一毅、レキ、キンジの三人は案の定と言うか当たり前だが遅刻したあげく始業式に間に合わなかった。
まあその辺が緩いのが東京武偵高校言う学校なので分けられたクラスに入る。運良く三人一緒だ。
するとそこに、
「よう!キンジ、一毅、レキ!今年も一緒だな」
こいつは武藤 豪気。良い奴だが騒がしい…まあそんな奴で
「何だぁキンジ、星伽さんいなくて寂しいのか?俺は寂しいぜ?」
余談ではあるが武藤は白雪にホの字である。悲恋なのは確実なのだが…
「今俺に女の話を振るな…武藤…」
ヒステリアモードの後は疲れるらしくキンジは絶賛不機嫌だ。無論ヒスった事実とその際に言った言動の数々が反芻していると言うのもある…
「何がお姫様にしてあげようだ俺…」
「は?」
武藤は意味がわからなかったらしいが一毅とレキにはわかる。その場にいたこっちでも何だあのキザ男って思った…
「はぁーい皆さん。席についてくださぁい」
そこに何故武偵高校の先生になれたのか分からない先生…高天ヶ原 ゆとりが入ってきた。のんびりとした美人でほんとなんで武偵高校の先生になったのか七不思議の一つに数えられるほど謎である。
「今日から皆さんに新しい仲間が来ました」
転校生か?クラスの全員が首を傾げる。
「どうぞ~、神崎 H アリアちゃんです」
転校生が入ってくる…そして次の瞬間一毅とキンジは椅子から落っこちた…
(な、何であいつがここにいるんだよ!)
キンジと一毅は内心突っ込んだ。するとキンジとアリアは視線が合う。
「先生…」
「はい?」
「私…アイツの隣がいい」
アリアが言った次の瞬間クラス中の視線がキンジに集まる…
「ウォオオオオオオオオオ!キ、キンジの奴一%のロリが好きだったみたいだぞ!」
「嘘だろ!俺は星伽さんだと思って巫女だと思ってたのに!」
「ダメよ!キンジはホモじゃないと!想像できないでしょ!」
「くそ…一年の戦妹じゃねぇのか…」
「大穴のロリ巨乳は無しか~」
「だけどロリは意外すぎ、流石に付き合いが長い一毅とレキさんはわかったみたいだけど」
「だろ~!」
クラス中が大騒ぎになる。因みに最後のは一毅だ。
「てめぇ!」
キンジは飛び上がると一毅に蹴りを出す。
「あぶね!」
一毅はスウェイで躱すとキンジをぶん投げる。
「ダウンリバーサル!!!!」
だがキンジは空中で体勢を直しスライディングで一毅の足を蹴る。
この技は一毅の技の【二天一流・拳技 死中活】という技をキンジ流にアレンジした技でヒスってなくても使える。
「いってぇ!」
一毅はスッ転ぶ。更にそこからキンジはマウントをとる。
「覚悟はできてるな…?」
「全く!」
一毅はキンジのネクタイを思いきり締める。
「ぐぇ!」
キンジは怯み一毅は返すと立ち上がる。
「良いぞぉ!やれやれぇ!」
「て言うかこれキンジに春が来たって話からだったよな!?」
「とにかくやれぇ!ぶっ殺せ!」
外野が騒ぐ中一人の少女が立ち上がる。
「やれぇキー君!彼女に良いとこ見せてやれぇ!」
彼女は峰 理子…この学校一の馬鹿…ある一点は優秀だが基本的にトラブルメーカーでこんな状況では騒ぎを加速しかさせない。
「って違うわ!」
キンジも一毅との喧嘩どこではないことにやっと気がつき否定するがそんなのを聞く奴はこの学校の何処にもいるわけない。
「照れんなよキンジ」
武藤がキンジの肩をつかむ。
「そうだよキー君。あの彼女とはどこまで行ったの?A?B?まさかのC!?あんな小柄な子なのに出来たの!?」
理子は興奮ぎみに聞いてくる。
「なんの話だ!」
「んも~解ってるくせに~!まあ、フラグ乱立覇王のキー君なら経験も豊富そうだしね~」
「ますます意味わからん!」
どんどん騒ぎは加速の一途だ…高天ヶ原先生も静かにさせようとしているが意味はない…というか聞こえてない。だがそこに響いた…
「【ババン!】うるさーい!!!!」
銃声と共にアリアの怒号が響きその場が静かになる…余談だが東京武偵高校では【極力】無駄な発砲はしないことと校則にあるが、撃ってはいけないとは書かれていない…
「恋愛とかくっだらない…次そんなこと言う奴は…」
アリアは机の上に仁王立ちになるとコルトガバメントの白と黒を二丁とも持ち構える。
「風穴開けるわよ!!!!」
恐らく…世界で最も目立つ転入デビューを彼女はしただろう…
と言うかレキ…
「…♪♪♪…」
お前良くこんな中でもヘッドフォンに集中できるね…本当に尊敬するよ…たぶん聞いてるの世界のオーケストラとかなんだろうけど…
さて、武偵高校の5、6時間目は専門教科の時間のため
基本的に
「あ、一毅先輩」
「ん?おおライカ」
170近い身長の女子に一毅は話しかけられる。
彼女は火野 ライカ…一毅と同じ強襲科の一年でBランク。寝技が得意で、一毅とは入学してすぐのある事情で知り合い、戦って負かしてやったのだがその後良く話すようになり何故か懐かれた。
まあ普通に可愛いし悪い気はしない。かわいい後輩だ。
「いでっ!」
と思っていたらいきなりゴム弾が一毅の頭に命中した。窓の僅かに空いた隙間から撃ったらしい…こんなことできると言うかするのは一人だ…
「レキィ…」
恐らく
「まあ良いや…やるか?ライカ」
「はい!」
一毅は刀を置き拳を握る。ライカも構えると…
「やぁ!」
ライカの顔を狙ったパンチがくる。
「しっ!」
一毅は横に躱すがライカは素早く足を払いに来る。
「よっと!」
一毅は後ろにスウェイで躱すと、
「二天一流・拳技 捌き打ち!」
この技は相手の攻撃をスウェイで躱して相手の隙を攻撃する技で威力は体制が崩れた状態でやるため低いが牽制にはもってこいの技である。
「ぐ!」
ライカは素早くそれを腕を交差させて防ぐと一毅の腕を取り関節を極めに掛かる。
「二天一流・拳技 解き投げ!!」
それを一毅は相手に捕まれたときの返し技である解き投げで逆に投げ飛ばす。
「いってぇ!」
ライカは受け身をとるが流石に体格差のある投げだ…効く。
「らぁ!」
次の瞬間一毅の拳がライカの顔の前で止まる。
「俺の…勝ちだな」
「………はい……」
一毅が拳を退けて手を開くとライカは一毅の手を借りて立ち上がる。
「腕を上げたな~、捌き打ちで終わっと思ったのに防がれて関節を極めに来られっとは思わなかったよ」
「でも結局返されましたけどね」
「まぁ頑張んな」
一毅はライカの頭をクシャリと撫でる。するとライカの顔はミルミル茹で蛸も負けそうなほど紅くなっていく。
「何だ?熱でもあったのか?」
「あ、いや…大丈夫です…」
「??……いってぇ!」
そこにまたゴム弾が飛んできた。何だいったい…一毅としては自分が何をしてレキを怒らせたのか分からない…
「またレキ先輩か…」
ライカも何故か不機嫌になった…例えるなら飼い主が自分以外の犬を可愛がってるときの犬みたいな顔だ…
(何だって俺の周りに不機嫌な女が集まるんだ?)
こういうのはキンジの仕事だろう…等と思ってると、
「ねぇ、ちょっと」
「ん?おお、神崎?」
視線を限界まで落とすとそこにはアリアが立っていた。本当にこいつは小さい
「アリアで良いわ…聞きたいことあるんだけど良い?」
「俺でわかる範囲でなら」
一毅が腕を組んで聞きの体制に入るとアリアも一毅を見る。
「キンジについて何だけど…」
「元
「それは知ってる。あいつは昔は凄い
「さぁね…」
一毅は肩をすくめる。理由は知ってはいる…だがこの事は自分が言うことじゃないし言って良いことじゃない。親友として…そして何よりも人としてもだ…
「知ってるけど…言っちゃダメなことってとこね…聞くなら本人に聞けってことかしら?」
「?」
一毅は眉を寄せる。何でこいつは今自分の思ったことが分かったんだ?
「勘よ…最も推理の方は遺伝しなかったんだけどね」
「はぁ?」
益々意味が分からなかった。
「そういえばあんたも武偵寮の第三寮だったわよね?」
「まぁな」
「んで、何では分からないけどレキと付き合ってる」
「まぁな」
「謎だわ…何だってあんたみたいなヤクザみたいな顔の男とレキみたいな美少女が付き合ってるのか…」
余計なお世話である。確かに余り釣り合ってないのは自分でもわかっているが…
「まあ良いわ。放課後の六時にキンジの部屋に来なさい。話があるわ」
恐らく…今朝の事か…
本音としては聞くならキンジに全部任せたいがもし今朝のように銃を発砲されてはキンジの命に関わる。
「了解…」
「レキも連れてくるのよ」
そう言うとアリアは出ていった。
「先輩ってアリア先輩とも知り合いなんですね」
「ん?ライカ知ってるのか?」
「え、ええまあ…友達があの人の
「そうなのか?」
「はい、先輩他の人間に興味無さすぎです」
「あ…あはは…」
一毅は視線を横にそらした…
その後ライカと別れ一毅はレキを拾いに行く…
直ぐに見つかりはしたが…機嫌が悪い。無表情だが一毅にはわかる…後ろに閻魔大王が口から煙を吐き、手に木槌を弄ばせながら鎮座している…一毅はそのまま回れ右をしたくなったがレキは無表情な瞳で既にロックオンしている。逃げても撃ち抜かれるだろう。逃げるには二キロ以上先までテレポートしないといけない。まあそれでも捕まる気がするが…
「よ、ようレキ…」
「………はい」
「か、帰ろうか?」
「はい、六時にキンジさんの部屋でしたね」
レキが歩き出しながら言ってくる。
「見てたのか…」
「おはようからお休みまで見てます」
「こえぇよ!しかもプライバシーは!?」
「一緒に住んでいますし学校も一緒です。確かにお休みまでの辺りは冗談ですがそれに近い状態ではありますよ?」
確かにその通りではあった…かなり互いのプライバシーは無いと言っても過言じゃない。お陰でエロ本も買えない…買うと撃たれるし…本と一緒に…
いや、自分から買うことはないが
その姿はまさに般若…無駄に高い狙撃スキルと
「それにしても相変わらずライカさんと仲が良いですね」
「ん?まあ、な…」
更にレキとライカは凄まじく仲が悪い。犬猿の仲何てもんじゃなく仲が悪く会うたびに二人の間には雷がバチバチと走る。
その仲の悪さは学校でも有名で俺の知らないところで決闘が行われそうになったとかの噂もちらほらと入って来るほどのまさに筋金入りだ。
しかもライカが何度か一毅と
その後ライカは一毅には組手の相手をして欲しいと来るようになった。
レキはそれも気に入らないらしいがそれまで邪魔に入ったら一毅が怒ることは目に見えてるため我慢している。
とは言え一毅には何故二人の仲が悪いのか全く分かっていない。
まあ読者諸君には丸分かりだと思われるが…
「それにしてもだけどさ」
「何ですか?ライカさんが大人っぽい下着だった件についてですか?確かに水色レースでしたけど」
「え?黒のレースじゃ…あ…」
ジャキン!とドラグノフ狙撃銃が一毅に向けられる。
武偵高校の制服はスカートが異常に短いため結構見える…しかもライカは結構その辺に頓着無く派手に動くためさっきの組手でも見えていたりする。以外とライカってお洒落だし…ってそういってる場合じゃない。
「ま、待てレキ…見ようと思って見た訳じゃなくて…」
「ふふ…まあ一毅さんと組手する日だけ無駄にエロい下着を着けてくるあの
レキはぶつぶつ言っていて何を言っているか聞こえないが…とにかくここは…
「孫子曰く逃げるしか無し!」
一毅は全速力で走り出す。
「それを言うなら、孫子百計逃げるに如かずですし本来の正しい使い方とは違います」
次の瞬間銃声と共に一毅の絶叫が響いた…
「何であんたそんなにボロボロなのよ」
「何でお前は我が物顔でキンジの部屋にいるんだよ」
一毅はレキにボコボコにされたあとキンジの部屋に来た。
するとそこには何故か我が物顔でキンジの部屋で足を組んでインスタントコーヒーを飲むアリアとアリアにさっさと帰れと全身で訴えているキンジの二人がいた。
「んで?一毅も来たぞ、さっさと目的話せよ」
「そうね」
どうもアリアは一毅とレキが来るまで来た理由を言わなかったみたいだ。
キンジの言葉に頷くとアリアは窓際まで歩くと夕日を背に立つ。そんなのを見ながら一毅は自分でもインスタントコーヒーを淹れてレキにも渡しつつ席に座りながら飲む。
「キンジ、一毅、レキ…」
アリアは三人を見ると…
「あんたたち…私の奴隷になりなさい!」
『ぶー!』
アリアの言葉を聞いた瞬間一毅とキンジはコーヒーを吹いた…
多分今回過去最長です…初の5000字越え…うん、ビックリした。と言うかアリア転入して奴隷になれ宣言までの下りでここまで長くなるとは…