緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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何だかんだで久々更新……さて今回からヨーロッパ編です!このヨーロッパ編では一毅の……と言うか桐生のルーツを出そうと思います。まあもしかしたら薄々感づいちゃってる方もいるかもしれませんが……まあ感想ではシーですよ。

それにしても本当が冬休み編を書いてレキやライカとイチャコリャさせようかと思ったんですけどね……全然筆が進みませんでしたので普通に始めました。




十二章 ヨーロッパ戦役 前章
龍達へのお知らせ


『明けましておめでとー!』

 

そう言ってチームバスカービルと一年生の面子は集まった。

 

中国から帰還して数日……とは言えその間も帰還を祝ったり遅めのクリスマスを祝ったりと何だかんだで顔を会わせてはいたりしている。まあそれでもキンジはかなめと実家に帰ってたりしてたが……

 

そして今日はお正月……と言うわけで皆で近くの神社に参拝しようと言う話になり集合したのだ。

 

女性陣は勿論着物……まあ理子のようなフリフリ多めのは本当に着物と定義して良いのか微妙だが白雪や志乃は正統派って感じで良く似合う。まあ皆似合っているがな……お陰でさっきから通りかかった男性が目を奪われたり一緒にいる彼女の腕をつねられたりしている。

 

因みに男性陣はおしゃれしても誰も得しないので普通の私服である。ジャケット着てたりコート着てたりの差があれ変わり映えがない。

 

「やっほー!ねぇキー君似合う?」

「それ……着物って定義して良いのか?」

 

何というやり取りをキンジと理子が交わすのを皆で見ながら神社の鳥居を目指し階段を上がる。

 

「あれ?かなめは?」

「金三と一緒にどっか行った」

 

正月早々忙しいやつだと一毅は言う。まあGⅢはGⅢで忙しく動いてるからな……何かあるんだろう。

 

「んで?キンジは今年は何を願う?」

「お前は?」

 

と一毅にキンジが聞き返すと、

 

「まあとりあえず皆離れ離れにならなければいいかな」

「俺もそれは良いと思うぜ。後俺は平和で大きな事件なんてない一年になってほしいとでも願うかな」

『フラグ……』

 

と、キンジの願いに絶対それは無理だろと言う目で皆見た……

 

「お前らな……」

「だってキンジ先輩って事件と女の人を呼び寄せる強力磁石みたいなひぶべばぁあああああああああ!」

「辰正!?」

 

キンジは辰正を迷うことなく蹴り落とした……無論ここは階段の途中なので辰正はゴロゴロと転げ落ちていった……あかりが慌てて辰正を回収するため降りていったのは余談だろう。

 

「お前容赦ないなぁ……」

「あいつが事実無根なことをいうからだ」

 

どこも事実無根ではないがそれを言ったらこっちが階段から蹴り落とされるので黙っておこう。

 

「さ、着いたわね」

 

と、アリアが一番乗りして鳥居の下で仁王立ちする。

 

「さてまずは手を合わせてにいくか。一年の計は元旦にありだからな」

 

と、一毅が言うとレキが口を開く。

 

「それを言うなら……あれ?間違ってませんね」

 

レキが眉を寄せ他の面子も顔が凍りつく。復活してきた辰正とあかりも固まってる。

 

「え?間違えてた?」

「いや……間違えてないんだよ……だから可笑しいんだ」

「何で間違えてないと可笑しいんだよ……」

 

と、一毅が顔を顰めるとロキがそっと額に手を当ててきた……

 

「お兄ちゃん……熱ない?」

「も、もしかして一毅先輩が不治の病に!?」

 

と、ロキとライカは揃って失礼なことをいってくる。

 

「か、カズちゃん!そんな具合悪いのに無理しなくてもいいんだよ?」

「そ、そうだよカズッチ……今から帰って寝たら?」

「それとも今年はハルマゲドンでも起きるのかしら……」

 

と白雪、理子、アリアまで失礼だ……

 

「もしくは先輩にそっくりなだけの偽物……」

 

とあかりが言い他の面子が警戒してきた……

 

「俺が諺を間違えなかっただけでそこまで怯えるのか!!!!!!」

 

一毅の怒鳴り声が辺りに響いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで皆も知ってると思うけど二礼ニ拍手一礼だよ。でも一番大切なのは心だからね」

 

と、白雪先生の作法口座を聞きながら皆でお祈りをする。

 

今年は平和で穏やかで静かな一年でありますように……あ、でもアリアの殻金取り戻さないとな……なら平和的な解決方法で取り戻せますように……とは言え後取り戻さなきゃならない殻金は3つ……藍幇から取り戻した殻金はアリアの胸に戻したのでもう少しだ……

 

何てキンジは願いつつ賽銭を出そうと財布を出す……幾らにしよう……ここは奮発して五百円くらいか……いや辞めた方がいいか……

 

「幾らいれる?」

「奮発して五百円位だそうか悩んでる」

「それは大分腹を切ってるな……」

 

何て一毅とやり取りしつつやっぱり百円に持ち替え賽銭をいれた。

 

そして全員が御詣りを終えると白雪が、

 

「じゃあ私はここに用事があるから皆は先に帰っててね」

「そうなのか?じゃあな」

 

白雪とはここで別れる。そしてこのまま解散するのもあれなので皆で何処かにいくかと言う話になった。とは言え新年早々何処かの店が開いてるとは思えない。開いていても人が多すぎる。

 

「ああ、でも俺銃弾補充しなきゃな……」

 

キンジの言葉のじゃあ買いにいくかと他の面子も備品の調達をしたかったらしく武偵校方面に歩を進めだした……

 

 

それを白雪は見送ると社にはいる……そこには玉藻がいた……

 

「玉藻様……」

「ふむ……遂に桐生が目覚めたか……」

「カズちゃんの……いえ、桐生一毅のあの力はなんなのですか?」

 

白雪は呂布との決着に見せた一毅の明らかの冗談にならない底知れぬ力を思い出す……幾ら一毅でも残像が出来るほどの速力など出せるはずがない……人間と言う枠を逸脱した力を白雪は感じていた。

 

「遠い血の力じゃよ……桐生が桐生……宮本が宮本と呼ばれるよりはるか昔……武士と呼ばれるものが生まれ……巨大な二つの派閥が日の本の覇権を争った時代に生まれ落ちた……な」

「あの力は……桐生が皆持つのでしょうか?」

「持ってはおるよ。だがそれを表に出して使えるかは別じゃ。持ってはいても引き出せた桐生は一馬之介だけじゃった……巌流島での戦いで目覚め……たがその戦いの場にて一馬之介は死んだし他の桐生は片鱗すら見せなかったため儂も既に目覚めないじゃろうと思っていたが……やはりあの場にいたため共鳴のようなものを起こしたのかもしれぬな……」

「共鳴……」

「暫し気を付けておいた方が良いかもしれぬぞ……星伽巫女よ……」

 

白雪と玉藻の会話……それを一毅たちは知る由もなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなキナ臭い会話は知らないキンジたちは武偵校の購買にいた……在庫を一掃したいらしくどれも安く売っている……いやぁこれはいい。

 

「あったあった」

 

キンジは自分の銃に合う銃弾を買い一毅も刀を磨く布とかを買う。他の皆も銃弾を買ったりしている。

 

「おーい。買い終わったか?」

 

と一毅がキンジと一緒に皆の元に行く。

 

「そっちは買い終わ……っ!」

『っ!』

 

するとアリアが口を開いて止まった……他の面子も表情が固まっている……

 

「ん?どうしたんうぉわ!」

「んな!」

 

キンジが首をかしげようとした瞬間キンジと一毅を襲う浮遊感……そう、持ち上げられたのだ。

 

一毅は184㎝でキンジも170㎝ある……二人も鍛えてるので体重はあるしこの身長の二人を持ち上げられるのは……少なくとも自分より身長が高くないと不可能だ。そしてそんなことが出来るのは少なくともこの武偵高校内では少ない……なので二人は嫌な予感を感じながら後ろを向くと……

 

「遠山ぁ……桐生ぅ……元気か?」

『ら、蘭豹先生……』

 

ダラダラ嫌な汗が垂れてきた……何と強襲科(アサルト)の教師で身長がなんと2mもある蘭豹がいたのだ……しかも凄いご機嫌がいい……こう言うときはろくなことがない……しかも後ろの方では高天原先生が拍手しているし……

 

「少し面貸せや」

「は、はい……」

 

そんなやり取りを尻目にアリアたちはその場からそっと去ろうとする……だが、

 

「お前らもやぞ」

『え?』

 

蘭豹の言葉にアリアたちは唖然とした。

 

「校長からの呼び出しや、チームバスカービルおよび間宮 あかり、谷田 辰正、佐々木 志乃、火野 ライカ、風魔 陽菜は直ちに校長室に来ること……分かったな?」

『は、はい……』

 

皆は肩を落とした……因みに、

 

(良かったぁああああああ…………)

 

と、ロキは一人だけ呼び出されなかったため胸を撫で下ろしたのは秘密である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ皆さん。明けましておめでとう」

 

と校長室に入ってきた途端に言ってきたのは校長だった。入っても全然気配しなかったぞ……

 

だけどこんな顔だったっけ?そんな気もするし……違うような気もする……見える透明人間の名前は伊達じゃない。他の皆もそういえばこんな顔だったっけ?こんな声だっけ?みたいな困惑気味の表情を浮かべる。

 

「お、おめでとうございます。それでもどのような用件でしょうか……」

 

と、一応リーダーであるキンジが校長に聞いた。いきなり何のようだか分からないが嫌な予感がビンビンするのだ。

 

「じゃあまず選んでほしい。良い話と悪い話と超悪い話の3つからね」

 

いやいやいや……何で良い話一つに対して悪い話と超悪い話の二つなんですかね?もう帰りたくなりましたよ!っとキンジは内心頭を抱えたが黙っておこう。取り合えず……

 

「じゃ、じゃあ良い話から順番に……」

「分かった。では遠山 キンジくん、遠山 一毅くん、おめでとう。君たちに二つ名が着いた」

『っ!』

 

キンジと一毅は顔を見合わせた。二つ名とは名の売れた武偵につく一種の仕事名みたいなものだ。アリアに 双剣双銃(カ ド ラ)って言うのがあるようにな……

 

他の皆も驚きで口が空いてる。いや別に二人の実力なら何時着いても可笑しくなかったがこのタイミング……間違いなく中国戦が絡んでるのは明白だった。

 

「まずキンジくん。君に着いたのは〈エネイブル〉……漢字で書くと〈哿〉と書く。不可能を可能にする……そういう意味が込められている。素晴らしい二つ名だね」

「はぁ……どうも」

 

キンジは曖昧に答える。何か名前が中二病臭いなぁ……と頬を掻くしかない。いやはや遂に二つ名か……もう普通は諦めてるけどさ……それにしたって(エネイブル)って……不可能を可能にするって……そんなことしてき……ましたね……はい、してきました。

 

「一毅くんには〈オウリュウ〉……漢字では〈応龍〉と書くね。四神である青龍、白虎、朱雀、玄武の頂点に君臨し王を守護する最強の存在……バスカービル最強でありリーダーであるキンジくんのそばで戦う君には相応しい二つ名だ」

 

応龍……か、そう言えば奇しくも一毅の龍桜に刺繍されているのも応龍だったはずだ……因縁を感じるな……

 

「ありがとうございます」

 

一毅が頭を下げると校長はふと笑った。

 

「修学旅行に行った生徒は幾つかの種類に分けられる。一つは現地での事件に巻き込まれ世界の広さを身をもって知り精神を砕かれる場合、二つ目は純粋に観光を楽しんだ子達……最後に君たちのように旅行先で自分の答えを見つけた子達……君たちはキチンと学んでそれを修めてきたようだね」

 

皆は苦笑いして顔を見合わせた。確かにあの戦い以降皆変わった気がする。チームの繋がりも強くなった気がするしな……良いことだろう。

 

「さて、更に超人ランキングの順位も上がったからね」

『え?』

 

キンジと一毅が唖然とすると校長はにっこり笑った。

 

「まず遠山キンジくんは91位、桐生一毅くんは89位……いやその若さでこの順位は驚異的だね」

「ソ、ソウデスカネ……」

 

キンジはひきつった笑みで言った……誰だよその超人ランキングを着けてる奴わよ……文句言いたいけど何処で付けられてるのか伏せられているため文句も言えない。

 

「ええ、因みに君たちのような活躍により担当の高天原先生と蘭豹先生には特別給与が出るので後で受け取ってください」

『はい!』

 

凄く良い返事をしていた……成程……それで機嫌が良かったのか……

「さて、次は悪い話だけど……まあ君たちもずいぶん派手に暴れてきたようだね。中国から請求書が来たよ」

『…………』

 

全員で遠い目をした……マジでご免なさい……

 

「いや良く居るんだよ?現地ではっちゃけちゃう子達がね?だけど君たちの場合少し次元が違うよね?被害総額とか凄くて書類見たとき僕は目が悪くなったのかと思ったくらいだ。いやまあ向こうからの喧嘩みたいだけど誰かが機関銃を乱射した場所では凄い状況みたいだよ」

 

と、校長が言うと皆で今は居ない白雪を脳裏に浮かべた。お前のせいじゃないか……

 

「まあ君達が将来的に活躍したときの寄付金を楽しみにしておくよ」

 

いや全面的に白雪にたかってくださいよと言いたかったがそこは連帯責任だろう……すいません、将来少しずつ寄付金を差し上げます。

 

と言うかそれくらい藍幇が払ってくれよ……いや、敢えて文句を言わせるためにこうしてるのか?そして文句を言いに電話すると勧誘が待ってるのか?孔明の罠か!?

 

「まあそれは良いんだけどね……」

 

良いのだろうか……?

 

「問題は超悪い話だ……」

『っ!』

 

皆は表情を締めた……この口調からして相当ヤバイだろう……

 

「遠山キンジくん……君にイギリス政府からの苦情が来ている」

『っ!』

 

イギリス……どう考えてもアリア関係だろう……まあ当たり前だ。仮にもロンドン武偵局に籍を置くSランク武偵が東の島国のEランク武偵に四月では奪われてしまった……そしてチームにまではいられてしまうわ戻ってこようとしないわでアリアを引き戻したいイギリスから見ればキンジは邪魔で仕方なく目の上のたん瘤だろう……

 

「それでいったいどのような?」

「んまぁ詳しい内容は機密だけどざっくり言えばキンジくんをバスカービルから脱退させろって話だったんだよね」

「あぁ~」

 

成程……チームの連携を断ちに来たんだな……やってくれるぜイギリス政府……まぁ……チーム離されて切れるような柔な繋がりじゃないけどな。それくらいは戦い通して感じてたさ……

 

だけどそれで終わってない感じだな……校長の口調的に……

 

「そこでイギリスとの不和を恐れて君をバスカービルから脱退させよう……って日本政府が判子を押そうとしたところに今度はまた面倒なことになってね」

 

キンジは嫌な汗が出てきた……なんですかね?もう私のライフは0なんですけどまだ追い込むんですか? つうか誰だよそんな面倒起こした奴……

 

「中国だ」

『…………』

 

全員で頬がひきつった。そして序でにあの見た目ヒョロヒョロ軍師が手を振っている光景が脳裏に浮かんだ。

 

「諸葛静幻……彼が中国政府経由で手を回したみたいでね。バスカービルからうちの未来のボスの遠山キンジを脱退させるとか何てしたらお分かり?みたいなことになったんだ」

「…………」

 

キンジはダラダラ脂汗を流した……つうか誰がボスだおい……あの野郎好き勝手やってやがるな……藍幇のリーダーはやらんと言ってるだろうが。やっぱり後で抗議しとかないとダメだ。

 

「いや最近日本は中国との関係の良好化を進めていたんだが……そんな空気が出てきたところにこれだからね?日本政府はどっちに良い顔しようかで大騒ぎ状態だよ。いやもう君もあっちこっちで評価の変動が激しいね」

「あ、あはは……」

 

キンジは笑うしかない……序でに胃がキリキリ痛い……静幻が言ってた事ってこれのことか……つうか自分は相当イギリスに嫌われてるらしい……そして日本からも……

 

「いやぁ、日本政府からも君も大分嫌われててね。どうにかして消せないか何て言う話が出てるっていう噂もちらほら聞くし……」

「そ、そですか……」

 

キンジはもう聞き流すしかなかった……そのうち自分は日本に居場所がなくなるぞ……いや、もうないかも……

 

「そう言うわけだから君も少し静かにしてた方がいいね。日本に骨を埋めたいなら……そうじゃないと公安とか武装検事動くよ?取り合えず脱退の一件は一度様子見と言う形になったけどその代わり政府から割りとマジで邪魔物扱い出されてるから下手すると命狙われる構図になってしまうから気を付けておきなさい。証拠残さず事故死に見せかける方法なんて腐るほどあるしね。無論中国とのほとぼりが冷めてから……と言うのはあってもこれ以上政府にとって面倒なことを起こすと言うレッテルを張られれば抹殺(デリート)されるかもしれないしね」

「ご迷惑お掛けします」

 

キンジは頭を下げるしかなかった……もう泣きたいぜ……

 

「さて、丁度良いから蘭豹先生。一毅くんに……」

「分かりました」

 

皆は一毅を見る……何かあったか?

 

「桐生……このままやお前な……」

 

ゴクリ……と一毅は息を呑んだ……そして次の瞬間耳を疑った……

 

 

 

 

 

「お前このままやと留年するで?」

「はい?」

 

一毅があんぐり口を開いた。他の面子もポカーンとしている。

 

「お前この間のテスト何点やったと思う?全部赤点……しかも一桁やったり高くて十点代みたいなの連発したんやで?幾ら一般教養が重視されんといってもさすがにこの点数ではこのまま進級させられへんわ……」

「ええ?」

「まぁ……もう一回二年生しても良いけどね」

 

と校長が言うが一毅は首をブンブン振る。

 

「いやいやいや、そこを何とかお願いできませんか?ほ、ほら!俺実技の点数は良いですし」

「実技で穴埋めにも限度っちゅうもんがあんねん。まあ、一応救済処置を用意したんやけどな」

 

そう言って書類を出してきた。

 

「コンテスラシオンっちゅうチーム知ってるか?」

「確か……ジャンヌがリーダーのチームですよね?」

 

とキンジが言うと蘭豹は頷く。

 

「そや、あいつら今回の修学旅行をサボりおったんや。そやから三年で行う旅行を早めて冬休み明けにやるっちゅう話になったんや。そやから桐生。お前そこの監察官してこい」

「へ?」

「そこでのレポート提出で勘弁したるっちゅうことや。あと遠山。お前はこいつの子守しとくんやで」

「俺ですか?」

「何やお前はこいつを野に放つっちゅうんか?」

 

そう蘭豹に言われてキンジは頭に思い浮かべる……確かに一毅を海外に子守りなしで放ったら道に迷ったりして帰ってこなくなりそうだ。ただでさえこいつは外国語を話せないだろうし……

 

「お前はリーダーなんやからな。仲間の子守りもしっかりこなせっちゅうことや」

「分かりました。お前もそれで良いだろ?一毅」

「ああ、了解しました」

 

そう言って了承して……といっても拒否はできないのだがそれでも首を縦に振ると詳しく日程をかかれたプリントを受けとり一毅とキンジ達は校長室をあとにした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういやこの間のテストの出来は最悪だったっけなぁアハハ――いだ!」

 

アハハと笑う一毅にキンジが蹴りを叩き込んだ。もう外だから好きに蹴っ飛ばせるぞ!

 

「何すんじゃい!」

「笑っとる場合かお前は!最高十点台ってお前はのび太か!」

「あれは0点じゃないか!俺は数点は取ったんだぞ!」

「どちらにせよ威張れねぇよ!」

 

キンジにそういわれ一毅がウッと言い返せなくなる。

 

「だ、だけどお前はどうなんだよ!」

「残念だが今回は割りとできたぞ」

 

一般高校で望月に習った部分が出てたし教師役の彼女が優秀なお陰で今回はかなり余裕をもってクリアした。

 

「そうか……お前あの時に……」

「ま、どっかで知恵熱出してた奴とは違うんですよ」

「あんだとこの女っタラシがぁ!」

「誰がだこの犯罪者面がぁ!」

 

ボコボコと二人は仲良く喧嘩をしだしたため他の皆で二人を引き剥がすことになる……が、

 

「こんなとこで喧嘩してると先生たちが来ますって!」

 

と辰正が慌てて一毅とキンジの間に割って入った瞬間、

 

『オラァ!』

「はべぶ!」

 

一毅とキンジのクロスカウンターを辰正が喰らう嵌めになった……

 

『あ……』

「た、辰正大丈夫!?」

「はんにゃらひ~ん……」

 

目をグルグル辰正は目を回して倒れる……まあそれだけですんでるのも凄いが……

 

「綺麗にキー君とカズッチのパンチで顔をサンドされたもんね~。辰っちゃん良く生きてたね」

 

と言う理子に思わず他の面子も頷いてしまった……

 

「と、取り合えず運ぶか……」

 

と、一毅が背負って救護科に連れていこうとすると校庭の方で女子たちが野球をやっていたのが目に入った……ただボールは固さ、重さともに同じと言うか殆ど爆発しない以外本物と同じ手榴弾のダミーだしバットもバズーカの砲身だしお前ら何やってんじゃい……と思ってると大きな一撃……その手榴弾のダミーは高く飛んでいきそこそこ速い速度だ……と思いきやその飛んでいく先に背中しか見えないが女子がいる。しかも全く警戒していない隙だらけの格好だ……皆が叫ぼうとした瞬間キンジが飛び出す……そこからキンジは足を振り上げダミー手榴弾を蹴り飛ばした……

 

「あ、ごめーん」

 

と、野球をしていた女子が言った……ごめーんじゃねぇよ!っとキンジは叫びそうになりながら足をぶらぶらさせる。さすがに固くて少しいたかった……取り合えず野球していたやつらにも文句は言いたいがそれよりこっちだ。

 

「お前な……幾ら校舎内だからって油断してるなよ……うちの学校はただでさえ危険しかないんだから……え?」

 

キンジはそう諭しながらダミー手榴弾が直撃しそうのなった女子を見て……固まった……

 

「お、お前は……!」

「やっぱり遠山くん!」

 

ふんわりとした髪にポヨンとした胸……ムッチリとした太股……穏やかでチワワみたいな顔立ち……間違いなくと言うか間違えようがない……東池袋高校で隣の席でヤクザに誘拐までされた女の子……

 

「望月……」

 

一毅も顔が引き攣っているし他の面子も確かあの誘拐事件の時の……と顔を傾げる。

 

「な、何で!」

 

お前がここに?と言おうとすると望月が先回りして答えた。

 

「冬休みの直前に転校してきたの。あのときはちゃんと伝えられなかったしあのままお別れするのは嫌で……そしたら家族も私の意思を尊重するって言ってくれてね」

「おいおい……」

 

態々こんな危険なところの来るなよ……そんな銃だって握ったこと無いような手でこんな人外魔境の地になんてさ……

 

「ほんと私も驚いたわ……」

 

と、望月の後ろから声が聞こえて見てみると……

 

「げぇ、菊代!」

「随分対応に差がないかい?」

 

と、誘拐事件の際に仲間から裏切られ組も壊滅した元鏡高組の組長が登場した……

 

「お前も復帰したのか!?」

「まあね、科は諜報科(レザド)尋問科(ダキュラ)だ。因みに萌は救護科(アンビュラス)だよ」

「あ、菊代ちゃん」

 

と、萌が屈託なく呼ぶ……それにしても萌も菊代も選んだ科が似合いすぎだろ……

 

「二人揃ってこんな学校に来ることもにだろうになぁ……」

 

と一毅が言うとキンジもうなずいた……何を好き好んでこんな学校に……ん?何か背中がチリチリするぞ?

 

「げ……」

 

キンジが後ろを向くと何故か体から炎を燃え上がらせるアリアとやっぱりそうなるよねぇと苦笑いする理子と冷たい目を向ける陽菜がいた……序でにその三人から既に他の面子は少し離れてある……

 

「ねぇキンジ……少しお話ししましょうか」

 

うわぁ……アリアが何か金髪になりそうなくらいお怒りです……そのまま髪逆立ったりしないよね?

 

「い、いやぁ……少し遠慮しときたいば……うん」

「キー君に拒否権無いよ?」

 

と、理子がキンジの右腕をロックした……む、胸が軟らか……イダダダダダダ!洒落にならないくらいガッチリロックじゃないか!痛いぞ!

 

「ささ、師匠。少々校舎裏にご同行いただこう」

「いや、校舎裏に呼び出すのは後輩の方じゃなくて先輩だろ!」

 

とキンジがいってる間に陽菜が理子と反対側の腕をロック……そして、

 

「じゃあいくわよ」

 

とアリアがキンジの首根っこをつかんでズリズリ引っ張っていった……

 

「ああ……さよならキンジ……」

『あなたの事は忘れない』

 

と、皆で遠くなっていくキンジに向けて十字を切った……

 

「え、えと……どういうこと?」

「武偵高校では日常だよ」

 

と、望月と菊代のやり取りの後キンジの断末魔が聞こえた気がするのは……気のせいと言うことにしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにその夜……

 

「おい静幻!お前なに勝手に俺をボス呼ばわりしてんだ!」

《ですがお陰でバスカービルから弾かれなかったでしょう?いやぁ、私としてもやはりバスカービルまるごと藍幇に来てもらえると嬉しいので来ていただきました》

「ふざけんな!俺は日本に居場所がなくなりそうだ!」

《でしたらうちに来てください。衣食住全部ありますし猴も会いたがってますしね。亡命でしたらいつでも秘密裏に日本から脱出させますから》

「アホ抜かすな!」

 

と言うやり取りが深夜まで及んだのは余談だろう……




政府高官1「イギリスからは遠山キンジの脱退……中国からは下手な手出しはするな……どうすれば良いんだ!」

政府高官2「全く……今年に入って遠山キンジ絡みでの出来事が多すぎる……」

政府高官3「取り合えずこれからの処分はどうすれば良いだろう……一番は何処かで溺れたりでもして死んでくれれば良いのだが……」

政府高官4「仕方ない……ならば何時も通りのらりくらりと躱していくしかないな……」

政府高官5「成程……何時も通り決定的な回答は避けて後でどうとでも言い訳が効く曖昧な答えをし続けていくんだな」

政府高官6「となれば暫くは遠山キンジをそっとしておくと言うことで良いかな?」

政府高官7「まあ彼も中々しぶとく生き残ってはいるがその運もそろそろ使いきるだろう。さっさと何処か我らの預かり知らぬところで死んでくれれば良いのだが……」




なんていうやり取りが密かにされたと言うが定かではない……












今作ではマジでキンジに藍幇に来てほしい静幻のお陰でキンジの脱退はなしです。まあキンジがバスカービルから外れても引き込めないわけではありませんがバスカービルの面子も一緒の方が有益なのはいうまでもありませんしね。その代わりキンジは日本政府からもさっさと死んでくれ扱いを受けることに……まあ殺しても死なないのがキンジですけどね……

さて取り合えず次回からヨーロッパ編です……鬼とかセーラとか……アリスベルサイドの面子とか……あ、アリスベルサイドからもオリキャラ出ます。まぁどちらにせよ原作はもっと先なんですけどね……って原作では次巻凄い気になる展開でした。赤松先生続きを早くお願いします!

と言うわけで又次かい!

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