IS〜異端の者〜   作:剣舞士

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長々と書いていて、これ進んだのかな? って思うんですが……

まぁ、とりあえず更新しました!


第24話 帰還

先の任務を終え、日本に帰国すべく、再び飛行機に乗って空を飛んでいる一夏と刀奈。

だが、その表情は来た時とは違い、互いに暗く、今まで一言も喋っていない。

それもこれも、あの魔法使いたちの所為だった。

 

 

 

(亡国機業……もしかしたらと思ったけど、あのレベルの魔法を使うとなると……)

 

(少なくとも、俺たちと同じ期間は魔法を使いこなす為に鍛練してやがるな……それに、最後のーー)

 

 

 

 

 

バイバイ、またね……兄さんーーーー

 

 

 

 

(千秋に似たあの魔法使い……一体、あいつは誰だ……?)

 

 

 

一夏の弟である千秋と似た少年を思い浮かべる。

彼の使った魔法は闇黒魔法。巨大すぎるほどの黒い柩の様なものによって、研究所諸共更地になってしまった大地。

研究所を丸呑みにするレベルの魔法を扱うからには、それ相応の魔力量が必要となってくる。

一夏自身も所有する魔力量は多いほうだが、あれほどの魔法を発動させたことがない。

新たなる魔法使いの登場は、一夏たちにとってどれだけの衝撃を与えたのか……。

 

 

 

 

 

 

一方で、一夏達が飛行機で飛び立った後、別の場所では亡国機業側の飛行機が、アジトのある地点まで一直線に飛んでいた。

亡国機業側としても、初めてとなる魔法使い同士の戦闘に、疲れの色が入れているようだった。

 

 

「ふぅいー……終わった終わったぁ〜。でもよぉ〜良かったのか、スコール? 結局データは取れねぇ戦果も最終的にはウチらの負けだろ? 上はお怒りなんじゃないのか?」

 

「そうでもないわよ? 今日起きた出来事を事細かに話したら、怒られるどころかむしろ喜ばれたし……」

 

「はぁ? なんだそりゃ……もしか、あいつマゾなの?」

 

「違うわよ。今日出会ったあの二人の事、覚えてる?」

 

 

飛行機内にいるスコールとオータムの二人。先ほどスコールは今日あった出来事の状況を上層部に報告して来たところだった。

部隊との協力してのデータの奪取、および、可能であれば機体の奪取も兼ねての任務だったが、結果は失敗。

その責任を負われるかと思いきや、思いがけない反応を上層部は見せたのだった。

特に、今回の任務を発案し、命令した人物は残念そうに思うことなく、むしろ喜んだという。

 

 

 

「そりゃなあ……クソすばしっこい女と、あの女男だろ?」

 

「そう、その女男の方……。更識 一夏の事を話したら、随分と喜んでいたわ」

 

「ヘェ〜……」

 

 

さも興味はなし……。といった感じで生返事をするオータム。

だが、スコールは先ほどの戦いを思い出すたびに、自分の気持ちが高ぶっているのを自覚する。

 

 

「あの人が言ってた通りね……とんでもない化け物だったわ……彼」

 

「はぁ? スコール全然負けてなかっただろ?」

 

「気づいてなかったの? 彼ったら、全然全力で戦っていなかったわよ?」

 

「えっ? マジで?」

 

「ええ……。もし全力だったなら、私は今頃斬り刻まれいるかしらね……」

 

「スコールがそこまで言うとはな……」

 

「彼は特別だからね」

 

 

 

さも当然の様に話すスコールに、オータムは少しばかり苦笑いを浮かべる。

オータム自身はもちろん、スコールとて魔法に目覚めた時から、力を扱う為の修練に励んでいた。

比較する相手がいなかったとはいえ、自分たちもそこそこのレベルでは魔法を扱える様にはなっていただろうと思う。

 

 

「とんでもねぇガキだったんだな……あいつ……」

 

「それはそうよ。あの人が一から育てた “最狂の戦士” だからね……。

殺人術、剣術、徒手空拳、破壊工作……ありとあらゆる手段で相手を殺せる唯一の存在にして、あの人が理想として作り上げたもっと成功例に近いのが、彼……。

そんな相手に対抗するには、ISで組んだ一個中隊が必要ね」

 

 

 

スコールの言葉に一切の余裕がない。

いつもは冗談交じりの会話をしているスコールなのだが、流石にこれに関しては無理の様だった。

スコールとオータムが話し込んでいる少し離れたところで、先ほどの黒いローブに身を包んだ少年が笑っていた。

 

 

 

「ふふっ……兄さん、僕の魔法……見てどう思ったかな? ちょっと挨拶にしては激しかったかな? ふふふっ……!」

 

 

 

スコールとオータムが話している側で、その話に耳を傾けず、ずっと一人でつぶやいている。

嘲笑の笑みが止まらない。

やっと会えたのだ。待ち望んでいた存在に会うのを……。ずっと追いかけ、ずっと想っていた事がある……。

 

 

 

「やっと、兄さんを殺せるんだね……!!!」

 

 

 

その嘲笑は、自分たちを乗せた飛行機とともに、彼方へと消え去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、時は過ぎて日本は首都東京のど真ん中。

海外任務を終え、ようやく日本の地に足を踏み入れた一夏と刀奈。

二人とも長い旅路に疲労の色が見え隠れしている様であった。

 

 

 

「あぁ〜〜……やっと帰ってこれたぜ……疲れた……」

 

「そうねぇ〜……もうほんと、最後のが一番堪えたわよ」

 

 

 

最後の……研究所爆破と、それを飲み込んだ黒い空間。あの衝撃と緊張感が一番の疲労の原因だ。

こうして生きて日本の地を踏めていることが、奇跡に思えるくらいに……。

だが、無事日本に帰還したわけだが、時刻は午後13時を回ったくらいか……。

 

 

 

「とりあえずどうする? ちょうど昼だし……なんか食ってから帰るか?」

 

「そうね……朝も結局軽食で済ませちゃったし……お腹空いた……」

 

「じゃあ、近くのカフェとかにでも行って、なんか食べようぜ? 少しはゆっくりしてから学園に帰っても、文句は言われないだろう……」

 

「そうね……。そうしましょうか」

 

 

 

荷物を持ち、タクシーを拾っては、都心から少し離れる。

IS学園は、湾岸に近い位置にある。そこから遠からずも近からずの場所まで送ってもらい、下車する。

目の前には、レゾナンスと呼ばれる大型のショッピングモールがあり、この地域の人達の生活を満たしている。また、IS学園からも近いため、学園の生徒達も度々利用するが、今はまだお昼。学園でも、授業が終わって昼休みにでもなっている頃合いだろう……なので、まず学園生に見つかる心配はない。

モールに入り、一番近くにあったカフェへと入る。二人してコーヒーを頼み、一口啜る。

コーヒー独特の優雅な香りと、深い味わいが、なんとも安らぎを与えてくれる。

 

 

 

「ふぅー……とりあえず、お疲れ様だな」

 

「ええ、一時はどうなるかと思ったけど、まぁ、任務は成功ってことで……!」

 

 

 

二人はランチセットを頼み、それぞれつまんで行く。

 

 

 

「それにしても、これからどうしたらいいのかしらね……?」

 

「そうだな……。とりあえず、マドカと簪には話しておく必要があるだろう……俺たち以外にも “能力” を持った人間がいたわけだし……」

 

「そうよね……最悪の場合、あの二人にも先陣を切って戦ってもらう必要があるし……」

 

「それと、“あいつ” のことだ……」

 

「……白髪の千秋くんね」

 

「あぁ……。少なくとも、俺が囚われた研究施設では見たことがない……。でも、それを考えると、マドカだってその場にはいなかった……マドカは俺たちが日本の長野辺りで任務をしてる時に出会ったよな……なら、トレイラーのアジト、もしくは、その研究施設が日本にもあったとは考えられないか?」

 

「そうね……そう考えるのが妥当な線ね。一度、マドカちゃんのことを聞く必要があるわね……本当は、あまり根掘り葉掘り聞いて、本人のことを蒸し返すようなことしたくないんだけど……」

 

 

 

それは姉として、家族としての意見だった。

地のつながりがなかったとしても、一夏と刀奈、そして、簪もマドカも、更識という家の家族なのだと、改めて認識できた。

 

 

 

「刀奈姉は優しいね」

 

「へっ?! な、何、いきなり……」

 

「いや、本当にそう思っただけだよ」

 

「そ、それほどでもないけど……♪」

 

 

 

本人は否定しているが、その緩みきった顔と、くねくねととした動きから、嬉しさがこみ上げ、まんざらでもなさそうな感じだった。

 

 

 

「まぁ、それはそれとして……今度一夏達のクラスに転校生が来るらしいわよ?」

 

「は? 転校生?」

 

「うん。それも二人だって……」

 

「おいおい……この間鈴が転校してきたばっかだろ……」

 

「うーん……そうなんだけどねぇ〜……学園側はもう決定しちゃってるみたいだし……」

 

「にしても、なんでまた一組なんだ? 一組だけでももう大所帯だろ?」

 

 

 

一夏の指摘の通り、一組には、すでに専用機持ちが三人はいる。

そして、それぞれがイギリス代表候補生、更識家と倉持のテストパイロット兼任の男の娘操縦者、織斑家の才児と言われている世界最強ブリュンヒルデの弟。

そのほかにも、ISの生みの親であり、世界を一瞬にして変えてみせた天災 篠ノ之 束の妹も在籍しているクラスに、また転校生……。

しかもこの時期にだ。ならば、それは鈴と同等かそれ以上の存在。つまりは、代表候補生、現役の国家代表生である可能性が充分にあり得る。

 

 

「一組に三人、二組に一人、四組に二人……すでに専用機持ちはこれだけいるんだぜ? 大丈夫なのか、IS学園側?」

 

「そうねぇ……一年だけで専用機が六機。もう、一国家の全戦力を上回るレベルの戦力があるもんねぇ……」

 

「二年は刀奈姉と、もう一人……ええっと、フォルテ先輩だったけ?」

 

「うん、そうよ。三年には一人……ダリル先輩がいる……まぁ、二年生からは整備科の選択ができるからね。

ISを操縦するだけじゃなくて、ISを見る事も視野に入れてるし……」

 

「まぁ、そうだよな……」

 

「話を戻すけど、その転校生二人がね、これまた厄介な子達なのよね……」

 

「厄介?」

 

 

 

首を捻る一夏に、刀奈は荷物の中から出したタブレット端末を操作し、一夏に画面を見せる。

そこに写っているのは、その話題の転校生二人の写真だった。

最初の一人の画面にタップすると、その顔写真がアップで表示される。

見た瞬間に少し驚かされる。綺麗に整えられた銀髪のストレートの髪。鋭い眼差しを放つ赤い瞳。

そして目を引く左眼についた眼帯。

 

 

「えーと、なになに……ドイツ軍所属のIS部隊『シュバルツェ・ハーゼ』の隊長にして、国家代表候補生。名前は……ラウラ・ボーデヴィッヒ……か。

ん? ドイツって言えば……」

 

「そう、織斑先生は一時期ドイツ軍のIS部隊の教官をやってたらしいんだけど、その子はおそらく織斑先生の教え子でしょうね……」

 

「ふーん……その教官に会いに来たのかな?」

 

「まぁ、それは本人じゃないとわからないわね。だけど問題は、もう一人の方よ」

 

「もう一人……もう一人……っと」

 

 

 

画面を上にスクロールさせ、続いて現れた転校生。

こちらもまた綺麗なブロンドの髪で、それを後ろで一本に結っている。

どこか中性的な顔立ちで、どこぞの貴族の出身なのでは? と言う印象がある。

 

 

 

「えっと、名前はシャルル・デュノア。デュノア社のテストパイロットに着任し、データの収集を行っていて、後にフランスの代表候補生に…………デュノア社って、あのデュノア社か?」

 

「うん、そうよ。世界での量産型ISのシェア第三位の超大手企業。実力も折り紙付きらしいし、自社の製品である『ラファール・リヴァイブ』をうまく使いこなしているわ……」

 

「ほう、それはまた凄いのがくるな……ん?」

 

 

 

一夏が何か発見し、再び上にスクロールする。

そして、見つけてしまった。

 

 

 

「世界で、三人目の “男性IS操縦者” って……‼︎ 冗談だろ?」

 

「それが冗談じゃないらしいわ……。にしても、なんか臭うのようねぇ……」

 

「だよな……。俺と千秋の出現以来、世界のあちこちで男性限定のISの適正試験が行われただろ? でも、結果的に誰一人適合した人はいない……なのに」

 

「今になって、現れた。しかも、あのデュノア社なのよ」

 

「ん? デュノア社がどうしたんだ?」

 

「あれ? 聞いてない?」

 

「ん?」

 

「デュノア社って、いま倒産の危機なのよ」

 

「マジで!?」

 

 

 

一夏の言葉を肯定するように刀奈は首を縦に振る。

だが信じられなかった。量産型ISのシェアで第三位であるフランスのデュノア社。その機体、ラファール・リヴァイブの特徴は何と言っても汎用性に優れていること。

どんな戦闘にも対応できるよう、それぞれの戦闘用パッケージをインストールすることで、操縦者本来の戦い方を展開できるのだ。

故に、操縦者を選ぶと言う限定的なものがない故に、各国に実戦配備されている。

だが、その機体を開発したデュノア社が倒産の危機というのは、信じがたい事実だ。

 

 

「一夏、時代は今、第三世代型の開発を始めているのよ……第三世代の大きな特徴としては、イメージインターフェーズ……操縦者のイメージで、機体をうまく使いこなせるかが主流になりつつある」

 

「イメージ?」

 

「一番わかりやすいのが、セシリアちゃんの機体『ブルー・ティアーズ』。その主な装備は?」

 

「大型のBT兵器狙撃銃と……BT兵器のビット……っ! なるほど、そういうことか!」

 

「そう、ビットはセシリアちゃんのイメージで操作しているの。

今までは、機体の性能と操縦者本人の熟練した操縦技術がものを言ってたけど、イメージインターフェーズの操作によっては、今までの戦闘の形式が変わる可能性がある……。

セシリアちゃんの機体だって、うまく扱えば、射撃型の機体であっても、オールレンジ……全てに対応できる様にはなると思うわよ?」

 

「へぇ〜……凄いんだなぁ……」

 

「言っとくけど、一夏の桜舞だって第三世代型なんだから、イメージインターフェーズが使えると思うのよね……でも、まだ一夏の場合はファースト・シフトしただけだしね……」

 

「そっか……俺のイメージってどうすればいいのかな?」

 

「うーん……というか、一夏の場合は剣の構造が変わったり、未来を見たりできることしかないのよねぇ……」

 

「ぐっ……なんか、言い方に棘があるな……。まぁ、それはまたその状況になってから考えればいいだろ。

そろそろ、戻ろうぜ。さすがにこれ以上は怒られるだろう」

 

「そうね、ごちそうさまでした」

 

「ごちそうさまぁ〜」

 

 

 

二人はランチを堪能し、揃ってIS学園に戻る。

まずは学園側に任務による公欠の終了を報告し、続いて、それぞれの担任の教師に公欠の事情を説明。一応、重要文献の為、家庭の事情と専用機の調整……とだけ説明しておいた。

千冬は少し不審に思っていた節があったものの、その説明で納得していた。

そして、ようやく解放された二人は、学生寮に戻り、荷物を置いて、ようやく学校へと登校。

たった数日離れていただけなのに、ひどく懐かしいように思う。

 

 

 

「それじゃあ、私はこっちだから。また何かあったら連絡して……」

「あぁ、わかった。刀奈姉こそ、なんかあったら言ってくれよ?」

 

 

二人は別々の校舎へと別れて、自分たちの教室へと向かう。

午後の授業には出る様にする為、教科書等の教材を机に入れておく為だ。

周りは、目論んだ通りに個々人が思い思いに昼休みを過ごしている。

廊下で女子生徒にすれ違うたびに、手を振ったり、挨拶したり、男であり、男の娘というステータスが学園中に広まっている一夏は、一目見ただけで騒がれる。

男にしては華奢な身体つきであり、見るものを魅了する薄桜色の長髪がそうさせるのだ。

なんとか自身のクラスである一組に到着。

だがすぐに女子生徒たちに囲まれる。

どこで何をしていたのかと聞かれ、嘘の証言をし、納得させる。流石に外国で剣片手に斬り合いをしていたなんて、いくらIS学園でも言えるはずはない。

 

 

 

「いっちぃ〜! お土産はぁ〜?」

 

「うお…! なんだ、本音か……。ほい、お土産。ちなみにお菓子な」

 

「いっえぇ〜いっ!」

 

「外国土産じゃなくて悪いな……日本に帰っていてから思い出してさ」

 

「いいよ〜いいよ〜♪ お菓子ならば、それでよし♪」

 

「そうか」

 

 

 

普段からのほほんとし、だぼだぼの制服を着ている少女。名前は布仏 本音という。苗字から察するに、IS学園三年に在籍している布仏 虚の妹であり、簪専属のメイドさんなのだ。

だが、こののほほんさんが働いているところを、一夏はほとんど見たことがない。

そんな本音の頭を撫でる。何気に小動物の様な本音を可愛く思ってしまう。今も撫でられているとぽわ〜と口を開けながら、目を細めている。

 

 

 

「うへぇ〜〜♪ いっちぃ〜の撫で撫で、極上だよねぇ〜♪」

 

「そうなのか? 自分じゃわからないからな……」

 

「そっかぁ〜。じゃあ、お菓子頂くねぇ〜♪」

 

「学校終わってから食べろよ?」

 

「うい〜♪」

 

 

 

別に今でもいいのだが、昼ご飯も食べるのにお菓子まで食べると、流石に甘やかしすぎだと虚さんに怒られてしまうので、一応釘を刺しておく。

 

 

 

「さてと、マドカたちは……この時間は食堂かな?」

 

 

 

一組でやる事を終え、次はマドカと簪を探しに食堂へ。

今回の任務で得た情報とマドカに聞きたい事があったからだ。

一応四組のクラスにも顔を出して確認してみたが、二人の姿はなく、クラスの子に聞いてみると、やはり食堂に向かったとの事だったので、急いで向かった。

 

 

 

「ええっと、あっ、いたいた」

 

「ん? あっ、おかえり一夏!」

 

「む? おお、なんだ帰ってたのか」

 

 

一夏の姿を見るなり、パァっと明るい笑顔で迎え入れる簪と、それと対照的に素っ気ない顔で迎え入れるマドカ。

 

 

「ああ、ただいま。つーかマドカ、なんでそんなリアクション薄いんだよ……。

俺一応、危険な任務に行ってきたんだけど?」

 

「別に? お前と姉さんなら、帰ってくると思ってたしな」

 

「お、おう……」

 

 

 

どことなく自信満々の瞳で一夏を見るマドカ。

 

 

 

「それで? 今回の任務はどうだったんだ?」

 

「危険な任務って言ってたけど……何かあったの?」

 

「あぁ、二人にもちゃんと話しておきたいからな……放課後、刀奈姉のところに来てくれないか?

ちょっと、ここじゃあ話しづらいからさ」

 

「……わかった。姉さんのところだな」

 

「うん、私もいいよ。今日は特に予定無かったし」

 

「ありがとう。さてと、どうしようかな……昼は外で食ってきたし……」

 

 

 

一夏と刀奈は外でランチを堪能してきたので、流石にお腹いっぱいだ。

しかしまだまだ昼休みの時間は長い。何をして時間を過ごすか……。

 

 

 

「あぁ、それならアリーナに行ってきたらどうだ? ちょっと相手してやれよ」

 

「は? 相手って……誰の?」

 

「…………お前の弟の」

 

「千秋? って言うか、ここでそれを言うなよ……! 誰かに聞かれたらどうするんだ」

 

「大丈夫だよ。こういう話をするときだけ、簪の魔法を使ってるから」

 

「え?」

 

 

 

視線を簪に向ける。すると、簪は「ごめんね」っという様な顔で一夏に苦笑を向ける。

その手を見ると、はめられた指輪……専用機の待機状態とアスペクト用の指輪。

その内の片方の指輪が水色に光っていた。

 

 

 

「おいおい、こんなとこで魔法使うなよ……!見られたらどうするんだよ……!」

 

「大丈夫だよ。空間に干渉する闇黒魔法を有する簪が音を遮断して、私が幻術で周りの人間の視線を逸らしてるんだ……だから、周りの人間には私たちの会話は聞こえてない」

 

 

 

そう言うマドカは制服の懐に手を入れて、チラッとその手のしているものを見せる。

マドカのアスペクトである小太刀《幻舞》の柄を……。

 

 

 

「なるほどな……。っ? そう言えば、お前って千冬姉に顔立ちが似てるのに騒がれないよな? それももしかして幻術を使ってるのか?」

 

 

 

そう、マドカが入学してから、そのような噂や話題が上がった事がないのだ。

一夏ですらその容姿で学園中の話題になっているにも関わらず、マドカは何と言っても、世界中の人間が知っている有名人である織斑 千冬とほぼ瓜二つの顔立ちなのだが、今まで千冬に酷似しているなどの話題が上がった事がない。それてそれを聞きに一夏や簪のところに女生徒たちが集まってきたことすらない。

そんな一夏の疑問に応えるように、マドカが肯定する。

 

 

 

「あぁ、そうだ。起きているときは常にな……。まぁ、流石に簪と部屋で二人っきりのときは、解いているけどな……。

リベレイトしていても、ずっと魔法を発動するのはきついんだ」

 

「だろうな……まぁ、無茶だけはするなよ?」

 

「わかってるよ……。ほら、さっさとアリーナ行ってこい。千秋のやつは最近、昼も夕方も特訓に明け暮れてるよ

。ISに然り、生身に然りだ」

 

「そうなのか……わかった。顔だけでも出しに行ってくるよ」

 

 

 

 

とりあえず、伝えるべきことは伝えたので、食堂を後にする。

現在使われているアリーナは、第一と第二の二つだけのようで、どうやら千秋たちは第二の方にいるようだ。

アリーナの観客席から中を覗いていると、ちょうど千秋と鈴が模擬戦をしているところだった。

 

 

 

 

「ほら! そこで止まるな! あんたは接近戦しかできないんだから、止まった瞬間、銃で蜂の巣よ!」

 

「わかってるよ! って言うか、鈴のは銃じゃないじゃん! 衝撃砲だろ!?」

 

「似たようなもんでしょうが!」

 

「似てないよ! っと、うわぁ!?」

 

「ほらじゃんじゃん行くわよ!」

 

「こんのぉぉっ‼︎」

 

 

 

 

上空では意外と派手に空中バトルが繰り広げられていた。

やはりというか鈴はうまく専用機を使いこなしているように見える。慢心せず、コツコツ努力してきていたのだろう。

それに食らいつくように雪片を振るう千秋。

鈴との初戦に比べると、動きが少しばかりか良くなっている印象を受ける。

剣技も剣道譲りのものが入っていたが、今はなんというか……少し剣道のものとは違うように見えた。

 

 

 

「ん? 一夏?!」

 

「ん? あぁ、箒か。ただいま」

 

 

 

二人の模擬戦を見ていると、声をかけられた。

視線を右に向けると、ISスーツに身を包んだ箒がこちらに向かって歩み寄っているのが見えた。

 

 

「帰っていたのか……!」

 

「うん、二、三日離れてただけだったけど……なんか疲れたよ」

 

「そうか……。家の事情だったのだろう? 仕方ないさ」

 

「まぁ、それも無事に終わったけどな。にしても、千秋はどうしたんだ? あんなに張り切って……」

 

「あぁ、お前が優勝した鈴を倒しただろ? それから、なんだか燃えるように訓練をし始めてな……。

私にも剣道の稽古をしようと言ってくるようになったんだ」

 

「へぇー……」

 

 

 

千秋は昔から負けず嫌いな性格をしていたのを思い出した。

未だに一夏の正体を知らないとはいえ、同じ男子で無敗を誇る一夏に対しての対抗心なのだろう。

 

 

 

 

「あっ! 一夏! 帰ってたの!?」

 

「えっ? 一夏?」

 

 

 

と、箒と話していたところで、鈴が一夏の姿を見つけたのか、少し興奮した口調で一夏を呼ぶ。

それにつられて、千秋も一夏に視線を送り、二人は一旦模擬戦を止め、一夏のところへと降下してきた。

 

 

 

「あんたいつ帰ってきたのよ……」

 

「たった今だよ。それにしても結構白熱してたな」

 

「当然だよ。僕も鈴や一夏には負けられないからね! ねえ一夏、今から僕とやらない?」

 

「え? 模擬戦をか?」

 

「うん! ダメかな?」

 

「うーん……まぁいいぜ。俺も、少し試したいものがあるし」

 

「ほんと?! よし、じゃあ今すぐやろう!」

 

 

 

 

少し強引な感じもしたが、それでこそ千秋らしいなと感じる。

一夏はカタパルトデッキに赴き、桜舞を展開する。

 

 

 

「更識 一夏、桜舞、出るぜ!」

 

 

 

射出される一夏を迎える千秋。互いに雪片とトワイライト 《verイリュージョン・ブレード》バージョンである幻舞を展開し、構えを取る。

 

 

 

「いくよ一夏! 僕だって、一夏がいない間に特訓したんだ……負けないよ!」

 

「っ……! オッケー。なら、俺もなおさら負けるわけにはいかないな……!」

 

「そんじゃ、私が審判するからね。では、いざ尋常に……始め‼︎」

 

 

 

 

鈴の号令とともに動き出す二人。

鋼とレーザーの刃がぶつかり、その衝撃が波紋のように広がる。

大きな音と火花を散らしながら、大空を舞う天使と騎士の一戦は、昼休みのギリギリまで行われるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー……今日も一日終わったなぁ〜〜」

 

「うん、そうだね。」

 

 

 

放課後。一夏に言われた通りに、マドカと簪の二人は、刀奈のいる生徒会室へと向かっていた。

ようやく終わった学園での一日に体を伸ばしてあくびをするマドカと、それを笑顔で見ている簪。

一応、家族間では簪がマドカの姉に当たるようになっている。

故に、今の光景は妹を優しく見守っている姉の絵面だ。

 

 

 

「にしても、私だけじゃなくて簪まで呼ばれるとは……あまり、いい話ではなさそうだな」

 

「そうだね……。一夏の表情もあまりいいものじゃなかったし……」

 

「まぁ、それは行ってから分かるだろう。とりあえず行くしかない」

 

「そうだね」

 

 

 

覚悟を決め、生徒会室の扉をノックする。

中から刀奈の声が響き、自動ドアが開く。

中には既に生徒会役員の面々が揃っている。

生徒会長の刀奈と副会長の一夏、会計の虚に書記の本音。本音は相変わらず仕事しておらず、一夏の買ってきたお菓子をばくばく食べている。

 

 

 

「お、二人ともきたわね。それじゃあ、今回の任務で得た情報と敵戦力について、みんなに伝えるわ。

それと、マドカちゃんに聞きたいことがあるの」

 

「ん? なんだ?」

 

「あなたの出生について……」

 

「…………なるほど。わかった、私の知りうることなら話す」

 

「うん。それでいいわ……それじゃあ、始めましょうか。虚ちゃん、お願い」

 

「かしこまりました」

 

 

 

虚が生徒会室の扉をロックし、カーテンを閉め切った。

 

 

 

「さて、今回一夏と二人でイスラエルまで行って、護衛任務に加わったんだけど……。

そこで思いがけない事態を出くわしたのと、敵の正体をつかんだわ……!」

 

 

刀奈の言葉に生徒会室全体が緊張感に包まれる。

お菓子を食べていた本音でさえ、その手を止めて、刀奈の言葉に耳をしっかり傾けていた。

 

 

「まず最初に、私たちが護衛任務で護衛してた研究所内では、ISの開発の他に、魔法による研究がなされていたわ……」

 

「えっ!? 魔法の?」

 

「確かなのか?」

 

「あぁ、間違いなさそうだ。全てのデータを見たわけじゃないけど、魔法に関する考察や論文があってな……その昔、俺がトレイラーに囚われて、最初の魔法使いにさせられる実験で見た内容と、どことなく似ていたからな」

 

「一夏さんがそういうのであれば、間違いないとは思いますが……」

 

「今の時代にぃ〜、なんとも不思議なことしてるんだねぇ〜」

 

「まぁ、そのデータは俺がトワイライトでぶった斬ってやったけどな」

 

「ふむ……まぁ、それが最善だろうな」

 

「問題はここからよ。そのデータを、私たちは知らなかった……でも、それを知っていて、狙っていた連中がいた……」

 

「亡国機業だね」

 

 

 

簪の言葉に肯定するように頷く刀奈。

 

 

 

「そして、その亡国機業のメンバー二人と、私と一夏は交戦したんだけど、その二人も、私たちと同じ力を宿していたわ」

 

「「「っ!!!?」」」

 

「お〜〜! 新たな魔法使いの出現〜〜!」

 

 

 

 

各々が驚き、事態を把握したところで、話を進める。

問題は、亡国機業がどこで魔法の情報を仕入れ、魔法の力を手にしたのか。

そして、もしも先の任務で出会った三人の使い手以外に能力者がいたとして、あと何人いるのか……。

 

 

 

「考えられるのは、亡国機業がゴーストトレイラーを吸収したって事か……?」

 

「そうですね……それが一番考えられることでしょう……。しかし、どうやってそれを成したか、ですね。亡国機業同様に、トレイラーのアジトも機密になっていたはずですが……」

 

「……一夏、あなたはトレイラーのアジトをどうやって抜け出したの?」

 

 

 

刀奈の問いに、一夏は一度上を向き、あの日の事を思い出す。

 

 

 

「確か、俺が魔法使いとして覚醒させられたあと、アジトが何者かに襲撃させたんだよ。

その混乱に乗じて、俺もそこの研究員達を始末して、脱出した……。悪いが、襲撃してきた連中の顔は見てないし、検討もつかない」

 

「そう……。でも、襲撃した部隊なら、分かるわよ」

 

「え? どこなの?」

 

 

簪の問いに刀奈は答えた。

 

 

 

「匿名希望で情報を得た、ドイツの特殊部隊だったらしいわ……。お父さんが言ってたんだけど、ドイツ軍のセキュリティーにアクセスした痕跡があって、そこにメッセージとマップが転送されてたって言ってたわ」

 

「匿名希望で、軍のセキュリティーにアクセスできる人間……か……」

 

「とにかく、一夏はそれ以外に何か思い出した事はない?」

 

「……うーん、そうだな……特にこれと言って……」

「そう、ありがとう。次は、マドカちゃんなんだけど……」

 

「この流れだと、今度は私の出生に関するところか?」

 

「ええ、そうよ……。話して、もらえる?」

 

「あぁ、構わんぞ。いずれ話さなくてはならない事だしな。この際だ、話しておこう」

 

 

 

一呼吸置いて、マドカは口を開いた。

 

 

 

 

「私は自然に産まれた存在じゃないんだ……試験管ベイビー……まぁ、言うなら『遺伝子強化試験体』というところか」

 

 

 

おおよその予感のようなものは感じていたが、直に本人から言われると、どことなくその場の雰囲気が重くなってしまう。

 

 

 

「まぁ、要するにクローンみたいなものだ。この遺伝子は、誰のものなのがも分かるだろう?」

 

「千冬姉か……」

 

「あぁ、そうだ」

 

「でも、どこで織斑先生の遺伝子情報を手に入れたの? そうそう簡単に織斑先生が渡すとも思えないけど……」

 

 

 

簪の言い分はもっともだった。

そもそも人の遺伝子情報をどのようにして手に入れたのか……それからクローンを作ると言ってもかなりの時間を有するはず……そして、何より魔法を同じように移植したとした場合、最初は拒絶反応が出てもおかしくはないはずなのだ。

 

 

 

「あるだろ? いくら織斑 千冬でも、公式に遺伝子情報を提供しなきゃいけない事が……」

 

「「「「ん?」」」」

 

 

 

全員が首を捻る。そのような行動をとるような事があるのか、それは一体なんなのか……?

 

 

 

「織斑 千冬と言えば?」

 

「「「「ブリュンヒルデ?」」」」

 

「そのブリュンヒルデを決める大会は?」

 

「「「「モンド・グロッソ……」」」」

 

 

 

そこまで来て、一夏が閃いた。

 

 

 

「そうか! 試合前のバイタルチェック!」

 

「「「「っ!」」」」

 

「ご明察……! そのほかにも、大会前夜なんかにも血液検査をやって、違法薬物を投与してないかを調べたりしている……もしそれをかっぱらってたら?」

 

「とんだ盲点だったわ……!」

 

「そして、それ以外にももう一つ……」

 

「まだあるんですか?!」

 

 

 

虚が驚愕し、他の面々も息を飲んでいる。

 

 

 

「もう一つは……一夏、お前のだ」

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

 

視線が一気に一夏へと注がれる。

その言葉に一夏は沈黙し、再びマドカに向き直ると、ある可能性を口にした。

 

 

 

「もしかして、“俺の遺伝子情報” までも、お前の中には入っているのか?

 

「あぁ、織斑 千冬の遺伝子情報を会得できたといっても、それはごく僅かだっただろう……だが、お前は別だ。

お前の遺伝子は、常にトレイラーの連中が取ろうと思えば取れた……ゆえに、私の体を構成している遺伝子の大半は、お前の遺伝子で、その残り僅かを織斑 千冬の遺伝子で体が構成されているんだ……!」

 

 

 

衝撃的過ぎてしまい、最早言葉が出てこない。

 

 

 

「でも、それが本当なら、マドカちゃんはどうやってそこまで大きくなれるの?

時期的に見て、モンド・グロッソが行われたのは三年前、それから一夏が魔法使いになるまでは、少なく見積もっても一年……その間に、一からマドカちゃんの体を構成していくとしても、それから時間がかかるから……」

 

「あぁ、体の大きさのことか? それは簡単だ。私は急速成長させられたんだよ……それを使えば、一年あればここまでの体になるさ……。まぁ、もうこれ以上は、背は伸びないけどな」

 

「そんなことって……!?」

 

 

 

簪が絶句し、両手で口元を覆い隠す。

マドカはそれを見て、気にするなと諭すが、そうも言ってられない。

 

 

「そうか……それがお前の出生なんだな? マドカ」

 

「あぁ、そうだよ。私も一夏も、普通ではあり得ない存在だった……でも、今こうしてここで一緒に家族をやっていられるんだから、驚きだよ」

 

「あぁ、そうだな……」

 

 

 

それは一夏も思っていたこと。

血の繋がりがない自分と、クローンとして実験の道具に使われていたマドカを家族として受け入れてくれた更識家のみんなには、本当に頭が上がらない思いでいっぱいだ。

 

 

 

「それでマドカ、お前は俺たちと会う前は、どこにいたんだ?」

 

「どこ? 研究所の場所か?」

 

「まぁ、それもそうなんだが……。お前は、俺たちとあった時、日本にいたろ? 俺は海外の研究機関にいて、親父とあった……。

でも、お前は日本であった……つまり、その研究機関が日本にもあるんじゃないかというのが俺と刀奈姉の見解だ」

 

「なるほど……まぁ、そうだなぁ。私も、あの時はそこがどこなのか、分からなかったが、少なくとも知識の中で得た情報をもとにはっきりと見えたものがあったな……」

 

「それは……なんなんだ?」

 

 

 

一夏の質問にマドカは一旦間を置いて、口を開いた。

 

 

 

「そこは山間に囲まれた土地で、山の頂上で、そこがどの辺りにあるのかを確認していた……。

そこから見えたのは “碁盤のような並びで立っている街並み” だったんだ……」

 

「碁盤のような……街並み……って言ったら……!」

 

「京都……だな!」

 

 

京都にそのような研究機関があったとは思えない……が、すぐ近くにあってもおかしくはない。

 

 

 

「京都……か」

 

「昔から、国の都があるところっていうのは、どうして裏事情に精通するルートが確立されているものだものね……。

それなら、納得かも……。」

 

 

 

 

概ねの場所と情報は得た。あとは、どのように敵に対処するかだが……。

 

 

 

「最悪の場合、このIS学園が亡国機業に襲撃されることだってあるわ。

それに、魔法だって躊躇なく使ってくるかもしれない……そんな時は、迷わず使ってちょうだい。正直言って、魔法の存在が明るみになるのは、避けたい事実だけど、どうしようもない時は、自分の身を守ること……いいわね?」

 

 

 

刀奈の意図はわかっている。公になれば、世界はISの登場と同じように混沌としたものになるだろう。

だから、正直に言えば、あまり使いたくはない。だが、命あっての物種とも言う。

それを全員承知し、覚悟を決めた。

 

 

 

「さて、話し合いはこれにて終了! 解散していいわ……はぁ〜〜疲れたぁ〜」

 

「そうだな……一応授業には出たが、眠気の方が勝っててあまり聞いてなかったんだよな……」

 

「ダメだよ一夏。授業はちゃんと受けないと」

 

「今度中間試験あるからな……赤点取ったら、補習受けなきゃな……♪」

 

「俺が赤点取ることを前提にすんな……!」

 

「ふふふっ……」

「えへへっ……」

 

 

 

 

更識姉弟の仲睦まじさを見て微笑む布仏姉妹。

なんとなくだが、この瞬間が、一番平和で楽しいと思えてくる。

その日に解散となり、それぞれ思い思いに過ごす。

一夏と刀奈は食堂で軽いものを注文し、部屋で食した後、そのまま寝落ち。まだ早い時間であったが、疲れには勝てなかったようだ。

簪とマドカは部屋に戻って、お菓子をつまみながら、ゲーム。ISVSと言う、今主流のゲームで対戦中……成績としては、10試合やって、簪が9勝1敗だ。

虚と本音は、残って事務仕事。お菓子しか食べてない本音を怒鳴りつけては、書類を物凄いスピードで捌いていた。

こうして一日が終わる。

 

 

 

そして、翌日……。再び波乱が起こることになるのを、まだ誰も知らないでいた……。

 

 

 





ええっと、次回からはシャルとラウラの出番ですね!

お楽しみに!


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