IS〜異端の者〜   作:剣舞士

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今回はセカンドの登場まで行きます!


第15話 中国より来たりし龍

クラス代表決定戦翌日の朝。俺、更識 一夏の気分は、一言で言うならば………最悪だった。

 

 

俺のすぐ隣で、俺の体をガッチリとホールドしてスヤスヤ寝ている刀奈姉のせいで、男のプライドを木っ端微塵にされてしまったのだから。撮影会と称した地獄は、三時間にも及び、最初のチャイナ服に始まり、簪が持っていた某騎士王がテレビアニメで着ていたとされる蒼いドレス型の服に中世の甲冑が合体した様なコスプレをし、刀奈姉相手に、「問おう、あなたが私のマスターか?」とか、恥ずかしいから忘れたいとかそんな単純な気持ちでは片付けられない……そう、それはまさに、「あぁ、死にたい…」って思うくらい、俺の気分は落ち込んでしまった。

 

なんだよ「私のマスターか?」って!?

俺がいつ刀奈姉のサーバントになったんだ?! まぁ、俺の過去(女装姿の写真集)という名の無限令呪を刀奈姉が所有しているため、逆らう事は、まず不可能な訳で……。

 

 

 

 

 

「あぁ、今日は平和を祈ろう……」

 

 

 

小さくつぶやき、俺は起き上がる。いつものように顔を洗い、髪を梳かし、着替えて刀奈姉を起こす。そして、マドカ、簪と合流し食堂へ。そこで箒とセシリアとバッタリ出会い、共に食事をとる。箒はもう知っているが、セシリアは初めて会うので、俺の姉妹を紹介する。刀奈姉は目を細め、セシリアを睨んでいたが、セシリアは気にする事もなく、優然と構えていた。

周りを見てみると千秋の姿がなく、箒に尋ねてみたら昨日は夜遅くまで起きて、何か考え事をしていたみたいで、朝食は要らないと言っていたそうだ。

 

 

 

 

「全く、朝食は一日の基本だと言ったのに…あいつは…ッ!」

 

「まぁまぁ、そう言う時もあるって。ほら、俺たちも早く食べてしまおうぜ」

 

「う、うむ…。そうだな」

 

 

 

 

千秋に対して呆れている箒を宥め、俺たちは朝食を済ませて教室へと向かう。今日は朝からISの実習訓練だ。気合いをいれていかないと!

 

 

 

 

 

場所は変わり、IS学園のグラウンド。今日は基本的な飛行訓練だった一組の生徒達は全員グラウンドで整列し、織斑先生と山田先生がくるのを待っている。

 

 

 

「しかし、今更だが一夏、なんでお前のISスーツは女物なのだ? …………はッ! まさかお前、そう言う趣味だったのか?!」

 

 

 

先生達がくる間、箒はずっと気になっていた俺のISスーツの事を触れはじめた。

 

 

 

「ちげぇーよ!! 姉さんに嵌められたんだ!! ………俺だって千秋みたいなのが良かったし、下は千秋と同じズボン型なんだから女物じゃねぇーよ」

 

「ですが、一夏はむしろそちらの方がよろしいと思いますわよ?」

 

 

 

っと、横合いから意見するセシリア。

 

 

 

「いやいや、俺がよろしくないんだよ…。恥ずかしいし、みんなの視線が痛いし…」

 

 

 

そう、あの試合の後でなぜか俺のISスーツ姿で興奮する女生徒達が急増している。と言っても別段俺が迷惑被っているわけではないので、好きにさせているのだが…。

 

 

「この間なんて、鼻血出してぶっ倒れた子がいただろう? あれは流石にやばかったぞ…! もう、鼻血とかそんなレベルじゃないくらい出血してたし……」

 

「まぁ確かに、わたくしも一夏さんの姿を見るのが、あの決闘の時でなかったら危なかったかも知れませんし……」

 

「ええぇッ!?」

 

「今のお前を見て、「男です!」と言われたところで、信じる者などいないだろうな。この華奢な体つきといい、長い髪といい……」

 

 

 

それが一番困る事なんだがな……。そうこうしているうちに、織斑先生と山田先生が到着し、授業が始まった。

 

 

 

 

「えぇ今日は、ISの起動と基本的な飛行訓練を実施してもらう。まずはお手本として……織斑! オルコット! 更識

! 今呼ばれた三名は前に出ろ! ISの起動と飛行を実践してもらう」

 

「「「はい!!!」」」

 

 

 

このクラスで専用機を持っている三人が呼ばれる。まずは起動。そして飛行してからの加速、最後に急降下からの完全停止だ。

 

 

 

「では、わたくしから……。おいでなさい! ブルー・ティアーズ!!」

 

 

 

右手を横に向け、左耳に付けてあるブルー・ティアーズの待機状態のアクセサリーが光る。そして、セシリアの声と共に、全身が包まれ、そこに、蒼い機体を纏ったセシリアが現れる。

 

 

 

「流石代表候補生だな。展開速度も問題なく素早い……」

 

「ふふっ。当然ですわ♪」

 

「だか、その右手はなんだ? お前は横にいる更識を撃つつもりなのか?」

 

「いえッ! そんな事は…。これはわたくしの展開するイメージに必要なポーズでーーー」

 

「ダメだ。今すぐ直せ! 展開してすぐに戦闘……なんて事もあるんだ、そんな悠長に構えている暇はないぞ!」

 

「は、はぃ……」

 

 

 

織斑先生の一言でシュンとなるセシリア。やはり、ブリュンヒルデの一言は重いらしく、あのセシリアでさえ素直に身を引いた。

 

 

「次は織斑、やってみろ」

 

「はい!」

 

 

ふぅーっと一度深呼吸し、右手首にはめられたガントレットを左手でつかむ。そして、そのガントレットに意識を集中させ、その名を呼ぶ。

 

 

「来い! 白式!」

 

 

 

千秋の言葉に反応し、ガントレットが光り輝く。

そして、白い装甲を纏った騎士が姿を現した。

 

 

 

「よし……」

 

「遅い!」

 

「ええッ!?」

 

 

 

今のでも充分早い方に入るが、それでも織斑先生の檄が飛ぶ。

 

 

「熟練のIS操縦者なら、展開までに一秒もかからん。お前も早い方だが、まだまだ遅い! これからは少しでも展開速度を上げる訓練もするんだな」

 

「は、はぃ……」

 

 

 

これまた織斑先生の一言でシュンとなる千秋。千秋も未だに織斑先生には頭が上がらない様だ。

 

 

 

「最後に更識! やってみせろ」

 

「はい! 行くぞ! 飛天桜舞!」

 

 

 

最後に俺がISを展開する。速度は、千秋と変わらないか、千秋よりも少し早いくらいの速度であった。

 

 

 

「ん……織斑より少し早いくらいか……。お前達全員、もう少し早く、癖のない展開ができる様にしておけ……いいな!」

 

「「「はい!!!」」」

 

 

 

織斑先生の一括で締めくくり、次に飛行訓練だ。

 

 

 

「よし。では、これから飛行訓練を実施してもらう。三人共、上昇、それから飛行ときて、最後に急降下からの完全停止をやってみせろ…。目標は地面との差十センチだ。では、飛べ!!」

 

「「「ッ!!!」」」

 

 

 

織斑先生の言葉で一気にブースターを噴かせ、三機共上昇して行く。

 

 

 

「お二人とも、決闘と時も思いましたが、飛行が御上手ですわね。ISの運用がこれで四回目だなんて信じられませんわ」

 

 

そう言いながら、俺と千秋の間を飛ぶセシリア。やはり俺たちは少しばかり異常なのかも知れない……いや、男性操縦者と言う時点で少しばかりか大いに異常、イレギュラーなのは確かか……。

 

 

 

「でも、これってすごいよなぁ〜。どうやって飛んでんだろ?」

 

「そのお話はちょっとばかり長くなりますが、よろしいですか♪」

 

「「いえ、結構です」」

 

「ふふっ…それは残念ですわね♪」

 

 

 

俺の言葉にセシリアが反応し、イタズラな笑みを見せ、プチ講義を開こうとしていたので、丁重にお断りした。

そして、次に加速。全員今出せるトップスピードを出し、空中を飛び回る。

一番速いのは一夏の飛天桜舞で、次に千秋の白式、セシリアのブルー・ティアーズとなった。

 

 

 

「それにしても、一夏さんのIS……その光りはとても美しいですわね」

 

「そうか? ありがとう」

 

「ねぇ一夏、その光りってどういう原理で出てるの?」

 

 

 

セシリアに続き、今度は千秋が俺に尋ねてくる。

 

 

 

「うーん、俺もISの事にそれほど詳しい訳じゃないからなぁ……。今の段階では、“よくわからない” って答えるしかないな」

 

 

おそらく、すべてのISを調べても、ブースターからこんな蒼い光りを放つ機体は、俺の飛天桜舞だけだろう。

しかし、何故この様な光りが出るのかは、わからない。

 

 

 

『よし、それではそこから急降下からの完全停止を実演してみろ!』

 

 

 

そうこうしていると織斑先生から通信が入り、最後の訓練。急降下からの完全停止の実演が下される。

 

 

「では、お先に!」

 

 

 

そう言って、先に動いたのはセシリア。

ぐんぐんとスピードを上げ、地面に衝突するかと思ったが、寸の所で脚部のブースターを噴かせて、指示通り十センチの間を空けて完全停止をやってのけた。

 

 

 

「うまいな……」

 

「まぁ、代表候補生だしねぇ。じゃあ、今度は僕が行くよ! それ!」

 

 

 

続いて千秋が降下していく。セシリア程うまくはいかなかったもののそれでも上手に着地、停止できたものだ。

 

 

 

「よし、最後は俺か! いくぜ、永遠!」

 

 

 

ブースターを噴かせ、一気に降下していく一夏。

なびく薄桜色の髪と、蒼いブースターの光りがなんとも美しい。

 

 

 

(ここです。一夏)

 

(オーライ!!)

 

 

 

永遠の合図の下、脚部のブースターを噴かせて見事に完全停止をやり遂げた。地面との差は、セシリアと同じピッタリ十センチ。

 

 

 

(サンキューな永遠!)

 

(いえ、私の役目を全うしただけですから……)

 

(そんな事言うなよ。助かったんだから……そうだ! 今度何か奢ってやるよ! この前の任務の時も助かったしな)

 

(そうですか……。では、@クルーズの限定パフェを所望します)

 

(うぅ…ッ。うーん…あれって結構高かったよなぁ……うーん……OK…わかった)

 

(ありがとうございます。一夏♪)

 

 

 

いつもと変わらない口調と喋りで会話をする永遠だったが、最後の方は、もろに感情が出ていた気がする。

やはり、魔剣とはいえ、女の子は女の子なんだなぁ〜っと思う一夏であった。

そうこうして、午前の授業が終わり、昼食を挟んで、午後の授業。その開始前に山田先生からお話が……。

 

 

 

「えぇーと、このクラスのクラス代表なんですけども、先日の決闘の結果、織斑くんが代表になりました! みんなで拍手ぅぅ!!!!」

 

 

 

山田先生の言葉にクラスの全員が大盛り上がりで、千秋に拍手を送る。そんな中、千秋は納得がいかないと抗議した。

 

 

「どうして、僕が代表なんですか? 僕はセシリアと引き分け、一夏には負けました。ここは二勝している一夏がなるのが普通じゃ…」

 

 

 

千秋の言う事も最もなので、代わりに俺が説明する。

 

 

「悪いな千秋。言うのが遅れてたんだけど、俺、生徒会に入るよう姉さんに言われててさぁ」

 

「お姉さんから?」

 

「あぁ、俺の姉さんがここの生徒会長をやってるんだけどな、それで俺も生徒会に入れって言われてるんだ。流石に、クラス長と生徒会の仕事の両立は厳しいからさ、千秋…頼まれてくれないか?」

 

「一夏はわかったけど……セシリアは何で?」

 

「それは、わたくしが辞退したからですわ!!」

 

 

千秋の言葉に席を立って思いっきり胸を張って答えるセシリア。

 

 

「先の試合の時も申しましたが、わたくしもあの時は行き過ぎた行動をとってしまったと反省しております。

そして、あの決闘でわかった方もいらっしゃると思いますが、千秋さんは充分、クラス長として相応しい技量をお持ちでしてよ? ですので、わたくしは自分の行為の反省として、クラス代表を降りましたの」

 

 

 

セシリアからも納得のいく説明がなされ、っと言うか、クラスの全員がセシリアの行動に賛同して、千秋をクラス長へと盛り上げている。

 

 

 

「いや〜、セシリアわかってるねぇ〜!」

 

「そうだよー! せっかく男子がいるんだから、盛り上げないとねぇ〜!!」

 

「大丈夫だよ織斑くん! 織斑くんの実力なら、クラス対抗戦だって、余裕だよ!」

 

「デザートのフリーパス券……織斑くんに託したからね!!」

 

「と言うわけだ織斑。お前がこのクラスのクラス長だ。決定した以上、もう一年間は変える事ができんからな?」

 

 

最後に織斑先生の言葉で、やっと納得したみたいで、千秋は快くクラス長に就任してくれた。

 

 

「えぇっと、クラス長になった織斑 千秋です! 精一杯頑張りますので、よろしくお願いします!」

 

 

 

改めて、クラス長として名乗る。それをクラスのみんなは盛大な拍手で迎え入れた。

そして、その後も順調に一日が終わる。

 

 

 

 

 

 

 

「ここがIS学園……。あいつ、元気にしてるのかなぁ〜。それに……」

 

 

学園の校門前、そこに一人の女生徒の姿があった。活発そうなオーラで茶髪の髪をツインテールで結っている。

その女生徒は校門にいた係員に尋ねる。

 

 

 

「あのー、職員室ってどこですか?」

 

「あぁ、じゃあこの地図に従って行って……。歓迎するわ凰 鈴音さん」

 

「あ、あの!」

 

「うん? どうしたの?」

 

 

 

係員は自分の仕事に戻ろうとしたが、再び鈴音から呼び止められる。

 

 

「あの、織斑 千秋ーー」

 

「あぁ! 織斑くんね! 彼、すごいわよねぇ。入学して早々決闘として、いきなりクラス代表になったし」

 

「へぇー……すごいわね…まぁ、あいつならやりそうだけど…」

 

「でも、織斑くんを倒した子がいるのよねぇ。あぁ、その後も男の子なんだけどね。男の子って言うより、女の子っぽくてぇ〜何だか可愛いのよ♪」

 

 

いきなりのろける係員。だが、鈴音からしたらそっち情報の方が重要だった。

 

 

「えっ!? 千秋が負けたんですか!?」

 

「えぇ、その倒した男の子がね、まるで女の子みたいでね可愛くて可愛くてもうぅ〜たまらないのよ♪」

 

「そうなんですか……ちなみに、名前は?」

 

「えぇっと、更識 一夏くんよ。ここの生徒会長をやっている更識さんの弟さんでね」

 

「更識……一夏……一……夏…」

 

 

 

何かを確かめる様に鈴音はつぶやく。

 

 

 

「ありがとうございました。あぁ、あと私が入る二組のクラス代表って誰だかわかりますか?」

 

「へぇ? わかるけど…どうしてそんな事を?」

 

 

すると、鈴音は不敵な笑みを浮かべて係員を見る。

 

 

 

「私と交代してもらおうと思って……クラス代表♪」

 

 

 

 

 

 

放課後の食堂。そこに、一年一組の生徒達があるパーティーを開いていた。

それは……。

 

 

 

「「「織斑くん‼ クラス代表就任、おめでとう!!!!」」」

 

 

 

生徒達の声とクラッカーの音が鳴り響く。

そう、千秋のクラス代表就任のお祝いだ。

 

 

「ありがとうみんな。僕、頑張るよ!」

 

 

みんなが盛り上がっている中、食堂の入口からまた新たな生徒が入ってくる。

 

 

「はいは〜い新聞部で〜す!! 噂の専用機持ち三人を取材にきましたぁ〜!!! はい、これ名刺ねぇ〜」

 

 

 

と言って俺と千秋、セシリアに名刺を渡してくる生徒。

名刺を見ると、『新聞部部長 黛 薫子』と書いてあった。

しかも、制服のリボンの色が刀奈姉と同じ黄色のリボンであるため、先輩だと言う事がわかる。

 

 

「僕たちの取材って言うと?」

 

「今君たちは注目の専用機持ち三人だからねぇ〜。それにもうすぐクラス代表戦だから、織斑くんは期待AND注目の的ってわけ♪」

 

「は、はぁ……」

 

「と言うわけで、早速取材いい?」

 

 

 

黛先輩はポケットから小型のレコーダーを取り、取材の会話を録音していく。そこは本格的なのだなと思ってしまう。

 

 

「じゃあ早速、クラス代表になった感想とかは?」

 

「えぇっと……精一杯みんなの期待に答えられるよう、頑張ります!」

 

「うんうん! いいねぇ〜まさに男の子って感じだわ!」

 

「ありがとうございます」

 

「じゃあ次に、クラス対抗戦に向けて、一言! お願いします!」

 

「えっと、絶対優勝します!」

 

「おおぉ!!!! いい顔つき! これは期待できそうね」

 

 

 

それじゃあ…っといって、今度は俺とセシリアに顔を向ける先輩。今度は俺たちへの取材か?

 

 

 

「更識くんは、織斑くんにもセシリアちゃんにも勝ったんでしょう? なんで代表降りたの?」

 

「えぇっと、実は姉から生徒会に入るよう言われてまして……」

 

「あぁ、なるほど。既にタッちゃんに取られてたってわけね」

 

「タッちゃん?」

 

「ん? あぁ、タッちゃんって言うのは、あなたのお姉さんの事。楯無だから、タッちゃん! それに、この学園では友人同士だしね」

 

「へぇー、そうだったんですか…」

 

「それじゃあ、早速更識くんにも取材、取材!」

 

「あ、はい……」

 

 

 

そして、俺への取材が始まったんだが……。

 

 

 

「ズバリ! 更識くんは女装に興味ある?」

 

「…………」

 

 

先ほどまで満面の笑みを浮かべていた一夏の顔に、ものすごい陰りが出てきた。それでも、笑顔なのに変わりはないのだが……。

 

 

 

「あ、あのぉ〜更識……くん?」

 

「先輩、いくら先輩でも、怒りますよ?」

 

「ひいぃッ!!」

 

その一言と同時に、ものすごくドス黒いオーラが一夏から放たれる。そして全員思った……一夏は絶対女装が似合うという事と、この話には、絶対に触れてはいけないんだと。

 

 

 

「じょ、冗談よ! 冗談! 本当はこっち! これからの学園生活をどうやって過ごしたいですか?」

 

「うーん……。とりあえず平和に暮らせたら……いいなと思ってます……あはは……はあ〜」

 

 

 

怒っていたかと思いきや、今度は極端に暗い顔をし、俯く一夏。その顔は、少し諦めの表情になっていた。

 

 

 

「あははは………。じゃ、じゃあ最後にセシリアちゃん! 今後の意気込みを!」

 

「そ、そうですわね……一夏さんと千秋さん……この二人と共に切磋琢磨しあって、己を高められればいいなと思っております……そして、一夏さんとは、その……アァン♪ いや、それはダメですわ! わたくし♪」

 

「お、お〜いセシリアちゃ〜ん! 戻ってこ〜い!」

 

 

 

こうして、三者三様の取材が終わり、最後にみんなで記念撮影を撮った。

セシリアを中央に、右に俺、左に千秋。そして、それを取り囲むようにパーティーに参加していたみんなが集まる。

やはり、こういった思い出はいいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、学園の一年の間で、ある噂が流れていた。それは……。

 

 

 

「あっ! 織斑くん、更識くん! おはよう。朝の噂聞いた?」

 

「噂? 何それ」

 

「なんでも、二組に転校生が来たんだって!」

 

「しかも、中国から!」

 

 

 

クラスで騒ぐ女子たちに、千秋が噂の内容を聞く。どうやら、お隣の二組に中国からの転校生が来たとか…。

 

 

 

「この時期に転校生って…ここじゃよくあるのか箒?」

 

「いや、そんな話聞いた事がないな」

 

「わたくしもですわ。しかし、そんな事が出来る人種は限られていると思いますわよ?」

 

「出来る人種?」

 

 

 

箒に聞いてみたもののわからず、セシリアはどうやら感ずいたようだ。そんなセシリアに箒が尋ねる。

 

 

 

「つまり、セシリアと同じ代表候補生だって言う可能性である事は確かじゃないか? もしくはそれより上の国家代表か…」

 

「流石は一夏さんですわね♪」

 

 

ニコッと微笑むセシリア。それを見ていると、箒からものすごく睨まれた。なんで?

しかし、中国の代表候補生……。以前更識のデータベースを覗いた時、俺たちと同い年の候補生はいなかったはずだが……。といっても、二年前に見たデータで、今のデータはまだ目を通していない。なので、この二年の間に早くも代表候補になり、専用機を与えられた人物が、ここに来る。一体どういう人物なのか。

それに、中国……。一夏の頭の中に一人の少女がよぎる。何かと付け回り、あーでもないこーでもないと話していた記憶がある。おそらく、あの頃……小学生時代の地獄のような時期で箒以外で唯一俺の事をわかってくれた奴だった。今は何をしているのか……。

 

 

「でも、今のところ専用機持ってるのって、一組と四組だけだし!」

 

「そうそう! それに、織斑くん強いし! 安心だよね」

 

「その情報古いよ!」

 

 

 

そんな事をクラスの子達が話していると、ふと入口から声が。その声は、一夏もそして、千秋も知っている声であった。

 

 

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には勝たせてあげないんだから!」

 

 

入口で仁王立ちになり、腕を組んでいる小柄な茶髪ツインテールの少女。

 

 

 

(あ、あいつは……まさかッ!)

 

「鈴!? お前…鈴なのか?」

 

 

 

俺と千秋は驚きを隠せず、一瞬固まってしまった。そして、千秋が確認をとる。

 

 

 

「そうよ! 中国の代表候補生 凰 鈴音! 今日は宣戦布告に来たってわけ!」

 

 

 

ビシッと指された人差し指が千秋に向けられる。堂々たる姿で現れた『龍』が、今降臨した。

 

 

 

 

 

 






あともう少しで12月ですねぇ〜(。-_-。)

一年って早いなぁ〜と思う今日この頃…。
早く、ISの新刊でないかなぁ〜…剣舞の新刊でないかなぁ〜


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