『大変お世話になりました』
一毅達が沖縄に来てから早くも二週間近く……学校も始まるのでそろそろ帰るため三人は空港に来ていた。
皆へのお土産物も買っておりアリアには沖縄限定桃饅、キンジにはチンスコウ、白雪には精力増強ハブの干物を頼まれていたので買う……のはキンジの貞操のために辞めて普通に服で理子には適当にハンカチだ。一年生達にはライカが色々買ってた。
「またいらっしゃい」
「待ってるぞ」
一明や由美を含めたアサガオの皆も見送りに来ていた。
「レキ姉ちゃんまた来てな!」
「はい」
「ライカお姉ちゃん待ってるね?」
「あ、うん」
「あれ?俺は!?」
『別に一毅兄ちゃんは良いや』
「がはぁ!」
ここは一毅の故郷のはずなのだが……
それを見て一明は爆笑している。
「お前らな~」
「私は一毅兄さんにも帰ってきてほしいよ?」
「お前ら遥を見習え!」
そんな漫才みたいなことをしていると時間が着た。
「あ、じゃあそろそろ行くよ」
「また来ます」
「ではまた」
一毅達は行った……
「……」
「?あなた?」
「あいつらは……大丈夫なのだろうか……」
「え?」
由美は一明を見る。子供達は窓の方にいって飛行機を見ている。
「あいつらがなにか大きな戦いに巻き込まれてるのは知らされていた。あいつは気づかれてないと思っているがな」
「そうね」
「だからこそ心配でな。あいつらは皆揃ってまだまだ未熟だ」
「……大丈夫よ」
由美は言う。
「一毅はあなたの息子で……レキちゃんもライカちゃんも一毅が選んだ大切な女の子……あなただって知ってるでしょ?一毅は何かを守るときに強さを発揮する」
「由美……」
「私たちはね……信じるしか出来ないのよ。信じて信じて信じぬいて……それが私たち親の仕事なんじゃないかしら?」
「そう……かもな」
一明は由美の肩を抱く。
「きっと……大丈夫だよな?」
「ええ、大丈夫ですよ」
由美も一明の肩に頭を乗せた……
そうして二人は一毅達が行った方をいつまでも見ていた……
『ただいま~!』
「帰りました」
一毅達は寮の部屋にはいる。
あれからまた飛行機に揺られ一毅達は土産を手に帰ってきた。
『お~か~え~り~……』
キンジ、アリア、白雪、理子、あかり、辰正、志乃は死んでいた……返事がない。ただの屍だ。
『死んでない!つうか返事してるだろ!』
「なにしてんだお前ら……大丈夫かよ」
「ちょっと……色々あって」
一毅達はお土産を配りながら聞くと最近一年に編入した元イ・ウーの女の子がいるらしいのだが(夾何とかと言うらしい) その女の子が今日ある同人誌即売会に出す筈が予定が狂って書き終わらず仕方なく理子に手伝いを依頼し余りの忙しさにキレた理子がキンジや一年生達も巻き込み、さあ大変。何と夏休みの始めから昨日まで連日連夜ベタ塗りに消ゴム掛けとやらされまくったらしい。しかも絵が上手かった理子と白雪と志乃は更に悲劇で漫画自体の絵まで描かせられる羽目になってしまったらしく泣くことになったらしい。
「絵が上手い一毅とレキがいれば半分の時間で終わってたぞ」
キンジは逆恨みに近い目で見てきた。
「て言うか何でよりによって僕たちにGL描かせるんだよ夾ちゃん……」
辰正は精根尽き果てたように突っ伏したまま言う。
「ま、漫画ってあんな疲れるのね」
「違うよアリア……後々まで物事をためると祿な目に遭わないって言う良い教訓だよ……」
「さ、流石お姉さまです……」
アリアと白雪はいつもなら喧嘩し合っているが今回はそんな体力もないらしい……志乃は白雪を褒め称えてるが力ないし……
「あ、ライカ……水ちょうだい」
あかりは取りに行く力もないらしい……
「取り合えず……ご愁傷さま」
『うん……』
すると、
「わふ…」
ハイマキが顔を出した。キンジ達に預けていたのを忘れていた。
一応飯は貰っていたらしい。
「じゃ、じゃあ俺たちも帰るから」
『お~……』
キンジ達ゾンビの見送りを受けながら一毅達も帰った……
「あ~疲れた」
一毅達はそれぞれ荷物を片付ける。
「ハイマキ~ご飯だぞ~」
ライカが魚肉ソーセージを置く。
「わん!」
ハイマキが魚肉ソーセージをガフガフ食べるのを見ながら一毅も夕食の調理にかかる。
「それにしてもキンジさん達も可哀想でしたね」
「何だっけ?夾……夾竹梨?」
「惜しいです一毅先輩!
「確かライカさん達が倒した子でしたよね?」
「ええ、毒使いの女の子です。すげえ強くて私負けちゃったんですけど」
「相性の問題もあるだろうしな~純粋な殴り合いなら負けないだろ?」
「まあ……基本策士ですから夾竹桃は……」
強さ相関図で言うなら
「そう言えばライカ達って皆揃って近距離専門ばっかじゃね?」
『………………』
一毅の言う通りあかり射撃は下手くそだし辰正もそこまで上手くはない。ライカは結構上手いが狙撃はしたことないし(目は良いがあくまで格闘方面の目である)志乃に至っては剣士……バランスが悪い……
「ま、まあそのうち良い狙撃主見つけな」
「レキ先輩雇っちゃダメですか?」
「Sランクは高いですよ?」
「金取るんですか!?」
「当たり前でしょう」
そんな二人のやり取りを見て一毅は笑う。
「どちらにせよ
「あ、先輩達は夏休み明け行くんですよね?京都に」
「ああ」
「チームはどうするんですか?」
そう、この修学旅行で武偵はチームを組むのだ。言っておくが1件2件解決するためとかではなくこの先の人生ずっと組む仲間を決めるのだ。このチームは何事に置いても優先して良いと決められているが同時に変更も効かない。なので結構シビアに決めなければならない。
なのでこの修学旅行で本当に大丈夫か最終決定するのだ。
「一応夏休み前に決めておいたんだが……」
確かここに……と一毅は紙を出す。
「あったあった」
そこには、
【リーダー・遠山 キンジ】
【
【対超能力 星伽 白雪】
【後方支援 峰 理子】
【狙撃支援 レキ】
【
「へぇ~リーダーはキンジ先輩何ですね」
「意外とリーダーシップあるからな」
「でも改めてみてもSランクが三人で他にも理子さんや白雪さんはランク付けで図れない強さですしキンジさんは人間辞めてますし存外とんでもないチームですね」
確かにレキの言う通りだがバランスも良い。中々良いチームだ。
「ま、一番喧嘩別れで心配だったアリアとキンジも別れず仲良くやってたみたいだしひとまず安心だ」
一毅としてはキンジとアリアが喧嘩したあげく意地張り合って申請ギリギリでセーフという流れは勘弁したかったため肩の荷が下りた気分だ。
「取り合えずお土産は生八つ橋でお願いします」
「了解」
そう言って一毅はエプロンを着けつつ料理を始める。今日は素麺とお握りだ。
「さて、始めるか」
後に一毅は知る……これはシャーロックが言う序曲の前奏……静かで平穏な日々でこれから始まる戦いの……嵐の前の静けさだったのだと……
ついに終わりました……次回からは修学旅行編……なのですが多分原作とは結構違うことになると言うか原作にはない戦いも多く出ると思います。あくまで全体の大きな流れは変わりませんけどね。
と言うわけで次回からもよろしくお願いいたします。