緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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第十一章 中国戦乱
龍たちと飛行機


「つうわけでこれからのことについて話し合いをするわけだが……お前ら」

 

学校から帰ってきて早々キンジは皆を呼び出した。のだが……

 

「何でお前ら体操着なんだよ!」

『さっき体育だったから(よ)(だよ)(ですよ)』

 

まあそこは仕方ない部分もあるがなぜ着替えてこないんだとキンジは頭を抱える。

 

「いきなり至急集合とかメール寄越すから皆で大慌てだったのよ」

 

アリアの言葉にキンジは過去に行けるんだったら至急とかメールに書かないように言ってやりたかった。

 

「それで?なんのようだ遠山」

「いやその前にジャンヌ……何でお前だけブルマなんだ?」

 

キンジはそこが一番気になった。

 

「日本の伝統的な運動着だと聞いてな」

 

そう言って形のよくて白い足を見せてくる。やめてくれヒスるから……

 

「それでキンジ先輩どうしたんですか?」

 

辰正が軌道修正してくれた。

 

「ああ、この場には前回の襲撃に立ち会ったのもいるだろう」

『………』

 

全員うなずく。ジャンヌやワトソン等の居なかった面子も話だけは聞いているようだ。

 

「それでワトソン。あいつらは中国に帰ったんだな?」

「ああ、玉藻からの情報だけどね」

 

キンジはそれを聞いてうなずく。

 

「今回俺たちは迎え撃つ側だった。だが今度は違う。こっちから攻めるぞ」

「と言うと?」

 

あかりが聞き返す。

 

「俺達二年は修学旅行(キャラバン)Ⅱがある。その行き先にはなんと香港があるんだ」

「成程ね……でもあかりたちはどうするのよ」

「アリア。校則をよく見てみろ。修学旅行(キャラバン)Ⅱだけは実は二年生一人につき後輩一人を後学のためにという理由で連れていくことが出来るんだ」

 

そう言われ全員が見る。

 

「本当だわ……」

「基本的には戦妹(アミカ)を連れていくのが多いみたいだが実際は特にそんな制約はない。だから……」

 

全員がその権利を使うと全員が行くことが出来るという計算になる。

 

「まあロキの場合は二学期からの途中入学だから課題とか与えられてるからダメだけどな」

「ま、私はワトソン先輩と一緒にお留守番組だね」

 

妙に聞き分けがいいなとレキが首をかしげた。

 

「じゃあ俺の権利で陽菜、アリアの権利であかり、白雪の権利で志乃、レキの権利で辰正、一毅の権利でライカ連れていけば大丈夫だろ?」

「ふむ……どうした遠山。随分やる気じゃないか」

「弟がやられたんでな。敵討ちくらいしとかないと腹の虫が収まらん」

 

珍しく少し気が立ったキンジを見て一毅は笑う。

 

「そういやお前がリーダーだったな、キンジ」

「やかましい!……で?呂布についての情報は?」

「こっちもすぐに分かったよ。呂布 奉先……香港藍幇において最強の武を誇っている男だ。今まで数多くの戦いをこなしてきたが負けなしの男だ。その中には複数人や銃器もあったらしいが傷すら負わせられなかったらしい」

「俺そんなやつと戦ったのかよ……」

 

一毅は空を仰いだ。

 

「多分向こうにいってもお前が相手をすることになるぞ?」

「だろうな……まあ俺以外じゃ戦えないだろ」

 

一毅のいった言葉は誇張でもなんでもない。僅かとはいえ挑んだライカ、辰正、陽菜は呂布の強さの一端を見ている……文字どおり化け物じみた武力を味わっていて二度と戦いたくないと思ってしまう。だが一毅はどこか楽しそうだ。

 

「私もあの時は一方的に撃たれしまいましたからね。今度はしっかりやり返します」

 

レキもやる気十分といった感じだ。

 

「あ、そうだ。忘れていたが……保釈金を積んでココ達や夏侯僉と周岑が保釈されたらしい」

「となるとアイツらとの戦いもあるのか……」

「ココたちにはカズッチがまたお尻ペンペンしれやれば良いんじゃない?」

「おいおい……」

 

一毅が理子の言葉に肩を竦める。

 

『ああ!!!!!』

 

すると今度はあかりと辰正と陽菜が声をあげた。

 

「今度はどうした?」

「これって……自費っすよね?」

『あ…………』

 

あかりと辰正と極めつけに陽菜は万年キンジも目じゃないほどの赤貧であり1ヶ月一万円生活を一年中している状態だ。その二人が海外へ出るなど金銭的な問題で難しい……

 

「な、何とかならないの?」

「いや白雪……学校には行って帰ってきたら経費という形で落とすことになるからな……前借りは無理だ……」

「さ、三人は泳いできたらどうだ?」

『一毅先輩じゃないんですから無理です!』

 

ワトソンに3人で反撃した。

 

「いや俺だって泳ぐのは無理だって……」

「なら私に任せてください!」

 

すると志乃が立ち上がった。

 

「あかりちゃん……とついでにおまけに谷田君と風馬さん。私に任せて」

「お、お金貸すとかダメだよ?」

「大丈夫だよあかりちゃん。飛行機代を0にする!」

『ええ!』

 

全員が驚愕した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「持つべきは金持ちの後輩だ……そう思わないか?キンジ」

「そうだな……一毅。だがどうやったんだ?」

 

話し合いから三日後……一毅とキンジたちは何故かでかい飛行機の特別ゲストルームにいた。なにこれ?

 

「前に先輩方が飛行機ジャックを捕まえられたでしょう?」

「いやぁ~とんでもない奴だったよね。きっと根性ネジ曲がった奴だよ」

 

お前の事だろうが!っとその時事件を解決した一毅、キンジ、アリアは内心理子に突っ込んだ。

 

「その会社の株を実家が結構持っていまして優待されるんです。ついでにちょっと社長さんを脅し――もとい、社長さんとお話ししてタダで乗せて貰えるようにしました」

今若干危ない言葉でなかったか?と 皆は思ったが下手なことは言わないに限る。

 

「で?あかりたちは何でそんな隅っこにいるのよ」

 

何故かあかり、辰正、陽菜は隅っこに小さくなってるためアリアが聞く。

 

「だ、だってアリア先輩!こんなお金持ちしか乗らないような所なんて完全に場違いですよ!」

 

フルフル震えながらあかりがアリアに泣きつく。

 

(あかりちゃん可愛すぎぃ……ハァハァ……)

 

こっそり隠し撮りしつつ志乃は鼻血を流す。

 

「お、俺お腹いたくなってきた……」

「し、師匠……拙者は恐らく明日辺り死ぬんでござるよ」

 

何か変なことを言い出した……

 

「か、一毅先輩!何か機内サービスすごいですよ!」

「本当にすごいな……これって全部タダなのかよ……」

何度か飛行機に乗ってるとはいえ一毅はライカと一緒に苦笑いした。

「とりあえず皆さん座りましょう」

 

レキが言うと皆はうなずいたけど

 

『じゃあ(キンジ)(キンちゃん)(キー君)(師匠)ここに……』

 

バチィ!と火花が散った……そう、誰がキンジと一緒に座るかである。

 

一毅はすでに三人ならんで座る席で一毅を挟むように座る。

 

因みに言っておくが前後の席が凄く離れているため隣の席に座れなければ中国につくまで会話は不可能だ。

 

「それじゃあいくわよ……」

 

全員が拳を握る……油断はない……負けても満足がいけば敗北じゃないなどというがそんなわけはない……勝負は一瞬……一発勝負!

 

『じゃん!けん!ポイ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中国に行ったら戦いもありますが観光も楽しみましょうね」

「そうだな」

「何処行きますか?」

 

一毅の腕にくっつきながら二人は話し掛けてくる。

ロキもこれたらよかったのになぁと一毅は少し思ったが秘密だ。

 

「やっぱり向こうに行ったら本場の焼き餃子とチャーハン食いたいなぁ」

「チャーハンはともかく焼き餃子はあんまりないですよ?」

「そうですよね?向こうは水餃子が主流ですし」

 

レキとライカに驚愕の真実を教えられ一毅の体に衝撃が走る。

 

「えぇ~親父が食いたがってたもんはあるのかよ……」

 

昔本場のチャーハンが食べたいと父と話したのを一毅は覚えていたため楽しみにしていたのだ。餃子は一毅の趣味だ。

 

「そう言えば一毅さん中国語大丈夫ですか?」

「アニョハセヨ~だろ?」

「一毅先輩。それは韓国語です」

「グーテンターク?」

「ドイツ語ですね」

「あれぇ?」

「ライカさん……一毅さんは私たちのどちらかが隣にいないとダメですね」

「そうですね……でないと一毅先輩とはぐれて会えなくなりますね」

 

一毅はしゅんと肩を落とした……

 

「それにしても俺呂布に勝てるかなぁ……」

 

一毅にしては珍しく弱気な発言だ。

 

「どうしたんですか?急に落ち込んで……」

「いや、結構今までどんな相手とでもどうにかしてきたしなってきちまってきたんだけどさ……今回の相手はそうもいかない感じだから少し俺も悩んでてさ……」

「……大丈夫ですよ」

 

一毅の腕にライカが抱きつく。

 

「大丈夫なんとかなります。一毅先輩は強いですから」

「そうですね。一毅さんが自分でいったように何とかしてきました。きっと今回だって何とかするんですよ。一毅さんですから」

「二人とも……」

 

一毅は少し楽になった。

 

「ありがとうな」

 

そう言って二人をそっと抱き締めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっふっふ……」

「何か随分ご機嫌だな……アリア」

「そ、そんなことないわよ?」

「何故疑問系?」

 

じゃんけんに勝利したアリアはご満悦で席に座って足をブラブラさせる。

 

「でもキンジもリーダーらしくなってきたじゃない」

「そうか?」

「ええ、アタシの勘は外れてなかったわ」

 

キンジは頭を掻いた。

 

「それでキンジ。あんた香港についたらなに食べるの?」

「さぁな……適当に済ませようかと思っていたんだが……」

「じゃあ一緒に食べましょうよ。美味しい店はたくさんあるけど一人じゃ入りにくいものばかりなのよ?」

「じゃあ頼む」

 

まあ海外慣れしてるアリアが一緒なら心強いだろう。

 

「じゃ、じゃあ何処がいい?何処かいきたいところある?」

「そうだな……じゃあきれいな夜景が見れるところがいいな。死んだ父さんが言ってたんだ。一度は見てみたいって」

 

そう言うとアリアは嬉しそうに頬を緩ませた。

 

「わかったわ。任せて」

 

デレデレである。別に飯を二人で食べるのくらい何時ものことだと思うが……恐らく自分の知識の無さが招いた事態か……

 

「どうしたのキンジ」

「っ!あいや……」

 

アリアが前のめりできた……その結果ブラウスから胸が見えそうに……いや、セーフだ。胸が平坦のため見えなかった。だがその視線にアリアは気づいたようで。

 

「悪かったわね小さくて」

「いやそういうわけでは……」

「男は大きいのが好きなんでしょ?白雪が夜中に電話してきていってたわ」

 

何してるんだアイツはとキンジは溜め息を吐いた。

 

「いや、別に……そういうのは特に俺は気にしない……大きかろうが小さかろうがアリアはアリアだしな……」

 

何気なくそう言うとアリアはニヘラニヘラ笑いだした。大丈夫かこいつ……

 

「そ、そう?それならいいわ……じゃあおやすみ!」

 

そう言って三秒で寝だした……ほんとよく寝るやつだ……育たないけどな。

 

等と知られたらフルボッコなことを考えつつキンジはアリアの寝顔を見る。

 

最近ふと考えることがある…… それはアリアとの関係だ……いろんな事件を一緒に解決したりして大切なパートナーと言える……だが、キスを……しているのだ……そのせいかどういう関係なのかが複雑に感じる。

 

付き合ってるのかと聞かれることがああるがそれはNOと言う。だが……ただのパートナーなのかと聞かれればそれもNOである。ただのパートナーではない。だが付き合ってるのかと聞かれたらそれもNO……自分とアリアはどういう関係なのか……そういう意味では一毅は羨ましい。はっきりしている。だが自分は中途半端だ……どうしようもないくらいな……アリアは貴族で自分はただの男……不釣り合いにもほどがあるな……付き合うとしても……

 

(まあいい……俺も寝よう)

 

これ以上考えると辛いだけなのでキンジはふて寝した……


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