緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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第十四章 緋の覚醒
龍達の帰国


「なんか……酷く懐かしく感じるなぁ……」

 

そうキンジは呟く。

 

欧州にて行われた極東戦役の終結から数日後……キンジ達は空港に降り立っていた……

 

「ホントだよなぁ……」

 

それに一毅が頷く。 本当に長かった……欧州では死にかけたりヒィヒィ言ってたし……マジでつらかった。

 

「いやぁ~、二人とも幸せそうだねぇ~」

 

と、言ったのはロキだ。彼女は日本での生活の方が短いので二人のような感傷はない。しかし、

 

「ここがご主人様の故郷なんですね……」

 

リサのように感動もできないのである。しかしきっちりついてきたこのメイドは……最初キンジはどうにかしてリサを置いていけないかと考えたがそこは天下のリサである。キンジの行く先に先回りしておきキンジの退路をしっかり絶っておきキンジは飛行機に乗る半日前には既に根負けしたのだ。

 

「ほらリサ、はぐれるなよ」

 

そう言ってキンジはリサを連れて歩き出す。だが……

 

「お前ずいぶん足取りが重いな……実はなんかの修行で重りでもつけてんの?」

「一毅……お前だってなんでこんなに俺の足取りが重いのかくらいわかんだろ……」

「まぁ……なぁ……」

 

これから向かうのは武偵高校の寮だ……そこには勿論アリアたちがいる……もしそこでリサと会い……そして機嫌が悪くなれば部屋でハルマゲドン待ったなしだ。特に危険なのは白雪……こいつがぶちギレたら部屋が焼けて消え去るぞ……

 

『……………………』

 

想像しただけで一毅とキンジの背中に冷たいのが走った。

 

「一毅……遺書を書いてから……向かうか……」

「………………そだな……」

「ハイハイそんなこと言ってないで帰るよ~」

 

嫌じゃ嫌じゃとキンジ達は嫌がったものの結局ロキとリサに連行されていったのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とは言えだ……結局寮には真っ直ぐ向かったりはせずに何だかんだ理由をつけて寄り道をして行った……その道中ではリサがコンビニ店員の対応に感動してたり時間通りに来る電車に驚いたりゴミが落ちてないことに我が眼を疑ったりと忙しくそれをみて暫し寮に帰ったらの恐怖を忘れることにした……しかし現実と言うのは残酷なものだ……逃げてもやって来る。遠回りして時間を稼いだって寮に帰ってこないといけないのだ。

 

と、寮の部屋のドアの前でキンジは苦い顔をした。入りたくねぇ……

 

「キンジ……骨は拾ってやっから安心して死んでこい」

「お前だって後ろ暗いんじゃないのかね?」

 

キンジが半眼で一毅を見る……一毅はそっぽ向いて口笛なんか吹き出す始末である。

 

「……まぁいい。行くぞ」

 

キンジはそういうとそぉっとドアを開けた……人影は……なし!

 

「一毅喜べ……誰もいねぇ」

「マジか!」

 

一毅もキンジの後ろから覗き混むと……確かに靴がない……

 

「だが気を抜くな……このまま奥に行くぞ……」

「おう……」

 

そう言って二人はコソコソと奥に向かった……その後ろを苦笑いするロキとにこにこ笑ったままのリサがついていく……

 

「……奇跡だ」

 

そしてリビングまで行って見渡すと誰もいなかった……そのためキンジはついついそう呟いてしまった。

 

「ん?」

 

するとテーブルの上に置き手紙があった。書いたのは白雪だ。文面を見ずとも今時和紙に筆での置き手紙など日本中探したって彼女しかいないだろう。

 

「何々……」

 

キンジはその手紙をチェックする……

 

《キンちゃんへ、少しの間星伽の呼び出しを受けたため帰ります》

 

「………………」

 

キンジはその文面に違和感を覚えた。いつもなら冷蔵庫に和菓子とかなんかの置いていったりするし文面も短い……前なんか何の大作かと眼を疑うような手紙を置いていったこともあるためキンジから見れば首をかしげてしまう。そもそも星伽からの呼び出しと言う時点で怪しい……あまり他人の家に言いたくはないが時期的に考えてもなんか怪しい……

 

(ま、白雪がいたら絶対にリサの件でヤバイことになってたし今は平和なことを祝うか……)

 

そう言ってキンジはソファに座る。だが一毅とロキとリサはずっと天井とか壁とかを見ている……

 

「お前らも座ったらどうだ?」

「……キンジ、そこアブネェぞ」

「はぁ?何い……え?」

 

次の瞬間天井からピンクと金の物体が落下してきた……

 

「ぶべぇ!」

 

勿論素のキンジに躱すのは不可能なので喰らってしまう……勿論その犯人は勿論……

 

「お前ら普通に出れねぇのか!しかもなんで隠れてんだよ!」

「その前にあんたこそなんで新しい女連れてきてんのよバカキンジ!」

「いやー!理子もビックリだよ!まさかリサ連れてくるなんてさ」

「師匠!また女子を連れ込むのでござるか!」

 

そんな光景をみて一毅はため息を吐き……そして、

 

「お前ら……もう出てこいよ」

 

そういうと床下とかクローゼットとかからわらわら出てきた。無論、いつもの面子である。

 

「一毅さんおかえりなさい」

「いやぁ……無事に帰ってきて良かったです」

「ああ、ただいま……レキ、ライカ……そしてこれはいったい何の騒ぎだ?」

「最初皆で一毅さんたちを驚かそうって話になったんです……ですが……」

 

レキはリサを見る。

 

「見知らぬ女性まで一緒だったためタイミングを完全に外しました……」

「あれはリサって言ってな。キンジのハーレムランドの新入り」

 

ボソボソと一毅は耳打ちして教えた。その間もキンジとアリアはギャイギャイと言い合ってる。

 

「ふん!まぁ良いわ、キンジが女を引っ掻けるなんて今更だしね」

「んなことねぇよ!」

 

キンジはもっと言いたいこともあったが一を言うと万になって返してくるアリア相手のためキンジは我慢しつつ言う。

 

「とにかくお茶もらえるかしら」

「かしこまりました」

 

アリアが言うとリサはにっこり笑って手早く他の皆の飲みたいものも聞いて手早く淹れていく。

 

「あら、美味しいじゃない」

「リサは他にも経理とか得意だし万年金欠のキー君には必要かもねぇ~」

 

なんて言われ照れるリサ……それをみてキンジは苦笑いしつつリサが淹れてくれたコーヒーを飲みながらテレビをつけた。

 

「というわけで向こうではどうだったの?」

 

アリアが聞いてきたのでキンジは皆に説明する。雪山の遭難とか戦車に追っかけられたとかに始まりミサイルにくっ付けられたりとか遠泳とかの下りは皆の頬もひきつったがキンジや一毅のやることに逐一驚いてると持たないので取り敢えず無事の生還を祝うことにした。

 

「他にも魔女連隊のカツェとかローマのメーヤから南花ある時は声掛けろって言われたな……一毅が気に入られてて」

「おまっ!アイッデ!」

 

一毅が余計なこと言うなと立ち上がりそうになったところに太ももをレキとライカに思いっきり抓り上げられた。マジでいたいんだぞここは……

 

「ま、ロクな目に遭わなかったけど中々勉強になったぜ」

「へぇ、そうなの?」

「……ああ、人間は心臓が止まったくらいじゃ死なないとかな」

「それはキンジ先輩だけですよ……」

 

と、辰正が言うと他の面子もウンウンと頷いた。

 

「何でも眷族(クレナダ)から師団(ディーン)に反則じゃないかと言われたらしいですよ」

「なにがだ?リサ」

 

一毅がはじめて聞くことに聞くと、

 

「殺しても死なない相手じゃキリがなくていつか負けるに決まってる!そんなのズルいと言う話が出たらしく師団(ディーン)側もなにも言えなくなったそうです」

 

リサはにこやかに言うがキンジは頭が痛くなった……存在が反則級かよ……

 

「殺しても死なない(エネイブル)に殺せない応龍と今回の一件でお二人は奇しくも名を大きくあげたようですね」

「勘弁してくれよ……」

 

キンジは本格的に何処か静かな隠れ家が欲しいと思った……リサに頼めば調達してくれそうな気がするが……あ、金がないから流石にリサでも難しいか……

 

「さて……取り敢えず理子」

「ん?なぁに?」

 

取り敢えずこんな気が滅入る話より当面片付けなきゃならんのがある。

 

探偵科(インテスケ)からの課題でてるはずだろ?ゲーム一つやっから見せろ」

「えぇ~、キー君それが人への頼み方?」

「…………ミセテクダサイオネガイシマスリコサマ」

「仕方ないなぁ……貸してあげるよ」

 

と、理子は胸の谷間からいつから隠してたのか分からんがUSBをだしてキンジに投げ渡す。何処に隠してんだこいつは……アリアなんか歯軋りで煙出そうになってんぞ……

 

「あ、今理子がほしいのはね……」

「よし、その辺の交渉はリサに任せた。頼んだぞ」

「お任せくださいご主人様」

「ちょ!リサっちはチート過ぎるから卑怯だよキー君!」

 

理子はリサの交渉能力を分かっているためビックリ眼だがキンジは知らん顔である。適材適所と言うやつだ。

 

「何か何時もの風景になってきたね」

「そうですね、あかりちゃん」

 

と、あかりと志乃が笑いながら言う。

 

「やっぱりこっちの方が落ち着くってもんだ」

「まぁ、しばらくは平和じゃない?極東戦役も終わったし平和な時間を楽しもうね、お兄ちゃん」

 

と、ロキの言葉に一毅はうなずく。

 

「ですが一毅さん……部屋に戻ったら少しお話ですからね」

「逃げちゃダメですよ、一毅先輩」

「カシコマリマシタ……」

 

例え祝光の魔女と戦えようとリバティーメイソンの追撃から逃れられようと泳げようと鬼と戦えようと……一毅は彼女たちには敵わないのであった……




バスカービル日記

執筆者・谷田 辰正

某月某日

先輩たちがやっている交換日記に僕たち一年も参加することになり今日は僕が書きます。
今日は朝、アリア先輩とキンジ先輩が何時ものごとく追いかけっこをしていて当たり前のように盾にされた……痛い……
昼、一毅先輩に声をかけられたときに背中を叩かれたんだけど力加減をミスったらしく十メートルくらい吹っ飛んで壁に叩きつけられた……先輩に謝られた、でも滅茶苦茶痛い……
放課後……あかりちゃんと話してたら刀をもった佐々木ちゃんに追いかけられた……明らかに素の身体能力が上がってた気がしたが気にしないでおく……でも怖い……
夜……あかりちゃんに「何か今日も疲れた顔してるね?」って言われて頑張れって頭を撫でられた……明日も頑張って行こう……終わり

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