いつだってそうだ。
予定なんていつ、ずれるかわからない。
予定通りいくことなんてあまりない。
今日だってそうだ。彼女は魔力の関係から次の日は大人しくしていると思ってた。
だが違った。
彼女は俺達の予想をことごとく裏切った。
なんとも皮肉なもんだ。軍規を守らないような奴を手配したと言うのに常識にすら縛られないとは。
お掛けで何とか間に合うはずだった作戦も完全におじゃんだ。しかたない。プランBだ。マロニーの後手になるが最後は勝てばいい。
それにしても中佐にはよく働いてもらった。
いままで、散々だった501をこの最高な形にまで仕上げた。俺の無茶だって聞いてくれた。迷惑をかけたな。きっと指示書だって読めばすぐ理解してくれるはずだ。
後、あいつもそうだった。いつだって作戦をこなし、帰ってきた。
それに今は彼女もいる。
人は変わるものだな。
さて、俺が出来るのはあいつに今知っている情報を伝えるのと、作戦実行の命令を下すことだ。
コードネーム:ウォーロック、か。機銃とビーム両方を使えて、変形もできるのか。
システム軍団が泣くな。
そして、コアコントロールシステムだと?しかも5機必要なのか。
まぁ、今となってはあいつに渡す以外使い道はないな。
指揮官として、やるべきことをやる。
端末をとり、連絡をとる。
1コールで応答があった。
「作戦を伝える。」
行ってこい。
『作戦を伝える。』
すでにスタンバイ状態だったので、すぐ連絡がとれた。
『先程、宮藤が脱走した。501には彼女の撃墜命令が下ったそうだ。中佐のことだから追いかけはするだろうが、撃墜はしないはずだ。マロニーは必ずそこに漬け込む。総じて501を解散させるだろう。だが、俺はそれにあえて乗っかる。
ウォーロックには重大な欠点がある。詳しくは後で送るがお前には前に1機撃墜してもらっていて本当に助かったよ。
マロニーは必ず作戦を成功させる必要がある。何てったってもう奴は後には引けない
イレギュラー要素のせいで動き始めてしまったからな。なら、奴のすることは1つ。ウォーロックの有効性を証明すること。それしかない。だが、恐らくは無理だろう。最高の機材をもつgarudaにだって解析が無理だったコアを扱えるとは思えん。
暴走して、終わりだろう。暴走したなら、破壊せねばならん。その役目は501に行って貰う。
君の任務を伝える。彼女たちのお膳立てをしろ。こいつは彼女らに破壊してもらわなければならない。お前さんには辛いかもしれんな。表舞台にたてないもんな。だが、やって貰う。
命令。501を監視、場合によっては援護しろ。別命は追って指示する。』
「了解。1人でやった方がいいか?」
『お前さんに任せる。』
「わかった。必ず成功させる。」
『数日に渡って行われるかもしれん。気を付けろよ。じゃあな。』
通信は切れた。
「ウィルマ、今は待機していてくれ。どうせまた戻ってくる。」
「というと?」
「一度監視に着いた後、彼女らも帰る。そうして、再び501が動き出したらウィルマにも来て貰う。それでいいか?あと、もしかしたらワイト島にも出撃命令が下るかもしれない。隊長にも伝えておいてくれ。」
「わかった。待ってる。」
ちっちゃく手を振ってくれた。手を振り替えす。
それじゃあいきますか。
離陸。まずは高度を上げて高高度から宮藤らを監視する。
20分後発見。
前に逃がしたネウロイと飛んでいる。その後ろ20kmを501が追いかける。
宮藤らが向かう先はネウロイの巣か。まさか、本当に招き入れるとはな。
501が止まる。宮藤は遂にネウロイの巣に侵入した。
レーダーから宮藤をロスト。
さてと、これから敵さんはどう動くのか。
そのまま監視を続けて10分後、高速接近するUnknownを確認。以降ウォーロックと呼称。
今は手出しをしない。今はウォーロックの本当の実力を見るときだ。
レーダーに新たな反応、さっきのネウロイか。
攻撃開始。
ウォーロックがネウロイに対し機銃攻撃。
ネウロイロスト。
直後新たな反応、同じネウロイか?
ネウロイが攻撃、今までより遥かに多いレーザー攻撃。
よく501の連中も避けるもんだ。
ウォーロックがシールドを使い、レーザーを防ぐ。
エネルギー収束反応。やるのか?
ウォーロックがネウロイに攻撃。
ネウロイをロストする。
レーダーに友軍機、宮藤か。
ルッキーニが回収に向かう。
ウォーロックはコンバットエリアから離脱を開始。本土へ向かう。
501のやつらも帰投を開始。
「ジャック、宮藤がネウロイと接触した。それとウォーロックの戦闘データもある程度回収した。これより501を追跡調査。ひとつ頼みで滑走路に水を8割位満たしたバケツをたくさん置いておいてくれ。」
『バケツ?わかった。指示を出しておく。』
「頼んだ。」
その後、マロニーが到着との連絡が入る。
こちらも計画通り追いかける。
501の奴等も帰投。
俺は高度を下げて顔がカメラで確認できるほどまで下げる。各種センサーを全てがしたの会話に集中させる。
501の連中とマロニーが会話を開始。
口の動き、近くに置いておいたバケツの表面が彼らの会話により若干動くところを精密に、確実に読み取り文字化する。ただ、さすがにすべては無理のようだ。
『501の解散はきみのせい』
『私は見た、ネウロイの巣………ネウロイのコア……』
『………………中佐、君は命令に………』
『本日を持って501は解散とする。………』
ビンゴ!
「ジャック、確認した。マロニーは501の解散を宣言した。」
『よくやった。一旦帰投しろ。プランBを開始する。』
「了解。」
ワイト島とに帰投する。
すると隊長達が走ってきた。
「お帰り、あのね大変なことになったの!」
「501のことか?」
一様に驚いた顔になる。
「バーフォードさん、どうしてそれを?」
「秘密だ。それより、何か変わったことは?」
「今のところは。」
「わかった。隊長、いつ出撃命令が来てもおかしくないから注意してくれ。数時間以内に来るかもしれん。」
「もう、出来てるわ。」
「ならよかった。それじゃあ一旦休ませてくれ。続きは座りながら話がしたい。」
そして、一旦食堂に移動する。
一様に落ち込んでいる。
「なんで501が解散に?まだ、ガリアも解放されてないのに。」
アメリーが聞いてくる。ガリア出身の彼女には気になるだろう。
「詳しくは話せないが上の事情だよ。」
「そんな。」
「ここはどうなるの?」
フランもいつもに増して不安になってるみたいだな。
「まだわからない。ただ、上はウィッチなしでガリアを制圧しようとしている。ということはここも無くなる可能性が高い。」
「そんな!」
「どうにかならないんですか?」
「あぁ。普通の方法じゃあな。」
一堂首をかしげる。
「どういうことですか?」
「1つみんなに聞きたい。君たちはこれからの未来のため、501のため、そして、ここにいる仲間のために戦えるか?命を落とすような激戦が待っていようとも。」
静まり返る。
「私は。」
隊長?
「私は、最初ここに左遷されたんだと思ってずっと落ち込んでた。みんなとも上手く会話できなくて、悩んでた。けど、ウィルマさんやバーフォードさんのお陰でいろんなことがわかった。たくさんみんなと話して色んな事を知った。知らない世界や戦いかた、ハーブティーの淹れかたもね。扶桑にいたころとは別の何か大切な物をここで学んだ。だから、ここが無くなるのになにもしないなんて私はやだ。抗えるのならとことん抗う。だから、私は行きます。」
「私も!ウィルマさんは私に自信をくれました。ここがなくなるなんて嫌です。」
「あたしだって嫌だ。戦えるのなら戦って守りたい。ワイト島とみんなと一緒にいたい!」
「わたしも。ようやく何のために空を飛ぶのかわかった気がするし。ここが無くなるなんて嫌だ。」
「だってさ。リョウ。私は………、言わなくてもわかるよね?」
「なんですかそれ!?以心伝心ってやつ?」
「見つめあえば何でも解っちゃうんですか!凄いです。」
「落ち着けて。解った。皆の気持ちはわかった。あとは……」
突然電話が鳴る。なんだよ、せっかくいい雰囲気だったのに。隊長がでる。
「はい、ワイト島分遣隊ですはい…………はい、え?なんで!?…………そんな。………はい。…………わかりました。」
「なんですって?」
「現在時刻を持ってワイト島分遣隊を解散するだそうです。」
「「「!?」」」
「やはりな。さて、皆の覚悟はわかった。聞いてくれ。それじゃあ、俺たちがやるべき事を説明する。俺たちがやるのは赤城の護衛だ。」
「?またですか?」
「そうだ。赤城はこれから扶桑に帰るところだ。しかし何を考えているのか護衛もつけていない。絶対にネウロイの餌になる。ここで赤城を失うわけには行かない。そして、並行して他の部隊が501基地奪還に動く。501が来るまで赤城を守りきる。もちろん、解散命令無視で行く。それでも行くか?」
全員がうなずく。てか、俺が隊長みたいになってるな。
これが終わったらあとは任せるか。
「ありがとう。さて、俺も覚悟を決めるか。」
そうして、腰から拳銃を取りだし初弾装填。
困惑しているなか、俺は銃を向けて5発発砲。
パン!パン!パン!パン!パン!
すべて彼女達の脇を通りすぎる。
「どうせ、終わったら君たちは軍法会議だ。命令無視だもんな。君たちは一人の男に拳銃で威嚇射撃を受けて脅されて仕方なく従った。そういうことだ。解ったな?」
「ちょっと、それって?」
「責任は俺がとる。皆は気にせず戦ってくれ。」
「まさかあんた!」
「死ぬつもりじゃないよ。ただ、ワイト島の皆は初めから俺の事をすぐ受け入れてくれた。君達がいなければ俺は今頃くたばっていたかもしれない。こんなので借りを返せるとは思っていない。だから、これは俺の我が儘だと思ってくれ。」
「そんな…。」
「まぁ、一人の男がカッコつけた結果だと心のなかで割りきってくれ。それより、もう時間がない。ウォーロックは巣に向かったらしい。急がないと。」
「バーフォードさん。」
「?」
「ありがとう。私達のことを思ってくれて。」
「………お礼は終わってからしてくれ。それじゃあ、隊長、号令を。」
「わかったわ。伝達。これよりワイト島分遣隊は司令部の命令に背いて赤城の護衛に向かいます。みんな。これが最後の出撃になると思う。みんなで怪我せずにまたここに戻りましょう!」
「「「「「了解!」」」」」
「あと、バーフォードさん。終わったらちゃんと全部私たちに話してくださいね?」
「約束する。」
いこうか。
様々な決意や覚悟をを胸にハンガーへ6人は向かう。
ワイト島分遣隊、最後の作戦が始まる。
何とか投稿できた。
明日でアニメが終わります。