整った顔立ちと、モデルのようなメリハリのついたスタイル。さらにはロシアとのクォーターで金髪碧眼。
そんな男女問わず誰もが憧れてしまいそうな女性、それが絢瀬絵里だった。
その上、彼女は生徒会長を務めている。もはや漫画やアニメの登場人物なんじゃないか、それほどまでに特徴的で魅力的な彼女は、俺の幼馴染でもあった。
そんな彼女が、先程から俺の視線の先で、他の役員の女の子に、身振り手振りを交えながら何やら真剣に説明をしていた。
「コウちゃん、何してるん?」
そんなやり取りをぼうっと眺めていると、隣に座っている東條希が声を掛けてきた。彼女は一度俺の様子を伺ってから、肩が触れるほど身体を寄せてくる。
「ん~。どっちがお好みなん?」
「また、そんな事言う。そんなんじゃないよ」
さらに俺と目線を合わせるように、彼女は顔を近づける。そして、俺の視線の先を追うようにしてそちらへ顔を向けた。
希ちゃんはしげしげとその様子を眺めてから、再びこちらへと顔を向き直して、再び口を開く。
「隠さなくてもええやん、ウチとコウちゃんの仲やし。言ってくれたらウチがお膳立てしてあげてもええんよ?」
「遠慮しとくよ。それに、どっちかって言うと、今は希ちゃんにぞっこんだから」
希ちゃんは冷やかすような口調で言う。彼女はこうしてことあるごとに、俺のことをからかうようなことを言ってくるのだった。
最初の内は、その度に一々どぎまぎしていたものだが、最近ではそれも慣れ、軽口を返せるようになってきた。
ただ、彼女にはどうにもそれが気に入らないらしく、俺のそんな反応を見ては、すねたように唇を尖らせる。
「そんなこと言われたら本気にするんよ?」
「よく言うよ、そんな気なんか無いくせにさ」
「え~、そんなことないやん」
にししといたずらそうに笑う希ちゃん。そんな人懐っこい笑顔を見せる彼女もまた、方向性は違えど、絵里ちゃん同様とても魅力的だった。
ふたりから受ける印象はまるっきり正反対のものだった。絵里ちゃんが一見クールで落ち着いて見える一方、希ちゃんはふんわりとして人当たりが良さそうな印象を受ける。似ている所といえば胸の大きさぐらいなものだろうか。
そんなあまり似ていない二人であっても、希ちゃんと絵里ちゃんは親友同士であった。
「でも、エリちのこと見てたのはホントやろ?」
「まぁね。最近変わったよなぁって思って」
まぁ、なんということでしょう!
そんなどこぞのリフォーム番組の決まり文句が聞こえてきそうなほどに、ここ最近、目に見えて絵里ちゃんに変化が見てとれた。
その理由ははっきりとしている。彼女がμ'sに加わったからだ。
元々彼女は、μ'sのアイドル活動には反対的な姿勢をとってきた。それでも紆余曲折はあったものの、絵里ちゃんは希ちゃんとそろってμ'sに加入することになった。
それからだ、彼女は別人の様になったのは。
「でも、ええ傾向やない?」
「それはまぁ、そうだね」
リフォームによって逆に欠陥住宅になってしまう、なんてこともなく。希ちゃんの言う通り、確かに彼女にとって間違いなく良い方に向いている、そう思えた。
まず何より笑顔でいることが増えた。そのおかげか、物腰もだいぶ柔らかくなったような気がする。少し前までは正直、近寄り難い、そんな雰囲気すら纏っていた。
もちろんそれが本来の彼女ではないことは分かっていたし、廃校騒動のことで追い詰められていたことも知っている。それでも今の彼女と比べると、あまり良い印象を与えていなかったように思えてならなかった。
「コウちゃんもエリちのことよく見てるんやね」
「ん? まぁ生徒会とかで一緒にいる時間も多いしね。今ではμ'sの活動の時にもに一緒にいるようになったし」
「ん~そう意味やないんやけどなぁ……。あ、そういえばどうして生徒会に入ろう思ったん? やっぱりエリちの影響?」
「うん。入学する前に一緒にやってくれないかって頼まれてたから」
絵里ちゃんのお祖母さんも音ノ木坂学院の生徒だったらしい。それもあってか、彼女は他人よりもこの学校に思い入れは強かった。
だから生徒会の活動にも積極的だったし、廃校問題の解決にだって人一倍尽力していた。
ただ、責任感の強い彼女のことだ、生徒会長という立場も廃校という現実も、恐らく俺なんかが想像している以上に一人で抱え込んで、もがいていたんだろうと思う。
だから、そんないくつかの問題が解決した後の絵里ちゃんは、実に生き生きとしていた。まるでしがらみから解放されたかのように。
そう考えると、彼女は変わっていったというよりは、本来の彼女に戻ったという表現の方が正しいじゃないだろうか。
元々は明るくて、意外とユーモアのある少女だったはずだ。それこそ希ちゃんじゃないが、人並みにイタズラだってするし、人のことをからかったりだってする、そんな普通の女の子だった。
「そうなん? でも、そういえばウチ、あんまりエリちの昔の話とか聞いたことないなぁ」
「うん。昔の絵里ちゃん見てると、今の方が自然な感じかなぁ。俺らが小さいころだって……」
俺が昔の思い出を語り始めると、希ちゃんは食い入るように身を乗り出してくる。そして、目をきらきらと輝かせながらそれを聞いていた。
そんな彼女の姿を見て、しまったなぁ、そう思った。
恐らく後で、この話をネタに絵里ちゃんは希ちゃんにからかわれることになるのだろう。だが、そんな未来が見えつつも、話を止めることはしなかった。
素直にμ'sに協力してくれなかった罰として甘んじて受けてもらおう。それに何よりここで止めたら、今度は逆に希ちゃんにブーブー言われてしまう。
「お待たせ、ふたりとも。ゴメンね待たせちゃって。それじゃ行きましょうか」
希ちゃんとそんな話をしていると、いつの間にか絵里ちゃんの方も用件が済んだらしく、帰り支度を済ませて俺たちの所まで近づいてきていた。
そんな彼女の顔をじっと見つめると、先程までの話を思い返して、ふと可笑しくなった。
恐らく希ちゃんの方も同じだったのだろう、俺と同じような顔で絵里ちゃんのことを見ていた。
「ちょっとなぁに、ふたりして?」
絵里ちゃんは不思議そうな表情を見せる。そんな彼女を見ても希ちゃんは未だニヤニヤと笑っていた。
十中八九、先程の想像通りに、絵里ちゃんは希ちゃんにからかわれることになだろう。そしてすぐにその出所がバレて、俺まで怒られることになるのだろう。
だけど、まあ、絵里ちゃんの照れた顔が見られると思えば、それもまた一興だろうか。
「何でもないんよ。なぁコウちゃん」
「うん。まぁね」
希ちゃんは口ではそう言いつつも、その顔は意味ありげに微笑んでいた。絵里ちゃんはそんな彼女を見て、やはり納得がいかない、そういった表情をしていた。
その絵里ちゃんのきょとんとした表情が妙に可笑しくなって、希ちゃんと顔を見合わせると、今度はふたりして声を上げて笑ってしまった。
「ホントに何なのよ、もぅ」
「別にええやん? ほらほらもう行こ、練習遅れてしまうし」
希ちゃんはニコニコとした表情のまま、依然事情が呑み込めない、そんな様子の絵里ちゃんの背中をぐいぐいと押して生徒会室を後にした。
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
おれはエリーチカの話を書こうと
思っていたら ほとんどのんたんとしか喋っていなかった
な… 何を言ってるのか(ry
それ以前に会話自体少ないし、
書きたいこともうまく書けてないし……
まぁ、とりあえずは全員出せたので
次からもっと精進したいと思います