IS〜異端の者〜   作:剣舞士

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第1話です!



第一章 魔法使い誕生
第1話 覚醒


ここはどうやら誘拐犯達のアジトらしい…俺と同じぐらいの子供たちが男女問わず50人近くは居るだろうか。

あれからどれ位の月日が経ったのかはわからない…ただわかった事はここの組織の名前が『ゴーストトレイラー』と言うらしく、よく『トレイラー』などと呼ばれているらしい…そして、俺たちはこいつらの実験に付き合わされている。なんでも史上最強の魔王を作り上げるとかなんとか…オカルト話なのかとちょっと不審に思ったりして…

 

 

そして、俺たちが今やっている事、いや、今までやってきた事、それは…

 

 

 

 

「ぐうぅああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「嫌だ‼ 痛い! 痛いよぉぉぉぉ!!!」

 

「やだぁ! 死にたくない‼ 助けて! だ、誰か…いやぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

 

まさに地獄絵図だ。電流を流したり、毒を盛られたり、子供たちどうしで殺し合ったり、なんでもありだ。当然、俺もやった。この手で何人も殺したし、何回も死にかけた…だが、死ぬ事が怖いわけではない。しいて言うならば、死ねるなら死にたかった…だが、自殺は出来ない。そう奴らがさせてくれないからだ。だから俺は、俺を殺してくれる奴を待っているのだ。

 

 

 

 

「ひ、ひぃ…ッ! や、やめて! 嫌だ! 助けて‼」

 

「あぁ、助けてやるよ…この地獄からな……」

 

 

 

ザシュ!!!

 

 

 

鮮血が…雨の様に降り注ぎ、俺の体を濡らす。この光景を見ても俺は何も思わない…ただ単に剣で人を斬っただけだ…としか思えない様になっていた。

 

 

 

(今日も……俺を殺してくれる奴はいなかったか……残念だよ…俺も早く楽になりたいのに…)

 

 

 

そんな事を毎日の如くやった。そして、ある日のことだ…俺は男達に呼ばれて、とある実験室の中にある座椅子に座らされる。手足は拘束され、周りには白衣を着た男達の姿がある。なんでも俺はこの組織が攫ってきた子供たちの中でも取り分け優秀だったみたいで…そんな俺に実験の最終段階の材料として使うみたいだ。

 

 

 

 

「さすがは腐ってもあの織斑家の人間だ! これならこいつにも耐えられるかもしれん‼」

 

「そうなれば、こいつは我々の切り札…この世界を壊す唯一の存在になりますねぇ〜!」

 

「生身でISに立ち向かう事が出来るかもしれない力…超能力とはまた違った力! 『魔法』!!」

 

「この子はまさしく『魔王』の素質がある者だ!!!」

 

 

 

 

(魔法に魔王って…もうまさしくオカルトじゃないか……それにISに立ち向かう事が出来るかもって言ってたよな…そんな事したら世界でまた戦争が起きちまうな…)

 

 

 

 

そして、俺を男達が取り囲み、実験を始める。黒い文字で何かを地面に書いていき、その中心に俺を座らせる…やがてその文字は俺を中心に円を描いていき、男達は完成と同時にその場を離れる。

 

 

 

「よし、それでは最終実験を開始する」

 

 

 

実験を取りまとめる学長らしき人物の言葉と共に実験がスタートした…俺の周りの円が紫色に光り、俺を包みこんだと思いきや、途轍もない激痛が襲いかかる。

 

 

 

 

「グッ、あああああ!!!!!!」

 

「実験失敗か!?」

 

「いや! その逆だ! これは……ッ!? 今までに無い最高の数値だ! やったぞ‼」

 

 

 

 

外では男達にが叫びながら喜んでいるが…俺はそんな事どうでもいいくらい苦しい。

 

 

 

 

「あああああ!!! ぐうぅ! うわあぁぁぁ!!!」

 

 

 

紫色の光の中で、さまざまなものが俺の中に流れ込んで来るのが分かる。そして、やがて光りが消えはじめ、実験は終了した。

 

 

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

「おめでとう! 君は我々の切り札…『魔王』に生まれ変わったのだ!!!」

 

「ま、魔王?」

 

「そうだ! 君のその力が今の世界を変えるんだ! 君は私たちの希望なのだよ!」

 

「そうかい、それはそれはすごい事になったもんだね…」

 

「君も少しは喜び給え! これが生まれ変わった君の姿だ!」

 

 

 

男達が用意した鏡を見て驚いた。本当にこれが自分なのかと。髪は伸び、腰当たりまであるだろうか…色も黒かったのに今は薄くピンクがかかった様な色…薄桜色と言うべきか。そして、目は、日本人独特の茶色や黒ではなく、アメジストの様な色になり、なんと言っても俺の体だ。今までの男の様なガタイのいい体ではなく、華奢な女の子の様な体になっている。背も少し縮んだか? とにかくこれが自分であるのか疑問に思うほどだ。

 

 

 

「なんなんだ…これは…」

 

「これはこれは……なんとも可愛らしい魔王さんの誕生ですなぁ〜」

 

 

 

 

男達の会話など俺の耳に入って来ず、俺は自分の体を触りながら確かめる。胸は出てないし、ちゃんと下にも付いていた……大丈夫、ちゃんと男の体だ。

 

 

 

ウウウウーーーーーーン!!!!!!

 

 

 

「!?」

 

「な、何事じゃ!?」

 

「学長! 何者かによって、この研究所が攻撃を受けてます!!」

 

「なんだと!? 敵の数は?」

 

「敵数は…10…20……まだまだいます!」

 

「おのれ…ッ! どこのどいつじゃ…ここは決して見つからぬ筈! おい! すぐに撤退の準備を! それから迎撃に残ったガキ共を出させろ!」

 

「り、了解!」

 

 

 

 

 

 

突然の警報…そして、何者かによる襲撃で研究所内はパニックになる…そして、あの子供たちを戦闘に使おうと言うのだ。

 

 

 

 

(はあ〜、全く、どこへ行っても汚ねぇー大人は汚いままなんだな)

 

 

 

俺は自力で手枷足枷を壊し、右手に意識を集中する。すると、瞬く間に紫色の粒子が集まり、一本の剣が現れる。

それを鞘から抜き放ち、学長と思わしき人物の首を刎ねた…

 

 

 

「……エッ?」

 

 

 

 

すっとんきょんな声をあげて学長の体が地面に崩れ落ちる。

 

 

 

「き、貴様! 何をしている! なんて事を!」

 

「知らないよ…もうこれで俺の実験は終わったんだろ? だったら悪いけど、あんたらに従う義理はないからさ……どのみちいつかはこうしようと思ってたし、ナイスなタイミングだったんじゃない?」

 

 

 

 

そう、俺にとってこいつらは恨みこそすれ感謝なんぞする価値もない。

そして、俺は剣を水平に伸ばし、一気に男達に近づき、右から左へと振り抜く。

 

 

 

「ぐあ…!」

 

「ぐふッ!?」

 

「ぎゃあああ!!」

 

 

 

今の一太刀で三人を斬り殺ろす。あと残り2人…

 

 

 

「ひ、ひいぃぃ!!!!!! バ、バケモノォォォォ!!」

 

「クソッ! 死ねやクソガキ!!」

 

 

1人は逃げ出し、もう1人は拳銃を俺に向ける。

 

 

 

「……リベレイト」

 

 

 

その言葉と共に俺の体に濃紫色の粒子が体の周りを薄く包み、目に丸い紋章の様なものが浮かびあがる。

そして、何故かわからないが相手の動き…正確にはこれから起るであろうアクションがわかった。拳銃の弾は、真っ直ぐ俺の額と心臓めがけて飛んでくる…と。つまり、予知したのだ。

 

 

それがわかっていればあとは簡単だ。その予知に従って弾丸をよけて一気に肉薄し、下段から斬り上げ、そのまま逃げた男の背中を袈裟斬りにした…

 

 

 

「悪いね…もう、あんたらの飼い犬じゃあないんだよ俺は……」

 

 

 

俺はそう言うとその場を出て行った。

 

そして、そのあとにこの場所に辿り付いた襲撃者達は息を飲んだそうだ。

 

 

 

 

 




ちなみに覚醒したあとの一夏の姿はSAOのキリトがGGOのアバターを永遠バージョンのカラーリングした感じです。

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