緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と金の災厄

「うめぇよぉ!!!!!」

 

魔女連隊の追撃から逃れた日の夜……一毅は自分の顔ほどあるお握りを手に泣いていた……

 

ここの所、米のメシを食べられず雪山以降はカロリーメイトだけだ。そりゃあ腹も減ろうと言うものであり一毅はまだ師団(ディーン)領であるブリュッセルに入ったらまず米を買ってきて炊いたのだった。

 

ちなみに今師団(ディーン)の息がかかったホテルに皆は隠れている。だが形勢は師団(ディーン)不利なのは変わらない……いや、寧ろ悪化していると言っても過言じゃない……

 

だがそれでウジウジしても状況が改善されるわけではないため一毅はとりあえずメシ食って寝て体を少しでも回復させることにした。

 

極めし者のオーラ(クライマックスヒート)の後遺症で一毅の体調も絶賛不調なのは言うまでもない。胸の傷は修羅の気位で無理矢理治したが極めし者のオーラ(クライマックスヒート)を用いた【極技】は一毅の体を確実に痛めている。足の筋肉は特にひどい。まぁ残像が残るほどの速さで走るのだから当たり前なのだが……

 

「全身いてぇしキンジは贅沢して何で俺だけ不運な目に会ってんだよ……何時もなら逆じゃねぇのかよ……」

 

と、一毅はぶつぶつ文句を言う。何故か自分はヨーロッパに来てから録な目にあっていない気がする。こういうのはキンジの役目だろう……

 

「ごちそうさまでした……」

 

と手を合わせ一毅は食事を終える。まぁいつまでも文句言っても仕方ないのでぶつくさ言うのはやめて隣の部屋のロキをつれてキンジの部屋にでも乗り込もうか……と思い至り一毅は部屋を出る。するとエレベーターに乗り込むキンジとジャンヌが一瞬だが見えた……一毅の動体視力はそんな一瞬だって見逃さない……あの二人どこかいくのか?

 

「フッフッフ……」

 

そう思うと一毅は意地の悪い笑みを浮かべた。ならばここは二人を尾行するのが先決だろう。別に邪魔はしないよ?ただ少し出歯亀させてもらうだけでございますよ旦那……

 

と一毅はニヤリと笑うと全身の筋をやっているのにも関わらず階段を駆け下りていく……こう言う時の行動は早いのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

一毅は素早く物陰に体を隠しながらキンジとジャンヌを追っていく……何処かにデートだろうか……前回の一件でジャンヌのフラグは立っている可能性があるので見てる分にはスリル感がある。頑張れよキンジ……お前もたぶんアリアたちにぶっ殺されっからな……ジャンヌフラグを建築したら……

 

等とふざけたことを考えつつ二人の尾行を一毅は続ける。

 

「遠山……お前には礼を言う……」

「別に気にすることじゃない」

 

と二人は話す。礼と言うのは戦車から逃げるときの事だろう。別に気にすることじゃないし寧ろさっさと忘れてほしいのがキンジの本心だった。何せヒステリアモードの時の事だし恥ずか死ぬ……

 

「それで遠山……お前にいっておきたいことがあるんだ」

「なに?」

 

キンジは首をかしげる……その時ふと気がついた……今キンジがいるのは広場……人気はなく閑散としていて夜中と言うのを差し引いても静かだった……

 

「お前にはすまないと思っている……」

「どう言うことだジャ……っ!」

 

キンジは咄嗟に近くの街灯を見た……何故ならそこから凄まじいまでの闘志……殺気とも呼べるそれを発する何かが居たからだ……

 

「初めまして……だな」

 

街灯の上に立つのは全身が漆黒の中二病みたいなコートを着て背中に二本の刀をクロスさせて腰にはカットオフショットガンとタウラスレイジングブルと言う銃を持つ恐らく自分と同世代の男……片目が怪しく光るのがこの暗闇の中では不気味だ。

 

「ほんまに(エネイブル)なんか?」

「写真でしか見てないからな……俺もわからん、多分そうだろ」

 

視線を落とすと街灯の下に関西弁で喋る男……身長もガタイも一毅よりデカイ……いかつい見た目をしているが恐らく同世代……腕は丸太のように太く、見るからに頑丈そうだ……武器はなさそうだが男が着てるコートには違和感があった……男が着てるコートは背中に虎が刺繍されたコートなのだがそれはまるで……

 

(龍桜に似ていないか?)

 

と思いつつ周りを軽く見渡すとジャンヌがいない……どう言うことなのかわからないが……今はそれを考えてる場合ではない。

 

「おい一毅!居るんだろ……」

「何だバレてたのか……」

「お前はその体格だぞ。しかも尾行下手くそだしな」

 

と、近くの物陰から出てきた一毅にキンジは答える。

 

「んで?知り合いか?」

「知らん、あんな中二病にも一毅みたいな犯罪者顔の男にも心当たりはない」

「悪かったな犯罪者顔で……」

 

そんなやり取りをするがキンジも一毅も油断はしなかった……目の前の二人は危険大だ……戦闘能力は間違いなく桁外れ……だがなんの目的だ?

 

「あれが応龍か……写真でも見たがお前と同じく人相が悪いな……」

「やかましいで……この顔は生まれつきや」

 

と、まるでキンジと一毅のようなやり取りを相手はすると、

 

「さ、チャッチャとこいつらを片付けるぞ……大牙(たいが)

「そうやな、静刃(せいじ)

 

ゴキリと大牙と呼ばれた男は指を鳴らし静刃と呼ばれた方は刀を抜く。

 

「三分……あと75箇所と24箇所か……」

「何が……っ!」

 

次の瞬間キンジと一毅は驚愕した……なんと静刃と呼ばれた男は刀を抜いた瞬間メキメキ音をたて体が肥大化……と言うか筋肉が盛り上がり始めている。

 

「お前らを片付ける時間だ。あと75箇所って言うのはお前の隙だよ(エネイブル)……26箇所は……応龍の方だ」

「つうわけで恨みあるわけやない……ただな……あんたらが居られるとワイらが苦労すんねん……」

「そう言うわけでな……あいつらのためにも……」

『ここで死んど《いてくれ》《けや》』

『っ!』

 

キンジと一毅は息を飲む……この二人が何者なのかわからない……

 

「逃げ場なし……だな」

「クソッタレ……こんなんだったら刀の一振りでも持ってきとけば良かったぜ……」

 

キンジと一毅は構えた……

 

こいつらは何者か知らんが……だが一つだけ言える……

 

 

こ い つ ら は 敵 だ……




と言うわけで今回で欧州編も前編終了です。次回は対談して後編に入っていきます。

そしてアリスベルサイドの静刃と一緒に出ていたのはオリキャラです。

本名は【冴木 大牙】……参考キャラは龍が如くの【冴島 大河】です。個人的にはプレイヤーキャラとしてだったらかなり強キャラだと思います。

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