緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と鳶

「はぁ…」

 

キンジは強襲科(アサルト)用の体育館前にて溜め息を吐く。

ついに戻ってきてしまった…とは言えここで落ち込んでいても仕方ない。やけに重く感じる扉を開けると中には多くの生徒がいた。そいつらはキンジを見ると…

 

「キンジ~やっと死にに来てくれたか、と言うわけで死ね」

「お前こそコンマ一秒でも早く死ね!」

 

キンジは素早く切り返す。それを皮切りにキンジの周りに皆は集まってくる。

 

「お前みたいなボンクラはさっさと死ぬんだぜ」

「じゃあなんでお前は生きてんだよ!」

「よぅし、死ね!今すぐ死ね!」

「お前が死ね!」

 

別にこれは新手の虐めではなく強襲科(アサルト)では挨拶のようなものだ。

キンジ、一毅両名は現在の2、3年には一目置かれているのだ。言うまでもなく入学式で一発Sランク合格によるものだ。更にこの二人、強襲科(アサルト)では入学してその直後位に上級生が力を見せつけるため下級生を叩きのめすと言う洗礼があるのだが、あろうことか逆に当時二年生だった現在の三年生を叩きのめして外にポイしている。所謂上勝ちをしてしまっているのだ。お陰で現在の三年に命狙われ気味のキンジと一毅だがまあそれを脇に置いておこう。

 

「ようキンジ」

 

一毅が来る。強襲科(アサルト)に自由履修で一時的にキンジが戻ってくるのは昨日のうちに聞いていた一毅はどこか嬉しそうだ。

 

「銃弾と硝煙と暴力の強襲科(アサルト)に戻ってきたな」

「一時的にだ」

 

キンジは頬を掻きながら答えた。

 

 

「あれ?遠山先輩じゃん」

 

その頃2階のトレーニング室でライカが声をあげる。

 

「知り合い?」

「まあ一毅先輩経由で少し」

 

ライカは話し掛けてきた男に答える。

 

「やっぱり強いのかなぁ…」

辰正(たつまさ)戦いたいのか?」

「無理無理!僕みたいな一年のCランクじゃ軽く捻られちゃうよ」

 

辰正と呼ばれた男は一年のようで首を横にブンブン振る。

 

「何の話?」

「お、あかりじゃん、今強襲科(アサルト)の伝説が来てんだよ」

 

あかりと呼ばれたミニアリアのような少女は見る。

 

「なんかイメージと違う…もっと筋骨隆々って言うか桐生先輩が強いってのはわかるけど…」

「でもあかりちゃん、もしかしたら隠してるだけかもしれないし…」

「んも~!辰正も男ならシャキッとしなよ」

「う、うん…」

 

辰正は何処か頼り無さげに笑った。

 

 

 

「ふぅ…」

 

一毅は放課後に街の方に出る。今日はレキは依頼(クエスト)でいない。まあ7時くらいに帰るとの事だったので今夜は天丼かと材料を買っていた。ついでに付き合ってそろそろ一年になる。記念日でもあるし何かプレゼントでもと今日は下見も兼ねているのだ。

すると…

 

「ん?」

 

スーパーのすぐ目の前のゲームセンターのUFOキャッチャーでキンジとアリアが遊んでいた。デート?いや失礼ながら小学生をつれ回す誘拐犯だぞキンジ…等と思っているとアリアがとれず筐体に当たりだしたところをキンジが止めて取った…しかも二個同時…人間どんな才能があるかわからない。そう言えばプレイ中のキンジをアリアがボーッと見てた気がするが気のせいだろう。

すると二人はハイタッチした。やった後に恥ずかしくなったのか顔を赤くしてそっぽ向いてるが…

 

(あいつらは中学生か…)

 

一毅はあきれながら見てると二人は取った景品(後で知ったがレオポンと言う名前らしい)をどっちが先に携帯に付けられるか勝負を始めた。意外と良い勝負をしている。何とも微笑ましいな。とは言えこれをもう一人の幼馴染み、星伽 白雪が見たら大暴れになるだろう。間違いない。そうこうしてる間に二人は別々に歩き出す。

さて…アリアの方に行っても仕方がないし男子寮に向かってるであろうキンジの方に歩き出した。

 

 

「ようキンジ」

「ん?一毅か」

 

キンジと並んで歩く。

 

「今日はなんだ?」

「天丼だ」

「いいなぁ~…」

「そう言うけど白雪が恵んでくれるじゃねぇか」

「味は良いけど量が…」

『……………』

 

キンジと一毅は何気ない会話をしているが…後ろへ意識を集中している。

先程から尾行されているのだ。数は二人と言ったところだ。

 

「気付いてるよな」

「まあな、減ったくそな尾行だ」

 

一毅とキンジはそれとなく武器に手をかける。

 

「何もんだ…?」

「分からないが…」

 

二人は曲がり角を曲がると…

 

『逃げるぞ…』

 

二人は全速力で走り出す。後ろからも追ってきているのが分かるがとりあえずもっと開けた場所の方がいいだろう。

 

「キンジ…この先に公園がある…そこで迎え撃つぞ」

「よし…」

 

追ってもまだ居るようで必死に追いかけて来ているのが分かる。

 

「ここだな!」

 

二人は公園にはいると振り替える。

 

『何もんだお前ら』

 

一瞬静寂が包む。

 

「言っとくが気付いてるからな…おとなしく出てこい」

『…………………』

 

一毅が言うと観念して出てきた。

一人はアリアを更に低くしたような幼児体型の名付けてミニアリア女…もう一人はかなりイケメン顔で比較的ガッシリした体格の男…

 

「一年か…名前は?」

「あ、初めまして!一年強襲科(アサルト)!!!谷田(たにだ) 辰正(たつまさ)です!ランクはCランク!あ、この子は同じ強襲科(アサルト)のEランク、間宮(まみや) あかりちゃんです」

「ふぅん…」

 

一毅とキンジは構えを解く。

 

「んで?何で俺たちを尾行したんだよ」

「あ、正確に言うと本当は遠山先輩に用が…」

「あの!」

 

するとあかりが出てくる。

 

「アリア先輩とはどういう関係なんですか!?」

「は?」

 

キンジが唖然とすると、

 

「ロリコンとその主だよ」

 

一毅が間髪知れずに答えた。

 

「ちげぇよ!」

 

キンジは一毅に突っ込む。

 

「ロ、ロリコン…?」

「う、噂って本当だったんだ…」

「噂?」

 

辰正の言葉にキンジは反応する。

 

「遠山キンジロリコン説って言う奴ですよ」

「誰だよそんなガセ流してんのは!」

「確か…枯木と言う人です」

「誰だよ!」

「んな奴うちの高校いたっけ?」

 

キンジが叫び一毅は初めて聞く名に首を捻る。

 

「あ、これあだ名で二人組をまとめて呼んでいるんです。一毅(かずき)とレキで枯木(かれき)です」

「てんめぇえええええじゃあああねぇええええええかぁあああああ!!!!!!!!!!!」

 

キンジは般若みたいな形相で一毅の襟をつかむ。

 

「そ、そんなこともあったけな~…」

 

一毅も今思い出したようだ。

 

「って話が逸れてます!本当にどういう言う関係なんですか!?」

「お前アリアのファンか?なら言っとくが俺は付け回されて迷惑してんだ。特別な関係じゃねぇよ」

「めい…わく?」

 

あかりの雰囲気が変わる。

 

「ん?」

「せ、せんぱぁい…」

 

辰正は強襲科(アサルト)とは思えないくらい情けない声を出す。

 

「今すぐ逃げてください…」

『はぁ?』

 

一毅とキンジの二人が首をかしげた次の瞬間マズルフラッシュと共に銃弾が飛んできた。

 

「この無礼者ォオオオオオオ!」

『いい!』

 

一毅とキンジは予感に飛んで躱す。銃は…マイクロUZI(ウージー)…ついこの間もこの銃を装着したセグウェイに追いかけられたばかりだ…すげぇ嫌だな…今度は人が装備してるけど…

 

「あ、あかりちゃん!」

「辰正!やるよ…アリアが自分から会いに来るなんて羨ましいのにそれを迷惑!?言語道断だし絶対許さない…撤回させてやる!」

 

ダンダン足を踏み鳴らしあかりは辰正に怒鳴る。

 

「おーい…俺無関け【ババババババ!】うぉわ!」

 

一毅は自分の無実を訴えるが聞く前に否決された。何て横暴な裁判官だ。

 

「どうするキンジ…」

「仕方ねぇ…左右でいくぞ!」

「OK」

 

一毅とキンジは荷物を置くと首を軽く回す。

それから二人は一度逆方向から出ると一気にあかりとの間合いを積める。いくら連射出来ても砲身は一つだ…と思った次の瞬間…

 

「ごめんなさい!」

 

一毅の腰に衝撃が走りそのまま後ろに押される。

 

「っ!」

「俺流・流星タックル!!!」

 

体がホンノリ深紅に染まった辰正は一毅の腰にガッチリとしがみ付くとそのまま一気に一毅は木に叩きつける。

 

「ごほっ!」

「俺流…」

 

更に辰正は離れると拳を握り振り下ろす。

 

「流星フィニッシュ!!!」

「がっ!」

 

一毅は顔をぶん殴られ地面に転ぶ。

 

「一毅!?」

「こっちです!」

 

キンジの方にあかりが手刀を繰り出す。

 

「ちっ!」

 

キンジはスウェイで躱す。

 

「ったく…UZI(ウージー)付きセグウェイにピンク武偵と来て次はその劣化番かよ…」

 

キンジはネクラな顔を更に曇らせながら蹴りの構えだ。

 

「ったく…」

 

一毅も殴られた頬を擦りながら立ち上がると拳を握る。

 

『いくぜ…』

 

少しお灸を据えてやるため一毅とキンジは走り出した。

 

 

一毅は辰正との間合いを詰めると拳をつき出す。顔面を狙った一毅の拳を辰正はスウェイで躱すと、殴りかかってくる。

 

「しっ!」

 

それを片手で払い一毅は裏拳を繰り出す。

 

「うぐっ!」

 

諸にそれが決まり辰正はよろけるがそこに更に一毅は蹴りを叩き込むとそのまま掴んでぶん投げる。

 

「が…はぁ…」

 

咄嗟に受け身は取ったようだがダメージはあったらしい。

それにしても先程も思ったがこいつは無手の戦いは上手くない。特に格闘技経験者と言うわけでもなく、鍛えてはいるが特別な腕力の持ち主でもない。

ならばやり易い。そう思い一毅は腰を落とすと…立ち上がった辰正に、

 

「二天一流・拳技!煉獄掌!!!」

「くっ!」

 

辰正はそれを受けると次の瞬間流され一毅は体勢を崩される。

 

(そうかこいつ…(やわら)を使うのか!)

 

一毅はとっさに体勢を戻そうとするがその前に蹴りを叩き込まれる。

 

「ぐっ!」

「うぉおおおおお!」

 

辰正は駆け寄ると腕を取り一毅に肩車をするように乗ると一毅の首を足で絞めながら腕の関節を極める。これは抑えるためじゃない…間違いなく腕の骨と更に首の骨をへし折る技だ。

つまり殺しの技…しかも流しからのここまでの一連動作…そうとう鍛え混んでいたようだ。油断していた…だがそんなことを考えている間にも首がしまり酸素がなくなっていく。

 

(こいつ…裏家業の人間か…!?)

 

一毅は残った左手で足の拘束を緩め左手を曲げることで耐えるがこの状態では圧倒的に辰正が有利だ。

 

「う……おお…」

 

更に辰正は力を込める。

 

「こん…の…」

 

一毅も力で解こうとする。

 

『ウォォオオオオオオオ!!!!!!』

 

一毅と辰正の咆哮が響く。

 

「ウォオオラァ!」

 

軍配が上がったのは一毅だった…一毅はそのまま後ろに倒れ地面に辰正を叩き付ける。

 

「がっ!」

「ゴホ!ゴホ!」

 

辰正の拘束を解くと一毅はむせながらも関節を極められていた腕を軽く振って異常がないことを調べる。

 

「ウラァアアアアア!!!!!!」

 

その隙に辰正はホンノリ深紅のオーラに身を包み身を低くして一毅の腰に抱きつく。

 

「俺流・流星タックル!!!」

 

だが先程の不意打ちとは違い今度はしっかりと見えている。つまりそれは…

 

「勝機!」

 

一毅の目が光る。

 

「ラァ!」

「ウラァ!」

 

一毅は正面から辰正を受けると首に手を回し…

 

「ふん!」

 

バキ!っと辰正の首が音を鳴らし、辰正が怯む。

 

「二天一流・喧嘩術!」

 

そして辰正の胴体を掴み持ち上げると荒々しくも豪快に…それでいて武骨な一撃、

 

「縛解の極み!!!!!!」

 

そのまま辰正の頭をパイルドライバーの要領で地面に叩きつけた。

 

 

 

そのころキンジとあかりの戦いはキンジが間合いを詰めると足を狙ったローを放つ。

 

「うわわ!」

 

あかりは危なげなくもそれを躱すとナイフを抜いて来る。

 

「ちっ!」

 

キンジも緋色のバタフライナイフを抜いて応戦していく。

その間にも蹴りを放ち当てていくが何度当てても不死人(アンデット)の如く立ち上がって来るため勘弁してほしい。

もしかしたら人間じゃないのかもしれない。たぶんこいつはゴムスタン弾(非殺傷性のゴム弾。暴徒鎮圧用に使われるが当たると凄く痛い上に頭に当たると命にか変わる場合もある)が当たっても平気なタイプだ。

だがいくら強襲科(アサルト)を抜けてから日が経つとは言え流石に一年に遅れはとらない。

キンジはそう内心思いつつバタフライナイフの峰に付いているギザギザと刃砕き(ソードブレイカー)の部分であかりのナイフを止めるとテコの原理でへし折る。

 

「っ!」

 

あかりは驚いたような顔を見せるがキンジは気にせず蹴りを横っ腹に叩き込む。

 

「どうだ?まだやるか?」

 

キンジはめんどくさそうにあかりを見る。

 

「当たり前です」

 

そう言ってあかりは立ち上がる。何て頑丈な奴だ。

そう思いつつナイフを…あれ?

キンジは自分の手を見る。そこにはなぜかナイフがない。

 

「探し物はこれですか?」

 

あかりは自分の手の中にあるバタフライナイフを見せる。

 

「いつの間に…」

「行きますよ!」

 

あかりがキンジのバタフライナイフを振るう。

 

「くっ!」

 

胸を狙った一撃をキンジはバックステップで躱しながら更に下がる。

 

「はぁ!」

 

冗談のナイフを伏せて躱し、そこに来た足払いを飛んで躱す。

しかしこいつ…ナイフあまり上手くないな…と言うか下手くそだ…何て言うか…癖を抑えながら振ってる感じがする。まあ関係ないことだとキンジは思考を払いながら横にスウェイで躱しながら同時に蹴りを放つ。

一毅の【二天一流・拳技 捌き打ち】をモデルとしたキンジの技…

 

「スウェイアタック!!!」

「きゃう!」

 

これは威力が低いため牽制程度にしかならないが蹌踉めかすには充分だ。

そしてキンジは胸元から銃を抜く。

 

「っ!」

 

あかりの目が光ると一気に間合いを積めてきたかと思えば一瞬の間に奪われた。

 

(やはりヰ筒取り…いや、鳶穿ちか?)

 

遠山家にはヰ筒取りと言う相手の武器をカウンター気味に奪う技がある。この技は元々ご先祖様の部下が使っていた技をパクった劣化番のだが…

 

「今の鳶穿ちか?」

「っ!…何故それを!」

 

あかりは驚いている。

 

「それって元々相手の眼球や心臓奪うえげつない技だろ?大したもんだ。ヰ筒取りバージョンして武偵法に触れないようにするとはな」

「?」

 

あかりには理解できていないようだが確かあいつの苗字は間宮だった…恐らく間宮 林蔵の子孫なのだろう。となるとあそこで一毅と戦っている谷田 辰正は谷田 吟の子孫だろう。まさかここで先祖の部下の子孫に会うとは…武偵高校を辞める身空なれども感慨深い。

 

「と、とにかくこれでもう武器はないですよ!」

 

そう言ってあかりはキンジのベレッタを向ける。ならば、

 

「安全装置くらい解除してから向けろ」

「え?」

 

あかりは銃を見る…無論安全装置はとっくに解除済み…だがその隙が命取りだと言わんばかりにキンジは跳ぶ。

 

「はっ!」

 

明かりもキンジの接近に気づき銃を向けるが素早く蹴り上げ銃を打ち上げる。

そしてキンジの目が獲物を捉えた鷲のような目となり光ったような感覚がした。

 

「勝機!」

 

キンジが叫んだところにあかりがナイフをつき出す。

それをキンジは体を回転させ躱すと…

「ウッシャア!!!」

 

渾身の後ろ回し蹴りを叩き込んだ。

 

 

 

「がは…」

「うぐっ!」

 

一年二人は倒れる。

 

「ふぅ…」

「終わったな」

 

キンジと一毅も構えを解く。

 

「んで?何がそんなに気に入らないんだよ」

「……ずるいです」

「は?」

「私スッゴい苦労してアリア先輩とお近づきになって戦妹(アミカ)になったのにあんた何なんですか!」

 

あ、こいつアリアの戦妹(アミカ)なのか…

 

「だから俺は寧ろめいわむぐ!」

 

キンジの言葉を一毅は止める。それ言ったらまた撃たれる…

 

「あ、あのな間宮…こいつとアリアはある事件で一時的に手を組んでるだけだ」

「…………本当ですか?信じられませんが…一緒に遊んでいたじゃないですか」

 

ゲーセンの所から居たんだこいつ…

 

「た、多分一時的にとは言え組むんだから親睦を深めていたんだよ…なあキンジ」

「いや、あいつが勝手について…」

「そ・う・だ・よ・な?」

「…ハイソウデス」

 

一毅が半眼になるとキンジは流石に少しビビって言うことを聞いた。

 

「何か脅されてる感が凄いんですけど…」

「き、気のせいだよ。そんなに信用ならないんならお前の敬愛するアリアに聞いてこい。嘘だったとわかったらまた襲いに来れば良い」

「…分かりました…行こう、辰正」

「あ、うん。失礼しまし…」

 

そこまで言った次の瞬間突風が吹く。

 

『え?』

 

するとこの場で唯一の女であるあかりの武偵高校特有の短いスカートがブワッと上がる。そして見えるは白木綿のパンツと言うか子供っぽい見た目と相まってパンチュ…

 

「キャア!」

 

あかりは咄嗟にスカートを押さえ、

 

「ぶはっ!」

 

辰正は鼻血吹いて倒れ、

 

「…………」

 

一毅は特に何も感じる事もなく。

 

「ウワァアアアアアアア!!!!!!」

 

キンジは何処か分からないがとにかく爆走した。大方ヒスりそうだけどこんなガキではヒスりたくないという本能が働いたのだろう。本当にあいつはロリコンなんじゃないだろうか…

 

『…………』

「見えました?」

 

あかりが聞いてくる。

 

「大丈夫だ…俺は彼女持ちだしすぐ忘れることにする」

「ああ、そういえば二人でしたね。武偵高校で一番釣り合ってないカップル」

「そんな風に言われてんの!?」

 

一毅は驚愕した…

 

 

その夜…

 

キンジは時々、

 

「俺はあんなガキに興味はない…興奮したりしない…」

「キンちゃん大丈夫!?特濃葛根湯買ってきたよ!あとは…人肌で暖め…」

「やめろぉおおおお!!!」

 

と、ドタバタしながら寝込み…

 

 

一毅は…

 

「あの一毅さん…何故急にかけ蕎麦なんですか?別に良いですが今日は天丼だったはず…しかもその頬は誰にやられたんですか?頭撃ち抜いて来るんで教えてください」

「ちょっと疲れてな、後殺すな」

(言えない…材料全部戦った場所に忘れてきて取りに戻ったら既に持っていかれていたなんて…)

 

一毅は墓場まで持っていくことを内心決め…

 

 

「アリア先輩!」

「あら、あかりどうしたの?それに辰正の姿が見えないけど…」

「あ、あいつはちょっと倒れまして…でも大したことないので大丈夫です!」

 

まさかパンツ見せてしまって鼻血出されたとは言えない。

 

「あ、それより聞きたいことがあるんです!」

「何かしら?」

 

アリアはももまん(和菓子専門店、松本屋のロングセラー商品。桃の形をした只のあんまんなのだが何故か熱心的なファンが多く日本で最も売れてる饅頭ランキングで二位と圧倒的な差をつけて堂々の一位を飾っている。アリアはももまんファンクラブ、通称MFCの会員NO.1の称号を持つ)を一度置くと聞きの体勢に入る。

 

「遠山キンジ先輩との関係ですが…」

 

次の瞬間アリアの顔が赤くなる。

 

「は、はぁ?あいつとは唯のパートナーよ。べ、別にクレーンゲームの時の真剣な顔が少し格好良かったとか思ってないんだからね!」

 

語るに落ちている。キンジならそうかとそれで終わりだがあかりは…

 

「そうですか…(遠山キンジ…殺す…絶対に殺してやる…本来の鳶穿ちで心臓奪ってやる)」

 

あかりはキンジ抹殺を心に誓った。




遂にAA勢が本格的に絡み始めました。因みに谷田 辰正はオリキャラですが、元は、龍が如く4の主人公谷村 正義と5の主人公・品田 辰夫をごちゃ混ぜにして出来たのが彼です。
あかりの幼馴染みで捌きと関節技の腕は超一流。何せSランクの一毅の一撃を簡単に捌いて関節を極めて行くんですからこの二つだけに限定すればSランクの素質があります。ですがそれ以外は完全な喧嘩殺法…その為Cランクに甘んじているのが彼です。

顔立ちはイケメンですがどうも頼りない感じで姉御系にモテます。凄くモテます。羨ましい限りですが彼はあかりちゃんが好きなんです。なのでアリアラヴのあかりに何処か複雑な思いを寄せつつももう一つのある理由(後述)と相まって後一歩が踏み出せていません。ただ、あかりの方も辰正は特別な異性と認識しています。裏設定ですがあかりの妹、ののかに好意を持たれていると言う設定もあります。

実家は昔はそれこそキンジの先祖を外敵から守る仕事をしており、汚れ仕事を間宮が…表仕事を谷田が行っており、防御が得意なのもその辺が理由です。
そして現代では谷田は守る対象を間宮に変えており、間宮壊滅の際に谷田も滅んでいます。その為、辰正にとってあかりとは守る対象であり、守るべきだった間宮を守れなかった負い目がある対象でもあるのです。 その為、誓いをたてており、【泥臭くたって情けなくたって格好良くなくたって良い…ただあの子の涙を見ないで済むなら戦う…それだけだ】と言うのを心に決めています。

家はあかりの家に居候させてもらっており、佐々木 志乃とはその為か非常に仲が悪いです。

さて、こんな感じですかね。いつか彼らの物語も書きたいとは思いますがその辺はどうするか思案中です。

さて、次回は遂にアレが起きます。ではお楽しみに~

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