緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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Q.何で更新が遅れたのか?

A.書く時間が取れなかったから

Q.何で?

A.龍が如くシリーズの最新作【龍が如く0】をやっていたから(←おい)

と言う訳で一毅無双だと期待してた方々ごめんなさい。一年たちの戦いです。
一毅無双は次回に持ち越しです。


一年の救出劇

少し時間を戻してキンジとGⅢが戦いを繰り広げ始めたころ……

 

「あー疲れたー」

 

ライカの言葉に皆が頷く。

一年生の面々はラ・リッサの片付けという名の証拠隠滅をやらされていたのが終わり帰路についていた。

 

「全く……馬鹿みたいにプールの底に弾を沈めておくから拾うの大変だったね」

「あはは」

 

あかりが肩をすくめると辰正が苦笑いした。

 

すると、

 

「ん?」

 

ライカの携帯に電話が入った。

 

「あ、一毅先輩だ」

「え?お兄ちゃんから?」

 

ロキも首をかしげる。

 

「一毅先輩どうしたんですか?もしかしてなにか買ってきてほしいんですか?」

 

ライカは電話に出る。

 

【そうそうちょっとお茶を切らしてたから……って違う違う!他の皆はいるか?】

「ええ、あかりと辰正と志乃と陽菜とロキが居ます」

【よし、スピーカーにしてくれ】

 

ライカはスピーカーにして皆にも聞こえるようにする。

 

【今現在俺たちは襲撃を受けている】

『っ!』

 

皆の表情が引き締まる。

 

【とは言えお前らに援軍を頼みたい訳じゃないんだ】

『はい?』

 

この話の流れだと援軍に来てくれという感じかと思いきや一毅に否定された。

 

【お前らにはちょっと人質の救出を頼みたいんだ】

『救出……』

 

全員が息を飲む。

人質救出は武偵が行う任務でもかなり困難な方の部類にはいる任務だ。

 

【まあ本来一年にやらせるような任務じゃないんだけどさ……色々めんどくさいのが絡んでるし……個人的にお前らだったら救出出来るくらいの実力もうあるだろ】

 

実力は今だ未熟かもしれないがキンジ達が異常なのであってあかり達だって寧ろ同年代と比べた場合その成長速度はずば抜けて早い。

 

【つうわけでリーダーのあかりが決めろ】

「はい?」

 

あかりが首をかしげた。

 

【ん?てっきりお前がこの面子のリーダーだと思っていたが?

「いやいやいや!私一番よわっちぃですし……チビだし……勉強もあんまし……」

【リーダー何てのはそんなんじゃ決まんねぇよ】

 

一毅の言葉に全員が耳を傾ける。

 

【こいつの言うことを聞きたいって自然と思うような奴……気がつかないうちに色んな仲間に囲まれる奴……まあ強さも要因のひとつだけどそんな感じだ。敵を敵から味方に変える才能がある奴がリーダー足る人間だ】

 

一毅がそういうとあかりは目を閉じて……開く、

 

「わかりました。救出は任せてください!」

 

あかりの言葉に電話越しでも何となく一毅が微笑んだのがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだね」

 

あかり達は一毅が敵とのお話し合いの末に聞き出した(本人は言っていたがそんなわけはない)ビルに来ていた。

 

「うっし!」

 

ライカはグローブを着けた手を軽くぶつけ合ってからアサルトライフルを構える。

 

【ハロー。こちらロキだよ~。狙撃ポイントに到着】

【こちら陽菜と志乃殿と辰正殿でござる。裏口からの侵入に成功したでござる】

「了解」

 

あかりはもう一度正面を見る。

 

「それで中は?」

【うん。お兄ちゃんが言ってたみたいに中には吉岡の門弟達が完全に封鎖してるね。一般人はいない……人の動き見る限り多分居るのは……いた、六階のホールだね】

 

ロキが言うとライカとあかりはアイコンタクトを取る。

 

「あかり準備はいいな?」

「うん」

 

UZIを持つとあかりとライカは走り出す。

 

『喰らえ!!!』

『っ!』

 

次の瞬間凄まじい数の弾丸がビルの中に放たれた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銃声が聞こえ始め吉岡の門弟達が騒ぎだしたころ裏口から侵入した陽菜、志乃、辰正の三人も行動を開始する。

 

「六階か……」

 

階段を上がる都合上六階は結構きつい……まあ文句いっても仕方ない。

 

「行こう」

 

辰正が言うと二人もうなずきかけ上がっていく。

 

「誰だお前ら!」

『っ!』

 

途中で吉岡の門弟と鉢合わせるが、

 

「俺流・流星タックル!!!」

 

仲間を呼ぶより速く深紅のオーラ(レッドヒート)を体から出した辰正が常人を凌駕する腕力と脚力で階段を駆け上がりながら相手の腰に抱きつきそのまま押して壁に叩きつけた。

 

「がは……」

 

吉岡の門弟は空気を肺から漏らすとそのまま気を失う。

 

「辰正殿いつの間にヒートをそこまで自在に?」

 

ヒート自体は一毅も普通に使うので一年生達も知っているが辰正がここまで意識して使うところを見たのは初めてだった。

 

「これでも修行したんだよ?」

「成程」

 

辰正の言葉に陽菜が頷くと、

 

「なんだ今の騒ぎは!」

『っ!』

 

今の音を聴いてまた来た。

 

「っ!」

 

今度はそれを見た志乃が階段を上がりながら長刀・物干し竿を握る。

 

「なんだこの女!」

 

咄嗟に男は銃を向ける、

 

「飛燕返し!!!!!!」

 

巌流に存在する技は全て鞘無しの居合いである。

これは鞘を捨てて相手との間合いを瞬時に詰めて放つ燕返しである。

 

「ぐえ……」

「安心してください……峰打ちです」

 

男は泡を吹いて倒れた。

 

「むむ……拙者の見せ場がないでござる……」

 

陽菜がポツリと呟いた。だがそこに、

 

『敵襲か!』

『っ!』

 

今度は複数だ。すると陽菜がこれは好機とばかりに目を輝かせる。

 

「これは拙者の見せ場でござるな!今こそ見せるでござるよ!風魔家秘伝!!!」

 

陽菜が何かを投げる……

 

『げっ!』

 

辰正と志乃が目をまん丸くしてポカーンと自分の頭上を飛んでいく物体を見た……

形状は黒くて丸い……更にバチバチ火花を散らしながら段々短くなっていく導火線……有り体に言って所謂一昔前の漫画とかに出てくる……

 

『爆弾!?』

「違うでござる。風魔家秘伝の手投げ式・炸裂弾【火爆玉】でござる」

 

((どっちでもいいわぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!))

 

辰正と志乃の悲鳴の混じった抗議は陽菜に届く前に爆音に消えていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ざっとこんなもんかな」

 

ライカとあかりは弾がなくなったため銃を下ろす。

 

「援護射撃ありがとね。ロキちゃん」

【楽勝楽勝。でもさっき爆発が起きたけど大丈夫?】

「手榴弾でも使おうかとしてきたのかとビビったけどそう言うこともないもないみたいだしな」

「向こうで何かあったのかな……連絡してみようか?」

 

あかりが通信機に手をかけた……そこにエレベーターが開く。

 

『え?』

 

そこから出てきたのは身長はおよそ2m半に厳つい風体……肩幅もある。

 

「でかい人間は一毅先輩や蘭豹慣れてたけどそれよりでかい……」

 

ライカは無手の構えを取りあかりはナイフを抜く。

ロキも援護のためライフルを構えた。

 

「でもライカ……あの人どこかで見たことない?」

「あれ?確かに言われてみれば……」

【……あー!】

 

ロキが叫び通信機を付けていたライカとあかりは顔をしかめた。

 

「お、おい!ビックリするだろ!」

【ごめん……でもあれって対戦相手を半殺しにしてプロレス界から追い出された……】

「思い出した……一毅先輩が見てた昔の格闘技のテレビでチラッと見た……確かリングネームは【デーモン金井】……」

「ほぅ……俺の事を知ってる奴がいたか……」

「そんな人がいたんだ……」

 

あかりが呟くとライカが頷く。

 

「でも手刀だろうが貫手だろうがあまつは武器まで何でもありのヒールレスラーだったやつだよ」

「遊びの戦いが好きじゃなかっただけだ。俺は強い奴が勝つ戦いこそが正しいと思っていた。なのにあんなショーみたいなこそが正しいと言うプロレスを真っ向から否定したのさ。そのお陰で俺は負けなしだったぜ?」

「そのあげく追い出されたじゃねえか」

 

ライカと男の視線が交差する。

 

「まあどちらにせよやるしかないぞ二人とも」

【みたいだね】

「うん」

 

三人は臨戦態勢を取る。

 

『ハァアアアアアア!!!』

 

ライカとあかりは飛びかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁ!」

 

ライカの正拳が金井の腹に決まる……だが、

 

「効かねえな!そんなヘナチョコパンチ!!!」

 

体重(ウェイト)の差のせいか芳しいダメージを与えられない。

 

「っ!」

 

前の関羅との戦いが思い出される。殴っても蹴ってもダメージを与えられない……

 

「ライカ!」

「う!」

 

金井の横凪ぎの手刀がライカに迫るがギリギリ伏せて躱す。

 

そしてバックステップで下がると距離を取る。

 

「大丈夫?」

「ああ……」

 

あかりが叫ばなければ今の手刀を首に喰らいそのままライカは戦闘不能になっていただろう。

 

「ん?」

 

そこにロキの援護射撃が金井の肩に直撃する。

 

「ちっ……狙撃主もいたのか……」

【何で全然効いてないの……?】

 

金井の反応にロキは絶句した。

防弾処理を行われていたのはわかるがそれでも多少のダメージはあるものだ。それを平然と顔色ひとつ変わらないとは……

 

「痛みに鈍いんだな……」

 

ライカが舌打ちした。

 

「どうする?」

「……まだ練習中だけど一つ方法はある」

「え?」

 

ライカの耳打ちにあかりは耳を貸す。

 

「とは言えまだ練習中で本当は実戦には全然使えないけど多分それなら行ける。ロキも力貸してくれ」

「……わかった」

【了解。で?まずはどうするの?】

「まずは……」

 

ライカは作戦を指示した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話し合いは終わったかヘナチョコ共」

 

金井はニヤリと笑う。

 

「行くよ!」

 

まずはあかりだ。あかりが一気に金井の懐に飛び込む。

 

「ああ?」

 

金井は構わず拳を降り下ろした。だが、

 

「はぁ!」

 

あかりは拳をギリギリで躱しながら金井を跳び箱のように飛び上がりながら頭上を越えていく。

あかりは元来その並外れたタフさに頼った一種の自爆戦法を使うことが多かった。

だが趙伽との一戦でタフさを持ってしても勝てないことを味わった。

 

そして辰正がヒートを自在に扱えるようになったように……志乃は自分の巌流に磨きをかけたように……ライカは一毅に扱かれながらも自分の拳技を模作しだしたように……あかりもタフさだけではなく回避能力を磨いた。

元々比較的身軽だったしあかりは自分では気づいていないが相手の動きを見きるという点においてキンジの万象の眼程じゃないにせよ抜きん出た力を持っている。

そうでなければ不殺版の相手の武器をカウンター気味に掠めとる鳶穿は使えないだろう。

 

「今だよライカ!」

「ウォオオオオオ!!!!!!」

 

そこにライカが来た……

 

「らぁ!!!」

 

ライカの拳が金井の伸びきった腕の肘関節を打つ。

 

「ぐぁ!」

 

ミキッと言う音が少しして金井が顔を歪めた。

 

(出来た……!!!)

 

ライカは内心驚喜する。

 

これは一毅から前々から教えてもらっていた方法だ。

どんなに頑丈で大きな相手でも関節は鍛えられない。

どんな相手でも伸びきった腕や膝、首等はどんなに鍛え上げてもそこだけは脆いのだ。

とは言え肘や膝は曲げられていると逆に殴った方が拳を壊すことになるし首は力加減が難しい。

 

更に僅かに打つ場所がずれると効果が半減する。故に未だに実戦で本来なら使える技術ではないのだがそんなことを言っている場合じゃない。

 

「このアマ!」

 

金井は拳を振り上げるが、

 

「ぐぁ!」

 

そこに狙撃弾が金井の膝を叩く。

 

「勝機!」

 

金井が膝をついたところにライカが掌打の構えをとった。

 

「ウォオオラァアア!」

ライカの掌打は頬を……正確に言うと顎の関節の部分を穿つ。更に当たった瞬間に手を捻る……するとガコン!っと言う音がして金井の顎が外れた。

 

「あがが!」

 

一毅に習った小技みたいなものだ。だが顎をいきなり外されればどんな相手も戦意を大きく削がれる。そこライカは拳をギュッと握ると体を大きく捻る。

 

「ラァ!」

 

ライカのアッパーが完全に決まる。

 

「ぐっ!」

 

再度ガゴン!っと言う音と共に顎が戻らされた。

 

「あぐぅ……」

 

金井は後ろにぶっ倒れた。

 

「や、やったー!」

 

あかりとライカはハイタッチする。

 

【ほらほら何してんの?人質救出でしょ?】

『あ……』

 

倒したことに感激してしまいすっかり目的を忘れかけていたあかりとライカをロキが現実に戻した。

 

「じゃあ、上に……――え?」

「あかり!」

 

金井の横を通った瞬間あかりの足を金井が掴み壁に叩きつけた。

 

「こんの……糞がきがぁああああああああ!!!!!!!!!」

「っ!」

【ライカ!】

 

金井は飛び起きるとショルダータックルをライカに叩き込む。

 

「がっ……」

 

ライカは大きく後方に吹っ飛ぶと転がる。

 

「く……は……」

 

口に血の味が広がる。全身が痛いし力が抜ける。

 

「なめやがって……」

 

金井はライカに近づく……そこにロキが狙撃弾を撃ち込むが怯まない。

 

【ライカ!逃げて!】

「…………」

 

ロキが言う……だがライカはその場にたった。

 

「……ふぅ……」

 

そして大きく体を捻り構える。

全身が痛くて力なんか入らない……でも……逃げる訳にはいかない。

逃げたら後悔するから……退かなきゃいけない時もある。でも退いちゃいけない時だってあるのだ。

 

(駄目だ……力が入らない……くそ)

 

ライカは舌打ちする。

一瞬だけでいい……一瞬だけでも力を込めるしかない。

 

「死ねやぁああああ!!!!!!」

 

金井が走り出そうと足に力を込める……が、

 

「っ!」

 

足にナイフが突き立てられる。

 

「ライカ!今!」

 

あかりが叫ぶ。

 

「二天一流!!!」

 

ライカはカッと目を開くと全身の抜けていた力を一気に込める。

 

「拳技ぃ!!!」

 

ライカは驚いていた……そしてあかりとロキも驚愕した。

ライカの疾走速度は正しく雷光の如くであり初速から限界速を遥かに越えていた……

 

そして【腕力×体重×速さ】……これが掌打の破壊力を生むとしたら腕力と体重はライカに欠けており一毅にはあるもの……だが一毅にはない速さが乗った一撃であったのならば腕力と体重を補った十分な一撃へと変わる。

そんな一撃は金井の胸に叩き込まれる。

 

「煉獄掌!!!」

「がっ!」

 

二天一流 拳技の基本の技でありもっとも最初に習う掌打……ライカがもっとも好んで使う一撃はなんと金井の巨体をつい先程吹っ飛ばされた意趣消すように吹っ飛ばした。

 

「え?」

 

ライカも自分がやった行動に呆然とした。

 

「ら、ライカ何時の間にそんな腕力着けたの?」

【ビックリしたぁ……】

「ち、違う違う!私も今のはわかんないんだ……」

「でも今ライカ消えたよね?」

【速すぎて視角から一瞬で外れたって言うのが正しいけどね】

 

ライカも今のがなんだったのかわからないしあかりとロキも分かるわけがない。

 

「まあここで考えても仕方ないしとりあえず上に……」

 

そこにチーン!とエレベーターが鳴る。

 

「敵……!」

「かぁ!」

 

ライカとあかりが拳を握って飛び上がる。

 

『ウォオオリャア!』

「え?」

 

エレベーターから先に出てきた男はポカンとして……

 

「ホギャ!」

 

顔を思いきり殴られて後ろに倒れた……って!

 

『辰正!?』

「はんにゃらひ~ん……」

 

目を回した何故かアフロ姿の煤だらけの辰正を見て気絶させた張本人であるライカとあかりが驚愕する。

 

「あ、あかりちゃん!」

「し、志乃ちゃんその頭……」

 

志乃も何故か煤だらけでアフロである。

 

「もしかしてさっきの爆発!?大丈夫!?」

「う、うん……まあなんとかね……」

 

志乃はジト目で陽菜を見たが、陽菜は遠い目をした。

 

「で?その子供が人質か?」

 

ライカが小さな男の子を指差す。

 

「はい。ですが二人ともどうしたんですか?」

「その大男にやられて……」

「なんですって!」

 

志乃の目が据わった……

 

「あかりちゃんに傷ですってぇえぇええええええ!!!!!!」

 

ゴゴゴゴ……と志乃の背中から地獄の業火が燃え上がる。

 

「万死に値します!死刑!!!」

「ば、バカ!9条を思い出せ!」

 

志乃は迷わず刀を抜いて泡を吹いて気絶する金井に止めを刺そうとしてライカに止められる。

 

【ねぇ~……救出したんだからお兄ちゃんに連絡しなくていいの?】

「あ!そうだった!」

 

あかりは慌てて電話を掛けた……




皆それぞれ修行中です。

え?陽菜は?……ええと……彼女も彼女なりに修行してます。

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