緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と護衛準備

「なぁ…やっぱ帰ろうぜ…」

「良いから来る!」

 

キンジがブツブツ言うがアリアの一喝で黙らせられる。

一毅達は今通気孔のなかをほふく前進で移動中である。

しかしアリアが異常に早い…邪魔になるのがないからだろう。

 

「何か今物凄く腹が立ったわ…」

『はぁ?』

 

すると声が聞こえてきた。一毅達は排気口の網から覗く。そこには白雪と尋問科(ダキュラ)の綴 梅子がいた。

彼女は一毅が所属する強襲科(アサルト)の担当の蘭豹やキンジが所属し同時にクラス担任でもある高天ヶ原 ゆとりの親友であり年中怪しい煙草吸ってラリってる危ない人間だ。

ただ尋問に関しては超が付くほど一流…しかも彼女の尋問を受けたあとは女王様と崇め奉るらしい…どんな尋問か受けたくないし考えたくもない。

 

「お前さぁ…最近成績下がってんじゃん?」

 

プハァーっと煙草の煙を吐く。

 

「別に成績とかどうでも良いんだけどさ」

(良いのかよ!!)

 

排気口の全員が内心叫んだ。

 

「なんつうの?あ~あれだ、変化…そう、変化が気になるんだよ」

「はぁ…」

「お前さ…単刀直入に聞くけど魔剣(デュランダル)に接触された?」

 

魔剣(デュランダル)…最近有名な武偵…しかも超能力を使える武偵(超偵と言われている)を狙う誘拐犯…とは言え存在は都市伝説程度の存在だ。

 

「つうわけでさ…お前護衛つけろ。アドシアードの期間だけで良いからさ」

「でも…」

「何度も言わせるなよ…星伽…」

「っ!」

 

白雪はビクッと体を震わせる。

とは言え直接睨まれたわけでもないのに一毅達まで震えた…

基本的に武偵校の先生は先生と言う立場上見せることはないが本性はプロ武偵…しかも一流の…がつくタイプのだ。本気になれば尋問が本職とは言え綴でもキンジや一毅を倒すことは容易いだろう。それぐらい先生と生徒…もしくはプロとアマチュアの差は大きい。

だが同時に白雪が哀れになった。

大体護衛つけたとしてもそれは杞憂で終わることが多い。所詮は過保護でしかないのだ。

 

(ここでもお前は…籠の鳥…か。白雪)

 

一毅は目を細める…だが次の瞬間、

 

「その護衛!」

 

アリアがパンチで排気口の入口をぶち破る。どんなパンチ力してんだよと内心突っ込んだがもう遅い…アリアは下に降りると、

 

「アタシが引き受けきゃうわ!」

 

カッコよく言おうとしたがそうは問屋が卸さずその上にキンジ、一毅、レキが落下してアリアの上に降った。

 

「ちょっと、邪魔よ!」

「お前は急に飛ぶからだろう!」

「レキ、大丈夫か?」

「はい」

 

四者四様の反応を示すなか銃声が響く。

 

「あんだぁ?飛行機ジャック四人集じゃねぇか」

 

綴は今撃ったばかりの愛銃のグロックを仕舞いながら見る。

 

「おお~強襲科(アサルト)のエースの神崎 H アリアちゃんじゃん」

 

グイっとアリアのツインテールの片割れを引っ張りながら綴は笑う。

 

「武器はガバメント二丁と小太刀二本…他にもバリトゥード等の多数の格闘技に精通…」

「ふん!」

「でもカナヅ…」

「ち、違うわよ!浮き輪があれば泳げるわ!」

 

その言葉で全員がアリアが泳げないことを知る。

そして次は…

 

元強襲武偵(アサルトDA)遠山 キンジ…銃とナイフともっとも驚異な我流の蹴り技…更に一部の人間から一目置かれるなど一種のカリスマ性があると思われる」

「…………」

「持ち銃は違法改造のベレッタ」

 

ギクッ…とキンジが固まる。

 

「三点バースト所かフルオートも可能な通称キンジモデル…だよなぁ?」

「いや…今は米軍の払い下げ品で間に合わせてます」

装備科(アムド)に改造依頼いれてるだろうが」

「あっづぅ!!!」

 

綴は煙草の火をキンジに押し付けキンジは飛び上がる。

 

「更に…狙撃科(スナイプ)のエース…レキ。近接戦闘は苦手だがその狙撃の腕は超一流…2051mまでならばどんなに小さい的も撃ち抜ける」

「ええ…」

「出身は流牧民…ウルスで現在は勘当中」

 

そして最後に一毅を見る。

 

「桐生 一毅…現在強襲科最強の名が高いSランク…武器は日本刀3振りとお情け程度に銃が一丁」

「はぁ…」

「使用する技は二天一流…戦国時代から端を発しており非常に実戦的且つ強い…」

 

何でも知ってるな…と一毅は頭を掻く。

 

「でぇ?神崎。受けるってのはこいつの依頼で良いのかい?」

「そうよ!無料で受けてあげるわ」

「だってよ星伽」

「嫌です!そんな汚らわしい」

 

そこまで言わんでも…

 

「なんですってぇ~…」

 

とは言えアリアの雰囲気を見るにただ事ではない…仕方ないな、助け船を出すとしよう。

一毅は顔をあげると、

 

「今ならキンジにも護衛してもらえるぞ」

『え?』

その場の全員が一毅を見る。

 

「だってよ、連携とか考えたら普通にパートナーのキンジが一緒に決まってるだろ?」

「キン…ちゃんと…?」

「そうだ白雪…想像しろ…24時間キンジと一緒だ…何てったって護衛だからな…お前の危機には颯爽と駆けつけ助けてくれるぞ」

「…お…お…」

 

白雪の顔がミルミルダラけていく。白雪のファンには見せられないな。更にそっと白雪に耳打ちする。

 

「しかも…ここで受ければあわよくばアリアとキンジの間に入りキンジを奪い返せるかもしれない」

「っ!」

「良いのか白雪…お前のキンちゃんをピンク武偵に奪われて…」

「っ!っ!っ!」

「そして想像しろ…奪い返したあと更に強くなる絆を…キンジとの繋がりを…」

「ふぁ…ふぁ…ケプァ!」

「うぉ!」

 

最終的に鼻血吹いて倒れた。

まあ嘘も方便と言うようにだが少々刺激が強かったらし…どうも絆のその先迄に想像したらしいな。

とは言え白雪…悪いんだが奪い返せるとは実は一毅は思ってなかったりする。この二人何だかんだですげぇラブラブだし…

 

「ごえいにんむおねぎゃいしましゅ…」

「じゃあ神崎、遠山頑張れよ」

 

綴りもあとは勝手にどうぞといわんばかりにいってしまう。

 

「じゃあ今から荷物運ぶ準備するわよ。一毅はその巫女連れてきて、レキは護衛のプランたてるわよ」

 

そうしてキンジ以外いくと…

 

「って俺の意思は!?」

 

キンジの声が響いたがそんなものは最初から無い。微塵もない。

 

 

 

 

 

 

そして次の日…

 

「ゴメンね武藤くん」

「いやいや良いんですよ星伽さん」

 

白雪LOVEの武藤は白雪の大きな荷物を運ぶため景気よく軽トラを走らせてくれた。

 

「でも…何で男子寮に?」

「今日からキンジの部屋に住むからな」

「ああ~…だからあんなにウキウキとして…エエ!?」

 

荷物を受け取りに来た一毅の言葉に武藤は荷物を落としかけるほど驚愕した。

 

「あくまで任務でだからな?」

 

そこにキンジも来た。

 

「それでも羨ましすぎんだよキンジぃいいいいい!!!!なんだお前ギャルゲーの主人公かよ!」

「知らねぇよ!」

「チクショー!轢いてやるぅうううううううううう!!!!」

 

武藤は血の涙を撒き散らしながら走り去っていった。

 

「この軽トラどうする?」

「置いとけばいいんじゃね?」

 

キンジと一毅は黙々と作業を開始した。

 

 

 

 

 

「そう言えば魔剣(デュランダル)ってどんなやつなんだろうな」

「アリアにちょこっと聞いたけど超能力者かもってよ」

 

一毅とキンジが部屋で作業していると…

 

「そう言うことよ」

 

二人の足元に手錠を投げられる。投げたのは無論アリアだ。その後ろにレキもいる。

 

「なんだこれ」

「ESP手錠よ」

 

一毅が物珍しそうに見る。

 

「一個百万以上するから大事に扱いなさいよね」

『ヒャ、ヒャクマン!?』

「異能対策が施されたものは総じて値段が張るのは普通ですから」

 

アリアやレキは別段驚いていないがどう考えても高すぎる…だが見てみれば何か文字みたいなものが彫ってある。これをするだけで一個千円前後の手錠の桁が三つも増えるのか…

 

「しかし超能力か…どんな力なんだろうな」

「まあ異能系は何でもアリですからね。テレポート、念動力…思考を読む…等々有名な超能力から自然を操るといったものもあると言うのを聞いたことがあります」

「まじかよ…」

 

キンジは早速落ち込んだ。

 

「まあそう言うのが出来るようなレベルの高い超能力者はそう居ないわよ」

「ならいいけど…」

「まあそう言うときに見事に強いやつを引き当てるのがキンジだけどな~」

「不吉なこと言うなぁああああ!!!!」

 

キンジの怒声が響いた…


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