緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と狼

『ウォオオオオオ!!!!』

 

一毅の拳とキンジの蹴りがオオカミを狙う。

 

「がぅ!」

 

オオカミはそれを躱して跳ぶ。

牙がキンジを狙うが、

 

「っ!」

 

スウェイで後ろに下がって躱す。

 

「ガゥワ!」

 

だが更に追撃してくる。しかし、

 

「カウンターキック!!!!」

 

オオカミの攻撃が当たると思った瞬間にキンジの蹴りが先に決まり吹っ飛んだ。

 

「せぇ……」

 

更に吹っ飛んだ先には一毅が待ち構えており……

 

「の!」

 

オオカミをキャッチするとその吹っ飛んだ勢いを殺さずにジャーマンスープレックスに持ち込み地面に叩きつけた。

 

「ぎゃん!」

「よし!」

 

一毅は一度距離を取る。

 

「グ……ルル……」

 

オオカミは牙を噛み締め立ち上がる。

 

「グルゥア!!!!」

「勝機!!!!」

 

一毅は拳を握る。

 

「二天一流……拳技!」

 

この技はキンジのカウンターキックのモデルでもありその威力……虎をも殴り倒すと言う意味が込められた二天一流 拳技の中でも奥義を除けばトップクラスの破壊力を誇る技……

 

虎落(とらお)とし!!!!!!!!」

 

オオカミの攻撃が当たる紙一重先に決まる一毅の虎落としはキンジのカウンターキックを遥かに凌いでおりオオカミを壁に叩きつけた……

 

 

「……キャイン!!!!」

 

オオカミは窓から逃げる。

 

「逃がすか!」

「一毅!」

 

武藤が鍵を投げてくる。

 

「垣根の向こうにバイクがある!」

「サンキュー武藤!でも後で校舎裏でお話しがある」

「ですよねー」

 

一毅は窓から飛び降りると確かにバイクがあった……明らかに違法改造が施された物ではあるが……

 

(明らかに逃亡用だよな……どこまで逃げる気だよ)

 

すると音もなく着地した気配がある。

 

「私もいきます」

「レキ?」

「ここのところ出番がないですしここでひとつ活躍します」

「………分かった。帰れと言っても帰らないんだろう?」

 

一毅は一個しかないヘルメットをレキに投げると鍵を差し込みエンジンを掛ける。

 

「行くぞレキ!」

「はい」

 

そのままアクセルを捻りオオカミをバイクで追いかける。

 

「どこ行ったんだ?」

「ここから200メートルほど行った建築途中のビルです」

「流石視力6.0だな」

 

因みに一毅は2.0である。

 

「よし……」

 

更にスピードをあげて敷地内にはいる。まだ骨組みだけしか出来てないそのビルに入ると足跡がある。

 

「成程……この先か」

 

一毅が足跡の方向に速度を上げるとオオカミが背後から飛び出してきた。

 

「フェイクかよ!」

「中々頭が良いオオカミですね」

「ちっ!」

 

一毅は思い切り蹴っ飛ばす。だがオオカミはそれを躱して跳ぶと一気に上に上がっていく。

 

「あとは任せてください」

 

レキは立ち上がるとドラグノフ狙撃銃を構え……

 

「ここは暗闇の中……一筋の光の道がある、光の外には何も見えず、何もない私は光の中を駆けるもの」

 

レキは自分に暗示を掛けるように呟くと引き金を引き絞り……パン!っと言う音と共に銃弾が発射……そして外れた。

 

「む?」

 

レキがこの距離を外すと言うのは考えにくい。

まあ一毅はレキから逃げる際に刀で弾いたりして逃げるがそれでも跳弾を利用して100%当ててくる。

そのレキが外す?

 

「行ってください。大丈夫です」

 

レキに言われ上がってみるとオオカミは動けなくなっていた。

 

「ん~?」

 

一毅には意味がわからなかった。

 

「銃弾を頸椎にカスらせて瞬間的に圧迫しました。今は一時的にですが体が麻痺してます」

「すっげぇ……」

 

何と言うチート狙撃……

 

「安心してください。今の狙撃は人間でも不可能ではありませんが危険ですのでやりません」

「やられてたまるか」

 

そんなことをやられたら一歩間違えれば死んでしまう。いや、むろんレキの狙撃能力を信じてないわけではないが首の近くを弾丸が通るとか普通に恐怖体験である。

 

「さて、あと数分もすればまた動けるでしょう。逃げたければ逃げなさい。ですがどこに逃げようと私の矢があなたを撃ち抜きます。もしこっちに来ても一毅さんがあなたを完膚なきまでに打ちのめすでしょう。嫌ならば変えなさい。主を……私に」

 

一瞬静寂が包むがヨロヨロとオオカミはレキの元に行き、スリっと顔をくっ付けた。

 

「大したもんだな」

 

一毅もオオカミの腹を撫でやる。

 

「で?どうすんだよこれ」

「武偵犬と言うことにしましょう」

「いや、流石にこれはどうみてもオオカミだろ……」

「大丈夫でしょう……お手」

 

レキが手を出すとシュタっと前足をレキの手に乗せた。

 

「変わり身早すぎだろ」

 

一毅は頭をガリガリ掻くがまあ良いか……とため息を吐く。

そこで気づいた……

 

「お前服は?」

「急いでいたので着てません」

 

さっきまで慌てていたため気付かなかったがレキは今下着姿であった……

 

「あ、ああ~うん……」

 

一毅はブレザーを着せた。

 

「とりあえず服を着ろ」

「そうですね」

「わん!」

 

バイクを押しつつ二人を一匹は帰路に着いた……

 

 

 

 

その夜、

 

『……………』

 

一毅と顔がガーゼだらけになったキンジはお茶を啜る。ひどく居心地が悪そうだ。何故なら…

 

「うわ~ライカって結構おっぱい大きいんだね~」

「そ、そうですか?」

「れ、レキ……あんたは味方だと思ってたのに……」

「?」

 

と言う会話が隣の部屋から聞こえてくる。

今女性陣達はメイド服の試着中である。

無論一毅とキンジは着替えてある。キンジは目がネクラだが元々の造形はそこそこ整っているので結構似合う。

だが一毅は余り似合わない。いや、何と言うか一毅が着ると黒いスーツではどこかのカジノの用心棒か完全にその筋の人である。そういう意味では凄く似合っていた。

 

「終わったよ~、うわ!ヤクザがいる!」

「やかましい!」

 

理子が皆を連れて出てくる。

 

「じゃあ行くよ~、お帰りなさいませご主人様」

 

理子がお手本。

 

「お帰りなさいませご主人様」

 

無表情に言うレキ……中々味があるなこう言うのも……

 

「お、お帰りなさいませご主人様……」

 

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言うライカ……良いねぇ

 

「お、おかゲフンゲーホゲホ!」

 

論外のアリア……二言目までしか言えてねぇ……

 

「じゃあキー君主ねぇ、何か命令してみて」

「じゃ、じゃあ洗濯頼めるか?」

「アリア~胸で洗っちゃダメ【バン!】」

 

理子の言葉にアリアがぶちギレた。

 

「誰の胸が洗濯板デスッテェエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!」

 

銃弾が乱れ跳ぶ戦場とかした部屋の中でキンジと一毅はため息を吐く。

 

『こんなんで大丈夫かぁ?』

 

二人の呟きは銃声と硝煙の中に消えていった……




次回からついにあの屋敷へ……

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