緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍達と紫電

「ん?」

 

キンジは階段を上がる途中で顔をあげるとピンクの髪を靡かせた少女がいた……

 

「何やってんだ?お前」

「決まってんでしょ?あんたを迎えに来たのよ」

 

いつものアニメ声を発したアリアはキンジを見てから階段上の方を見る。

 

「ヒルダには話をつけてるわ。交渉次第ではママの裁判にも呼び出せる。話せば分かるやつよ」

「そうか……お前にしては冷静に考えたな」

「どういう意味よ」

 

ガルル!っアリアが威嚇するがキンジは流す……

二人並んでまだ作りかけのため広場になっている天辺に着くと居た……真っ黒なゴスロリに今のような闇に栄える金髪……美しき吸血鬼の姫……ヒルダ。

 

「やあヒルダ……」

「ふふ、まさかあの虫を倒すなんてねぇ」

「あまり女性を虫扱いするものじゃないよ」

 

今回はヒステリア・ノルマーレ……か。まあいいだろう。

 

「でもまさかここまで簡単に騙されて来るなんてねぇ」

 

ヒルダはうすら笑みを浮かべた……普通なら何を言っているのか分からないだろう……が、

 

「ああ、後ろでアリアに化けて懐にスタンガンを忍ばせてる理子の事かい?」

『っ!』

 

キンジが振り替えるとスタンガンを構えたアリアが目を見開きヒルダも驚いたような顔をした。

 

「体と言うのは人間が思うより正直だ。俺の目はそれを見抜く。残念だが理子……俺は君を一度でもアリアとは呼んでいないよ」

「……」

 

バッとアリア改め理子は変装を脱ぐ。

 

「アハハ……まさか簡単に見抜くなんてキー君どうしたの?ヒステリアモードってだけじゃないよね?」

「ああ……」

 

いつものようにキンジは話す。

 

「理子!」

 

ヒルダが叫ぶと理子は恐怖に体を竦ませた。

 

「そのイヤリング破裂して欲しいのかしらぁ?」

「なに?」

 

キンジはヒルダを睨む。

 

「どう言うことだい?」

「そのイヤリングには毒が入ってるのよ。私が少し念じればパーン……五分で死ぬわ。怖いわよねぇ理子ぉ……なら分かるでしょ?」

「……」

 

理子は髪を動かしナイフを二本……両手に銃……

 

「理子……」

「ごめん……キー君」

 

次の瞬間理子との間合いがつまる。縦横無尽にキンジを襲う髪は目で対処できる。

 

「理子……君とヒルダの関係は軽くだが聞いている……だがその上で言わせてもらうよ。それで良いのかい?」

「っ!」

 

一瞬理子の動きが鈍くなる。

 

「そのまま呪縛に囚われていて良いのかい?」

「黙れ!」

 

理子は銃を撃つ……だがキンジの銃弾切り(スプリット)が対処する。

 

「お前に何が分かる!」

「そうだね。俺は君を全ては知らない……でも分かる事もあるよ……例えば……君は強い……」

「え?」

「俺には分かるよ……君は強い人間だって……囚われていてそのままで良いと思えるような人間じゃないってね……」

 

キンジは理子を抱き締める。

 

「怖いだろう……逃げたいだろう……でもそのための俺たちだ……少しだけ勇気をだすんだ……そうすれば……」

 

チャリ……っと音がしてイヤリングが地面に落ちた……

 

「簡単に自由だ」

「馬鹿な……そのイヤリングの解錠は複雑な機構だから普通はピッキングぐらいでは不可能……」

「俺の腕と目を持ってすれば幼児の知育玩具くらいの簡単さだよ」

 

キンジはヒルダに声をかけながらも理子の髪をすく……

 

「さ、一緒に倒そうか」

「キンジ……」

 

理子は頬を紅潮させながらも頷く……

 

「悪いがヒルダ。君を逮捕するよ?」

「あら……そんなの出来損ない入れての二人で私に勝つ気?」

「いや、三人だし理子は出来損ないじゃねえよ!」

『っ!』

 

ガシッと縁を掴んで一毅はスカイツリーに這い上がる。

それを見て三人は唖然とした。

 

「どこから登場してるんだ?」

「いや、何かエレベーターの電力止まってるし階段は崩れてたし仕方ねぇから側面に張り付いて登ってきたんだよ。いや、途中でワトソンに会ったんだけど驚愕された挙げ句に腰抜かされた」

「当たり前だ」

 

そんなことを言いながら一毅は立ち上がると体を回す。

 

「さて、見た限りどうしても嫌な予感がしてね……タイミングは君に任せるよ理子……でも少し待っててくれ、最初は男達がやろう」

キンジはそう言うと、

 

「先ずは魔臓だ一毅……」

「OK……」

 

二人はそれぞれ武器をもつ。キンジはナイフと銃と蹴りの構え……一毅は二刀流……

 

『いくぞぉおおおおおお!!!!!ヒルダぁアアアアアア!!!!!!!!!!」

二人は走り出した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちぃ!」

 

ヒルダの電撃……普通の人間なら反応すら許されず体の自由を奪われただろう。まあ二人にとっては防げず当たると痺れる銃弾と大差はない。

 

『っ!』

 

一毅の心眼キンジの万象の目は未だその場のノリや勢いに乗じて使う感じだがこの場でも使える。二人は別れるように跳んで躱すと一毅の斬撃がヒルダを襲う。

 

「くっ!」

 

切り傷事態はすぐに回復する。だが精神的な圧迫は消せる訳じゃない。少なくとも二人はブラド……自分の父と言う吸血鬼と一度戦うことで無限回復に対しての驚きはない。

 

「一毅!」

「任せろ!!!!!」

 

一毅は間合いを詰める。

 

「この!」

 

雷球が一毅を穿……たずその前に横に一瞬跳んで躱した一毅は模様を二つ刺し貫く……更に、

 

「これで終わりだヒルダ」

 

キンジがベレッタとデザートイーグルの2丁拳銃でもう二つも撃ち抜く……

 

「がっ……」

「どうだ……?」

 

一毅は刀を引き抜いて離れる……

 

「ふ……ふふ……アハハハハ!!!!!何てねぇ」

 

ヒルダの傷が回復する。

 

「なにっ?」

 

一毅が眉を寄せる。

 

「私の魔臓は外科手術で場所を変えてるのよ。医者も殺したし私も場所を知らないわ」

「どうりで魔臓を隠さないはずだ」

「気づいてたのかよ」

「違和感があっただけだ」

 

キンジが肩をすくめる。

 

「その余裕……何時までできるかしら?」

 

そう言ってヒルダは電気をためる。

 

「見せてあげるわ……吸血鬼の真の力をね!」

 

電撃をヒルダは自らに当てる……すると、ヒルダの姿が変わっていく。

 

第2態(セコンディ)を鬼とするなら第3態(テルツァ)は神……人間なんぞ有象無象のごみ虫よ」

『ヘースゴイスゴイ』

 

一毅とキンジは適当に答えた。

 

「じ、自分達が置かれた状況が分かってないようね」

「いや、お前こそちゃんと周り良く見ろよ」

「?」

 

ヒルダは一毅に言われ周りを見渡す……

 

「っ!」

 

良く見ると理子がいなかった。どう言うことかと周りを見ると、

 

「こっちだよヒルダ」

「え?」

 

声の方を振り替える……そこには銃身を短く切り落としたカットオフショットガンをガチャンとスライドさせて構えた理子……

 

「一発一発に今までの恨み込めといたからさ……全部喰らっとけ!!!!!」

 

小さな散弾が発射されヒルダ体を余すとことなく穿つ……無論魔臓もだ……

 

「がひっ!」

 

ヒルダは後ろに倒れそうになるが視界の端にクラウチングスタートの構えを取るキンジと二刀を交差させ腰を落とす一毅……まず一毅が疾走する……

 

「ヒィ!」

 

理子に撃たれ力の殆どが逃げたがそれでも残った電撃を全て一毅にぶつける……死んだか?ヒルダはそう思った…………思っただけだった。

 

「二天一流ゥゥウウウウウ……」

 

一毅はバチバチと体を発光させ電流が体を駆け巡る。

 

「必殺剣!!!!!」

 

静電気で髪が逆立ち体が動かなくなりそうだがそれをブルーヒートで体を動かさせる。

 

「この桜吹雪ィイイイイイ……」

 

それを追い越しながらキンジは加速……

 

「散らせるもんなら散らせてみやがれ!!!!!」

 

全身の関節をほぼ同時に加速……オロチの着けた右手から桜吹雪のような円錐錐状(ヴェイバーコーン)が現れる……

だが今回は自損しない程度に速度を抑えてある。音速ほどではないが亜音速の拳がヒルダの腹に直撃する。

 

「桜花!!!!!」

「ぶほっ!」

 

ヒルダは体をくの字に曲げながら空に飛ぶ……そこに一毅は飛び上がる。

今回限りのオリジナル技……雷を纏し天からの一撃、

 

鳴神(なるかみ)!!!!!」

 

一毅の双刀がヒルダを切り裂いた……

 

「丁度良かった……」

 

一毅が笑う。

 

「最近肩凝りが酷くてな。良い感じ解れたぜ」

「解れるか」

 

キンジのチョップを喰らう……

 

「う……ぐぅ……」

 

ヒルダは体を捻るが力はない……そこに理子が立つ。

 

「理子ぉ……」

「…………」

 

キンジと一毅はそれを見守る。

 

「ふふ、殺す?いいわよ、憎いわよねぇ……恨んでるわよねぇ……どうせもう長くないわ……」

 

ゼィゼィヒルダは息を荒くしながら言う……だが、

 

「馬鹿にするな」

 

理子は言う。

 

「私はお前を殺さない」

 

理子はキンジと一毅を見る。

 

「捕まえて救急車呼んで」

「良いのかい?」

「良いんだよ。捕まえたのはお前達だ。私じゃないしね」

「そうか」

「…………」

 

ヒルダは呆然と理子を見た。

 

「さて119……いや、救護科(アンビュラス)にしとくか」

 

一毅は携帯を出す……が、

 

「ああ!!!!!ぶっ壊れてる!」

「そりゃそうだろうね」

『ん?』

 

振り替えるとワトソンが来た。

 

「これを使ってくれ」

 

ワトソンは一毅に携帯を渡す。

 

「応急処置は僕がしておくよ」

「頼んだよ。ワトソン」

 

キンジは笑いかけると頬を赤く染めた。

 

「こ、今度は男にキー君が走った……?」

 

おい、とキンジは理子のデコをつつくと近くの棺を開ける……中にはアリアがいた。

 

「桃饅ツリー……」

「……全く」

 

キンジはアリアの寝言に肩をすくめた。

 

「どこでもアリアだなぁ」

「全くだね」

 

一毅とキンジは笑いあった……


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