緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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第九章 人工天才の血筋
龍達と闇鍋


『カンパーイ!!!』

 

チームバスカービルの皆は祝杯を上げる。

文化祭は無事終了し売り上げは何と校内トップ……序でに歴代トップで話題性もトップと来た……但し苦情もトップ……

まあそんなことは脇に置いておくとして終われば武偵高校 文化祭のお約束……体育館での闇鍋である……

 

「と言うわけで……」

 

まずこの闇鍋は専用の鍋で外れ食材を持ち寄る物と外れ食材を持ち寄るものに別れる。

 

今回の当たり食材はキンジ、一毅、白雪とまともな面子だが……

外れ食材はアリア、理子、レキだ……アリアとレキは想像がつく……だが理子……こやつが想像つかない。いったい何を持ってくるのか……

 

「ま、まず私はお肉だよ……」

 

松阪牛を出して入れる白雪……

 

「お、俺は野菜だ……」

 

一毅は野菜を入れる……

 

「お、俺は豆腐とか白滝な?」

 

キンジもまずまず鍋らしい物だ……そして入れる……だが、

 

「私は桃饅ね」

 

アリアのそれは予想ついた……投入……

 

「私はカロリーメイト(シュールストレミング味)です」

『ちょ!』

 

世界一臭い缶詰味のカロリーメイト出てるのかよと全員が突っ込む……確かギネス認定もされてたはずだ。

ま、まあ少し予想を裏切られたが上場と言うところだろう……投入……クッサァ!!!!!!!!!そして最後の理子は……

 

「皆……大切なのを忘れてるよ……」

 

理子はムフフと笑いながら言う。

 

「そんな理子はこれです!」

 

理子が出したのは……ブレアの午前6時!!!

ブレアーズとか言う会社が作った現在では世界で最も辛いソース!!!その辛さは命に関わるレベル(注※本当です)のそれを惜しげもなく全て投入……シュールストレミングで鼻が痛いが目も痛くなってきた……

 

「ば、バカ!辛すぎだろ!」

「大丈夫大丈夫。これで中和するから」

 

そう言って出したのはタウマチン!!!!!!その甘さは砂糖の3,250倍と言う数値を誇る驚異の甘味料……

 

「どば~♪」

『なっ!』

 

それも惜しげなく理子は投入……遂に鍋の全貌が明かされたわけだが何かドロドロネバネバしてて汁の色が紫だかなんだかよくわからない色だし器に装ってもゴボゴボ音をたてる……こわ!

 

「だ、誰が食べる?」

「こういうのはリーダーじゃないかなぁ……」

 

理子も自分のやらかしたことに気づき冷や汗を流しながらキンジを見る。

 

「いや、こういう場合は一番体が頑丈そうなやつがやるべきだ……」

 

そう言って一毅をキンジは見る。

 

「い、いくらなんでも死ぬって……」

 

因みに絶対一口は口にしなければならないのが約束である。でないと蘭豹から鉛弾を食わされる。

 

「あ、アリアせんぱーい!」

 

そこに生け贄ども――もとい、後輩たち+ロキが来た。

 

『(お前ら)(あんたたち)(だれか)(あなたたち)(君たち)のうち誰か食べ(ろ)(なさい)(て)(てください)!!!』

 

全員が後輩に食わせることを決めた。

 

『ええ!?』

 

一年生たちは驚く……目の前には明らかに人類が製作しちゃいけない何かがある……

 

「あかり!命令よ食べなさい!」

「し、志乃さん!これも強くなるためだよ!」

「ライカ!……ええと……何でもない!」

「陽菜!これを食うんだ!修行だぞ!」

「辰っちゃんあげるー!」

「ロキ、食べなさい!」

 

一毅は彼女にこれを食わすのはどうかと言う理性が働いたが他の面々は遠慮なく食わせにかかる。

 

「む、無理ですよ!辰正パス!」

「す、すいません!と言うわけで谷田くんパス!」

「よ、良かったぁ~まあ一毅先輩の分は辰正にやるよ」

「し、師匠!さすがにまだそれは拙者には荷が重すぎるでござる!なので谷田殿に差し上げるでござる」

「え、えーと……よくわかんないけど正ちゃんにあげればいいんだね?」

 

先輩から後輩に……そして全て辰正に委ねられた……

 

「あれ?」

 

そりゃ、あれ?である。辰正は鍋ごと渡されたため呆然と見る。

 

「いやいや!これ作ったの先輩達ですよね!?何で俺が食べるんですか!?しかも臭くて目が痛いし!」

「知ってるか?後輩はどんな理不尽な命令も聞かなきゃいけないんだ。そして後輩たちのなかで男はお前だけ……まさか女に食わせる気か?」

 

陽菜に押し付ける気満々だったくせにキンジは自分のことを棚にあげて辰正に押し付ける。

「うぅ……」

 

確かにキンジの言う半分は辰正も納得した。更にあかりにはこれを食わせたくない。あかり本人には気付かれてないが辰正はあかりに対して異性の気持ちを抱いてる。なのでこれを食べるのがあかりを守ることになるのなら……男を見せてやろうではないか!

 

「頂きます……」

 

辰正は手を合わせ箸で中から食材を取り出す……出てきたのは元は桃饅だったもの……だがシュールストレミングの香りと危険な色……

 

「南無三!」

 

辰正は口に危険物を放り込む……

グニュチャ~っと言う不快な歯応え……更に鼻を突き刺すシュールストレミングの臭い……そして次の瞬間……

 

「ウグゥゥゥウウウウウウワアァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

地の底から上がってくるような叫び声……辰正の口を凄まじい辛味と甘味が蹂躙していく辰正は皿を落としながらひっくり返る。全身から汗が止まらないし息ができない。

 

「ウグ!エグ!オグゥ!ガガボ!!!」

 

変な奇声を発しながら転げ回って跳ね回る。

 

「オゥエ!!!」

 

そして遂に動きを止めるとうつ伏せのままピクピク動く……

 

「た、辰正?」

 

あかりが恐る恐る見る。

 

「あかりちゃん……君にあえて良かったよ……」

 

ポテ……とそのまま辰正の意識が消えた……

 

「医者ああああああああ!!!」

 

さすがに全員が慌てた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……うーん……」

 

たった一口で辰正を重症?に追い込んだ危険物は捨てて鍋を作り直す。

因みに一応治療を受けた辰正は現在あかりの膝の上に頭を乗せて唸っている……押し付けた後ろめたさか志乃ですからそっとしておく。

 

「そういえば夾竹桃はどうしたんだ?」

 

ここのところ一セットだった夾竹桃が居らず一毅がライカに聞く。

 

「同人誌書くんだって言ってましたよ?」

『あ~』

 

さて、完成だ。今度はちゃんとした鍋である。

 

『いただきます……』

 

辰正と言う犠牲を払い一年生も交えて鍋を食べる。

 

「あ!こら理子!それはアタシのお肉よ!」

「早い者勝ち~」

「うぉ!お前ら少しくらい俺にも食わせろ!」

「き、キンちゃんアーン」

「ん?アー……」

 

勢いで白雪のアーンにキンジは応じそうになるが……

 

「なにやってんのよ!」

 

白雪にアリアがキックをかまして吹っ飛ばず。

 

「そんな狡い……じゃなくてバカやってんじゃないわよ!」

「ねえねえキー君アー……」

「あんたもなにやってんのよ!」

「お前ら埃立つから暴れんな!」

 

一毅が遂にキレた。

まあとにかく邪魔物は排除できたので……

 

「ねえキン……」

「師匠、ささ、お口を開けてくだされ」

「……」

 

そういえばまだいたっけ……とアリアは無表情でガバメントを抜く。

先程から戦々恐々でビクビクとアリアを見ていたキンジはそれを見て飛び上がる。

 

「風穴ァアアアアア!!!!!!」

 

アリアがガバメントをバッキュンバッキュン撃ちまくる。

キンジは陽菜を連れて逃げ回る。

 

「と、止めなくていいの?お兄ちゃん」

 

ロキがそれを見て一毅に聞くがそれ以外の面々は静かに食事を続ける。

 

『何時もの事』

 

一言そう言った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひどい目に遭ったぜ」

 

キンジと一毅はゴミをごみ捨て場に捨てる。

すでに時間は真夜中……一年生たちは辰正を運んでいった。序でにライカは先にかえって風呂を沸かしておいてくれるらしい。後、深く突っ込まなかったし誰も気付いてなかったがロキが着いていってたが……気づかなかったことにしとこう。

 

「あれはお前が悪いよ」

「なん……だと?」

 

キンジは一毅の返答に驚く。

 

「俺が悪いのか?」

「そりゃそうだ。態度をハッキリさせないからそうなる」

「うぐぅ……」

「もしくは纏めて懐に入れられるだけの甲斐性をつけるんだな」

「…………」

 

キンジはごみを捨てながらそっぽ向いた。

 

「さて、帰ろうぜ。もう俺たちしかいないんだからさ」

「そうだな」

 

キンジの言葉に一毅が頷いた次の瞬間……

 

『っ!』

 

体育館が爆発……

 

「なんだ!」

「っ!いくぞ!!!」

 

二人は急いで体育館に向かう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰よあんた!」

 

アリアは突然の襲撃者に向かって叫ぶ。

 

「えーと……」

 

クチュ……とキャラメルを口に放り込みながら変なゴーグルと言うかバイザーを着けた体つきから女と思われる襲撃者はアリア達を見る。

 

「何でお兄ちゃんはあんなロリとかデカ乳女とかロリ巨乳とか忍者っ娘とかを囲むのかなぁ……非合理ぃ~」

「何言ってんのよ!!!」

 

アリアがガバメントを撃つ。

 

「遅い!」

 

襲撃者は横にスウェイで躱すとアリアと肉薄する。そのまま背中から剣を抜くとアリアに振り下ろす。

 

「この!」

 

咄嗟に小太刀で防ごうとしたが勘が避けろと訴える。

 

「くっ!」

 

アリアは小太刀を手放し横に跳ぶ。

 

「意外と判断力あるじゃん」

 

襲撃者の剣と空中にあるアリアの小太刀がぶつかる……すると簡単にキン!っと言う音と共に斬れた……切れ味が良いとか言うレベルではない。

 

(なにあの剣!)

 

アリアは驚愕しつつも一旦距離を取って銃撃……だが襲撃者は回転しながら飛び上がる……そして、

 

「ハァアアアアア!!!」

「がっ!」

 

強烈な踵落しが決まり地面に着地するとそのまま蹴り上げる。

 

そこに白雪が抜刀。イロカネアヤメと襲撃者の剣がぶつかると凄まじい火花を散らす。

 

「そう言うこと……糸鋸みたいな剣なんだね」

「頑丈な刀……だね!」

 

弾き上げると一旦距離を置く。

 

「くふふ……」

「……」

 

理子とレキが銃を構えた……だが、

 

「残念だね」

 

間合いを詰めてきた白雪に飛び蹴りを襲撃者は叩き込みその反動を利用して空中バック転……後ろから放たれたレキと理子の銃弾を躱しながら二人の同時に蹴りを叩き込む……

 

「ぐっ!」

「がっ!」

「うっ!」

 

三人は床に倒れた……まるでキンジの【三角飛びの極み】のような蹴り技……

 

「動きが……キー君に似ている?」

 

理子が顔をあげながら襲撃者を見る。

そこに、

 

「ウォオオオオオ!!!」

 

キンジがドアを蹴破って乱入しそのまま疾走……

 

「あ……」

「ウッシャア!」

 

襲撃者はあっさりキンジの蹴りを喰らった。

 

『え?』

 

アリア達は驚く……襲撃者の強さは味わったばかりだ。あんなあっさりキンジの蹴りを喰らうような奴ではない筈だ。

 

「大丈夫かお前ら!」

 

一毅がレキに駆け寄りながら皆を見る。

 

「何者だお前……」

「ねえ邪魔しないでよ……お兄ちゃん」

『………………はい?』

 

一瞬皆が一毅を見る。首を横に振るう。と言うか襲撃者の視線は明らかにキンジを見ている。だが……キンジに妹はいない。序でに言うと弟もいない。それは一毅も知っている……のだが、

 

「ねえお兄ちゃん。何で邪魔するの?」

「お、おい……何言ってんだ?」

 

キンジは困惑する……

 

「まあいいや……こいつら殺してお兄ちゃんの眼を覚まさせる」

「っ!」

 

キンジは身構え一毅もレキの前に立ちながら刀の鯉口を抜く……すると、

 

「待てフォース……お前へそんな命令をした覚えはないぞ」

『っ!』

 

突如出現した襲撃者と同じバイザーを着けてて顔はわからないが声や体格から判断するに男だろう……それに全員が注目する。

 

「別にいいじゃんサード……」

「駄目だ……遠山 キンジをレガルメンテにするには必要だ」

「でも!」

「それともフォース……俺の命令が聞けねえのか?」

『っ!』

 

一毅達は自分達の体が重くなった気がした……サードと呼ばれた男が放つ覇気……一瞬サードがでかくなったような感覚……何だこいつは……よくわからないが……強い。

 

「ご、ごめんサード……少し興奮して……」

 

フォースと呼ばれた襲撃者はあっさり頭を下げた……と言うかわずかに怯えている。

 

「そうか。じゃあ後はお前のやることをやれ」

 

そう言ってジジ……と言う音と共にサードは消えた……

 

「さてと……」

 

フォースはこっちを見る。

一毅とキンジの二人は身構えた……

 

「そんな風に警戒しないでよ。降参するから」

『なに?』

 

二人の疑問を無視してフォースは鎧や武器を全てこっちに捨ててきた。そしてバイザーを外すと……

 

『っ!』

 

その下にあったのはクリッとした眼……そして淡い栗色のショートボブの髪だ。年齢は14前後だろう。

鎧の下に着てたアンダースーツからも分かるが成長も年相応……

だがフォースの顔を見た瞬間その場にいた誰もがキンジを……そしてカナを知るものは脳裏に浮かべた……

 

「何が目的だ……」

 

キンジはフォースに聞く……

 

「ふふ……それわねぇ……」

 

フォースは妖艶な笑みを浮かべた。

 

「お兄ちゃんの彼女になりに来ました」

『……………………………………………………………』

 

全員が我が耳を疑った……


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