IS〜異端の者〜   作:剣舞士

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やっとここまで書けたぁぁぁぁ!!!

疲れた……だけど魔法使い同士の戦いになって無いし……(ーー;)

次回は絶対になります。いや、します!



第22話 新たなる魔法使い

武装し、部屋を出た二人は、早速配置に付く……前に、この研究所で開発されている機体を見に行った。

 

 

 

「ここね」

 

「でも、入ってよかったのか?」

 

「大丈夫よ。保護するターゲットの顔と情報が欲しいって言ったら、直接会うことを許可してもらったから……」

 

「あの所長さんからか?」

 

「ううん。警備隊長さんから♪」

 

 

 

まぁ、あの所長に限ってそんな事を許すはずないだろうとは思っていたが、まさか警備隊長の方から許可が出たのが驚きだった。

 

 

 

「へぇー。あの警備隊長さんからねぇ……。あの人ってそこまでの権限があるのかな?」

 

「いや、どうやらパイロットの方と仲がいいみたいでね……パイロット自身に許可を取ったらしいわ」

 

「なるほど。それじゃあ、行こうか」

 

「ええ」

 

 

 

 

そう言って、機体が保管されている格納庫に入る。

そこには、たくさんの研究員と、先ほどの警備隊長と、グレーのスーツに身を包んだ女性が一人。

その女性は、自身の愛機を心配そうな表情で見上げていた。

 

 

 

「お、おい君達! ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ」

 

「いや、いいんだよ……。私が呼んだんだ」

 

「困りますよヴィレイ隊長。これからデータのバックアップと機体の輸送をしなければならないんですから」

 

 

どうやら警備隊長の名前はヴィレイと言うらしく、研究員の一人ともめ出した。

 

 

 

「大丈夫です。今回の任務で、重要事項を改めて認識しておこうと思ったもので、隊長さんには、無理を言ってもらったんです。

確認が取れましたら、すぐに退散しますので……」

 

「む……うむ……」

 

 

 

一夏が深々と頭を下げ、研究員を説得する。

それを見た研究員も、バツが悪そうにし、少しだけならと時間をくれた。

 

 

 

「流石ね一夏。交渉術を上手く出来るようになったじゃない」

 

「まぁ、『女の子のイメージで』っていうのが無ければ素直に受け入れられたんだがな……」

 

 

 

 

そんな話をしていると、グレーのスーツの女性がこちらに近づいて来て……。

 

 

 

「久しぶりですね、楯無ちゃん」

 

「そうですね。お久しぶりです、ナタルさん」

 

「えっ? 二人は知り合いだったのか?」

 

「ええ、そうよ。ナターシャ・ファイルスさん……アメリカの国家代表IS操縦者よ」

 

 

ロシアの国家代表である刀奈が、ナターシャと知り合いなのは、別におかしくはないだろう。

そう思っていると、今度はナターシャの方から挨拶された。

 

 

「初めまして、ナターシャ・ファイルスよ。それにしても、あなたに妹がもう一人いたなんて……驚いたわ」

 

「あ……」

 

「…………」

 

「あ、あれ? どうかしたの?」

 

 

いきなり一夏が落ち込んだ。

主に『妹』という単語でだ。

 

 

 

「えっとね……この子……男の子だから、妹じゃなくて弟なのよねぇ……」

 

「…………ええぇぇぇぇ!!!?? 男の子?! あ、ご、ごめんなさい! 私ったら、つい……」

 

「い、いえ、大丈夫です。こんなの日常茶飯事ですので……。改めまして、自分は更識 一夏、弟です。よろしくお願いします……ナターシャさん」

 

「こちらこそよろしく。私のことは気軽に『ナタル』でいいわよ?」

 

「そうですか? なら、俺も『一夏』で構いませんよ」

 

 

 

互いに自己紹介を終えたところで、早速話は今回の作戦の事についてだ。

 

 

「俺たちの任務は、ナタルさんとその機体……〈シルバリオ・ゴスペル(銀の福音)〉の保護と輸送を護衛することだな」

 

「ええ。まぁ、時間は表の部隊が稼いではくれると思うけど、敵も馬鹿じゃない……。何人かは手練れを呼んでるでしょうね」

 

「だろうな……」

 

「二人には危険な目にあわせることになるけど……どうか、この子だけでも……護ってくれないかしら……」

 

 

 

そう言って右手を福音に触れる。

それはまるで、我が子の事を思う母親のようだった。

 

 

 

「この子は、飛ぶことが大好きなの……。これからも一緒に、大空へと羽ばたかせてあげたい……だから……二人とも、どうか、私たちを護って下さい……! お願いします!」

 

 

 

深々と頭を下げるナターシャ。

ISと操縦者は、道具と使用者という概念では縛れない……。良き相棒、パートナーとして初めて成立するのだ。

それを踏まえてみると、ナターシャは良きISパイロットなのだと、改めて実感した。

 

 

 

「了解です……その依頼、受けさせていただきます」

 

「まぁ、問題ないわ、ナタルさん。こっちは『学園最強』と『蒼の天使』がついているんだから……!

大船に乗った気持ちでいるといいわ」

 

「あ、蒼の天使?」

 

「姉さん、もしかしなくてもそれは俺のあだ名なのか?」

 

「ええ、そうよ? 鈴ちゃんとやり合った後、学園中のみんなが一夏に命名した二つ名」

 

「なんなんだその厨二がかった二つ名……」

「そう? 私はいいと思うけど?」

 

「そうね。弟くん、可愛いからピッタリじゃない♪」

 

「ちょ! ナタルさんまで……男に可愛いは別に褒め言葉じゃないですよ」

 

「でも、本当にそこらの女の子よりも全然可愛いわよ? ねぇ、弟くん……今度アメリカに来た時は、一緒に雑誌出ない?」

 

「ざ、雑誌?!」

 

「あぁ〜そう言えばナタルさんって雑誌にも出てましたよね……? 私もこの間取材が来て、そこで撮ってもらいましたけど」

 

 

 

 

そう、刀奈も以前、国家代表生として日本のモデル雑誌の取材を受けた経験がある。

IS操縦者というのは、何も競技選手というだけでなく、モデルやアイドルとしての活動もしているのだ。

ファッション誌やモデル雑誌なんかの表紙や特集にも使われることが多く、その多くは代表候補生や国家代表の人が多い。

 

 

 

「いや、いいですよ! 雑誌なんて……。

それに俺はあんまりそう言うのは……苦手というか……」

 

「大丈夫よ! 可愛いお洋服着て、ポーズして写真撮るだけだから!」

 

「なんで俺が女物の服を着なきゃいけないんですか!?」

 

「いつも着てるじゃない」

 

「ちょ!?」

 

「えっ? そうなの? じゃあ大丈夫じゃない〜♪」

 

 

 

 

別に着たくて着ているわけでは無い……。着ないと刀奈が握っている一夏の秘蔵ファッションのプレミアコレクションが、指一つで世界中にばら撒かれるという弱みがあるからだ。

 

 

 

「もういっそのこと女の子として生きたら?」

 

「い、いいいやだ! そんなの絶対嫌だよ!」

 

「でも二年のクラスにも結構いるわよ? 一夏のファン」

 

「いや、まぁ、ファンになってくれるのは嬉しいけど……でも、俺は男だ。だから男として生きる!」

 

「はぁ〜……残念ね。あのファンの子たちには謝っとかないと……後はそうねぇ〜写真でもあげようかな?」

 

「ちょっと待て‼︎ 写真ってあれか?! あの写真か?!」

 

「うん。実はもう何人かのクラスメイトには売ったのよねぇ〜」

 

「はあぁぁぁ!!!?? い、幾らで売ったんだよ‼︎」

 

「ん? 一枚千円、五枚で三千、ミニアルバムで一万」

 

「ぎゃあぁぁぁぁーーーーッ!!!! 何してくれてんだよあんたはぁぁぁぁーーーー!!!」

 

 

 

 

衝撃の事実に悶え苦しむ一夏。

まさか既にあの写真が出回っているとは思わなかったからだ……。

確かに、これまで様々な格好で写真を撮らされた。アニメのコスプレやメイドや執事といった現実のコスプレ、そして、刀奈たちの私服まで持ち込んでの撮影会。

それだけでも死にたいくらいなのに、それを他の人に見られていると思うと急激に恥ずかしくなる。

 

 

 

 

「もう何してくれてんだよぉ……あぁ、もうダメだ……死のう……いや、死にてぇ……」

 

「ねぇ楯無ちゃん。その写真、今も持ってる?」

 

「ええ、持ってますよ。買います?」

 

「ええ、アルバムで♪」

 

 

 

そう言うと、刀奈はミニアルバムを、ナターシャは一万円札を取り出す。

そして、互いの物を交換すると、固い握手を交わし、互いにニッコリと笑う。

 

 

 

「一生の宝にするわ!」

 

「また新作が出来ましたら、メッセージいれますね!」

 

「俺の目の前で商売すんなぁぁぁぁーーーー!!!」

 

 

 

研究所内から響き渡る絶叫を、ほとんどの職員が耳にしたらしい。

そしてここに、新たな一夏のファンが増えたのだった。

 

 

 

 

「あらやだぁ〜!!! 似合ってるし、可愛いじゃなぁ〜い❤️」

 

「ですよねぇ〜♪ このニットのセーターも一夏の髪と相まって春らしくていいんですよ!」

 

「こっちなんてな〜にぃ〜♪ 『騎士王』って書いてあるぅ〜♪」

 

「これは簪ちゃんのコレクションを使ったんですけど、凄いでしょう‼︎」

 

「もうやめろぉぉぉ‼︎ お願いだからやめてくれぇぇ‼︎」

 

 

 

 

涙目で抗議する一夏。

だが、逆にその泣き顔が二人のハートを撃ち抜いたのか、より弄ぶ。

 

 

 

「いいなぁ〜楯無ちゃん……。ねぇ、一日だけ一夏くん貸してくれない?」

 

「ええ〜! どうしようかなぁ……結構高くつきますよ?」

 

「大丈夫よ! 私も国家代表! お金なら持ってるわ!」

 

「公衆の面前で人身売買すんなよッ!!!!」

 

 

 

っとまぁ、ちょっとした雑談を終え、そろそろ移動の準備が整ったとの報告が入り、一同は別れを告げる。

 

 

 

「さて、もう時間になっちゃったわ……。楯無ちゃん、一夏くん……どうか、ご武運を……!」

 

「大丈夫ですよ! 私たちも伊達に鍛えてないですから! ねぇ、一夏?」

 

「はい。俺たちなら心配は要らないですよ……。ナタルさんは、福音の事をしっかり見守ってて下さい」

 

「二人とも……ええ、そうするわ。また今度会ったら、お礼をするわね♪ それじゃあ、二人ともお元気で」

 

「「はい‼︎」」

 

 

 

荷物をまとめ、手に取り、その場を後にするナターシャ。

そして一夏たちは、ヴィレイ警備隊長の後を追い、部隊と合流する。

 

 

 

 

「しかし、ナタルさんはいい操縦者だったな……自分のパートナーを信頼し、愛している様にさえ思えたよ……」

 

「ええ、私もよ……。先輩として、あれだけ誇れる人はいないでしょう」

 

「だったら、しっかり守ってやんないとな……‼︎」

 

「もちろん……‼︎」

 

 

 

 

手はずとしては、ナターシャは、研究所が所有するジェット機でインドを経由し、もう一つの研究所、ハワイへと向かうとのことだった。

そのため、一番の最重要視するのは、ナターシャと福音が乗ったジェット機。それが離陸し、戦域から離脱するまで護衛をしなければならない。

インドからは、アメリカの部隊に護衛を引き継ぐとの事だったので、そちらは任せることになっている。

おそらくは、ISを用いての戦闘が繰り広げられるだろうと予測され、一夏と刀奈はそちらの護衛を任された。

そして、ジェット機の離脱後、今度は研究所内外を護衛する事。

専用機とパイロット、及びデータはジェット機とともに離脱するが、研究所内にもデータは存在するため、それを奪取されては意味がない。

故に、データの奪取の阻止と警備隊の援護を行う。

 

 

 

「来るかしら……亡国機業」

 

「あぁ、ナイトメアによる予知夢も見たし、さっき〈シグナル・ドリーム〉で確認したから間違いないな」

 

 

 

一夏の魔法……回避魔法《ストライク・ビジョン》その能力の一つ〈シグナル・ドリーム〉は、数分から数十分先の未来を読み取る。

そして、これから起きる現象を、悪夢として使用者に見せ、予知させる《トワイライト》の能力〈ナイトメア〉。

その二つから導き出された結果だ。間違いなく、亡国機業は今日のこの日、この後に、現れるだろう。

 

 

 

 

「さてと、それじゃあ始めますか!」

 

「了解‼︎」

 

 

 

 

ISを展開し、刀奈と一夏はジェット機の周囲に展開する。

蒼く光り輝く翼を広げた一夏の飛天桜舞と水をまるで羽織る様にして、優雅に飛ぶ刀奈のミステリアス・レイディ。

二人で左右を固め、前後を警備に駆り出されたIS部隊が取り囲む。

よく見ると、窓の中から顔を覗かせているナターシャの姿があり、こちらの視線に気付くと、ニコッと笑って手を振っていた。

 

 

 

 

「結構お茶目だよな……ナタルさん」

 

「そうね。せっかくだし、手を振ってあげたら?」

 

 

 

 

刀奈がそう言うので振り返して見ると、今度は投げキッスを送ってきて……。

 

 

 

「これにはどう対応すればいいのかな?」

 

「うん……じゃあ、こうする」

 

 

 

そう言って、刀奈は一夏に抱きつくと、得意げにナターシャに見せびらかす。

その光景に、ナターシャは少し頬を膨らませた。どうらや嫉妬しているようだが、一夏はそのことに気づかず、刀奈はドヤ顔で答えた。

 

 

 

(いいなぁ〜……私も抱きついてなでなでしたいぃ〜)

 

(あげませんよ……! 私の一夏ですから……!)

 

 

ナターシャと刀奈。二人は視線で語り合っている。

目を見ただけで大抵の事は把握しているこの二人。女は怖い生き物だ。

 

 

 

「刀奈姉! そろそろ離れてくーーーーッ!?」

 

 

 

一夏の抗議の声は、途中で止められ、視線を遥か彼方の大地へと向ける。

 

 

 

「どうしたの?」

 

「刀奈姉……来たぞ……!」

 

「ッ‼︎」

 

 

 

ドオォォォォン!!!

 

 

 

突如、研究所の付近で爆発が起こり、黒い爆煙が濛々と立ち込めていた。

どうやら研究所の施設自体が破壊されたのではなく、そこに展開していた装甲車が破壊されたようだ。

 

 

 

 

「来たわね……! 機長! すぐにジェット機を離陸させて下さい‼︎ 敵が接近してきています……! 我々が護衛します、早く!」

 

「刀奈姉はゲートの死守を! ジェット機の護衛は俺がする!」

 

「任せるわよ一夏!」

 

「オッケー!」

 

 

 

ジェット機は刀奈の通信を聞き、すぐに発進シークエンスに入り、滑走路へと入る。

その後は刀奈が研究所のIS部隊とともにゲート付近を固め、一夏がジェット機の側を並走するように飛ぶ。

 

 

 

「永遠、近くに敵はいるか?」

 

(はい。……敵影の数、ニ。この速度からするとISです。そのほかにも六時方向より敵影が五。こちらは陽動と見るべきです……)

 

「六時方向って事は……刀奈姉の方に行ったのか……こっちはたったのニ機かよ……。なめられたもんだな」

 

(相手は一夏の力量を知りません……。なので戦力を分断し、制圧に持ち込んだと思いますが……)

 

「悪いが、そいつはとんだ悪手だぜーーーー!」

 

(敵機、来ます……!)

 

 

 

永遠の言う通り、飛び立とうとするジェット機を狙ってか、リヴァイヴニ機がアサルトライフルを向けて、こちらへと向かってくる。

 

 

 

「さてと、とりあえずはあのニ機を墜とすしかないかな……!」

 

 

 

イグニッション・ブーストで加速し、桜舞のブースターのを噴かせて、ニ機に近づく。

 

 

 

「なっ!?」

 

「速い!」

 

 

 

一瞬驚きはしたが、敵はすぐに立て直し、照準を一夏に向け、発砲する。

武器自体の威力はあまり高くはないものの、敵の射撃スキルは高く、的確に一夏を狙ってくる。

 

 

 

「くっ! 流石に射撃スキル高いなぁ……‼︎ 亡国機業……マジで油断出来ねぇな」

 

「ええい! ちょこまかと!」

 

「焦るな! 奴の機体は機動力だけだ! 徹底的に追い込め!」

 

 

 

確かに、桜舞の装甲は薄く、機動力に特化した機体のため、アサルトライフルでも急所に当たればダメージは大きいだろう。

 

 

 

「言ってくれるじゃねぇか……だが、それでも当たらねぇよ!!!」

 

 

 

弾幕を切り進み、フォトンソードを展開する。

そして、すれ違いざまに敵のアサルトライフルを斬り捨てる。

 

 

 

「なっ! ビーム兵器!?」

 

「ビームソードか、厄介な」

「だけじゃないぜ‼︎」

 

 

 

一夏は左手にベレッタを展開し、すぐにニ機に向けて発砲し、牽制しながら、ふたたび接近戦に持ち込む。

 

 

 

「くっ! その程度の射撃で、当たるわけがないだろう!」

 

「火力じゃこちらが上だ!」

 

 

 

たがニ機は焦ることなく、今度はサブマシンガンを展開する。

 

 

 

「くたばれッ!」

 

「墜ちろぉ!!!」

 

 

放たれる銃弾の雨をなんとか躱すが、それでも押されている。

 

 

「くそっ! ならば!」

 

 

 

一夏の視線には、赤いラインが表示される。そして、そのラインが表示されてから数秒後には、弾丸が通る……。

桜舞の搭載された防御型システムアシスト『バレット・ライン』だ。

ニ機分のバレット・ラインが一夏を貫く。

そして、発射されるその弾丸は、間違いなく一夏にダメージを与えるはずだったが……。

 

 

 

「ふんっ! ……くっう! はああっ! ……ていっ! ……せいやぁぁ‼︎」

 

「なにっ⁉︎」

 

「ば、ばかなーーーっ⁉︎」

 

 

 

迫り来る弾丸を斬って、斬って、斬り捨てる。

相手の狙いも的確に一夏の急所を狙うが、それすらも躱し、フォトンソードで斬る。

フォトンソードが空を切る音と共に、弾丸がフォトンソードの熱で融解し、火花として弾ける。

 

 

 

「このぉぉぉぉッ!!!!」

 

「墜ちろぉぉぉぉッ!!!」

 

 

 

一夏の身体能力……取り分け目の前で見せられた弾丸を剣で斬ると言う神業……。その光景に恐れすら抱いた敵の二人は、なんとしても一夏を落とそうと銃弾をばら撒く。

 

 

 

「……っ! もう、その程度の攻撃じゃあ俺は墜ちねぇよ!!!」

 

 

 

一夏はフォトンソードを一度口にくわえると、ベレッタを格納し、両手に片手用の片刃直剣を展開し、それをニ機に向けて投げ飛ばす。

意表を突かれ、対応に遅れたニ機はサブマシンガンを破壊され、爆炎で視界を閉ざされる。そして、気づいた時には、目の前に接近し、剣を振りかぶる一夏の姿が……。

 

 

 

「はあぁぁぁッ!!!!」

 

「ぐうっ!」

 

「ぐあっ!」

 

 

 

フォトンソードで胴を斬り裂く。

絶対防御の発動により、激しくエネルギーを消費した機体。それに付け加え、今の一撃は、パイロットたちの体にも強い衝撃を与えた為、パイロットたち自身の意識を刈り取った。

 

 

 

「はあ……はあ……」

 

『一夏、無事?!』

 

「ああ、なんとかな……飛び道具相手は、やっぱり慣れねぇな……」

 

『そう……無事ならいいわ。こっちはあらかた片付いたから、施設の防衛に参加するけど、一夏はジェット機が戦線を離脱するまで、護衛に回ってちょうだい』

 

「俺が護衛? そっちは大丈夫なのか?」

 

『何言ってるの? こっちはもともと射撃戦闘には慣れてるから心配ご無用……。国家代表の実力、甘く見ちゃダメよ♪』

 

「……そうだったな。わかった、ちょうどジェット機も離陸して、離れて行っているみたいだ……戦線離脱を確認後、すぐに加勢する!」

 

『ええ、わかったわ。それと、油断だけはしない様にね?』

 

「わかってるって。じゃあ、また後でな……!」

 

 

 

一夏は反転し、今しがた飛び立ったジェット機の方へと向かう。

刀奈は、倒したISのパイロット達を研究所のIS部隊に任せ、警備部隊の援護に向かう。

 

 

 

「機長、このまま俺が護衛に付きますが、戦線を離脱するまでは油断はしないでください」

 

『護衛感謝する……。まさか、男性IS操縦者の君に護衛されるとは……光栄だよ』

 

「俺もそう言ってもらって光栄です。では、このまま全速前進でお願いします」

 

『ラジャ!』

 

 

 

ジェット機はフルスロットルでエンジンを噴かせ、速度を上げていく。

それに並走する形で一夏が隣を飛ぶ。

 

 

『一夏くん……』

 

「この声は……ナタルさん?」

 

『ええ、あの子のプライベート・チャネルを使って通信しているの』

 

 

 

窓から顔を覗かせるナターシャ。

その手には、福音の待機状態であるペンダントらしきものを持っていた。

 

 

 

『戦線離脱まで、あと十分という所かしら……。ありがとね……』

 

「……俺がやりたいからやっている事です……。あなたは、あなた達は、夢を……叶えなくちゃいけないんだ……こんなところで、終わらせていいものじゃない……っ‼︎」

 

 

 

俺には叶えられませんが…………そう言った一夏の言葉は、ナターシャには聞こえなかった。

たが、一夏のその言葉一つ一つが、重く、ナターシャの心を貫いた。

 

 

 

『一夏くん……』

 

「ナタルさん……あなたと福音の絆は、断ち切ってはいけない……。俺にはない絆だ……それを断ち切ろうとする奴らがいるのなら、俺はそいつらを叩くだけです……」

 

『…………あなたは、強いわね』

 

 

 

ただ静かにナターシャは言う。

それを一夏はただ黙って聞き入れる。

別に自分が強いと思った事など一度たりともない。だが、強くなりたいと思い、強くあろうと思ってはいる。

自分と千秋との間には、溝しかない。家族としての絆なんて物はあるはずがない。

だからこそ、ナターシャと福音の関係が羨ましく思う。

 

 

「そろそろ離脱出来そうですね……。俺はここまでです。あとはアメリカの部隊に引き継ぎますから、安心して下さい」

 

『……ねぇ、一夏くん』

 

「はい?」

 

『死んじゃダメよ……。あなたが死んだら、楯無ちゃんも、私も悲しむからね……』

 

「……了解です…!」

 

 

 

 

一夏はスピードを弱め、やがて停止する。

ジェット機はそのままさらにスピードを上げて、離れていく。

最後のナターシャの言葉を胸にしまい、拳を握り締める。

 

 

 

 

「さて、戻るかーーっ‼︎」

 

 

 

 

桜舞は全速力で飛ぶ。

その飛び立った後の痕跡を残すかのように、蒼い光の粒子がキラキラと輝いていた。

 

 

 

 

〜研究所防衛組〜

 

 

 

「左翼はそのまま展開! 右翼! 一旦撤退し、態勢を整えろ!」

 

 

 

ヴィレイ警備隊長の声が飛んでいた。

戦況は、はっきり言って乱戦模様となっていた。ISに装甲車、強襲部隊が数々。

そして、現在警備隊が劣勢を迎えているようだ。

 

 

 

『ヴィレイ隊長』

 

「っ! 楯無殿か?」

 

『警備部隊の援護に参りました。このまま敵IS部隊を落とします……。もう少しだけ持ち堪えて下さい』

 

「了解した……!」

 

 

 

通信を切り、刀奈は敵陣に突入する。

 

 

 

「更識 楯無、いざ参るッ!」

 

 

 

手に握るのは、螺旋状に高周波振動の水を纏ったランス《蒼流旋》。

敵の勢力はISが五機、装甲車十台、強襲部隊が二百。

まずはISを墜とすべく、得意の槍術で敵を貫く。

 

 

 

「はあぁぁぁぁッ!!!」

 

「くっ! こいつ…!」

 

「取り囲め! 相手は一機だぞ!」

 

 

 

一機はランスで貫き、大ダメージを負わせるも、まだまだ戦える様子だった。そして、今度は刀奈を取り囲み、波状攻撃を仕掛けるつもりのようだ。

 

 

「やれ!」

 

 

 

リーダー格の操縦者の指示により、中央にいる刀奈めがけて銃弾の嵐が起こる。

鳴り響く銃撃音と、マズルフラッシュが大量に焚かれ、着弾地点では、銃弾が弾ける音と火花が散っている。

 

 

 

「うふふ………その程度じゃ、お姉さんは落ちないわよ?」

 

「「「「「ッ!!!!!?」」」」」

 

 

だが、その銃弾は刀奈の周りに広がる “水” によって防がれた。

銃弾はその水に吸着するように止まっており、水が消えると、同時に放たれた銃弾は重力に従って地表へと落ちる。

 

 

 

「き、貴様……!」

 

「もう終わり? なら、今度はこっちから行くわよ……‼︎」

 

 

一旦上空へと飛び出すと、左手に蛇腹剣《ラスティー・ネイル》と展開し、鞭のようにしならせて斬りつける。そして、ダメージを負った敵を捕縛すると、それを思いっきり振り回して他の機体へとぶつける。

 

 

 

「がっ!」

 

「ぐぁっ!」

 

「はい、二機ダウン。あと三機」

 

 

銃では歯が立たないと思ってか、残った三機のうちニ機はナイフ型の武装を展開し、近接戦を仕掛け、残る一機は離れて、ミサイルパックを展開する。

 

 

 

「両サイドから挟みこめ!」

 

「了解!」

 

 

 

刀奈はラスティー・ネイルと蒼流旋をしまうと、日本刀型のブレードを展開し、居合いの構えをとる。そして、その鋭き眼光で敵を捉える。

 

 

 

「更識流抜刀術 《瞬天(しゅんてん)》ッ!!!」

 

 

放たれた抜刀の剣閃は、まず向かって右の敵の胴を素早く斬り裂き、そのまま回転して左の敵を斬り裂く。

 

 

「ぐうっ?!」

「こはっ……」

 

 

 

神速の如き抜刀は、いとも簡単にシールドを斬る回転抜刀術。

敵が複数いた場合に対応した抜刀術。

それによって、向かってきた二機は勢いそのままに刀奈の後方へと落ちていく。

 

 

 

「馬鹿な……刀一本で……!」

 

「さあ、残るはあなた一人よ」

 

「くっ! ならば、近づけさせなければいいだけの話だ!」

 

 

 

残ったリーダー格の操縦者は、ミサイルとともにありったけの銃火器を放つ。

が、それすらも当たらず、銃弾を躱し、ミサイルを斬り捨てる。

 

 

 

「この! この、この、このぉぉぉぉッ!!!!」

 

「無駄よ……。私には見える。弾の軌道、狙い……あなたの行動全てが、ねっ!」

 

 

 

相手の意識の隙間を縫って、一瞬にして懐に入る。

 

 

 

「更識流抜刀術《零閃(ぜろせん)》っ‼︎」

 

 

 

『無拍子』という瞬間接近移動術をISのシステムをフルに活用し、イグニッション・ブーストよりも速く動ける。

最後の一人も容赦無く斬り捨てた刀奈。

これにてIS部隊は全滅。パイロットの死亡者はいない。

対人戦闘術において、一対多数の戦闘に特化した《更識流》。相手に取り囲まれても、それを打破するだけの技術を持つ。

 

 

 

「さてと、IS部隊は制圧完了……。残るは強襲部隊か……そっちも警備隊で抑えられる……」

 

 

刀奈はそこまで言うと、一旦考え込む。

 

 

 

(欲しいのは専用機とデータ。それに間違いはない……。でもこんな拍子抜けな結果になった)

 

 

 

あまりにも呆気ない幕切れ。部隊編成もあまりに雑。確かにパイロットたちの操縦技術は悪くなかった……がしかし、それでもあそこまで圧倒出来るとは思ってもみなかった…。

 

 

(せめて《ミストルティンの槍》くらいは使う覚悟はあったけれど……。もしも他の目的があったとしたら……)

 

 

 

ふと研究所の方を見る刀奈。それはまるで、容疑者を見逃さない刑事さながらな攻撃的な視線。

 

 

 

(あの研究所に、まだ何かあるのかしら……専用機のデータ以外の何か……)

 

 

 

それから刀奈は行動する。

制圧に向かうのではなく、研究所の方へと向かった。

 

 

 

 

 

〜研究所内部〜

 

 

 

今まさに警備隊と強襲部隊が衝突している最中、研究所の研究員たちは完全に退避をしたはずだった。が、その場に残っている者たちが、まだいたのだった。

 

 

 

「所長。敵勢力の制圧が、間も無く完了するとのことです……」

 

「ん、わかった……だが、保険はしておけよ? 万が一と言うことがある」

 

「かしこまりました」

 

 

 

とある研究室の中には、マハル所長の他に、五人ほどの研究員たちが集まり、データのバックアップを行っていた。

先ほどISのシステムデータを完全に退避させたのにだ。

 

 

「所長……この研究は、人類を新たなステージに立たせられるでしょうか……?」

 

「当たり前だ。何せ、人知を超えた力だぞ……‼︎」

 

 

 

少し興奮気味に語るマハル所長。

だが、その目は全くもって輝いてはいなかった。むしろ、その目には野心が……野望といってもいいような、暗い影がかかっていたのだから……。

 

 

 

「この力……『魔法』による世界の改変! それが実現すれば、この世は変わる!

女たちに都合のいい世界を生んでしまったIS……。確かに兵器としては最高だが、欠陥だらけだ。だが、魔法は違う! 男女関係無くこの力が扱えるのならば、この様な世界など、あっという間に変えてくれるだろう……‼︎」

 

 

 

マハル所長の言葉にすっかり陶酔している研究員たち。

彼らの研究テーマは、ISだけではない。かつて、もう失われたと思われたゴーストトレイラーの研究テーマ『魔法』を扱える人類の生成だ。

今現在の世界の軍事バランスを担っているのは、間違い無くISだ。が、そのISの出現によって、世界中で女尊男卑の構図が成り立ち、それによって世界は混乱している。

女性にしか扱えないのと、数が少ないと言う欠点があるが、それを差し引いても有り余る力を持っている。

だが、魔法はそれらの欠点を補える。男女関係無く力を行使できる上に、魔法による攻撃を受けただけで会得でき、ISの同等レベルの力を保有しているのだから……。

まぁ、弱点というものもあるのだが……。

 

 

 

「まぁ、“年齢の若い者にしか魔法の移植ができない” というのが弱点だが……。まだまだこの世界には若者が溢れる様にいるんだ……限りなく魔法使いを増やすことなど容易い……!」

 

 

 

そこまで熱い弁論を述べると、データのバックアップを終えたのだろう……研究員たちが作業を終えた。

 

 

 

「よし、これを厳重に保管してーーー」

 

「あらぁ、そんな大事な物をただしまっておくのは勿体無いわねぇ」

 

「「「「っ!!!!?」」」」

 

 

そこにいるはずのない女性の声が聞こえ、驚く一同。

よく見ると、そこにはなんとも魅惑的なプロモーションをし、胸元や脚が大胆に見える扇情的な赤いドレスを纏った金髪の女性と、ジーンズ生地の短パンに黒いタンクトップとなんともラフな格好をしている赤毛混じりの茶髪ロングの女性が入り口に立っていた。

 

 

 

「誰だ貴様ら! どこから入った!」

 

「どこからと言われると、ちゃんと入り口から入ったのだけれどねぇ」

 

「馬鹿な、表には警備員がいたはずだ!」

 

「あぁ、無駄に装備を整えて突っ立てた奴らねぇ……こいつらのことか?」

 

 

 

そう言うと、茶髪の女が部屋に何かを投げ入れた。

その何かは人間大の大きさで、防弾の装備を整えているのだが、それはまるで何かに潰された様にぐしゃりとなっていた。

 

 

「な! なんだこれは!」

 

「この服は……警備員の……!」

 

「き、貴様! 何をした!」

 

「あ? 中々通してくれなかったからよぉ? 面倒くせぇから潰しちまった」

 

「オータム、もう少し大人しくしてちょうだいって言ったのに……」

 

「ああ、悪かったよスコール」

 

 

まるで気に留めないやりとりをする二人の女性に、一同は恐怖をおぼえた。それを証明するかの如く、茶髪の女性の手には血の付いた長剣を握っている。

 

 

「な、何が目的だ!」

 

「それは分かってるでしょう? 今あなたが持っている物……“そのデータ” が欲しいの」

 

「なんだと!」

 

「あなた方が持っていても仕方がないのよ。だから、我々亡国機業が重要に保管し、上手く活用してあげるわ」

 

「亡国機業だと!?」

 

 

 

前回、そして今回の襲撃事件の首謀者たちが、今自分たちの目の前にいるのだ。

だが、外の部隊は間も無く制圧が完了するとの報告を受けている故に、何故ここにいるのか……?

 

 

「貴様らの部隊は制圧したと報告がーーー」

 

「あぁ、彼らのことね……。残念だけれど、あれと私たちはただの協力者……仲間ではないの。

だから彼らがどうなろうと私たちは知ったことではないわ。彼らが欲していた専用機のデータはもうここにはないわけだし、むしろ制圧されて気の毒に……」

 

「では、貴様らは初めから……」

 

「ええ、その魔法に関するデータ……あなた方がトレイラーのアジトと思われる研究所から持ち出したその研究材料が欲しいだけ……。

悪いことは言わないわ。別にそれを破壊して、無かったことにすることはしない。ただ、あなた方よりも有用に使ってあげると言っているのよ?」

 

「ふ、ふざけるなぁ‼︎ 貴様らの様なテロリストに、我々の研究を台無しにさせてたまるか!」

 

 

 

マハル所長の声とほぼ同時。

研究員たちは、研究室の隅に隠してあった銃器を取り出し、一斉に構える。

 

 

「容赦はするな! 総員構え!」

 

 

全員の銃口が、二人に向けられた。

 

 

「はぁーやっぱりこうなるか……」

 

「仕方ないわね。オータム、やっちゃいなさい」

 

「オーライ……!」

 

 

 

オータムは獰猛な笑みと殺意の目をあらわにし、長剣を肩に担ぐ。

 

 

「リベレイト!」

 

 

オータムの体を、白い魔法の粒子の白い破壊魔法の魔法陣が……。

 

 

「や、やれぇぇ!!!」

 

「おらおらおらぁーーー!!!」

 

 

長剣を振り回し、構えると同時に駆け出し、一番近くにいた研究員の上段から長剣を振り下ろす。

 

 

「死ねえぇぇーーー!!!」

 

「ぐえっ!」

 

「おらぁ、もう一丁!」

 

「があっ!」

 

 

一人は振り下ろされた長剣によって縦に真っ二つにされ、もう一人はそのまま左に体を回転させて、剣を振り回し、胴体を思いっきり殴りつけ、離れた壁まで吹っ飛ばしてしまった。

 

 

 

「な、なんなのだ……貴様は……!」

 

「あぁ? なにってよ……お前が見たがってた『魔法使い』だけど?」

 

「な、なに!?」

 

 

驚くマハル。

何せ、目の前に自分の目標としてた魔法使いがいるのだ。

驚かないわけがない。

 

 

「ま、魔法使いだと!? 何故貴様が魔法を使える?!」

 

「まぁ、そこは秘密だ。うちらも秘密主義者なんでね……」

 

「オータム。早く終わらせて帰りましょ?」

 

「ああ、分かってるよ」

 

 

中にいた研究員は五人の内二人が殺された。残りは三人とマハル所長の四人。

すると、今度はスコールが前に出て、手をかざす。

 

 

 

「リベレイトーーー!!!」

 

 

スコールの体から吹き出る赤黒い魔法の粒子と生物魔法の魔法陣。

 

 

 

「我、獄炎より出でし魔の獣 喰らい 貪り 奪い尽くせーーー!!!」

 

 

 

かざした手から地獄の炎『獄炎』が生まれる。

その炎はどんどん膨れ上がり、異形の物に変化していく。

いや、異形とは少し違う。それは四足歩行の動物の様に地面に足をつける。

 

 

「ぐるるぅぅぅーーー‼︎」

 

「ヒ、ヒィ!!!」

 

「な、なんなんだこれは!?」

 

「い、犬?! いや、狼か?!」

 

「どっちもハズレ。この子は犬でも狼でもない……私の “分身” なのよ」

 

 

 

その場に現れた獣は数十体に及び、部屋に逃げ場がなくなった。

 

 

 

「《ヘルハウンド》やっちゃいなさい……!」

 

「ガウッ!」

 

「う、うわあぁぁっ!!!」

 

 

ヘルハウンドと呼ばれる炎の獣は、一斉に襲いかかる。が…………

 

 

 

「更識流剣術《桜閃華(おうせんか)》っ!!!」

 

 

数十もの蒼い粒子を纏った斬撃が、ヘルハウンドを斬り裂く。

そして、いつの間にかその場に立っていた刀奈の姿を見て、一同は驚愕をあらわにしていた。

 

 

 

「へぇー私のヘルハウンドを撃退したのは、あなたが初めてよ……。あなた、私と同じ匂いがするわね……。

もしかして、あなたも私と同じなのかしら……? ねえ、お名前、聞いていいかしら?」

 

「ええ、そうね。なら、お言葉に甘えて、名乗らせてもらうわ。私は、更識家17代目当主 更識 楯無……そしてーーー」

 

 

 

刀奈はゆっくりと刀の切っ先をスコールに向ける。

先ほどと同じ、蒼い粒子を刀の刀身に纏わせ、その刀身は、鋭い殺気と剣気を迸っていた。

 

 

「あなたと同じ、『魔法使い』よーーー!!!」

 

 

 

 

第三の魔法使いの登場により、研究所内はカオスに包まれていた。

 

 

 

 






補足ついでに、スコールとオータムの魔法について書いておきます。

オータム
系統魔法……破壊魔法。
魔法陣の色は白。魔法名《加重剛剣(かじゅうごうけん)〈ブラスト・ポインター〉
アスペクトである長剣を振り回せば振り回す程、剣重量は加算されていき破壊の一点に集中した攻撃魔法。
最高で10トンもの重さにまで加算できる。


スコール
系統魔法……生物魔法
魔法陣の色は赤黒。魔法名《獄炎煉牙(ごくえんれんが)〈ヘル・ブレイズ〉
自身の血を触媒に、獄炎を生み出し操る能力。
ヘルハウンドの様な生物型にもできるが、その他にも炎の密度を上げ、剣や槍と言った武器系統の物まで作ることができる。
アスペクトは不明。


感想待ってます^_^


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