妖精の翼 ~新たなる空で彼は舞う~   作:SSQ

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第18話 今年最後の2週間

 

各国が秘密裏に動き出した。

廃墟に向かうトラックを逐一監視したり、出入りする者の顔を記録したり、電力の消費量を監視したり等と様々なことが行われている。

その結果大まかな全体像が見えてきた。

航空機は最低でも1、予備を含めて5機程度と思われる。

ただ、ほとんどが試作機と思われ、実戦投入はまだ先かと。

機体の形状は、機体があるところが常に閉まっているため確認できないが、影を観察することで大まかな概要は判明した。

機体の大きさは普通の航空機程度、時々エンジン音がするため専門家に調査させたところ、ジェットストライカーとのこと。少なくともレシプロではない。

既に機体事態は完成していると思われる。

ただ、決定的な証拠はいまだなし。

詳細なスペックも不明。

基地潜入を選択肢に入れるべきかと。

 

「以上が報告になります。」

「ご苦労。下がっていいぞ。」

「失礼します。」

部下の報告を受けて、ため息をつくジャック。

尻尾がつかめない。だが、こちらも負けるわけにはいかない。あちらがブリタニアを味方につけたならこちらは欧州だ。各国は既にブリタニアとの交渉の場でも圧力をかけ始めている。裏に俺がいることは解っているのだろうか?

いや、こっちもいろんな場所に掛け合っているからな。

どっちもどっちか。

もうすぐ、今年も終わる。

勝負は来年に持ち越しだな。いっそのこと試験飛行でもしてくれればいいのにな。しかし、あちらがネウロイのコアを持っているのは痛い。garudaに偵察させようにも長時間とどまっていれば気づかれる恐れがある。ネウロイが電波を使って索敵している可能性が高いとはいえ、探査系のウィッチがいたら、たちが悪い。現にメイブですら、発見するようなやつらだ。電波ではなく何で索敵しているのかが気になるな。

マロニー、お前が何を考えているのかはわからん。その計画を進める真の目的がウィッチの為ではなく世界の空を掌握するためなら、俺は容赦はしない。覚悟しておけよ。

 

気になるな報告も入ってきた。

最近、ネウロイの動きが活発化してきたらしい。ワイト島ですら出撃回数が増えているようだ。

まさか、あの計画が次のステップに移行した?

ネウロイのコアを使った実験を本格的に進めた結果それに呼応してネウロイが飛んできている?

なら、厄介だな。彼女らがそう簡単には落ちるとは思っていないが、早急にに進める必要があるな。

ただ、人員を送れば解決するわけでもないのがもどかしいな。501には司令部に報告しているのとは別にネウロイの特徴を詳細に記録したものを作ってもらっている。

負担を増やすわけにはいかないが、やってもらうしかないので謝るしかない。感謝でもしたいが繋がりをばらすわけにはいかないので、それはいつもの交換する書類に書いておく。

さて、どちらが先に出るかが勝負の鍵だ。

負けるわけにはいかない。

 

今日はウィルマと哨戒飛行だった。

いや、今日もか。あの日以来隊長が変な気を使ってくれてほとんどがウィルマとの哨戒飛行だった。

まぁ、ネウロイがいない時はほとんど訓練に費やしている。

最近はネウロイの出現数が増えてきている。噂じゃ、ブリタニアがネウロイの総攻撃を受けるのではとか聞いたが、ジャックはあの計画が関係していると見ているらしい。

まぁたぶんそうなんだろうな。

話を戻そう。小型のネウロイの攻撃ならまだシールドを使えば防げるがそれもいつまで持つかわからない。なので、空中戦闘起動を主に教えている。

自分でも厳しめにしているつもりだが必ずついてきてくれる。

それが妙に心地よい。

かなり無茶な起動をとったかな思って後ろを見たらちゃんとついてきていて驚いた。

ただ、それはあくまで訓練でのこと。実戦となると、まだ見ていて危うい。無意識のうちにシールドを張っていることもある。

ただ、ちゃんと最後は落とせているので今後に期待と言うところか。

「どうだ、体もユニットも問題ないか?」

まぁ、木の葉落としをなんなくやっちゃうくらいだから体自体にはダメージはないだろうが疲労があるからな。

「いまは平気。それより、私の動きはどうだった?」

「まだ、全然だめだ。たまに俺が後ろを向いて銃を構えたら無意識にシールドを張ろうとしているだろ?

「ばれてた?」

「ウィルマは分かりやすいからな。」

「むぅ。」

「まぁ訓練で出来ないのなら実戦では絶対できないと思った方がいい。あとこれからは攻撃しながら連携を行うことを忘れないでくれよ。」

「わかった。」

こうして、今日の飛行は終わった。

 

基地に帰って隊長に報告。

終わったらすぐに整備にかかる。次の飛行は2日後。

それにしても、あと5日でクリスマスか。

…………いつもお世話になってるし何か買った方がいいのだろうか。貯金もあるな。

時間がたつのが速く感じる。歳をとったせいかな。

明日、ロンドンにまたいくからその時に何か買うか。

 

次の日

いつも通り書類を取りに向かった。

ジャックから更新された情報を確認し、明日の深夜フライトで渡す書類を受け取って解散になった。

今日はいつもより早い。まぁそっちの方が有難い。

さて、何にしようか。

隊長はお茶かな。アメリーはハーブか。フランは…………あいつアメリカ、もといいリベリオンだから飴か。ラウラはクッキーかな。部屋でボリボリ食ってそう。

さて、ウィルマはどうしようかな。

あいつには世話と迷惑をかけたし。これからもしばらくは一緒だからお守りかな。

いろんなところを回っていると、お守りを売っていた所を見つけたので入ってみる。最初に目に飛び込んできたのが

ウサギのチャームだった。"ラビット・フット"ちょっと怖いので却下。

チャームか。色々あるな。翼(上昇、飛躍)か十字架(力を与える、永遠)どちらにしよう。

悩んだ結果弾き出した答えは………

まぁ、両方でいいかな。お守り何個もつける人だっているしいいかな。会計を済ませて店を出る。

さてと、次は………お片付けか。

前は警告も兼ねてくどいやり方をしたが、次はもうないよな。買ったお守りをポケットに入れて走り出す。

相変わらず追跡が下手だ。走って路地裏に入ろうとするとすぐ走って追いかけてくる。

路地裏の角で来るのを待つ、足音は2つか。

3

2

1

今!

思いっきり右手でラリアットを仕掛ける。

敵がテレビにでも出れるんじゃないのってくらい面白い転びかたをした。そのまま回転して左足でもう一人を蹴ろうとしたらバックステップで回避された。

敵が腰の後ろに手を回す。

銃か?ナイフか?フェイクか?

こちらは1歩踏み込む、見えたのは銀色に光るナイフ。

突き刺してきた。

体を少し右に捻り突きを回避。ナイフは腹と二の腕の間を過ぎていった。そのまま敵が勢いで突っ込んできたので敵の手から肘にかけ手を腋で、肘から方にかけ手を左手で固定。そのままちょうど壁が近くにあったので右手で敵の頭を壁に叩いて、いつものように関節技で拘束。地面に押さえつけて、敵のナイフを拾い首に当てる。

ラリアットの方は頭を地面に打ち付けて気絶中。こっちはってあれ?まさか、今ので気絶?

どうしよ。まぁ、いいか。ボディーチェック。

身分証の類いは見つからなかった。仕方ない、放置しておけば誰かが通報してくれるだろう。身

元を引き取りにきたやつを探ればいいし。

ちなみに、警察はこっち側の人間だ。なんでも長官の娘がウィッチらしい。昔は子供を見せあったくらいの仲なんだとか。まぁ、あとはあっちに任せるか。

チャームも落としてないし、書類は無事。盗まれたものはない。それじゃあ、買い物にいくか。

2つの気絶した男を放置し、商店街に戻る。

必要なものを買って基地に戻る。ベッドの下に隠してナイトフライトに備えて早めに寝る。

 

0310

ランデブーポイント

「何か、変わったことは?」

「ネウロイとの交戦が以前より増えました。ただ、他の地域ではそのようなことは無いとのことなので、ガリアの巣の動きが活発化していると見るべきかと。」

「ダウディング大将は計画が進んだため、ネウロイに何らかの影響を与えているのかもしれない、とのことだ。これからもさらに増えるかもしれない。」

「わかりました、伝えておきます。あとは?」

「特には、次も5日後でこの場所で。」

「了解です。」

さて、帰投するか。

帰投中、不明なレーザー照射を探知。

敵には捕捉されてはいない。

方向は方位310

マロニー一派の廃墟方面だな。

だが、ジャックからそこは飛行禁止との指示があったため帰投。

これは、報告ものだな。

 

帰投後、すぐ寝る。午後からはまた哨戒飛行だ。

0900

起床、とっておいてくれた朝御飯を食べて整備を行う。短時間の飛行だったとはいえ、一応な。

1300

哨戒飛行開始

「今日もナイトフライトだったんでしょ?疲れてない?」

「睡眠もとったし、飯も食ったし問題ない。」

「そう?なら、今日もよろしくね。」

「あぁ、今日もシールド張らないようにしろよ。」

「善処するね。」

こっちはレーダーがあるからそんなに動かなくても探知出来るからその分訓練に費やせるのは助かる。

そして初めてから30分後。

コンタクト

方位165距離45000Angle3 反応の大きさから大型1小型2かな。

「敵だ、インターセプト!」

「了解。」

「Master arm On.」

武器のセーフティーを解除、急行する。

高度はこちらが上、下に3機を見付ける。

「いくぞ、ウィルマ!小型は任せた。engage.」

「了解。」

熱源確認、ファイア

カチ、なっ!

慌てて敵の攻撃を回避し、横を通りすぎる。

「どうしたの!?」

「不発弾だ。すまない、次は仕留める。」

しかし、そこでウィルマがこっちに意識を向けていることに気づく。敵は!?

「後ろ、回避しろ!」

返答もせず、すぐ回避。しかし、それでウィルマが体勢を崩す。まずい!

出力最大、後ろからウィルマを引っ張って一時離脱しよう、という思考が働く。

敵が攻撃体制に入った。間に合うか?

そして、敵の射線にウィルマが重なる。攻撃と、回収。どちらを行う?

答えは決まっていた。

銃を背中に回す。

最大速度でウィルマを両手でホールドしてそのまま上昇。

その瞬間、左の脇腹に激痛が走る。

ネウロイのレーザーがか擦った。

ライフルの先端が溶けた。

気にせずそのまま上昇。

「ウィルマ、無事か!」

「大丈夫だけど、バーフォード、その傷は!?」

「かすっただけだ。」

どっちかといえば抉られたの方が近いかも。ただそこまで深くないのかひどい出血ではない。

「なんで、どうして………」

「それはあとにしろ。とにかくウィルマは、離脱しろ。それと銃を貸せ。あとは俺が何とかする。」

「その怪我で!?無茶だよ!」

「聞け!これは、命令だ。俺が戦った方が生き残れる。」

無理やり銃を掻っ払い、ウィルマを放す。

ブレン機関銃か、残弾確認、問題なし。

さて、落とし前はつけてもらうぞ。激痛を無視して空を飛ぶ。

まず、小型から。熱源確認、ファイア。

10発じゃあコアが露出するだけか、そのまま5発撃ち込んで撃墜。

大型からのを回避。こいつはあとでだ。

最後の小型に狙いを定めてファイア。

撃墜。残弾あと20。

予備は無いからな。

さて、どうしたものか。

接近するしかないか。どうも威力不足が否めないからな。

よくこんなので戦えるもんだ。

それにしても、よく動く。ちょこまかと。しかも遅い。

なら、速度を上げて一気に追い抜く。

追い抜いた直後に、急減速。

レーザーを回避し、敵さんが追い付く頃に再び加速して、高熱源部位に銃口を向ける。

距離10

ファイア

12発目でコア露出。

残りの8発でコアを貫く。

そのまま、加速。

破片に巻き込まれないように離脱する。

ふう、どうにかなったな。

 

 

Contact

方位168数4 IFF Unknown

どっちだ?と思ったら通信が入ってきた。

「こちらは501所属の坂元少佐だ。そちらが救援要請を行ったらウィッチか?」

「坂元少佐?いえ、私は救援要請は出していませんよ。(なら、ウィルマか?)」

「ん、その声はワイト島のバーフォード大尉か。どういうことだ?」

「救援要請を受けてくれたのは有難いが、ネウロイはこちらで片付けた。おそらく、こっちで先に離脱したやつが出したのだろう。申し訳ないな。」

お互いが目視できるまで近づいてきた。4人か。

「ところで大尉、その血は?」

「すこし被弾してな。血の量からして問題ない。出血もだいぶ止まったみたいだし。それでそちらは?」

「平気ならいいが、こちらは」

「エーリカハルトマン中尉です!よろしくね!」

「フランチェスカルッキーニ少尉、だよ?」

「シャーロット・E・イェーガー大尉だ。よろしくな。」

これはまぁ、個性的なメンバーだ。あのハルトマンにちびっこに最速のイェーガーか。

「それ、ジェットストライカーユニットか?どれくらいの速度が出るんだ?」

「すまないが軍事機密だ。だが、レシプロよりは速いとだけ言っておこうか。」

「1人で3機落としたの?凄いねー。さすが噂の大尉だ。」

「噂ってなんだよ?」

「坂元少佐がすごい男のウィッチがいるって話してくれたからどんなのかなーって思ったら予想以上だよ!」

もし、この娘がハルトマンなら少し嬉しい。

「そりゃどうも。少佐、いったい何を話したんだ?」

「赤城防衛戦での事だ。ダメだったか?」

「別に、では俺はこれで。怪我の治療もしたいので。」

「501の方が近いんじゃないの?」

「501はめんどくさいからな。それにこいつならさほど変わらん。」

「なぁ、どれくらい「そうか、わかった。」」

イェーガー大尉を少佐が無理やり遮る。

「それじゃあ、また空で会おう。」

「ではな。」

501と別れる。

ウィルマのやつ、援護要請を出してくれていたのか。俺のことを思ってくれたのなら嬉しい分すこし気恥ずかしいな。

それにしてもなんで、守ろうとしたんだろう。先に落とした方が結果的には良かったのかもしれない。

ふととある映画のワンフレーズを思い出す。

俺の今までの疑問やジャックの言ってたことをすべて解決させるような一言を。

 

『惚れた女を守るのが男ってもんだ。そうだろ?』

 

すとんと、何かが落ちた。

納得だ。どうして、守ってあげたくなったのかわかった。

ジャックにはすべてお見通しと言うわけだったのか。

こうして帰路に着く。

 

 

レーダーに5機の反応。

IFFは味方、ワイト島のユニットの反応を示していた。

 




彼の体術はゴルゴ13を参考にしています。え?何でかって?最近はまってるからです。
501がまた出てきた。
次話くらいで年越しする予定。
予定だよ。

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