緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍交渉

秋葉原……昔から電化製品を多く扱う店が多くオタクの聖地とも言われ更に何と言っても武偵には土地柄余り立ち寄りたくはない。その理由の一番は人が多く集まる……そして路地裏の秘密の道が多く犯人の逃走を許すことが多いからだ。

 

まあ一毅自身此処に来たのは初めてではない。沖縄の実家の孤児院の子供が好きなアニメや漫画の限定グッズを欲しがったときにちょくちょく出没しては買っていくからだ。だが一つ文句がある。それは頼むときは一度に!だ。

一日ずらしながら連続して頼んでくるのはマジ勘弁して欲しい……とか言いつつも買いに来てしまうのは甘やかしてるんだろうな……とか思う事も多い。

さてそんな個人的な話をしたって面白くないだろうから話を変えよう。今一毅、キンジ、レキ、アリア、ライカは秋葉原に来ている。

何故なら理子が此処にある店を集合場所兼交渉場所としたからだ。そしてわざわざ関係ない話をしたのかと言うと……まあ所謂……あれだ……

 

「ここ何処ですかねぇ……」

「そうだなぁ……」

 

全員仲良く道に迷いました。と言うか理子の書いた地図が無駄に絵が多いし分かりにくいし字が汚いし……余談だが一毅は勉強方面では馬鹿だが字は達筆で非常に綺麗な字を書く。序でに書道もうまい。更に言うと絵も上手い。水墨画から水彩画、油絵、彫刻から粘土までレキと同じく芸術方面で意外な器用さを披露しており裁縫なども上手にこなす。そういう意味ではやはり先祖譲りなのかもしれない。

とまあ現実逃避をしても全く店に着く気はない……でかい看板があるといっていたがそれも見えない。

 

「多分こっちよ」

 

アリアが突然行ってしまう。

 

「いやいやいや……」

 

多分ほど宛にならないものはない。

 

「止まれアリア……多分で歩いて着くわけないだろ」

「私の勘が言ってるわ……此方に行けば道は開けるって」

「んなわけねぇだろ……」

 

キンジが溜め息を吐くと、

 

「此でしょ?」

 

アリアが指差すもの……それは間違いなく理子が指示した店のでかい看板……

 

『嘘でしょ……』

 

一人音楽を聴いていたレキ以外全員が呟いた。因みに最近オペラを聴いてるらしい……

 

 

 

 

 

 

 

「おっそーい」

 

既に理子はでっかいパフェを喰っていた。そりゃもうモフモフと喰ってやがった……

一毅たちは疲れたため文句言わず椅子に座ろうと入った瞬間……

 

『お帰りなさいませご主人様、お嬢様!』

『え?』

 

何と目の前にはメイドさん達のお出迎え……所謂ここはメイド喫茶という場所らしい……

 

「実家と同じ挨拶だわ……」

「凄すぎるなお前の実家は……」

 

一毅は皮肉気味に言う。少なくとも一毅は生まれて17年になろうとしているがご主人様と呼ばれたのは一度もない。

時々忘れそうになる設定だがアリアは生粋の貴族である。

 

「設定言うな!」

 

突然アリアが叫んだため一毅たちは驚く。

 

「あ……と、とにかく行くわよ!」

 

アリアに続いて席についた。

 

 

「で?どういうことだよ」

「どうって?」

 

キンジはコーヒーを飲みながら聞くと理子は惚ける。

 

「どうもこうもねぇだろ。泥棒ってどういう意味だ」

「言ったまんまだよ。アリアのママの裁判に出廷してあげる。ただその代わりに理子の大泥棒大作戦に協力してほしいの」

「一応参考程度に聞いておくが誰から何を盗むんだよ」

「ママに貰ったロザリオ何だけどさ~」

 

それを聞いたアリアは目をカッ開き立ち上がる。

 

「あんたふざけんじゃないわよ……ママに罪着せといて自分の母親のは取り返すの手伝えですって!?」

「アリア落ち着け」

「キンジは黙ってて!上等よ、無理矢理でも引きずっていってやるわ!!!!」

「アリアは良いよね。ママが生きてて……」

『え?』

 

アリアだけではなくその場の全員が声を漏らした。

 

「私はお父様とお母様が年を召してから出来たんだ……だから理子が八歳になる頃に死んだ……そしたらさ~使用人とかも皆家のあったお宝とか持ってドロンして……一人ぼっちになった……そこにあいつは現れて……」

 

ポトッとテーブルに滴が落ちた。

 

「あいつは知ってるんだ……私にとってあのロザリオはお母様に貰った唯一の形見だってことを……だからあいつは……畜生……」

「理子……」

 

泣いていた……あいつとは誰を指すのか知らないが少なくとも……理子が強い恨みを持っている。

 

「ああもう!泣くんじゃないわよ!」

 

アリアはハンカチを出して理子の顔を拭いてやる。

 

「それで……理子さんからロザリオを奪ったのは何者何ですか?」

「……無限罪・ブラド」

 

その名を聞いた瞬間アリアは驚愕した。

 

「イ・ウーのNo.2じゃない!」

「うん。でもブラドはこれから泥棒する場所には何年も帰ってないよ?」

 

それを聞いたアリアは舌打ちした。

 

「でも良いと思うよ?ブラドは誰も勝てないから」

 

理子ですらここまで言い切らせるブラドとは……

 

「なあどちらにせよイ・ウーってなんなんだ?そろそろ教えてくれてもいいだろ?」

「……やめておいた方がいいわキンジ」

 

アリアは静かに言った。

 

「イ・ウーの事は日本でも第一級の機密事項よ。下手に知れば公安0課や武装検事も動く」

『っ!』

 

キンジ、一毅、ライカは表情を固まらせた。

今出た公安0課と武装検事……どちらも日本が誇る武装職……武偵と違い殺しも許された者達だ。

分かりやすく言うと公安0課は00(ダブルオー)シリーズをモデルにしている警察の人間で武装検事は裁判なんかにもでる……どっちも化け物と言う意味では同じだが仕事内容は結構違う。

だが少なくともキンジと一毅……二人掛かりでも恐らく勝てないだろう。少なくとも自分の父達が所属していた武装検事の強さは身に染みてわかってるつもりだ。

 

「じゃあブラドと言うのは?」

 

レキが聞くと、

 

「イ・ウーの構成員でママに冤罪を掛けた一人……どちらにせよその屋敷にいけば何かしらの証拠がありそうね」

「じゃあやってくれる?」

「ええ、良いわ!やってやろうじゃない」

 

アリアはやる気だが……

 

(この流れ俺たちもやる流れだな)

 

一毅たちは苦笑いする。

 

「それで?どうするの?」

「んふふ~皆はこれから行く屋敷でメイドさんか執事やってもらうの」

『……え?』

 

一毅たちは唖然とした……

 

 

 

 

 

そして次の日……

 

「メイドか~」

「何か嬉しそうですねライカさん……」

「え、まあメイド服可愛いじゃないですか」

「まあそれは否定しないけどな」

 

一毅とライカは学校で荷物を運んでいた。

何故かと言うと今日は健康診断があるらしい……そのため救護科(アンビュラス)から荷物運び要員を要請されて今に至る。だが今回はレキも呼ばれている。レキは病気とは縁が遠いのだが……因みに一毅も風邪なぞ引いた事はない。誰だ今馬鹿だからだろとか言った奴。

 

「まさかレキ先輩デキたんじゃ……」

「何が?」

「子供」

 

一毅はずっこけて階段から落ちた。

 

「あ、アホか!た、確かにそういう行為をしたことは否定しないがちゃんと避妊してたわ!」

「そうですか……やっぱりレキ先輩とはそういうことを……」

「あ……」

 

ライカはシュン……としてしまう。それが何を意味してるかくらいは分かる。

 

(平等に……だったよな)

 

一毅は荷物を奥と階段を上がり、

 

「ライカ」

 

ライカはこっちを見たのを見計らって自分の唇をくっ付けた。

 

『ん……』

 

それから離すとライカの顔が真っ赤になっていく。

 

「安心しろよ。レキもお前もちゃんと好きだからさ……勝ってるも負けてるもねぇ」

「はい……」

 

一毅はポンポンとライカの頭を撫でてやる。

 

「さ、運ぶぞ」

 

すると次の瞬間ガラスが割れる音と共に悲鳴が聞こえた。

 

『っ!』

「ライカ行くぞ!!!!」

「はい!」

 

二人はその声がした教室まで走ると飛び込む。

 

「い、犬?」

 

入った瞬間何故かキンジと武藤がいて二人がレキに襟を引っ張られていた。

そして倒れたロッカーの上には犬……いや、それにしてはでかいから……狼?

 

「コーカサスハクギンオオカミです」

 

一毅の前にいるキンジと武藤の襟を引っ張られていたレキが答える。

 

「がぅ!」

 

オオカミがレキに飛び掛かる。だが、

 

「オラァ!」

 

一毅がレキの前に躍り出ると顔を掴んで止める。

 

「グルルルルルル!!!!」

「うぉおおおおお!!!!」

 

かなり力は強い……まあ四本足なのでこの場合足腰が強いと言うべきかもしれない。だがどちらにせよ凄まじい力で押してくる。少なくとも常人であれば簡単に押し負けただろう。だがあくまで常人の……でありパンチでバスを横転させたり学園島を傾けると言ったことは無理だが《ヒートを使ったらバスくらいならいけるかもしれないが……》これくらいの力に押し負けるような人間では桐生 一毅と言う男ではない。

 

「おおおおぉぉらぁああああ!!!!」

 

腕の筋肉が隆起するとそのままオオカミを薬品棚に叩きつける。

 

「キャイン!!!!」

 

オオカミは少し苦しそうだが戦意は失っていない。

 

「ぎゃう!」

 

オオカミは一毅を飛び越えると……

 

「ぐわ!」

「先生!」

 

確か名前は小夜鳴(さよなき) (とおる)……だったっけ?救護科(アンビュラス)の非常勤講師の先生だ……イケメンで物腰が柔らかくて女子からの人気が非常に高い……ってそんな解説してる場合ではない。レキ助けたらすっかり油断していた。

 

「ウォオオオオオ!!!!ダッシュキック!」

 

だがそこにキンジがオオカミの顎に思い切り蹴り上げを叩き込む。

 

「キャン!」

「オッシャア!!!!」

 

更に追撃技、【ダッシュキックダブル】で胴を蹴って打ち上げると、地面に向け蹴って叩きつける。

 

「ダッシュキック……トリプル!!!!」

 

そしてオオカミがバウンドしたところに一毅が掴むと力を込めてそのまま投げ飛ばす。

 

「がぅ!」

 

だが空中で姿勢を戻すと睨み付けてくる。

 

「流石に頑丈だな……」

「だな……って何でお前はここにいる上にヒスってんだよ」

「……………………」

「後でお話ししようかキンジ君。そうだな……具体的に言うと校舎裏でぶん殴ってやるから(仲良くお話ししようか)

「何か今非常に嫌な副音声が……」

「気のせいだ」

 

それから一毅とキンジはオオカミを見る。

 

「行くぞぉおおおおおお!」

「うぉおおおおおおおお!」

 

二人はオオカミに向かって疾走した……




そう言えば桐生 一馬さんは虎を素手で倒していたっけ……しかも一人で……うん、一毅くんは人間だもの……キンジと二人掛かりでも良いんだよ。

今日中にもう一本上げたいなぁ……

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