妖精の翼 ~新たなる空で彼は舞う~   作:SSQ

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実はとんでもないことに気づいてしまった。
ウィルマ視点が嫌な人は途中から飛ばすことをおすすめ。



第17話 ウィルマの憂鬱

Another view -SiedBishop-

それは前日まで遡る。

彼が電話で私の事を話していたのを聞いた数日後。

太陽の光が差し込んでくる。今日も天気はいいね。

いつも通り朝御飯を食べて、洗濯物を干したあと一旦部屋に戻る。

ふと見ると、机の上にコインが置いてあった。

確かこれは前に2人でロンドンに行ったとき、チョコを買ったときのお釣りだ。上着に入れっぱなしだったから置いておいたんだっけ。

手のひらに小さなシールドを展開して、コインを浮かせる。時々こうやって遊んでいるのだが、なんかいつ見ても神秘的だと思う。

だけど、今日は違った。

コインがシールドをすり抜けて落ちていった。

コン。

あれ?

おかしいと思いもう一度試しても同様に落ちてしまった。

まさか、"あがり"?

おかしい、体感だとあと半年以上は持つと思っていたのに。それから10回以上試しても全てコインは落ちていった。頭の中が真っ白になった。

そんな、何で?

足の力が抜けて座ってしまった。

ようやく、この人となら一緒に空を飛びたいという人を見つけたのに。まだ、一緒に一度も作戦に参加してないのに。

そんなのって………ないよ。

そうだ、一度彼に相談してみようかな。

今は出払っちゃっていないけど、帰ってきたら言ってみよう。

何でも話してくれって言ってたし。何かアドバイスをくれるかもしれない。

とりあえず、今日はやることをやんなきゃ。

体に鞭打って無理やり動かす。

けれど、彼はちょうど私が買い出しに行ている間に帰ってきてそのまま寝てしまったらしい。深夜には任務もあるとの事。

裏切られた気がした。

いつでも聞いてくれるんじゃなかったの?

よりにもよってこんな大事なときに聞いてくれないの?

晩御飯も体調不良ということで食べなかった。

もしかしたら、もう魔力が限界なのも気付いていて意図的に距離をおいている?

…………………そうか。

なんだ、私の勘違いだったのか。

優しくしてくれたのはそのため?

なら何となく全ての説明がつく。

作戦に私が呼ばれずに彼だけがいつも参加してたのもそうだったのか。

毛布にくるまって外を見てみたら月が綺麗だった。今の私とは大違い。

見に行きたいけど、外は寒い。格納庫に行けば寒くないよね。

時計を見たら日付が変わっていた。

扉を少し開けて格納庫の隅でくるまりながら空を見る。

星がよく見える。いつもは気にしなかったけどこうしてみてみると綺麗。

どれくらいたっただろう。足音が聞こえてきた。

入り口から彼、バーフォードが入ってきた。暗くて気づいていないのかな。

心のなかで別の私が叫んでる

"どうして、気づいてくるないの?"

せっかく会えたから少し話がしたい。そう思って後ろから近づく。

彼が急に後ろを振り返り、

目があった。

とりあえずにか話さなきゃ。

「また、作戦?私抜きで?」

どうして、こんな喧嘩腰になっちゃうんだろう?

「すまない。」

謝ってくれたけど、私が聞きたいのはそんなことじゃない。

「私ってお飾り?」

「そんなことはない。」

否定されても嬉しくない。

もっと別の言葉がほしい。

「けれどジャックからの依頼でつれてけない。」

ここで、私のなにかが切れた気がした。心の中に留めておこうと思った言葉を言ってしまった。

私が一番あなたに聞きたいことは

「私って信用できない?私はこんなにも信頼しているのに!」

魔力がもしかしたら、限界に近いかもしれないことを隊長さんにではなくまず最初にあなたに話したかった。

いつでも、話してくれっていったじゃん。

なのに、なんで遠いの?

もっと近くにいてほしい。

涙が出そうになる。

 

すると突然抱き締められた。

えっ?な、なに?

「信頼してないやつなんかに僚機を任せるもんか。」

なんか、一瞬心の隙間が少し埋まったきがした。

そしてその一言で救われた気がした。

けど、まだ言ってしまう。

「だったらなんで!」

「巻き込みたくない、巻き込むことで失いたくない。けどこれ以外だったらまた飛べるはずだ。」

「本当?」

私、単純だから信じちゃうよ?

わたしのことを想ってくれてるんだって。

「あぁ。」

その言葉を聞いて涙が出てきた。

彼の胸に顔を埋めてしばらく泣いているとなんか心が落ち着いてきた。

昨日からずっと生きた心地がしなかったけどようやく、落ち着いてきた。

それと同時になんだが急に恥ずかしくなってきたので離れる。忘れてたけど、彼これから作戦だもんね。

「いってらっしゃい」

「あぁ。いってくるよ。」

そうして彼は空に飛んでいった。

いなくなってふと気がついた。

そっか、なんかアメリーの言ってたことがようやくわかった気がする。

私はあの人を………

 

 

Another view end -sideBishop-

書類を501に託したその日、基地に帰ると同時に眠くなった。

格納庫に着くと、ウィルマがハンガー隅で寝ていた。

部屋に帰れっていったのに。抱えると案外軽かった。

そのまま食堂につれていってソファーにおこうとした瞬間、アメリーと目があった。

「お邪魔でしたか?」

なにあの笑顔、逆に恐い。

「いや、変なところで寝てたから起こそうと思って。というか、どうした?」

「たまたま、起きちゃって。それに部屋にウィルマさんがいなかったのでどうしたのかなと思って。バーフォードさんは?」

「作戦が終わったから帰ってきた。」

「夜なのにお疲れ様です。あっ、私はいなくなるのでごゆっくり。」

「おい。」

走っていなくなった。

俺も、彼女の隣に座る。

「俺が追い詰めたみたいだったな。すまなかった。」

返答は無かったが。寝息が聞こえるから寝てるんだろうな。

………………………

気がついたら俺も、寝てたのか。体を動かそうとしたら右肩が重い。見てみると、ウィルマが寄っ掛かってた。

まぁ、いいかな。

ってよくない。全然よくない。むしろピンチだ。

時計をみたら0700

もうすぐあいつらが起きてくる、ていうかすでに起きているかもしれない。ドアをみると、わずかな隙間から6個くらいの瞳を見つけた。

終わったわ。

その後、何があったのかめっちゃ聞かれた。

隠せるところは隠して、ギリギリを話して切り抜けた。

 

「そっか、もうシールドが張りにくくなってきたか。」

俺はウィルマの話を聞いていた。いまは1000、

なんとか時間を設けて彼女の言葉を聞いていた。

「この事を他に誰かに話した?」

「今のところはあなただけ。」

「これからはどうしたい?ウィルマがどの選択を取ろうとも俺は支持するよ。」

「前、話したでしょ?リーネが飛んでいる限り、私も限界まで飛ぶって。」

「その分危険が増すのにか?」

「バーフォードだって、シールドは使ってないじゃん。」

「前提が違う。まぁウィルマがそう考えているならわかった。なら、これからはシールドに頼らない飛び方を出来るだけ教える。それでいいか?」

「いいの!?」

「あぁ、約束したからな。」

「それじゃあ、よろしくね。」

「隊長には訓練で飛びたいと言っておくから。」

「わかった!」

 

次の日、本格的なシールドを使わない訓練を始めた。

彼女には"全ての攻撃を回避する"ということを覚えてもらう必要がある。

だから、まず始めに、回避起動を身に付けてもらう。

次に俺があらゆる方向から攻撃を行い、逃げてもらう。

最後は回避と攻撃を行えるようにする、という方向で始めたら。

さすが、何年も飛んでいるからかすぐ起動は身に付けてくれた。(すでに大半を覚えていたというのもあるが。)ただ次の回避が中々うまくいかない。

全て自分で攻撃を見切って回避しないといけないが癖が抜けないらしく大変そうだった。

まぁ、気にせず撃ちまくったが。

おかげで変態!とか人でなし!とか言われた。

お前のためなのにといったら

知ってると笑顔で返された。

それからかなりの頻度で練習を行ったおかげである程度までできるようになっていた。

突然ネウロイが飛び込んできても大半はかわせていて残りは無意識にシールドを張っていた。

小型ゆえに出力も小さいためか、まだシールドは平気みたいだ。

ただ、無意識に張ってしまうあの癖は何とかしたいな。

アシストして彼女が落とせたので攻撃の連立もうまくいっているようだ。

 

 

 

 

そして、501の返答を聞きに行く前日にその事をジャックに話した。今回はgaruda経由だ。

『そうか、もう限界がきたか。だが、それに屈せず逆に延命措置をとるとはな。』

「彼女の意思だ、なら尊重するさ。」

『惚れた女だからか?』

「ジャックが言うならそうなんじゃないか?」

『お前なぁ、でどうなんだ?』

「自分の事は自分がよくわかっているつもりだがよくわからんってのが本音だ。ただ、少なくとも友達以上ではある。」

『ならいい。まぁ聞いといてなんだが、俺もそこまで興味があるわけではないからな。』

なら聞くな。

『ただ、守ると決めたなら、覚悟を決めろよ。生半可な覚悟じゃまた失うことに』

「わかってるよ、ジャック。」

『結構。昔の俺を見ているようでひやひやする。さて、もうすぐ、書類が届くと思うがそれをまた届けてもらいたい。』

「直接渡されなかったが平気なのか?」

『暗号表は既に彼方に渡してある。さて、水面下とはいえ、各国の支援を取り付けた。』

「まじか、どうやったんだ?」

『マロニーは亡命してきたウィッチを続々と指揮下にいれて自分の駒として使っている。主に後方支援とかにな。確かに後方支援は重要だ。ここブリタニアが落ちれば欧州も陥落したも同然だ。だが、自国のウィッチばかりが後方支援について、ブリタニアのウィッチは本土防衛についている現状を快く思わない連中もたくさんいる。だからそいつらと連絡をとっても協力してもらうってことにした。』

「なるほど、ジャックがもとに戻ればマロニーよりは平等に扱うってところをアピールしたのか。」

『そうだ、中々の大物にも人脈が出来て一石二鳥だ。このまま人員も増えたことだし一気に責める。証拠を集めて、固まり次第、次の行動に移る。作戦があればまた伝えるから。それじゃあ、以上だ。』

「結果は明日報告する。」

『頼んだぞ。』

その後、すぐジャックの部下が書類を届けてくれた。

 

深夜2時。

離陸して前回の場所に向けて飛行する。

ただ、今回はちょっと違うみたいだ。

ランデブーポイント手前で彼女が交戦していた。

2機か、彼女の武器を考えれば厳しいかもしれない。

上空から急速接近、敵の攻撃を紙一重でかわし、能力発動。

高熱源部位を特定、攻撃。

ヒット。敵が破裂する寸前、横を通りすぎて破片を取り込まないようにする。

すかさず、もう1機を探す。

見つけた、ん?

501側が落としたようだ。

前回同様、声が聞こえる距離まで近づく。

「怪我はないか?」

「ありません。援護感謝します。」

「俺の仕事をしたまでだ。それで、返答は?」

「………?」

「5日前」

納得しました、みたいな顔をしているので思い出したようだ。ポケットから紙をだして、読み始める。

「返答はYes、とのことです。」

「わかった。ありがとうと伝えておいてくれ。あとこれも渡しておいてくれ。」

「わかりました。それで、次は?」

「同様に5日後、ここでだ。」

「了解です。では」

「じゃあな。」

 

さて、匙は投げられた。

頼むぞ、501、ジャック。

 




実はアニメってこの話がある頃って夏なんですよね。(サーニャ&宮藤の誕生日が8/19)
よって、季節が真逆。
なんと言うことでしょう。
ただ、今作はワイト島をメイントしているので季節が真逆になっているのは許してください。
501の宮藤とか大変なことになっているが割愛。
訓練時間が……それは気合いと根性でウニュウニュ。






はい、私のミスです。ごめんなさい。
気づかなかったです。
ただ、もうこれからの展開も考えてやっているのでこのまま突き進みたいと思います。
グダグダでやって来た弊害がこんなところに出てくるとは。
どうか、優しく成長を見守ってもらえると嬉しいです。

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