緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と金の出立

「私は悪くない!」

『さいですか……』

 

空港にてジャンヌの声にキンジと一毅は嘆息した……

 

何故ジャンヌたちコンステラシオンが修学旅行をサボったのか……それを聞いたら頭が痛くなった……そう、何故か聞いてみたらまずチームの一人は外に出てこようとすると具合が悪くなり、もう一人は乗り物に見惚れてて大遅刻……更にこのチームには中空知もいるらしいのだがそいつは道に迷って以下略……なんだこのチームは……

 

「私は時間に余裕をもって来たんだ!なのに他のメンバーのポカでだ!事件に巻き込まれたとかなら仕方ないが何れも何かのギャグかなんかと思ってしまったんだぞ!」

「落ち着けジャンヌ……」

 

キンジがドウドウとジャンヌを落ち着かせる。

 

「そして早速一人今日来れないことが判明したしな……」

「おいおい俺の進級が掛かってんだぞ!」

「ええい!武偵高校の強襲科(アサルト)にいながら全く重視されない一般教養の点数で進級が危ぶまれるようならもう一度二年生をやってろ!」

「あんだとオラァ!」

 

一毅をキンジが後ろから羽交い締めで止めた……このままだと暴れだしそうだ。

 

「来れないならじゃあどうするんだ?」

「代わりにワトソンを呼んである。戦役もあるしな」

 

一毅とキンジは顔を引き締めた。

 

「現在アジアはお前たちバスカービルの活躍もあって優勢……よほどの事がなければひっくり返らないだろう。藍幇が裏切る……とかな。まぁそれはないだろうがな」

 

キンジは頷く……

 

「だが欧州は真逆だ。特に眷族(クレナダ)が雇った四人の傭兵のせいで欧州は眷族(クレナダ)優勢の絵になっている」

「傭兵ってありなのか?」

「ありだ。それに部外者でどうこういったらお前たちも一年を巻き込んでしまっているだろ」

『うぐ……』

 

キンジと一毅は目をそらした。

 

「で?四人の傭兵ってなんだ?」

「話にしか聞いたことないからな……良くわからないのだが一人は桐生のように二本の刀を使うようだ。全身が黒いコートのようなものを来ていて片目が怪しく光ってるらしい」

 

なんだその中二病みたいな設定……と一毅とキンジが苦笑いした。

 

「二人目は魔術の使い手だ。しかも非常に高レベルのな」

 

成程……それは面倒だな……

 

「三人目は最先端科学の鎧に身を包んでるらしい。だが明らかに数年先の技術らしいが……まあそれはおいておこう」

 

そして最後だが……とジャンヌは続けた。

 

「ゴリラ……らしい」

「……いや人間出せよ」

「いや、見た目がな……身長が何と二メートル近くあり体格も相当らしい……身体も恐ろしく頑丈で腕力も相当高いらしい。師団(ディーン)のメンバーに囲まれたさいには道路標識引き抜いてボコボコにしたらしいぞ……他にも人間を掴んで棒切れみたいにぶん回して攻撃したりするらしい」

「既に人間じゃないだろ……」

 

キンジは苦笑いからひきつった笑みに変わった。

 

「一応聞くが一毅……お前は道路標識引き抜いてボコボコとか人間を武器にってできるか?」

「できないとは言わんが……やろうと試みたこともない。つうかそんなもん引き抜けたって振り回すのだけだって一苦労だぞ……つうか重量ある一撃だしたいなら俺もう断神(たちがみ)持ってるし……」

「何か噂が誇張されてる……って言うのを信じるしかないような話だな」

「私もそう思うよ……」

 

とジャンヌがキンジに同意すると、

 

「だが傭兵四人に師団(ディーン)が押されてると言うのは本当のことだよ」

「ワトソン?」

 

とそこにワトソンがやって来た……

 

「事実欧州は眷族(クレナダ)の領域になっている……キンジたちも気を付けいた方がいいね」

「そうだな……道路標識引き抜くとかそういうのがあるのかわからないが注意だけはしとくよ」

 

そんな話をしているとフゥフゥ言いながら中空知とコンステラシオンのメンバーである島 莓 が来た……島 莓は武藤と肩を並べるほどの運転テクニックを持つ女子なのだがその見た目は完全に幼女である。アリアやあかりよりちっこい。

 

「あで!」

 

何て考えてたらキンジの足に鋭い痛みが走った……

 

「何か今すごく失礼なこと考えたでしょ馬鹿キンジ!」

「あ、アリア!?それに皆も来てたのか!?」

 

キンジはアリアに踏まれた方とは逆の足でピョンピョン飛びながら見送りに来た皆をみた。

 

「キンちゃん大丈夫!?今私が治してあげるからね!な、舐めて!」

「アホか!」

 

キンジにスパンと白雪は叩かれた。

 

「一毅さん。一応胃腸薬持ちましたか?ヨーロッパの食べ物は日本人の胃腸をダイレクトアタックしてきますからね」

「ああ、各種薬に特濃葛根湯と赤チン持ってきてるよ」

 

とレキと一毅はやり取りをしてると、

 

「そう言えば一毅先輩ロキ知りません?さっきから見当たらなくて……」

「いや?見てないが……何処かで買い物してるんじゃね?」

 

一毅はキョロキョロするが見当たらない……ライカは肩を竦める。

 

「じゃあ辰正、唯一の男としてしばらく頼むぞ」

「はい!……でも……」

 

キンジに辰正は返事をするがポソリと、

 

「皆強いですよ?」

「まぁ……そうだな」

 

キンジと辰正はアハハ……と乾いた笑いをした。皆おっかないし強いもんなぁ……

 

「ま、後はあかりとの事は頑張りな」

「ブフ!」

 

キンジに背中叩かれながら辰正は吹いた。

 

「な、なんでその事を!」

「いっとくが当人たち以外周知の事実だぜ?」

 

と、脇から一毅がこっそり言ってきた……辰正はガックシ肩を落とす……

 

「なんでバレるんですかね……」

『お前が分かりやすいんだよ』

 

と、一毅とキンジの連携に辰正は更に落ち込む。

 

「先輩たちだって分かりやすいけどなぁ……」

「何かいったか?」

「いえいえなんでも……」

 

辰正はキンジの問いに首を横に振って答えた……それにしてもこの人だって未だにアリアとウダウダやってるのだ……思えばこの人だけには言われたくない……

 

「先輩だってアリア先輩とはどうなんですか?」

 

と辰正の反撃……キンジは明らかに狼狽した。

 

「は、はぁ?俺とアリアはそういう間柄じゃねぇよ!」

「と口では言う」

 

と、一毅はいってキンジの蹴りが飛んだが一毅はひょいっと躱しその先にいた辰正に炸裂した……

 

「あ、悪い……」

「い、いえもう慣れました……」

 

顔を抑えながら辰正は大丈夫だと手で合図する。

 

「さて、そろそろ時間だ。行こうぜ」

 

と言って皆に見送られながらゲートを潜る……次にこのゲートを潜るときはどうなってるのやら……

 

「お兄ちゃん緊張してる?」

「まぁな……眷族(クレナダ)優勢らしいし結構きつい戦いになるだろ……」

「でもお兄ちゃんなら大丈夫だよ」

「ありがとなロキ……ん?ロキィ?」

 

一毅はビックリして飛び上がりキンジも仰天……ゲートの向こう側ではアリアたちもアングリしていた……

 

「ふふ、私も欧州にいくからね」

「はぃ!?」

 

一毅の腕に抱きつくロキ……圧倒的なまでの柔らかさ……レキやライカよりもずっと柔らかい……そしてレキのミントのような香りに甘さを加えたチョコミントのような香りが一毅の鼻孔を擽る……

 

『▲★◆▼☆◇○◎△▽☆!!!!!』

 

序でに後ろから何か声か聞こえるがこれは聞こえないことにしておこう……俺はなにも聞いてません……

 

「最初はね。無理矢理中国についていこうかと思ったんだけどそのままついていってもお姉ちゃんとかライカいるからさ、きっとお兄ちゃんのことだから近いうちにまたどこかにいくことになるんだろうなぁって思ってたの。そしたら的中して昨日のうちにお兄ちゃんの席の位置調べて隣に座るはずだった人を脅し……ゲフンゲフン。隣び座るはずだった人が急に席をキャンセルしたからそこに予約して着いてきちゃった」

 

今なんか脅しとか言いませんでしたかねロキさん……そう言えば監視官を言い渡されてからロキが慌ただしく動いていてレキたちと首をかしげていたが……そういうことだったのか……

 

「安心してねお兄ちゃん。私も英語もだけどフランス語やスペイン、ドイツ、オランダとかまでぜーんぶ外国語はペラペラだから」

 

そう……彼女はレキの妹だ。何気にハイスペックだったりする……

 

「案の定お姉ちゃんたちは日本で防護に回らなきゃいけないから何だかんだで私がお兄ちゃん独り占めだね」

 

と一層ロキが抱きついてくる。はぁ……何か日本に帰ってくるのが怖くなってきたぜ……と一毅は嘆息しながら飛行機の搭乗口に目指していった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「いやぁ……ロキちゃんあそこにいたんだね……」

 

と理子が言うと皆で苦笑いした。と言うか少しずつ距離をとった……ゲートの前にはメラメラと体から炎を上げるレキとライカが一毅たちが消えていった方向を感情の消えた目でジィーッと見つめているのだ……はっきり言おう。めちゃくちゃ怖い。だが……

 

「いやぁ……今回はロキちゃんにはしてやられましたねぇ。あそこにいたなんて全然気づきませんでしたよ。まさかあそこで隠れてたとはなぁ……ん?」

 

と辰正は何の気なしに口にした……だがギココ……とレキとライカが辰正を目をキラーンと光らせながら見た……

 

「え?」

『我……ヤツアタリスルアイテミツケタリ』

「え?あの……え?」

 

辰正は慌てて周りに助けをも止めたが既に皆退避済みだった……味方は居ない……

 

「あの二人とも……な、何か目がマジですよ?」

 

辰正は涙目で言うが……二人は辰正を見据えると口を開いた……

 

『クフフ……』

「ぎにゃああああああああ!!!!!」

 

余計なことを言った辰正は二人にボコボコにされ断末魔をあげたのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?何か聞こえなかったかキンジ」

「何が?」

「いや……ぎにゃああああああああって」

「気のせいじゃないか?」

 

何て言うやり取りがあったのは余談である。


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