読みにくくなっていたらすみません。
それにしても、この世界に来てもう2ヶ月ちょいか。
早いもんだな。
STAF発足を明日に控え、俺とウィルマは司令部が寄越した車に乗ってふとそんなことを考えていた。
はじめはこの世界に来て混乱しかなかった。隊長のご厚意でなんとかできていたけど、いなくなってたら俺はどうしていたのだろうな。ジャックがいてくれて本当に助かった。あっちでもこっちでも助けられてばかりだな。俺がここに入ることで少しでもあいつの助けになればいいが。
いま、2人とも服装はいつものままだ。どっちにしろ制服はもらってないしな。俺は長ズボンに長袖の普通の冬スタイルだ。ウィルマはズボン(?)に長袖でこちらの世界での一般スタイル。スカートならまだしもあれって寒くないの?
さて、ここで俺の長ズボンを紹介しておこう。いくらか前にアメリーと買いにいったあと長ズボンを少し改造したのだがその内容は至って簡単。太股の真ん中らへんの高さにボタンを付ける。そして、ズボンの下にボタンが通る程度の穴をあける。そうすることで、いつもは長ズボン、ストライクユニットに乗るときはズボンをあげて穴にボタンを通すことであら不思議、半ズボンになるのだ。こうして冬も半ズボン、長袖という不思議なスタイルにならなくて済むのだ。
ジャックによると今日はSTAFの説明、顔合わせ、明日のちょっとした式典についての説明があるそうだ。
このブリーフィングを滞りなく進めるためにある程度の情報は渡しているらしい。所属するメンバーの所属、機種、撃墜数、など。もちろんメンバー一覧には俺のことも入っている。撃墜数は25。まぁFAF時代のスコアを引き継いじゃ後で問題になるだろうしな。
使用機材は軍規につき開示できずか、あのユニットはたしか表向きは俺専用に作られた特殊ジェットストライカーユニットってことになってるんだよな。バーフォード専用機か、その響きも悪くないな。てか表向きったって少将以上か許可された人間以外は見れないんだよな。
恐るべし、軍規。
と、司令部が見えてきた。前回は喧嘩を売りに行くつもりで来たが、今回は特にそういったものもなくただ命令でって感じだからな。
入り口でアナベラさんが迎えてくれた。
「お久しぶりです。バーフォード大尉、ビショップ軍曹。既に大半の方が到着されており、あと4名といったところです。お急ぎ下さい。」
さてと、ここからが正念場か。どういこうか。俺よりもスコアが上の奴は結構いるみたいだしな。
「こちらです。大将。バーフォード大尉とビショップ軍曹がお着きになられました。」
「入ってくれ。」
「「失礼します!」」
部屋は細長いタイプで机がコの字に配置、議長席にはジャックとあと誰か知らんやつが座ってた。
そして、座っていたウィッチたちが一斉に俺に注目する。品定めする目、どうでも良さそうにすぐそらす奴が大半で軽蔑するようなやつが2人。きっとプライドの塊なんだろうな。そういうタイプは無視するに限る。
所定の場所に座り資料を読んでいると、最後のやつが来た。時間ちょうどだ。
「これより、STAF発足会議を始める。総員起立!ヒューゴ・ダウディング大将に敬礼!」
「あぁ、それじゃあ楽にしてくれ。まず自己紹介から。私はヒューゴ・ダウディングだ。STAF最高司令官として君たちの直属の上司になる。さて、認識の違いがあると不味いので軽く資料を交えながらこの部隊がどういうものなのかも含めて説明していこう。」
よくしらんやつが何か必死にペンを動かしているところを見ると書記官かなにかなのか。
「まず、設立のきっかけから。近年、多国籍軍のウィッチ部隊が戦果をあげてきていることは知っているな?そこで各国が相次いで部隊を作るようになったのだがそこで問題が発生した。誰を送るかということだ。当然エースは自国内に止めておきたいというのが大半だろう。しかし、私はあえてこの体制を否定したい。」
ジャックは世界地図の前に移動して続ける。
「ブリタニアは確かに欧州最後の砦の一つだろう。ここが落ちれば世界にとってもかなりの影響が出る。しかしだからといっていつまでも守りに入っていていいのか?攻撃は最大の防御という言葉がある。私はこれを推し進めていきたい。ブリタニアが欧州解放の主導権を握りたいと思っている。そしてこれは欧州から完全にネウロイが駆逐されたあとにも関係する。自分の国がブリタニアによって解放されたという印象を与えれば将来その国とは友好関係が結べるだろう。ここで君たちに言っておく。君たちには今の祖国はもちろんのこと、将来の我が国のために利用させてもらう。残酷かもしれないがこれが設立に当たっての条件だった。」
あたりが静まり返る。
そうか、ジャックは根回しをするために覚悟を背負わされたということか。大変だな。
「君たちには何のメリットもないかもしれない。具体的な任務についてはあとで話すが今より更に大変になるだろう。あえてメリットを言うなら所属がいかにもエリートらしくなった、というだけだな。」
すこしクスっとなる。
「だから、君たちにはブリタニアの将来のために力を貸してほしい。無理にとは言わない。嫌ならすぐに出ていってもらって構わない。駒になるくらいなら自分の好きなようにいきるのでも構わない。君たちの経歴に傷がつくような事はないと断言しよう。」
30秒ほど静寂が流れる。
「ありがとう諸君、さてSTAFの詳しい説明に入ろう。この部隊は空軍名義になっているが実質的には空軍の指揮を離れ独自の指揮下に入ることになる。現在は空戦ウィッチ計23名だが今後は陸戦ウィッチ等も入ることが検討されている。いつかは特殊作戦軍というものにしたいというのが最終目標だ。また海軍との共同作戦も行われることがある。空母に乗って飛び回ってもらうこともあるので長時間祖国を離れることになるというケースもあると思っておいてくれ。
STAFは大きく分けて3つの部隊に分けられる。それを説明していこう。
まず第1飛行中隊。通称"FSQ"。この部隊は主に防衛を得意とする部隊だ。主な任務は防空、対空哨戒などだ。今だと情勢が不安定な地域にいってもらって撤退戦の援護、ネウロイの巣が近くにあり都市を守るために特化したものだと考えてもらいたい。もちろん他のこともしてもらうが。第1飛行小隊(VFA-10)から第4飛行小隊(VFA-14)までの計10名だ。
次は第2飛行中隊。通称"SSQ"。この部隊は主に攻撃を得意とする部隊だ。主な任務は敵ネウロイ拠点の破壊、大型作戦時は遊撃隊としての参加、敵情偵察などだ。まぁ大まかに言えば何でも屋ってところかな。ただ、この部隊は他の部には不可能または作戦失敗などで難易度がかなり高いと思われるものが回される予定だ。だからかなり危険だがそれも留意してくれ。第11飛行小隊(VFA-21)から第15飛行小隊(VFA-25)までの計11名だ。
最後は第3飛行中隊。通称"TSQ"。これは主に実験部隊だ。テスト飛行が終了し飛行事態は問題ないと判断された機材を実戦でテストしてもらい、報告してもらう。報告はもっと出力を上げろなど、旋回性能をあと何%ほどあげて重量を下げろなど実戦でしか出せないデータを収集してもらう。
第21飛行小隊(VFA-31)のみの計2名だ。
以上計23名の内訳だ。ここまでで何か質問は?」
「中隊で所々飛んでいるのはなぜですか?」
「これから人数が増えたときに、その隙間に入れることで対応するためだ。他には?
ないようなので先に進ませてもらう。
さて、今後の予定について話そうか。今日はこの会議が終わったら終了。明日は非公開の就任式、発足式、などが行われ、記者会見がある。基本的には私と他数名だが出る。
君達は記者会見にはでなくていいが一部の部隊には明日から任務についてもらう。早速飛んでもらうことになる者もいるがそれは我慢してくれ。それから………」
そして、装備品、給料、階級について、作戦が発令されたときの指揮系統など多岐にわたり1時間ほど話があった。
「以上だ。あと基本的には部隊員どうしあまり顔を会わさないと思っておいてくれ。小隊単位で各地を飛び回ってもらうから式典以外ではないと思ってくれてまわない。
では最後に何か?」
ガタッ
「大将殿。一つ聞きたいことが。」
「何だね?」
「フレデリック・T・バーフォード大尉についてです。噂や資料を読んである程度は理解してますがなぜいれたのですか?25機程度なら他にもいると思いますが。」
せっかく大将が予防線を引いたのに聞いてきたか。
馬鹿な女だ。
「まず1つ。彼の腕はたしかだ。このスコアもここ1ヶ月で叩き出したものだ。ジェットストライカーユニットをはいているとはいえ、スコアはスコアだ。その2。最近になってようやく上がgoサインを出したため表に出てこれたが彼は今まで非公式に作戦に参加していた。だから回りにも全く知られていなかった。非公式スコアも含めれば撃墜数は70を越えるだろう。それでも不満かね?私は彼はブリタニアを代表する空戦ウィッチだと考えているが。」
「そんなことは、私は!」
「男というのが気に入らない?」
黙ってゆっくりとうなずく。
「なら、彼よりいい成績を出せたらまた来るといい。他には?」
もうこれで終わりというように話を強制的に打ち切る。
「内容なら解散とする。宿泊施設はこちらで用意した。出たら私の秘書からもらってくれ。以上だ。」
「総員、敬礼!」
さて、書類も貰ったことだしホテルにでもいくかって、誰か来た。さっきの女か。
「私は、あなたを認めない。」
「ブリタニア空軍はあんたに許可をもらわなきゃ戦えないのか?」
「なんですって?」
思わず笑ってしまった。しかも相手は中尉だ。
「それに、スコアも大事だが一番重要なのはネウロイに勝つこととだろ?違うか?」
あぁ超怒ってるね、大噴火直前だな。それに見た目は15くらいか。感情の制御がうまくないな。
しかし、彼女はいってはいけない言葉を口にする。
怒り故か正常な判断ができなかったのかもな。
「どうせ、その女も手駒にしたんでしょ?この変態が!」
ビンタをしようとしてきた。
なぜ手を出してきたのかかわからんが、"Guilty"。
相手の手首を右手で掴んで左手で彼女の左肩を掴む。そのまま彼女の手を背中に回して顔を壁に叩きつける。
よく警察が身柄を拘束するときに使う技だ。
まぁそんなに力は込めてないから平気なはずだ。
そのまま耳元で殺気を丸出しにしながら話しかける、
「調子に乗るなよ小娘が。貴様に彼女の何がわかる?俺はあいつに助けてもらった。そして、それを返そうとしているだけだ。俺はお前みたいに感情だけですべてを判断するやつが一番嫌いなんだ。」
すっかり怯えてやがる。さっきまでの威勢はどこにいったのやら。
「どうせ、散々俺たちの英雄だなんて囃し立てられた結果がこうだろ?よくある話だ。自分には力があると思い込んでいる。だから認めたくてもプライドが邪魔して認められない。違うか?」
黙ったままだ。図星か?
「俺を認めたくないのは結構だ。だが、他のやつは巻き込むな。迷惑だ。」
もういいか。拘束を放し自分の荷物を取り上げる。
「もし、自分の意見を認めてもらいたいなら成果を出せ。俺は出したからここにいる。なら、次はお前が出す番だ。そうだろ?」
コクン
「わかっているなら結構だ。いこう、ウィルマ。」
「り、了解。」
「それと、手を出したのは済まなかったな。そうでもしないと聞いてもらえなかったと思ったのと、彼女を侮辱されたからついな。できればウィルマに謝ってもらいたいものだな。」
一瞬間をおいて。「ごめんなさい、言い過ぎた。」
「あ、いいよ。気にしてないし。」
ちゃんと謝ってくれた。
「なんだ、やればできるじゃないか。さて、用もすんだし行こう。」
もうあいつに構う必要はなくなったので放置する。
司令部を出て、ウィルマに話しかける。
「巻き込んで済まなかったな。ただ、侮辱されたのはどうしても許せなかった。」
「何でそんなに気にしてくれるの?」
「何でだろうな?俺もよくわからん。」
「そう、でもちょっと嬉しいな。気にしてくれるだけの存在ってことでしょ?」
「かもな、大切な相棒だしな。」
「その相棒のレベルってどれくらいなの?」
「しらん。」
「教えてくれないの?」
と雑談をしているとふとあることに気づく。
つけられてるな。止まってた車のバックミラーを使って見てみるとスーツにジャケット、シルクハットってなんじゃありゃ?
どうみてもつける人の服じゃないだろう。
いろいろなルートを使ってもついてくる。
さて、どうやって巻こうかな。
あ、いい作戦思い付いた。
「ウィルマ、ちょっと顔寄せて。」
「えっいきなり!?それはないんじゃないの?」
「いいから」
「でも覚悟が」
顔を近づけて耳元で小さくささやく。
「つけられてる、この先の公園で仕掛けるからこれから言うことをしてくれないか?」
「え?あっなんだ、そんなことかってつけられてるの?まぁわかった。」
なんだがっかりしてるのか?
「なにを期待させたかわからんが頼むぞ。」
「で、なにをすればいいの?」
「それは…」
Another view -Sied Chaser-
ターゲットが公園に入りベンチに休んでいる。女はどこかに走っていった。男は小さな子供3人と何か話している。遠すぎて内容はわからない。
女が戻ってきた。子供たちに何か渡した?
スコープでみると、なんだチョコレートか、それも小さなやつだ。同僚にも確認するが同意件だった。
なにをする気だ?
子供たちはそのままどっかに走っていったので無視。2人の監視を続ける。
2人が移動をするみたいなので移動しようとしたら肩を叩かれた。
誰だ?と思ったら警官だった。
「あの、何の用でしょうか?急いでいるのですが。」
「ほう、それは子供たちを漁るためかね?」
「は?」
同僚と顔を合わせる。
「何のことですか?」
「とぼけるな。助けを求めてきた子供が直接あんたらに襲われたといっているんだ。」
警官が指を指した先にはさっき監視対象と話していた子供が俺たちを指差して泣きながらながら。
「あの人です。あの人が僕のお尻さわったんです!」
「わたしは、胸をさわられました!」
「怖かったよー!」
婦人警官が慰めている。まさか、あの野郎!
「ご、誤解だ。私はなにもしていない!」
いつのまにか5人の警官に囲まれた。
まずい、ここは身分証を出して回避するか!
しかしまずいことにその動作を拳銃を出す行為と間違えられ、取り押さえられた。しかも俺たちは実際に所持している。
「確保!おい、こいつら銃を持っているぞ!」
「署まで連行する。おい、連れていけ!」
「まて、俺は無罪だ!」
顔を監視対象に向けると男が左手の中指を上げていた。
クソが!!!
Another view end -side Chaser-
「よかったの?あれで?」
「あぁ、ジャックが言ってたんだが各軍には俺のことを探らないようにと通達を出したらしい。どうせ守られないだろうから実力行使に出たわけ。もしこれから尾行したらこうなるよって見せしめ。あいつら一生ロリコン&ショタコンを背負って生きていくのか。」
「でも、あれが尾行じゃなかったら?」
「銃持ってるんだから間違いないでしょ。さて、いこうか。」
「ええ。」
しかしホテルにつくとまた問題が。
ウィルマと同じ部屋だった。ジャック!!経費節約か!?「私は平気だよ?」
「いいのかよ。まぁいいならいいなって俺がよくない。」
「どうして?狼になっちゃう?」
「ならないよ。まぁここで文句を言ってもしょうがない。さっさと行動しよう。」
「オッケー。」
晩ごはんを下で食べて、ホテル備え付けの大浴場てゆっくりして部屋に戻る。
テレビも無いんだよな。ここは。
改めて別世界に飛ばされたと実感する。
寝巻き持ってきてよかった。さてと、寝るか。
「ウィルマ、電気消すぞ。」
「うん、おやすみ。」
5分くらいたっただろうか。眠れん。
よく考えたら誰かと相部屋で寝るも久しぶりだな。FAFじゃ個室が与えられてたしな。
「バーフォード寝た?」
「起きてるよ。」
まるで修学旅行みたいだ。
「あのね、今日ありがとうね。」
「何が?」
「ほら、会議が終わったあとちっちゃな子と喧嘩になったでしょ?」
「あぁ。」
あれがどうしたんだ。
「私のために怒ってくれた。それが嬉しかったの。だからありがとう。」
「別に………仲間が侮辱されたら怒るのはあたりまえだ。」
「それでも、そんな当たり前でも。そういう風に考えてくれてるんだなって思って。あまり、そういうところ見せてくれないし。」
体を彼女に向けるとウィルマはこっちを向いていた。
何て返答すればいいのかわからなかった。
ただ、彼女の言葉にビックリした自分がいたのも事実だ。
だから。
「これからも、よろしくな。ウィルマ。」
彼女に向かって手を伸ばす。掌をグーにすると彼女も同様に向けてくれて
一瞬だけ触れた。
「おやすみ。」
「あぁ、おやすみ。明日も早いぞ?寝坊するなよ?」
「寝坊したら起こしてくれる?」
「わかったよ。」
不思議とすぐ睡魔はきた。
今回も長くなりました。
大分ウィルマとも、距離が縮まったかな?
ちなみにあのanotherviewでのやりとりは
アメリカのドラマ「バーン・○ーティス」を参考にしています。
結構面白いですよ。
ズボンはウニキュロで似たようなのが売ってます。
結構便利。