やっと忙しい生活から解放されたと思ったら、一転して何もない日々が2日程続いてました。
忙しい時は「早く書かなきゃ…」みたいな使命感を感じるのですが、逆に何もないと「後でいいや」ってなってしまうって不思議な状態でした。
そんなこんなでようやく絵里編の一話です。
ロシア旅行とか…ばったりの出会いとか、前回のはちょっと勢いで書きすぎた気がします。
今回のは頭を冷やして、出来るだけ考えたつもりです。
誤解がないように簡単に説明を…
今回登場する
有紗 と アニメに登場する 亜里沙 は別のキャラです!
わざと読み方を同じにしました。すいませんm(__)m
絢瀬絵里編 第一話
5月29日 夜 -10:20―
「疲れた~!」
スーツのジャケットを脱ぎ捨て、ワイシャツのまま布団の上に寝っ転がる。怒涛の五連勤を終え、ようやく気が休まる時間が出来た。そして…明日は久しぶりの休みの日だ。
「あ~…動きたくない…」
ピンポン♪
ん…?
ポケットに入っている携帯を取り出し、メールに添付されているファイルを開くと、高校の時の友人と、美しいドレス姿に身を包んだ幼馴染が映っていた。二人は透き通るような青い海を背に、幸せそうに笑っていた。
「そっか…あいつら結婚したんだっけ」
幼馴染のメール文面には
“私達、5月29日に結婚しました!
彼からは、仕事で忙しくて結婚式に来られなかったと聞いています。
しばらくこっちの生活を満喫してから、日本に帰りたいと思います。
あんたも早く見つけなさいよ!“
「余計なお世話だ…ん?」
しばらく写真を眺めていると、もう着信音が鳴った。今度は高校の友人からだ。
“久しぶり!
出来れば来てもらいたかったけど、仕事で忙しいなら仕方ない。あんまり気にすんな
それと、こっちの料理は俺には合わない!なんでこっちの料理って妙に味が濃かったりするんだ?
そんなわけで!
今度来れなかった分の償いとしてお前の奢りで居酒屋に連れてってもらうからな!
“お断りだ“
と返信し、俺は起き上がり、夕食を食べるためにリビングに向かった。
25にもなって実家住み
ということを伝えると、男女関係なくすごく微妙な顔をされる。いやまあ…それはそうなんだけども。
そして、目標は「一人暮らし」をすることだ。今の会社もそのために働いている。
「母ちゃん飯~…ん?」
何の気なしに扉を開けると、腕を組んで威圧的なオーラを纏っている母親と、黒色のセミロングの髪、可愛らしいピンク色のパジャマに身を包んでいる、中学二年生になった姪っ子の
俺と有紗は一緒に暮らして一年経つが、彼女と話したことはあんまりない。
そしてきっとこれは
姪っ子が何らかの形で母にお願いしていて、それにはどうしてもお金が必要になる
という感じだろう。
「お願い!お願い!!」
何度も言い寄る有紗に対し、表情が一つ変えることがない母。
うわぁ…どうしよう
「はぁ…あっ…あんたちょっと来て」
ため息をつくと、母はようやく俺の存在に気づき、席に座れと目で命令して来た。
~10分後~
「ということなの。あんたはどう思う?」
「まぁ…うん…」
今回の事をまとめると
有紗の通っているクラスのダンスのレベルが全体的に高くなりつつあり、このままではいけないと彼女は思い始めていた。
そして、姪っ子の友達の何人かもダンススクールに通い始めたらしい。
焦った有砂は勝手にダンススクールの無料体験を受け、そのまま流れで書けるところまで契約書にサインしてしまい、あとは保護者の同意を待つだけの状態にまで話を進めてしまった。…ということらしい。
「お願いします…!」
そっか~…ダンス必修化なんだっけ、こいつらの世代って。俺は必修化する前の世代だったからな~…
「私は反対よ。考えが甘いもの」
呆れるようにため息をつき、そっぽを向く母。それをなんとかしようと、少し泣きそうになりながらも必死にお願いする有紗。
「…いけないことをしたのはわかってるよね?」
「…うん」
なんとなくだけど、彼女の焦る気持ちはわかる気がした。自分一人だけ残されるのは、なかなかに堪えるものだ。きっとクラスの立場みたいなものもあるのだろう
「それじゃあ、母さんがどうして怒っているかわかる?」
宥めるように話しかけると、少し間を空けて有紗が弱弱しい言葉遣いで話はじめた。
「勝手に…話を進めたこと」
ここ一年間あんまり話したことは無いとはいっても、性格は何となく理解している。彼女は思ったこと・自分で決めたことを後先考えずに進めてしまう性格だった。要は 思い立ったが吉日 みたいな感じ。
「わかってるならよし。母さん、料金は俺が払うよ。」
「本当に!!!」
有紗の表情がぱぁっと明るくなり、 ガタッ と椅子から立ち上がって身を乗り出した。
「あんた…」
「今回は許してあげればいいじゃん。相手にも迷惑かけるわけにはいかないし…」
母は呆れきった表情をし、さっきより大きなため息をついた後、有紗向かって話しかけた。
「…これからは気を付けること。今回限りなんだから…」
「本当にありがとう!ありがとう!やったー!!」
有紗は小躍りをしながら、ピョンピョンと飛び跳ねながら喜んでいた。
「…で、いくらくらい?」
「…これ」
机の上に置いてあった青色の封筒を取り、中に入っている資料を取り出して目を通す。
「……こんなに高いっけ?」
受講料は毎月8800円 最初の月は入学金として+6000円掛かる
と書いてあった。練習の回数は週に2回行うらしい。
おいおい…きっついなこれ
「あんた一人暮らしするんじゃ…?」
不安そうにこっちを見てくる母親の気持ちもわかる。俺もこんなに高いとは考えていなかった。
「わかってるって、一応格安物件は見つけてあるし…貯金もあるから」
それに…
「ありがとう!本当にありがとう!」
有紗は今も嬉しそうな顔で飛び跳ねている。
…今更断るわけにはいかないな
「えっと!明日の学校終わりだから…明日の18時に秋葉原のSENA前に居てね!約束です!」
何度もお礼を言おうとくっ付いてくる有紗を退け、明日が休みでよかったと思いつつ、部屋に戻って寝ることにした。
5月30日 夕方 ―16:00―
リズムゲーやらクレーンゲームの音がうるさいSENAの入り口の前で待機していると、有紗が駅の方から手を振りながら走ってきていた。
「おにいさ~ん!!」
「ごふッ!?!」
人と人の間を潜り抜け、全速力で走ってきた有紗が腹に飛び込んできた。みぞおちに受けた強烈な痛みを堪えながら、有紗に向かって引きつった笑顔見せる。
「…あ…りさ…っ!…走っちゃ危ないだろ……?」
「あっ…ごめんなさい!」
背中に回していた手を離し、有紗はささっと後ろに下がって頭を下げた。
「…場所はわかる?」
「はい!」
まだ続いている腹部の鈍い痛みを我慢しながら、俺と有紗は移動した。
~20分後~
改めて思ったことだが、有紗と話すのは久しぶりのような気がした。一つ屋根のしたとはいえ、会話もほとんど交わしたことがなかった。
『ここです!』
『駅前のSENAに比べ、随分人気のない道のビルの一角に、そのダンススクールはあった。』
「ここが…」
彼女が貰って来たパンフレットに書いてある通り“絢瀬ダンススクール”と書いてあった。自動ドアを通り、美容室のような綺麗な受付で軽い手続きを済ませると、奥の応接室のような部屋に案内され、座らされた。
「絵里さんこないかな~♪」
この部屋に案内されてから、有紗は常に嬉しそうで、落ち着かない様子だった。
「絵里さん?」
「はい!絢瀬絵里さん!すっごく上手で!綺麗で!すっっごく優しいんです!!」
そういえば…パンフレットにそんな名前があったような…
「遅くなってすいません…ってあれ?有紗じゃない、ご両親に許可は取れたのね」
ノックの音が聞こえてすぐに、ジャージ姿の女性が応接間に入ってきた。
「はい!」
「よかった」
そういうと、“絵里さん”と呼ばれた女性は前の椅子に座り、握手を求めてきた。
「初めまして、絢瀬絵里といいます」
透き通るような美しい金色の髪と、鮮やかなクリアブルーの瞳。テレビでよくある「美人モデル」とか、そういう類の女性であることは間違いない。
なんだこの美女…モデルさんか……?
「おにいさん!握手!」
「はっ!…初めまして!」
握手に気付き、慌てて握手を返す。
―見惚れてしまっていた―
なんてこと、有紗の前で言うわけにはいかない。
「では、説明を始めます」
手を離し、彼女はダンススクールの説明を始めた。
というわけで絵里編の一話でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
結構急ぎめで書いているので、後で修正が入ると思います
UAもお気に入りも大幅に増え、正直驚いています。本当にありがとうございます!
あとメッセージを送って下さった3名の方、本当にありがとうございます!今後のネタとして使わせていただきます。
絵里編では、姪の有紗を接点として、話を進めていこうかな~というのと、他の接点もこれから考えいます。(だいたいあと2話くらい?)
ご意見やご指摘・感想・評価・ネタ提供など、心よりお待ちしております。
わざわざ最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
それではノシ