デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 久しぶりです。テストも散々に終わり、一段落つきました。
 11巻が発売されましたね。
 ということで、前提となる設定変更。
 11巻が発売されたので、『プロローグ』にあった10巻+アンコール2までを基にするというものを、11巻+アンコール2までとさせていただきます。
 次回発売予定のアンコール3も、読んだ後に入れます。
 
 随分と勝手な変更申し訳ありません。これを許して読んでもらえることを願うばかりです。

 さて、美九編と言いつつ未だに出てこないこの章。いつになったら攻略パートに入るのでしょうか。
 それでは、そこまで読んでいただけることを願いつつ、本編どうぞ。


第13話

 目を開けると、そこは見知らぬ場所だった。

 木目の見える天井に、微かな重さを感じさせる布団・・・

 あ、旅館か。

 やけに重い頭を起こすようにして体を寝た状態から胡坐に移行させる。

 そうして、先程の夢にしてはやけにリアルなアレを思い出す。

「・・・楓」

 疼く胸を押さえながら、その名前を呼んでみる。

 だけど、返事なんて――――――

『はーい。呼んだ?』

 あるよな。

 俺は、嘆息気味に、先程答えてもらえなかった質問を繰り返す。

「もう1度訊くが、どうしてお前がいる?」

『神様に転生した』

 ・・・随分あっさり答えてくれたもんだ。

 転生なんてまさか、と思うが、実際に俺が転生してる以上笑えない。

 ま、そんなこともあるんだろう。

 他にも訊きたいこと、言いたいことあるが、これだけは言っておこう。

「・・・ま、お前に会えて嬉しかったよ、とでも言っておこうか」

『にひひ、皮肉かい?ま、ボクも会えて嬉しかったよ』

 それこそ皮肉に聞こえるがな。

 そうしていると、部屋の外から声が聞こえてきた。ここまで聞こえるなんて、五月蝿いな。なんとなく女みたいだけど・・・

 いや、訂正しよう。別に五月蝿くなんかない。俺が過敏になってただけだな。

『ありゃ、もうタイムリミットなの?もうちょっと、お話していきたかったんだけどな~』

「タイムリミット?」

『うん。あ、一応言っておいてあげるけど、今の七海くん、虚空に話しかけてるアブない人に見えるよ?別にわざわざ声に出さなくても、会話はできるよ』

 ・・・・・・

 で、どういうことだ?

『そのうち分かるよ。それじゃ、』

 そうして彼女は、いつも通りに、聞き慣れた通りに、

『じゃ~ね~』

 別れを告げた。

 直後に、ここの部屋の扉が開く音が聞こえた。

 同時に、外から聞こえていた声も鮮明になる。

 っていうか、耶倶矢と夕弦だった。

 彼女たちが部屋に入ってくると、会話の内容も聞き取れるようになる。

『くく・・・先程の絶技、見事であったぞ、夕弦』

『訂正。いえ、あれは耶倶矢のサポートがあってこそです』

『ふ・・・そう謙遜せずともよい。とどめを刺したのは夕弦。ならば夕弦の方が凄いのは当たり前だろうて』

『否定。言いました通り、あれは耶倶矢のサポートがあってこそです。ですから、耶倶矢の方が凄いのです』

『いやふふ・・・そのー、なんだ。照れるじゃんかー。夕弦の方が凄いし。このこのー』

『否定。いえ、耶倶矢の方が凄いです。このこのー』

 ・・・仲が良いことなによりだ。

 察するに、卓球かなんかしてたのか?旅館にも卓球ってあるんだな。初めて知ったぞ。

 そして、ダブルスかなんかか?まさか、他の宿泊客と試合とかしてるんじゃ・・・・・・ありそうで怖い。

 互いに突き合ってる姿を思い浮かべながら、俺はなんともいえない感情になった。

 って、あれ?会話が止まった?

 つーか、会ったらなんていえばいいんだ?どうやら朝みたいだけど・・・

 

「・・・ねえ、七海、起きてるとおもう?」

「返答。・・・わかりません」

 先程のテンションは何処へやら。沈痛な面持ちになる二人。

 彼女たちは、彼に早く目が覚めてほしかった。

 困ったような顔をして頬を掻きながら、同じように困ったような声色で、『えーっと、おはよう?』とでも言ってほしかった。

 その顔をみたい、その声を聞きたい。それが彼女たちがずっと思っていたこと。

「とりあえず、開けよっか」

「応答。そうですね」

 二人が、彼の寝ている部屋の襖を開けると、

 

「えーっと、おはよう?」

 

 それは奇しくも、彼女たちが望んでいた姿ではあったが、彼がそれを知ることはない。

 

 

「み、3日3晩!?」

「うむ。確かに3回ずつ、我が宿敵なる光の象徴と、我が闇夜の象徴が入れ替わったぞ。そして今がその4回目であるな」

 要約すれば、太陽と月が入れ替わった。今日はその4回目、かな。

 既に布団から抜け出し、もう1方の部屋で話していた俺ら。

 とりあえず、どのくらい気を失っていたか―――寝てた、らしいが―――を訊いてみたんだけど・・・

 ・・・マジで?

「・・・ほんとに?」

「返答。ほんとです」

「おいおい・・・」

 嘘だろ?そんなに経ってたの?たったあれだけの夢を見てる間に?

 なんか、夢ではすぐなのに起きたら朝、をひどくしたものみたいだな。

「くく・・・して、不調はないか?」

「へ?」

「要約。つまり耶倶矢は、体は大丈夫かと訊いているのです」

「そ、そんなことないし!別に心配なんか!」

「はいはい、分かってるから。な?」

「絶対誤解してるでしょ!」

 まあ、何を言ったかはわかってたけども。

 でも、心配してくれたことは嬉しい。

「ありがとな、耶倶矢」

「ふ、ふん・・・」

 ポンポン、と。

 頭を撫でると、大人しくなった耶倶矢。可愛いやつだなぁ~。

「憮然。どうして耶倶矢だけなんですか」

「わ、悪い。そうだよな。夕弦にも心配かけちまったもんな」

「首肯。・・・それでいいのです」

 夕弦も、同じように頭を撫でてやる。

 しかし、そっかー。3日3晩もかー。

 ・・・その間に布団を片付けにきたであろう旅館の人達にどう思われたのかは、知りたくない。

 手洗いとかにも行ってないだろうに、その欲求を感じないのは何でだろうか。

 ・・・俺の能力かな?

 多分、俺の能力でそういうのを消していったのかな。俺自身の何か、を消すのはそれほど負担にはならないようだし。

 あれだな。『アイドルや姫様は手洗いにいかない』という迷信を再現しちまったな、俺。

 まあ、便利ではあるんだろうけど。

「そういや、さっき何を褒めあってたんだ?」

「くかか、聞いて驚くがよいぞ七海。我らはこの旅館にいる誰よりも強くなったのだ」

「注釈。卓球のことです」

「へえ・・・」

 やっぱりか。思った通りだったな。

 きっと卓球台見つけたら、即効勝負したんだろうな。二人で。どっちが勝ったかは知らないが、きっと今までに勝負をしたことがあったんだろうし。

 確かに、二人に敵う人間なんて、それこそ人類最強ぐらいなもんだろう。

「ふむ、そういえば」

「?どうしたんだ?」

「いや、なんだ。七海と戦ってはおらぬなと思ってな」

 そう言われてみれば、そうだけど。

「挑戦。七海、夕弦たちと勝負しませんか?」

「言うと思ったよ」

 だろうな、この話の流れからしてわかる。

「いいぞ。勝負しようか」

「くかか、あの時の屈辱、今こそ晴らすときぞ!」

「不敵。こてんぱんにしてあげます」

 お、お手柔らかに頼むぞ・・・?

 

「な、何故だ・・・我らがまた、負けたなど・・・」

「驚愕。まさか、こんなことがあるとは・・・」

 結果は、まあ、勝った。

 だけど、なあ、

「お前らは二人じゃなかったんだから、全力ではないんだし、そう落ち込むことじゃないと思うぞ?」

「ふん、慰めなどいらぬ」

 いや、確かに俺が勝ったんけど。それだって、辛勝だったし。

 大体、最後の決め手はお前らのミスだっただろう?

 なんて言えるはずも無く。

「ま、まあ、いつでも相手になってやるから、元気出せ。そうだ、ちょっと外に出てみようぜ?な?」

「承諾。・・・別にいいですが、何処へ行くんですか?」

 え、そうだな・・・

 !そうだ。ちょっと確認しておきたい事があるんだった。

 それなら、やっぱり外に出てみるか。

「とりあえず、外に行こうか」

 そう言って外に出てきた俺ら。部屋で着替えてはいる。

 さてと、探すか。

「ま、歩いてみよう」

「クク・・・まあ、当ても無く彷徨うも、また一興か」

「彷徨うって、迷子みたいだな」

 そう言いつつ歩くことしばし。

 時折感じた視線は、気づいてない振り。

 目当てのものを見つけた俺は、驚愕に目を見開いていた。

「な、この町って」

 振り向いて、町の建物を見渡しながら叫ぶ。

「天宮市、なのか!?」

 ・・・どうやら俺は、あの神様には愛されたらしいな。運が良い。

 ここなら、目下の目的も果たせる。




 最後の方、ちょっと急展開になってしまいました。すみません。

 これを書いていて思ったんですが、この作品を終わらせたくないです。
 かといって、新しくヒロインを出すと、誰かが空気になる可能性大だし、時間軸的に可能なのは狂三さんぐらいだし・・・はあ・・・

 まあ、まだまだ先のお話ですしね。そのときに考えましょう!

 次回は、まあ、主人公たちの生活を整えようっていう回です。なかなか美九までいかずすみません。待っていてもらえますでしょうか?

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 いや、マジでどのくらい後になるんだろう・・・?

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