を掛け忘れたのか?不用心だな。

 だが、その疑問もすぐに解消される。

 なぜなら、

「・・・靴、あるな」

 見覚えのある靴が二足。よく聞けば、声もある。

 つまり、中に二人はいるのか。

 ・・・もう夕飯を終えたのか?

 でも、俺が行ったときはまだ準備中だったけどなあ、と。

 そんな疑問を思いつつ、リビングのドアを開ける。

「ただいま~」

 まあ、これで間違ってはないはず。

「お、存外早かったではないか」

「返答。おかえりなさい、であってますよね?」

 ・・・お、おお・・・!

 なんという夢シチュエーション!美少女二人に帰宅を迎えられる、なんて、すっごい嬉しいことじゃねえか!

 前世の友人達よ(死んでないよ)、俺はやったぞ。

 ・・・おほん。

 俺はその感動を表には出さないようにしつつ、言葉を返す。

「ああ、それでいいと思う」

 しかし、

「早いな?まだ30分ぐらいしか経っていないのに」

 時計を見れば、思っていたより10分早い、30分ぐらいが経っていた頃だった。

「当然であろうな。なんせ我らは、今まで御主を待っていたのだぞ?」

「は?」

「首肯。夕弦たちは、七海が帰ってくるまで待っていたんです」

 つまり、五河士道の所には行かず、わざわざ俺を待っていてくれた、と。

 ・・・そうか。

「・・・ありがと」

「疑問。何か言いましたか?」

「いや、何でもない」

「そんなことよりも七海、いい加減我は空腹ぞ。早く用意をせぬか」

 はいはい、仰せの通りに。

「そういや、お前らは自分で料理しないのか?」

 ふと疑問に思ったことを訊いてみると、急に二人は固まった。

 なに、どうした?

「い、いや、我らは、その・・・」

「?」

「催促。別にいいではありませんか。早く用意をしてください」

 ・・・なんとなく見えたぞ。今の夕弦の一言が決め手かな。

「成程な。つまり、二人は、料理の腕に自信が無いわけか」

 言うと、二人の目つきが変わった。

「ほう・・・つまり七海は、我らに勝負を挑むと、そう申すか・・・」

「いや、そういうわけじゃ・・・」

「提起。勝負内容は『料理』。勝敗判断は、夕弦たちの意見で決める。これでいいのでは?」

「くく・・・そうだな。それがいい」

 俺が入る余地なく話が進んでいくんだが。

 ・・・ま、いっか。

「別に構わんが、俺対お前らっていう構図でいいのか?」

「肯定。はい。夕弦たち二人で、七海と勝負します」

「くかか、我らが手を組めば、勝利は確定したも同然!七海よ、我らが作る天上の美味に、その身を震わすがいいぞ!」

 なんだ、身を震わせるって。なに、美味しすぎてってこと?

 ・・・嫌な予感しかしないのは、何故だろう?




 話が進まない・・・
 なんでだろう、当初の予定では、そろそろ美九と接触してもおかしくないはずなのに、未だ出番が出てこないという不思議。
 結果、なんかヒロインが増えそうな予感がしますね・・・
 そして、今回は夕弦の台詞が微妙な感じに・・・やばいです。勉強しましょうか。
 増えるかもしれないヒロインは、まだ内緒です。といっても、すぐにバレるでしょうね。主に、次の次あたりで。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。
 
 そのヒロインは、皆様の想像で合ってると思いますよ。

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