『……………………』
道を歩く三人の女性……それはここ最近この一帯をいい意味で騒がせる美人三人組だった。勿論……キンジとロキとリサである。
「お前ら……ぜ、絶対に不審な動きすんなよ……」
「そういってるそっちの方が怪しいからね……」
三人はとにかくオランダを抜けるため橋に向かっていた……途中でシスターとすれ違ったときは肝が冷えたのは余談だ。
そんなことを経て三人は橋に着いた……とにかくこの先に向かわなければならない……そう思ったときだった……
『っ!』
何か騒がしい……と思いふと視線を移したとき何と濠に子供が落ちていたのだ。
元々この濠は敵兵の進軍を止めるために作られた……そのため簡単には上がってこれないような作りになっている……大人相手にそうなのだから子供には不可能だろう。
そう分析しているとシスターたちまで集まってきた……それだけならまだしもメーヤまで見える……
「ご主人様……」
リサがキンジを見る。そう、ここで然り気無く通り抜ければ安全だろう……確かに危険な場所に落ちたが誰か助けるだろう……多分……大丈夫だ。それより自分達だ、命あっての物種……今は自分達の安全を優先した方がいい……のだが、
「お前らは逃げておけ」
『え?』
そう言ってキンジは走り出そうとする。
「き、危険ですご主人様!」
「そ、そうだよ、変装ばれたらどうすんの!」
「じゃあここであの子供見捨てんのか?俺は嫌だぜ?夢見が悪くなる……安眠は大切だ、だからお前らだけでも逃げておけ、何とかなるだろ」
そう言ってキンジは走り出すと人垣を掻き分け橋から飛び降りる……
『っ!』
突然の行動に周りの集まったは良いが手を出せなかった人々が息を飲んだ。当たり前だ、ここは濠は濠でもただの濠じゃない……張られているのは一見水だが見た目とは裏腹に殆ど沼なのだ。一度入ったら抜け出すのは困難である。
「ちっ……」
キンジもそれは感じた。強靭な足腰を持つキンジでも抜け出すのが難しそうだ、クソッタレ……
とにかく文句を言うのはあとにしてこの子供を救出しようとキンジは子供を引き上げる。さて……どうするかな……
と、キンジが考えたとき……
「っ!」
隣にもう一人降りてきた……助けに着たらしい……だがこれ以上増えてもな……と思っていると何故か足に絡み付く泥がキンジから離れていく……どう言うことだ?
すると、
「おーい!」
「え?」
キンジが声の方を見るとロキとリサがボートにのってやって来たのだ。
「何でお前らが……」
「ここで遠山キンジ先輩置いていったら夢に出そうだからね」
と、借りてきたボートの上からロキは言いつつリサとまず子供を引き上げ、そのあとキンジともう一人の救出者もボートに上がる。
「全くも~、後先考えずに飛び込むんだから……」
「そうですよ、ミイラ取りがミイラになったらどうするんですか?」
スマン……とキンジはジェスチャーで返す。
周りが歓声の声をあげているが後はとっとと離れた方が良さそうだな……
そう思いキンジたちはどうにか上に上がると周りからの称賛も流してさっさと離れようとする……あ~疲れた……
そう、キンジが気を緩めた瞬間……
「遠山さん?」
「え?」
その呟きにキンジは殆ど条件反射で振り返ってしまう……声の主はメーヤ……メーヤの方も反射で呟いたんだろう、向こうも驚いてる。
それと同時に反対方向からもガチャン!っとなにかが聞こえた。見てみればキンジと共に子供を助けた人物……顔を隠しているが多分女性だ、するとリサが驚愕の声を漏らした。
「パトラ様……」
「え?」
パトラ?パトラってあのパトラだろうか……カジノ警備の時に戦った超能力者……
「ふむ……キンイチ同様女装の才能があったようじゃの……遠山キンジ」
隠した顔を相手は晒す……その下にあったのは間違いなくパトラだった……お前顔隠してんのにわざわざ助けに来てたのか?そう言えば急に足の泥が離れてったがパトラは《砂礫の魔女》の異名を持つ魔女だ。それを使えば簡単か……
「しかしやっとリサを見つけたのは良かったがメーヤまで来ておったとわの……しかもリサは遠山キンジと一緒か……面倒じゃのう……しかたない」
と、パトラは言うと腕を軽くふる……すると濠から蛇が出てきた。
『んなっ!』
恐らく魔術かなんかだろう……さっきまで集まっていた一般人たちはすでに逃げ出しているがキンジたちは逃げようにも後ろにはすでにシスター達がいる……しかしシスター達も突然の蛇の大群に逃げ腰だ……すると、
「戦いなさい!撤退はありません!逃げようとするものには天罰を降しますよ!所詮は魔術の蛇、毒などはありません!」
と、メーヤが鼓舞すると慌ててシスターたちは蛇の処理にかかる。
「ちっ!」
キンジたちはその間に毒がないなら逃げようとした瞬間……
『あ……』
なにかに足が引っ掛かってスッ転んだ、見てみると蛇がキンジたちの足に巻き付いているのだ。くそ!離れないぞ!
「すまんの、お前たち」
その間にパトラはバイクのエンジンを掛ける。あいつこっちを囮に逃げる気か!
「待ちやがれパトラァアアアアアアアアアアアアアア!」
キンジは怒鳴ったがパトラはスタこらさっさと逃げ出してしまった……
「クソッタレ……」
結局……そのあとキンジたちはバチカンに捕縛されたのであった……
『ふぅ……』
バチカンに捕縛されたあと……キンジたちは教会に軟禁されていた……
「しかし……教会ってのは金があんだな……」
あっちこっちにおいてある置物にキンジは呟く。飽くまでもここは教会の一室だ。他にも高そうなのはあるかもしれない……
「盗んじゃダメだよ」
「んなことは分かってる」
そんなロキの軽口にキンジは返す。
「しかしパトラのやつお前を探してたみたいだな」
「っ!……あ、はい……」
リサの表情が固まる……キンジはその反応に首をかしげた。
しかし妙だ……リサは確かに家事スキルが非常に高い……その上回復も早いようだ……だがいってしまえばそれだけなのだ、割り引く能力?いや、それだけでパトラのような腕のたつ
何て考えていると、
「皆さん……」
「メーヤ……」
そこにメーヤが入ってきた。
「お元気そうで何よりです」
「お陰さまでな」
キンジはそういうとメーヤを見る。
「ひとつ聞かせてくれ……お前は俺達を裏切り者だと思っているのか?」
「……いいえ、私は信じています……私の能力は仲間を信じることで効果を発揮する能力ですが……本当に信じています」
それを聞いて……キンジは目をつむった……
(決まったな……お前は2割の裏切者だ)
すると今度はロキが口を開いた。
「ねぇ……お兄ちゃんがどうなったか知らない?」
ロキの問いにその場が静かになる……キンジも気になっていたことだ。大丈夫だと信じている……だが信じている=心配しないではなかった。それ聞いたメーヤは少しうつむいてから声を発した。
「分かりません……私は桐生さんに負けました……そのあと桐生さんは逃亡し……その後の足取りはわかってません。リバティーメイソンのカイザーが惜しくも逃げられたと言うのは聞きましたが……」
完全に行方知れず……か……あの野郎どこに行ったんだか……
「……桐生さんも……信じてました」
「俺が裏切ってないって?」
キンジが聞き返すとメーヤは頷く、
「疑うと言う選択肢すらありませんでした……理由はただ一つ……親友だから」
たったそれだけで一毅はキンジを信じた……バカみたいに……愚かなまでに……
「お兄ちゃんは遠山キンジ先輩が大好きだからねぇ~」
「え、お二人はそういう関係……」
「チゲぇよ!」
キンジはリサがショックを受けたみたいな顔になったのにたいして睨みを効かせた。自分に男色の毛はない……
「何に強制された訳じゃないのに……桐生さんは遠山さんを信じてました……すごいと思います……」
それを聞いたキンジは一度息を吸って吐ききると……天を仰いだ。
「そうだな……おれはあいつに信用されてる……自意識過剰でもなんでもなくそう思ってる。嫌じゃない……重いんじゃない……でも思うんだ……おれはあいつに何かしてやれたのかって……」
「ご主人様?」
リサがキンジを見るがキンジはリサから視線をはずしたまま立ち上がって聖母が描かれたステンドグラスを見る……
「俺は……あいつに信用されててもおれはあいつに何かしてやってた訳じゃない……おれはあいつに助けられてばっかりだ……」
「遠山キンジ先輩……」
「昔からそうなんだ……あいつは強くて腕っぷしでは皆から一目おかれてた……男の俺から見たって華あって……すげぇって思えるやつだった……見た目怖いくせに何だかんだであいつは人目を引くやつだッた……でもどんなときでも俺の味方だった……友達っていってくれた……でもな……」
そんなあいつが……俺はあいつが……
【大嫌い】だった……
キンジの言葉に……リサも……ロキも……メーヤも……言葉を失ったのだった……
最後のキンジの言葉の真意とは……それは次回です。さて、前回載せ忘れたバスカービル日記……すいませんでした!と言うわけで今回は白雪です!
バスカービル日記
執筆者・星伽 白雪
某月某日
今日は■い最近オ■プンした料■屋にいってみたよ。和食■洋食の■跡の融■がテ■マ■お店で■ごく美味しか■た。今度はこ■を再現して■ンちゃんに食べさせ■あげ■うと思う■き■とキンちゃ■も気に■るよね、あと他■もあっ■こっち■美味しいの■あったからキン■ゃんに作ってあ■るんだ。終わり■■■■
PS・お前そ■なに食ってばか■い■とまたふと【完全に血で汚れていて読めない】by一毅
PS・なぁ、何で所々血で汚れてんだ?読めないぞ byキンジ
PS・な、何でもないよ……by白雪