な、なんでこの人は俺の前の名前を知っているんだ?この人たちもあいつに頼まれた人たちなのかも知れない・・・。
「今日から君の名字は田中から佐藤になるんだ。名前はこの漢字で合ってるよね?」
男性・・・いや渡さんから渡された紙を受け取って渡さんがシャーペンで書いた字をおそるおそる見る。
そこで俺は自分の勘違いに気づいた。そして、この転生しても俺の名前は「れいと」のままなのだと。受け取った紙には「令斗」と書かれていた。まさかの一文字違いだとは・・・。絶対にわざとこの字にしたんだろうな。この人が字を間違えているという可能性もあるが・・・。まあそれが事実かどうかは俺にはわからないんだけどね。
「はい、合ってます」
そういうとちょっと安心したような顔になっていた。
もうちょっとかっこいい漢字に変えようか、と思ったが自分のネーミングセンスに自信が持てなかったので諦めた。
「あー、良かった。何回も合ってるはずなのになんか初めて会ったような感じがしてね。君の態度も若干よそよそしいからさ」
と笑いながら話しかけてくる。
「何回も会ってるんだからさ、敬語くらいは外していのよ?」
一回しか会いに行ってない人が言うの?とか言われそうだけど。とこちらも笑いながら言ってくれた。この二人よく笑うなぁと思いつつ、
「はい!渡さんも宇美さんもよろしくです!」
「まだ敬語つけてるじゃないか」
とまた笑われてしまった。
このあとは適当に雑談をして終わった。
☆
「ふぅ」
自室に入って少し溜息が出る。今日はいろんなことがあったからかな。
さっきカレンダー見たけど明後日は学校なんだよな、なんか春休み無駄にした気分だな。無駄にしたのは自分の人生なんだけど。そう自虐ネタを自分で考えて一人で失笑する。
そんなことを考えてると家族のことを思い出す。今頃みんな今何してるのかな?と。会いに行きたいけど今はまだ会えないだろう。彼らは俺が転生したことすら知らない。いいや、他人と見られても見に行くことはできる、でも・・・
俺は今家族に会ったら泣いてしまうだろう。誰よりも早く死んでしまったことの謝罪、悔しさ。みんなと交わした約束、そして兄のエロ本を隠す場所を失くしてしまったこと。特に最後のことは家族には知られてはいけない・・・。
・・・涙をふきながら俺は決めた。家族にはいつか会う、でも今じゃない。誰も俺のことを知らないなら恥ずかしいことはない。自分自身を新しく変えてから、自分に自信を持てるようになってから会おう。
まず、どんなことから変わろうか。まず、イメージ?いやでも恥ずかしいな。そうだ、愛想よくしようじゃないか。前の俺は周りに愛想よくなかったからな。んじゃ二つ目は何にしようか・・・。
こんなこと考えていたけど、朝起きた時にはすっかり忘れていたのは言うまでもないんじゃないかな。
「・・・なあ宇美」
「・・・どうしたの」
「あのこって、今生きてたら令斗君と同じ年齢だったんだよな」
「そうよ、でもなんで・・・あっ」
「そう、あの子と同じ名前なんだよ」
「き、気づかなかったわ・・・。なんか不思議ね」
「神様とやらの仕業かな」
遅れて申し訳ないです。
テストやらゲームやらいつものサボりやら(8割後ろの二つのせい)で一か月近く遅れてしまいました。
次回からはまた2週に一回くらいは投稿するペースに戻っていきたいと思います。