IS〜異端の者〜   作:剣舞士

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久しぶりの更新!


今回はバトルらしいバトルはしません。


第16話 約束と災厄の前触れ

(あ、あいつは……まさかッ!?)

 

「鈴!?……お前、鈴なのか?」

 

「そうよ! 中国の代表候補生 凰 鈴音! 今日は宣戦布告に来たってわけ!!」

 

 

 

一組の教室に小柄で活発そうな、茶髪ツインテールの少女が乗り込み、右手人差し指でビシッと千秋を指す。

その正体は、俺、更識 一夏と織斑 千秋がよく知る人物…幼馴染の凰 鈴音だった。

 

 

 

「プフッ! 何カッコつけてんの鈴。全然かっこよくないよ?」

 

「な、なんて事言うのよあんたは!!」

 

「あぁ、あとそれからそこ、退いたほうがいいよ」

 

「はぁ? なにがーーだあッ!?」

 

 

 

千秋の忠告とほぼ同時に鈴音の頭が誰かに殴られた。

余程の力が込められていたのか、鈴音は頭を抱えしゃがんでいる。

 

 

 

「いったぁ〜〜! なにすんーーはッ!」

 

 

まぁ、彼女の対応としては間違っていない。いきなり後ろから殴られたら誰だってそういう態度を取るだろう……。

だが、反応した相手が間違いだった。

 

 

 

 

「もうすぐSHRの時間だ」

 

「ち、千冬さん!」

 

「学校では、織斑先生だ。あと道を塞ぐな、退け邪魔だ」

 

「す、すみません……」

 

 

 

先程までの威勢は何処へやら……。

まぁ、誰でも同じ感じになるか。

 

 

 

「あとでまた来るからね! 逃げるんじゃないわよ千秋!」

 

「さっさと戻れ!!」

 

「は、はいィィ!!」

 

 

 

まるで蜘蛛の子が散る様に、一目散に自分のクラスに帰っていった鈴音。

鈴音の事が気にはなっていたが、今からSHRと織斑先生の授業。ちゃんと聞いてないと鉄拳が降ってくるのでしっかりしないと。

 

 

 

(鈴……まさかあいつが中国の代表候補生だったとは。三年前まで日本にいたはずなのに……一体いつ代表候補になったんだ?)

 

 

代表候補生の資格を勝ち取るのは、そう容易ではない。

厳しい試験や検査、ISとの適性などその他諸々といろんな項目で、厳しい基準をクリアした者にしかなれない。

ましてや専用機も持っているとなると、かなりの努力を強いられたはず……。

つくづく凄いとしか思えなかった。

 

そして、午前中の授業が終了し、俺たちはみんなで食堂へと向かった。途中で簪とマドカに会ったが、刀奈姉の姿が無く、二人に聞いてみたら来月のクラス代表対抗戦の企画書類に目を通さないといけないらしく、今日は生徒会室に籠もりっきりらしい。

まぁ、逃げ出そうとすれば虚さんがとっ捕まえるだろうから、逃げられないだろう。

そうこうしているうちに食堂の前に到着。いつものように食券を勝って席の確保をしようと思っていたのだが……。

 

 

 

「遅い!」

 

「あれ? 鈴」

 

「全く、遅すぎんのよ! 私がわざわざ待ってやったんだから、早く来なさいよね!」

 

 

 

 

食堂の入口付近で、またまた仁王立ちで登場の鈴音。

 

 

 

「そう言われても、待ち合わせとかしてないじゃん」

 

「う、うう、うるさい! ほら、さっさとしなさいよ!」

 

 

 

そう言われるがまま鈴音のあとをついて行く。鈴音はラーメンセット、箒と千秋が焼き鯖定食。セシリアと簪が洋風ランチセットで、俺とマドカは和食御膳を注文し、窓枠の席を確保した。

 

 

 

「それにしても、久しぶりだね鈴。だいたい一年ぶりになるのかな? 元気にしてた?」

 

「まぁ、私は相変わらずってところねぇ〜」

 

「ねぇ、鈴ってさもしかしてまだ姉さんの事苦手なの?」

 

「べ、別にそんなんじゃないわよ……。ただ、得意じゃないだけよ……」

 

((((((それを俗に『苦手』って言うんじゃないのだろうか……))))))

 

 

 

その場にいた誰もが、心の中でツッコミを入れた。そんな事をしながも食事をとっていき、話の話題を今日編入してきた鈴音に向ける。

 

 

 

「鈴さ、いつ日本に帰って来たんだよ……それに、いつ代表候補生になったの? 」

 

「日本に帰って来たのは昨日よ? 代表候補には、ちょうど一年前に中国へ帰ってから、代表選考を受けたから半年前? ぐらいかな」

 

「えっ?! 代表候補生ってそんな簡単になれるものなの!?」

 

「はあッ!? んなわけないでしょ! 私だって “この早さで代表候補生になったのは奇跡に近い” って言われるくらい頑張ったのよ! もうすっごく大変だったんだから……」

 

「そ、そっか……」

 

 

 

鈴音の激昂にたじろぐ千秋。それを見計らって、今度は鈴音が千秋に質問をする。

 

 

 

「だいたい、あんた! なんでISなんか動かしちゃったのよ?」

 

「って言われても……試験会場がわからなくて彷徨って、出会い頭のドアを開けたら、そこがIS学園の試験会場で……そしたら、そこにISがあって興味本意で触ったら、動いてしまった……ってわけだよ」

 

「ふーん……でも、あんたってそんな不幸体質だったっけ?」

 

「いや、そんな事ないと思うけど…」

 

 

 

一年ぶりの再会に、積もる話もあったのか、話し込む二人を見て、箒とセシリアが動いた。

 

 

 

「なぁ、千秋。そろそろ紹介してくれないか? この者は一体誰なんだ?」

 

「千秋さんと親しそうですけど……」

 

 

 

セシリアはもちろんの事、箒も鈴音の事は知らない。なんせ箒は小4の時に転校して以来なので、千秋の交友関係は知らない。もしかすると、鈴音は千秋の彼女って線もあるわけで……。

 

 

「あぁ、私は千秋の幼馴染よ。小5の時に中国から越してきて、中2の時に中国へ帰ったの。改めまして、中国の代表候補生の凰 鈴音よ。よろしく、私の事は “鈴” でいいわ」

 

「あぁなるほど、そう言う事か。では、私も……篠ノ之 箒だ。小1から小4の間、千秋と一緒に剣道場に通っていて、私も千秋とは幼馴染だ。私の事も “箒” で構わん」

 

「ああ、千秋が昔言ってた……そんなんだ。よろしくね箒」

 

「初めまして。わたくしはイギリス代表候補生 セシリア・オルコットですわ。わたくしの事も気軽に “セシリア” とお呼び下さい。よろしくお願いしますね、鈴さん♪」

 

「うん。よろしくセシリア」

 

 

 

箒は同じ幼馴染として、セシリアは同じ専用機持ちの代表候補生として、感じるものがあったのか、早く打ち解けていった。

 

 

 

「そう言えば千秋! あんたクラス代表なんでしょう? 私も二組のクラス代表になったから、対抗戦の時は徹底的に叩きのめしてあげるから、覚悟してなさいよ!」

 

「そう言えば、朝そんな事言ってたね……。うん、いいよ!全力で相手してあげるよ!」

 

 

 

早くもバトルジャンキーさを見せる鈴と千秋。だが、ふと鈴がある事に気づいた。

 

 

 

「あっ! それと、あんたを負かした “更識 一夏” ってどれ? ちょっと興味あったのよねぇ〜」

 

 

 

鈴音は昨日から気になっていた人物。一夏の事を聞くと、全員が鈴の後ろに目をやる。

 

 

「へっ?」

 

 

鈴もみんなにつられて、視線を後ろに持っていく。そこには、黒髪の少女と水色髪の少女と薄桜色の少女が一緒に食事をしていた。

 

 

「えっ? 一夏って三人の中のどれ?」

 

「私は違うぞ。私は更識 マドカだ。私の事はマドカでいい。それで、こっちの水色髪の方が、更識 簪だ」

 

「どうも、更識 簪です……一応マドカとは、双子のお姉ちゃん? になるのかな? ……よ、よろしく…」

 

 

自己紹介をしてくれた二人。

更識 マドカは、どことなく千冬に似ているのに驚いた。

そして、水色髪の少女。更識 簪。内気な性格をしていそうだが、悪くない。とても優しそうな少女だ。

そして、最後の一人。薄桜色の長髪の子。

目の前にいるのは、可愛らしい少女三人のみ。とても男がいるとは思えない。しかし、そんな鈴の心を打ち破るように、薄桜色の長髪の少女が目線を鈴から逸らした。

 

 

 

「………………えっ?」

 

「ほら一夏、呼ばれてるぞ」

 

 

惚ける鈴を見てか、マドカがわざとらしく一夏を呼ぶ。

そして、やっと鈴が正気に戻り、マジマジと一夏を凝視する。

 

 

 

「え、ええぇぇぇぇッ!!!!? いや、男って……どう見ても女の子でしょ?!」

 

「あはは……まぁ、それが当然の反応か……。“初めまして” 。更識 一夏です。男です」

 

「……ぁ…………ふぁ、凰 鈴音よ……よろしく……」

 

「あぁ、よろしく。俺の事は “一夏” でいいぞ」

 

 

 

先程までとはうって変わって、どこか悲しそうな顔を見せる鈴。その後は今まで通り笑って食事をとっていたが、先程の表情が気になり、マドカと簪が鈴に聞こえないように一夏に問いただす。

 

 

 

「おい一夏、まさかあいつも……」

 

「…………わからない。だが、俺と鈴は三年前に別れて以来会っていない。しかも、外見が変わり過ぎているのに分かると思うか?」

 

「でも、外見はそうでも名前と声なんかは覚えてるかも……」

 

 

 

確かに、簪の言うとおり “一夏” なんて名前は、他にいなくはないが、そう多くもないだろう。声だって変声期で少し低くなるが、それでもほとんど変わらない人だっているわけで……。

そう言う俺も、この姿になってからと言うものの声はあまり低くなっていない。なので、もしかすると……。

 

 

 

「うーん……俺、そんなに分かりやすいかな?」

 

「いや、どちらかと言うと分からないだろうな」

 

「でも、鈴は気づいてるっぽいけどな……」

 

「一夏、鈴とはどういう関係だったの?」

 

「え? そりゃあ千秋と一緒で、幼馴染だげど……」

 

 

 

マドカはすっぱりと否定し、簪はマジマジと一夏を見ながら、鈴との関係を聞き出す。なので、素直にありのままを答えたのだが……。

 

 

 

「本当に? でも、鈴から伝わってくるのって……たぶん……」

 

「ん? やはり簪もそう思ったか」

 

「はあ? なにがだ?」

 

「「はぁー、流石は一夏だ……」」

 

「ん? 何だよ二人とも…」

 

 

 

俺、何かしたかな? っと言う感じで、頭を捻る一夏。それを見て、さらに溜息を漏らすマドカと簪だった。

その後も昼食を取り、午後の授業を受け終わって、今は放課後。

千秋はセシリアと共に、クラス対抗戦の為に特訓すると言い出し、只今絶賛空中戦闘中だ。

その様子を一夏は飛天桜舞を展開し、アリーナの隅の方で見ていた。

 

 

 

 

「まだまだいきますわよ! 千秋さん!」

 

「無論! かかって来い!」

 

 

 

セシリアがビットを展開し、多方向からのオールレンジ攻撃を仕掛け、千秋はそれを防御、回避、攻撃をうまい具合に行っている。

そうやって二人の試合を見ていると……。

 

 

「ん、んんッ! 一夏!」

 

「ん? あぁ、箒……どうしたんだ?」

 

 

 

純日本製の量産型IS、打鉄を纏った箒が近づいてくる。

 

 

「そ、その、私と勝負してくれ」

 

「箒と? IS戦でか?」

 

「あぁ、今日はたまたま……そう! たまたま訓練機の使用許可が取れたのでな、お前に一戦申し込みたい!」

 

「おう、いいぞ。じゃあもっと離れた所でやるか……。あいつらの邪魔しちゃ悪いしな」

 

「あぁ、ではよろしく頼む!」

 

 

 

一夏と箒は少し離れた所へと移動し、互いに剣を抜き、対峙する。

箒は打鉄の装備である日本刀型のブレード、『葵』を抜き、一夏はトワイライトの様な黒い柄に白銀の刀身を持つ、片刃の片手剣型のブレードを抜く。箒は正眼に構え、一夏は右半身を引き、左手を前に、右手に持った剣は自然体で少し持ち上げるように構えている。

 

 

 

「今度は『剣』か……。刀といい、あのレーザーブレードといい、一体幾つ持っているんだ?」

 

「あはは…俺はそこまで才能があるわけじゃないからな。必要に応じて、戦い方を変えているってだけだよ……」

 

「 “才能がない” か……。千秋やセシリアに勝っておいてよく言う」

 

「ホントだって。一つ事では、対処出来ない。なら、 “対処できる様に方法や手段を変えてみる” ……それが俺の戦い方なんだよ」

 

 

 

実際のところ “俺の” と言うより、“トワイライトの” 戦い方なのだが、魔法の事は言えない。

 

 

 

「ならば、お前が私に対してどの様に戦うのか……見せてもらおうか!」

 

「いいぜ。来い!」

 

 

 

 

一夏と箒は共に剣を振りかざし、斬り合っていく。それを、上空から静かに眺める者がいた。

 

 

「…………」

 

「千秋さん! 余所見はよくありませんわよ!」

 

「ッ!? あ、ああ! ごめんセシリア!」

 

「全く! ほら、どんどんスピードをあげていきますわよ!」

 

「お、おう!」

 

 

 

 

そういいながらも、心では箒の事が気がかりで仕方がない。戦闘中でありながら、その意識は自然と箒の方へと移ってしまう。

 

 

 

(箒……楽しそうだな……。相手は……また一夏か。なんだろ……ホント、心底あいつの事が気になる。……なんだが…ムカつく……)

 

 

 

 

何故なのかは分からない。でも、自然と思ってしまう。セシリア戦を見てから、自分と戦い、自分を負かしてから……。妙に一夏の事が癪に障る。

だか、今は来月のクラス代表対抗戦の為に特訓しているんだ。集中しないといけない。

 

 

 

(鈴に勝つ! そして、僕が強い事を証明してみせる!)

 

 

 

 

そう意気込む千秋であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺は箒との模擬戦を終え、制服に着替えて寮に戻っていた。そして、廊下でばったりと鈴に会った。

どうやら向こうも、別のアリーナで特訓してたみたいで、おそらく俺と同じ様に今、着替えて帰るつもりだったのだろう。

 

 

 

「あら? 一夏じゃない。あんたも帰り?」

 

「ん? ああ、鈴か。おう、まぁな。そっちも帰りか……」

 

「まぁね。……そうだ、これから時間ある?」

 

 

 

一緒に並んで寮に帰ろうと思った矢先、いきなり立ち止まったと思ったら、唐突。一体どうしたのか?

 

 

 

「ん? まぁ、大丈夫だけど……どうかしたのか?」

 

「…………ちょっとね、あんたに話があんのよ。だから、ちょっと付き合って」

 

「あ、あぁ、わかった……」

 

 

 

鈴に連れ出され、学校の中庭にやってきた。放課後と言っても、もう日が傾き、沈む前なので、ほとんどの生徒は寮に帰っていたため、今ここにいるのは、俺と鈴だけ……。

 

 

 

「それで? 話っていうのはなんだよ?」

 

「それは……」

 

 

中庭にあった円形に形作られたベンチのところ付近で、俺と鈴は足を止め、互いに向き合う。

そして、鈴は俺に話を振られると、一度目をつむり、やがて何かを決心したかの様に、真っ直ぐこちらを見る。

 

 

「ねぇあんたさ、“織斑 一夏” って知ってる?」

 

「ッ!」

 

 

やはりその話題であった。鈴の性格上、あまり回りくどい事を好まない。なら、いずれ箒同様に直接尋ねてくると思っていた。

 

 

 

「織斑 一夏……織斑っていったら織斑先生や千秋と同じ苗字だが……」

 

「そう、千秋にはね、双子の兄貴がいたの。そいつの名前が、一夏なの」

 

「そうか……」

 

 

 

だが鈴は、直接俺が織斑 一夏であるか、聞いては来なかった。何かを確認しているのだろうか……。

 

 

「どうして、俺にそんな事を? 俺も同じ一夏だからか?」

 

「そうね。特に理由はないわよ……ただ、そうあって欲しいと思っているだけなのかもしれないけど……」

 

「どういう事だ?」

 

「………………」

 

 

 

そうあって欲しい……。まぁ、当然俺はその織斑 一夏本人だ。だか、俺はもう “織斑” の名を捨て、今は “更識” だ。

しかし、鈴はそれを知らないし、知らせるにはあまりにも酷な話だ。あの事件の事も、そして、俺がこんな姿になってしまった経緯も、もちろん魔法の事も。

 

 

 

「私ね、あいつと約束したのよ……“今度は私が守ってやる” ってね……。けど、その約束を守る前にあいつがいなくなった……。私が代表候補生になったのもあいつを探すためでね、ここに来たのも、あんたの名前を知ったからよ」

 

「約束……」

 

 

 

昔、確かにそんな約束をした様な気がする。だが、あくまで子供の頃の約束だ……自然と忘れてしまうものだが、鈴は覚えていたのだ…。何の気なしにしたたった一つの約束を。

 

 

 

「ごめん。あんたにこんな話しても、仕方ないわね」

 

「いや、別に俺は構わんが……」

 

「そう? あっ! そうだ! 今度、私と勝負しなさいよ! あんたとは一度やってみたかったのよ」

 

「えっ!? と、唐突だなぁ……。まぁ、機会があればいいぜ。確か、鈴の機体は “甲龍” だったか?」

 

「あら? よく知ってるじゃない。あんたのは “飛天桜舞” だったけ? 中々面白い機体みたいね。今度時間あったら、絶対やるわよ! いいわね!?」

 

「オッケー、わかったよ。ほら、早く戻らないと、織斑先生に怒られちまう」

 

「うわっ! それだけは避けたいわね。なら、早く戻るわよ!」

 

「了解」

 

 

 

この日はここで閉め、共に寮に戻った。途中で刀奈姉に出会い、鈴と一緒にいた所を目撃され、それに対して問いただされた。どうやらたった今、生徒会の仕事が終わったらしく、少しご機嫌斜めだった。その後は、鈴との関係をずっと尋問されたり、虚さんのスパルタっぷりはひどいなどと愚痴をこぼして、一日が終わった。

そして、寝ていた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んッ! …………くッ!」

 

 

 

 

悪夢に苛まれていた。情景は、IS学園のアリーナ。そこに、黒く巨大なIS。白式を纏った千秋と甲龍を纏った鈴が、それに立ち向かおうとしていた……そんな夢。

 

 

 

「はッ!?」

 

 

 

最後に見たのは、逃げている所を発見され、敵ISの攻撃をもろに受けてしまった箒の姿だった。

 

 

 

「 “ナイトメア” ……久しぶりに見たな。あのISは一体……?」

 

 

 

ナイトメア。魔剣トワイライトが見せる、未来予知。その予知は絶対に当たるもので、過去にも任務の前に永遠から見せられ、その夢の内容は現実のものとなった。それも全部。

近くに置いてあったトワイライトから永遠が実体化し、俺の隣に立つ。俺もそれに合わせ、起き上がる。

 

 

 

「永遠、今のは……」

 

「間違いなく、クラス代表対抗戦の時に起こることでしょう」

 

「そうか…。それでも、なんとか止めないとな」

 

 

 

決戦の日。おそらく、今までにないくらい混乱するだろう。なんとしても止めなければならない。更識の者として、この学園の生徒たちを護らなければならない。

決意の焔を胸にしまい、その日は終了した。

 

 

 

 

 

 





次回はクラス代表対抗戦をやろうと思います。

感想よろしくお願いします( ̄O ̄;)

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